前提

15名弱の外装改修会社で、社長の内勤業務を建設事務に渡したい段階

関東圏で外装改修や防水・塗装系の工事を手がける、15名弱の専門工事会社の話です。

現場の職人が中心で、社会保険に入っている社員は十数名。現場管理を担う人は数名いますが、事務系の業務に慣れている人は多くありません。社長の言葉を借りると、「みんな現場上がりで、事務系とかはないんだよな」「パソコンできないのも半分以上いる」という状態です。

一方で、会社としては急に人数を大きく増やしたいわけではありません。今の規模を保ちながら、内勤の体制を整えたい。社長自身も「今の規模でやって、中にいる人間をレベルアップさせたい」と考えています。

その中で出てきたのが、建設事務を任せられる人材の必要性です。

給与計算や税務は、社労士や税理士に任せています。つまり、すべてを社内で抱えたいわけではありません。社長が欲しいのは、日々の管理を回してくれる人です。

具体的には、次のような業務です。

  • 有給が月に何日あって、何日減ったかを管理する
  • 原価台帳を活用して、案件ごとの数字を見る
  • Excelで管理している原価情報を整える
  • 積算や見積の補助に入る
  • 社長や現場管理者が判断しやすいように、情報をそろえる

この会社の悩みは、「事務員がまったく来ない」ことではありません。一般事務やPC入力ができる人は来るが、建設事務として任せるところまで育てる設計がないことです。

ここを分けて考えるだけで、採用と育成の見え方はかなり変わります。

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  • 7月16日外構工事会社東京都
  • 7月16日塗装工事会社大阪府
  • 7月16日内装工事会社群馬県
  • 7月16日総合建築岐阜県
  • 7月15日工務店東京都
  • 7月15日内装工事会社神奈川県
  • 7月15日塗装工事会社奈良県
  • 7月15日内装工事会社鳥取県
  • 7月14日配管工事会社高知県
  • 7月14日配管工事会社広島県
  • 7月14日防水工事会社神奈川県
  • 7月12日配管工事会社京都府
  • 7月12日ビルメンテナンス佐賀県
  • 7月12日リフォーム会社茨城県
  • 7月11日総合建築福島県
  • 7月11日総合土木大阪府
  • 7月11日造園会社愛知県
  • 7月11日外構工事会社茨城県
  • 7月10日電気設備工事会社京都府
  • 7月8日総合土木愛知県
  • 7月8日工務店山形県
  • 7月8日外構工事会社群馬県
  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
  • 7月4日外構工事会社千葉県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

求人を出せば人は来るが、建設事務経験者を前提にすると採用が止まる

中小建設会社でよく起きるのは、「建設事務経験者がいれば助かる」と思いながら、求人条件がそこで固まってしまうことです。

この会社でも、社長は「事務員はちょっと欲しい」と話していました。ただ、これまで本格的に求人を出していたわけではなく、派遣や知り合い経由の感覚が中心でした。

一方で、求人を出したときの手応えについては「結構来る」と見ています。一般事務、販売事務、PC入力ができる人なら応募は見込める。問題はその先です。

「普通の入力とか、パソコンができるような人は来るんだけど、建設事務っていうのがなかなかいなくて」

この感覚は、多くの専門工事会社に近いはずです。

建設事務は、一般事務と似ているようで違います。単に請求書を入力するだけではなく、現場名、元請、外注、材料、労務、出来高、追加変更、締め日、支払条件などが絡みます。しかも、会社ごとに元請の書式やExcel台帳の作り方が違います。

そのため、経験者を採れれば早いのは事実です。しかし、経験者だけに絞ると母集団はかなり狭くなります。仮に応募があっても、自社のやり方に合うとは限りません。

採用で狙うべきは、「最初から建設事務が完成している人」だけではなく、「一般事務の土台があり、建設特有の見方を覚えられる人」です。

ここで大事なのは、未経験者にいきなり原価管理や積算を任せようとしないことです。任せる順番を間違えると、本人も社長も苦しくなります。

未経験者にとって、建設業の数字は最初から複雑です。

案件ごとの原価を見るにも、「材料費」「外注費」「人工」「経費」「追加工事」「未請求」など、言葉の意味から覚える必要があります。積算補助も、単価を入れるだけではなく、数量の拾い方や現場条件の読み方が関わります。労務管理も、有給日数の管理だけでなく、現場ごとの出面や勤務状況とのつながりが出てきます。

経験者採用に固執するより、未経験者に渡せる業務と、まだ渡してはいけない判断業務を分けることが先です。

背景

社長と現場管理者に業務が残り、何から任せるかが決まっていない

この会社で見えていた本質は、人がいないことよりも「何からやらせるかが決まっていない」ことでした。

社長は、原価管理について「台帳はあるんだけど、それを活用してやるとか」と話していました。Excelで管理しているものはある。けれど、それを誰が、どのタイミングで、何のために更新するかがまだ固まり切っていません。

また、現場管理者も数名います。ただ、現場上がりの人が中心なので、パソコン作業に慣れているとは限りません。社長も「何か分担とかつければやるんだろうけど」「とりあえず何からやらせる、みたいな」と話していました。

ここに、中小建設会社らしい難しさがあります。

社長は現場も営業もお金の管理も見ています。給与や税務の専門処理は外部に出していても、社内の細かい管理は残ります。有給、原価台帳、案件ごとの数字、見積のもとになる情報。こうしたものが、少しずつ社長に集まります。

建設事務を採る目的は、社長の作業を減らすことだけではありません。社長が判断するための情報を、社内で整えられる状態をつくることです。

そのため、採用した人に「事務をお願いします」とだけ伝えても、なかなか機能しません。

建設事務の未経験者は、何を見ればよいかがわかりません。現場管理者も、何を事務に渡せばよいかがわかりません。社長も、どこまで教えれば任せられるかが見えません。

その結果、次のような状態になりがちです。

  • 事務員は入力作業だけをする
  • 原価台帳はあるが、更新が後回しになる
  • 現場管理者が情報を出さないため、事務が止まる
  • 社長が確認しないと数字が合っているかわからない
  • 結局、社長が最後に全部見る

これでは、採用しても社長の負担はあまり減りません。

未経験者を育てるには、本人の努力だけに頼るのではなく、会社側が「任せる順番」と「確認する基準」を用意する必要があります。

解決

未経験者には入力だけで終わらせず、業務範囲と判断基準を段階で渡す

建設事務の未経験者を育てるときは、最初から「原価管理ができる人」を求めない方が現実的です。入口は一般事務でよいです。ただし、出口を建設事務に置きます。

つまり、採用時点ではPC入力や事務処理の正確さを見る。入社後に、建設業特有の見方を段階的に教える。これが進めやすい形です。

ポイントは、業務を「入力」「照合」「整理」「判断補助」の4段階に分けることです。

最初の段階では、判断を伴わない作業から任せます。

たとえば、次のような業務です。

  • 請求書、納品書、領収書を案件名ごとに整理する
  • 有給取得日を台帳に入力する
  • 出面や勤怠情報を決まった表に転記する
  • 外注先や材料業者ごとの書類を保管する
  • Excelの決まった欄に金額を入力する

ここでは、建設の知識よりも「抜け漏れなく、決まった場所に入れる」ことを重視します。

次に、照合を任せます。

入力された数字が、請求書や見積書と合っているか。現場名が間違っていないか。外注費がどの案件につくのか。こうした確認です。

この段階で、建設業の言葉を少しずつ覚えていきます。

たとえば、「この外注費はどの現場につくのか」「この材料は追加工事分なのか」「この請求は元請にまだ出していないのか」といった確認です。最初は社長や現場管理者に聞く形で構いません。

未経験者に必要なのは、最初から答えを出す力ではなく、確認すべき違和感に気づく力です。

3段階目で、整理を任せます。

ここで原価管理に近づきます。

案件別に、売上見込、外注費、材料費、労務費、その他経費を並べる。粗利率を出す。前回の見込みと今回の数字の差を見えるようにする。Excelで管理している会社なら、まずは既存の台帳を使えば十分です。

この会社でも、原価管理はExcelで行っていました。であれば、いきなり新しい仕組みに変えるより、今ある台帳を「未経験者でも更新できる形」に整える方が進めやすいです。

具体的には、次の3つを決めます。

  • どの書類を見て入力するか
  • どの欄に何を入れるか
  • どこから先は社長や現場管理者に確認するか

原価管理を教える第一歩は、利益の考え方を教えることではなく、数字の置き場所を決めることです。

最後に、判断補助を任せます。

ここで初めて、積算補助や原価の予実管理に近い業務を渡します。

たとえば、過去の似た工事の実績を探す。材料費や外注費の実績を見積前に並べる。完工後に、見積時の想定と実際の原価を比べる。こうした業務です。

ここまで来ると、事務員は単なる入力担当ではなくなります。社長や現場管理者が判断する前の材料を整える人になります。

ただし、未経験者に最終判断まで任せる必要はありません。見積金額を決める、外注先を選ぶ、利益率を判断する。こうした部分は社長や責任者が持つべきです。

建設事務に任せるべきなのは、判断そのものではなく、判断できる状態まで情報を整えることです。

社長の教育負担を増やしすぎないためには、教え方も仕組みにしておく必要があります。

おすすめは、最初の1か月で完璧に教えようとしないことです。週に1回、30分だけ確認時間を決める。そこで「今週迷った案件名」「入力できなかった請求書」「現場管理者に確認が必要だったこと」を一緒に見る。この形なら、社長が毎日呼ばれる状態を避けやすくなります。

また、現場管理者にも役割を持ってもらいます。

パソコンが得意でなくても、事務に渡す情報は決められます。たとえば、現場名、工期、外注先、追加工事の有無、材料の変更。これらを口頭やメモでもよいので、決まったタイミングで渡すだけでも事務は動きやすくなります。

未経験の建設事務を育てる仕組みは、事務員だけを育てる仕組みではありません。社長、現場管理者、外部士業の役割を分け直す仕組みです。

社労士や税理士に任せている業務があるなら、それも活かせます。

給与計算や税務判断は外部に任せたままでよいです。社内の事務員は、その前段階の情報整理を担う。勤怠、有給、請求書、原価台帳を整える。外部に渡す資料をそろえる。これだけでも、社長の確認時間は減ります。

まとめ

建設事務の経験者は、どの地域でも簡単には採れません。特に中小の専門工事会社では、求人を出しても一般事務経験者が中心になることが多いです。

ただ、それは必ずしも悪いことではありません。

一般事務やPC入力ができる人に、建設業特有の見方を段階的に教えれば、社内に合った建設事務として育つ可能性があります。むしろ、自社の台帳、自社の現場、自社の元請とのやり取りに合わせて育てられる点は強みになります。

大事なのは、いきなり「原価管理を任せる」「積算を任せる」と考えないことです。

入力、照合、整理、判断補助の順番で任せる。どこから先は社長や現場管理者が判断するかを決める。これが、未経験者を建設事務として育てる土台になります。

社長が抱えている内勤業務は、すべてを手放す必要はありません。お金の最終判断や利益の見方は社長が持ったままでよいです。

その代わり、判断前の情報整理を社内で回せるようにする。これだけでも、会社の動きは軽くなります。

建設事務の採用は、「経験者を探す活動」だけではなく、「未経験者が任せられる人材に育つ業務設計」まで含めて考えると進めやすくなります。

建設事務を任せる順番を、社内体制に合わせて整理する

建設事務を採りたいけれど、何から任せればよいかわからない。一般事務の応募はありそうだが、原価管理や積算補助まで育てられるか不安がある。そうした段階では、まず今の業務を一緒に棚卸しするだけでも整理が進みます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設事務の採用や教育体制についても、「誰を採るか」だけでなく、「どの業務を、どの順番で、誰が教えるか」まで具体化していきます。

うちの場合は一般事務から育てられるのか、原価台帳をどう渡せばよいのか、社長の確認負担をどう減らすか。まだ整理前の段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは今の状況を言葉にする場としてお使いください。

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