前提

受注機会はある一方で、職人3名の高齢化と乏しい内部留保を抱える電気工事会社の現在地

千葉県にある売上高5,000万円台、6名弱の電気・空調工事会社では、仕事そのものがないわけではありません。むしろ、新たに営業を担う役員が入ってからは、「仕事を取ってくること自体は、そこまで難しくない。周りも人手不足で、仕事が余っている感じがする」という手応えがありました。

問題は、受けた仕事を施工する人が足りないことです。自社の職人は3名で、全員が60代以上。そのうち1名は70代です。協力会社とのつながりは数社あるものの、自社の若手職人はおらず、営業担当として入った役員が、予定外に1か月近く現場へ入り続けたこともありました。

「仕事はあるのに、できない案件が多い。だから新しい人を雇いたい」という状況です。しかし、先払いの求人広告にまとまった費用をかけられるほどの内部留保はなく、現状のままでは資金も増えていきません。

「仕事がある」と「採用できる」は、案件から利益とキャッシュが安定して残って初めてつながります。

採用の必要性は高いものの、採用だけを先行させると、入社後の給与、教育中の生産性、採用費の支払いが先に発生します。まずは、採用を継続できる収益構造をつくることが、この会社にとっての出発点でした。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
  • 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
  • 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
  • 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
  • 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
  • 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
  • 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
  • 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月29日総合建築宮崎県業務効率化システムの相談
  • 8月28日防水工事会社静岡県業務効率化システムの相談
  • 8月28日配管工事会社茨城県原価管理の相談
  • 8月28日塗装工事会社茨城県案件獲得の相談
  • 8月28日内装工事会社長野県協力会社探しの相談
  • 8月27日配管工事会社東京都人材確保の相談
  • 8月27日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月27日外構工事会社大阪府人材確保の相談
  • 8月27日外構工事会社熊本県業務効率化システムの相談
  • 8月26日総合建築神奈川県業務効率化システムの相談
  • 8月26日配管工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月26日電気設備工事会社兵庫県案件獲得の相談
  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
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課題

人がいないから受注できず、利益が残らないから人を採れない循環

この会社が直面しているのは、単純な求人応募数の不足ではありません。人手不足と採用資金不足が互いを強める循環です。

流れを整理すると、次のようになります。

  • 職人が足りず、受注機会があっても引き受けられない
  • 引き受けても、営業や管理を担う人まで現場に入らざるを得ない
  • 営業活動が止まり、継続的な案件づくりが進まない
  • 利益が十分に残らず、内部留保も増えない
  • 求人広告や入社後の給与に使える資金を確保できない
  • 採用できないため、引き続き受注量を増やせない

採用活動については、初期費用を抑えられる成果報酬型の支援を利用し、複数の求人媒体への掲載を始めていました。ただし、求人業界での経験を持つ担当者自身が「反応への期待値は、そこまで高くない」と見ています。

仮に採用できても、別の問題があります。若手を自社で育てる余力が乏しいことです。20代の未経験者が入っても、一番年齢の近い職人が60代という体制です。営業担当者は段取りを組めても、施工技術を一から教えられるわけではありません。

そのため、新人を一定期間ほかの会社へ送り、働きながら技術を身につけてもらう案も検討されていました。給与原資を確保しやすい一方で、送り出した先に定着してしまう可能性や、自社の得意工事を学べない可能性も残ります。

採用人数だけを増やしても、給与を払い続けられる案件と、自社で育てられる仕事がなければ、立て直しにはつながりません。

必要なのは「何人採るか」を先に決めることではなく、「どの案件で利益を残し、その仕事を使って誰を育てるか」まで一続きで考えることです。

背景

売上の半分強を占める得意工事にも、価格と受注頻度のばらつきがある状態

この会社には、すでに軸になり得る工事があります。商業施設、とくにアミューズメント施設の電気・空調工事です。新築と改修の両方に対応し、夜間工事にも入れます。売上の半分強を占めており、自社の職人も施工に慣れています。

ある改修工事では、受注額がおよそ500万円、夜勤を中心に10日ほど施工し、会社に残る利益は80万円前後という見立てでした。同種の工事が一定間隔で入れば、売上と利益をつくりやすい案件です。

ただし、現在の受注頻度は2〜3か月に1件程度で、発注元も限られています。既存の取引先から受注量をさらに増やす余地は大きくありません。残りの稼働日は、工場の照明交換、空調機器の交換、サイン工事など、細かな現場をつないでいます。

加えて、価格にも課題がありました。

「数百万円の仕事が来るのは、うちが安いからかもしれない」

「適正な値段を、まだつかめていない」

まとまった売上が立つ案件でも、価格設定が適切でなければ、忙しさの割に採用原資は残りません。案件数だけを増やすと、限られた職人を低採算の現場で埋めてしまう可能性もあります。

一方、大手に近い現場や公共工事では、年齢や入場条件によって現在の職人が入れない場合があります。利益率だけを見て新しい分野へ進んでも、今の施工体制では対応できないことがあります。

立て直しの対象は売上高ではなく、今の職人と協力会社で施工でき、利益が残り、繰り返し受注できる案件です。

この会社の場合、慣れていない工事へ広く手を出すより、すでに経験がある商業施設の電気・空調工事について、別の発注元を開拓するほうが再現性は高いと考えられます。既存取引先への依存を抑えながら、同種案件の受注頻度を高める方向です。

解決

得意工事を5つの判断軸で選び、協力会社で回して得た利益を採用へ戻す順序

立て直しは、採用を止めることではありません。初期費用を抑えた採用活動は続けながら、得意工事の選別、施工体制の確保、利益の蓄積、採用への再投資という順序を明確にします。

1.案件を売上高ではなく、5つの軸で並べる

まず、過去1年程度の案件を一覧にし、次の5点で比較します。

  1. 案件の利益率と利益額

売上だけでなく、材料費、外注費、夜間対応、移動、手戻りなどを差し引いた後に、いくら残るかを確認します。

  1. 入金までの期間

利益が出ても、入金が遅ければ給与や採用費には使えません。着手から請求、入金までの期間を案件ごとに把握します。

  1. 必要人員と施工条件

自社職人が何名必要か、協力会社で補えるか、年齢や資格による入場制限がないかを確認します。

  1. 受注の継続性

単発で終わる案件か、同じ発注元や同業種の施設から繰り返し受注できるかを見ます。

  1. 教育への転用可能性

未経験者が補助作業から入り、同じ工程を繰り返しながら技術を身につけられるかを確認します。

利益率、入金期間、必要人員、継続性、教育への転用可能性の5点がそろう案件を、採用原資をつくる中核工事にします。

この会社であれば、商業施設の電気・空調工事が候補です。ただし、「以前からやっているから」という理由だけで決めず、案件別の実績を見て確認する必要があります。

2.新しい工種ではなく、同じ得意工事を持つ発注元を増やす

既存の発注元からの仕事に上限があるなら、同じような商業施設の設計・施工や改修を扱う会社を探します。狙うのは、まったく経験のない現場ではなく、自社がすでに施工方法、必要人数、工期を理解している案件です。

同種案件であれば、見積もりの精度を上げやすく、協力会社にも作業内容を説明しやすくなります。ベテラン職人の経験もそのまま使えます。受注実績を重ねるほど、標準的な人工数や原価も見えやすくなり、安値受注の修正にもつながります。

営業時には「電気も空調もできます」と広く伝えるだけでなく、過去案件を次の粒度まで整理しておくと、自社に合う案件かを判断しやすくなります。

  • 対応できる施設と工事内容
  • 新築・改修の対応範囲
  • 夜間工事への対応可否
  • 通常必要となる職人数
  • 協力会社を含めた最大施工体制
  • 過去の工期と受注金額の規模

新規開拓の目的は仕事を何でも増やすことではなく、すでに利益を出せる得意工事の受注頻度を高めることです。

3.受注前に協力会社の施工枠を確認する

人手不足の会社が営業だけを先行させると、案件を取った後に「誰が入るのか」という問題が再発します。そのため、営業と協力会社の確保はセットで進めます。

案件の候補が見えた段階で、協力会社ごとに対応可能な工事、人数、エリア、夜勤の可否、単価、空き時期を確認します。自社職人が担う工程と、協力会社へ任せる工程も分けておきます。

この会社にはすでに複数の協力会社があり、「協力会社を使えば、新しい現場にも対応できる」という見通しがありました。この既存ネットワークを使い、まずは固定費を大きく増やさずに受注量を安定させる余地があります。

ただし、外注費を差し引いた後に利益が残ることが前提です。協力会社を増やすこと自体を目的にせず、案件別収支と施工品質を確認しながら任せる範囲を広げます。

4.増えた利益を採用費と給与原資に分けて確保する

案件から利益が出ても、ほかの支払いに消えてしまえば採用には使えません。入金時点で、採用活動に使う費用と、入社後の給与を支える資金を分けて確保します。

たとえば、同種案件が月1件増え、一定の利益が残るようになった場合、その全額をすぐ求人広告へ投入するのではなく、次の順で配分を考えます。

  • 入金までの運転資金
  • 想定外の原価増に備える資金
  • 入社後数か月分の給与原資
  • 求人媒体や採用支援へ投じる費用
  • 道具、資格取得、教育に必要な費用

採用費だけを用意しても、入社後の給与を内部留保から払い続けられなければ、採用判断は難しくなります。採用予算は広告費だけでなく、入社後に育成期間を支えられる給与原資まで含めて考えます。

5.繰り返し受注できる得意工事を教育の場にする

若手を採用した後の教育まで考えると、同種案件を継続的に受注する意味はさらに大きくなります。毎回工種も段取りも違う細かな現場だけでは、未経験者が仕事の流れを覚えにくく、教える側の負担も増えます。

一方、慣れた商業施設の改修工事を一定頻度で受注できれば、最初は搬入、養生、工具や材料の準備といった補助から入り、次に定型的な作業へ進む流れをつくりやすくなります。ベテラン職人も、自分が慣れている現場であれば経験を伝えやすくなります。

外部企業で育成してもらう方法が必要な場合もあります。ただし、その場合は給与原資だけでなく、自社へ戻る時期、習得する技術、自社案件との接続を事前に整理しておく必要があります。

得意工事の安定受注は、売上づくりだけでなく、ベテランの技術を若手へ渡す教育基盤にもなります。

まとめ

仕事があるのに人を採れない会社では、採用活動を増やすだけで状況が変わるとは限りません。受注機会があっても、案件の利益が薄い、入金まで時間がかかる、施工する人がいないという状態では、採用費と給与原資を安定して確保できないためです。

立て直しの順序は、次のように整理できます。

  1. 過去案件を利益率、入金期間、必要人員、継続性、教育への転用可能性で比較する
  2. 今の職人と協力会社で対応できる得意工事を選ぶ
  3. 同種案件を持つ新しい発注元を開拓する
  4. 協力会社も活用して、固定費を急増させずに受注量を安定させる
  5. 残った利益を採用費と入社後の給与原資へ分けて積み立てる
  6. 継続案件を若手の教育と技術承継に使う

採用を成功させる土台は、若手を採る前から、利益が残る仕事と育てられる現場を用意しておくことです。

高齢の職人がいる間に若手を迎えたいという判断は自然です。だからこそ、採用だけを急ぐのではなく、今ある得意工事を収益と教育の両面から組み直すことが、次の一手になります。

自社に合う案件と採用投資の順序を整理したい方へ

「仕事はあるが、どの案件を増やせば採用資金が残るのかわからない」「協力会社を使った場合の収支を整理できていない」という段階では、営業、原価、施工体制、採用を別々に考えるより、一つの流れとして整理することが大切です。

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