前提

採用を強化したいが、外から見た自社の雰囲気や魅力をつかみきれていない状態

このセクションでは、採用活動を始める前に出てきやすい悩みを整理します。

ある建設会社では、職人さんや現場監督の採用に関心がありました。ただ、具体的に動くとなると、ひとつ気になる点がありました。

「どうやって、こちらの会社の雰囲気をつかむんですか」

これは、とても大事な問いです。

採用サイトを作る、求人票を書く、学校に訪問する。そうした打ち手はありますが、そもそも会社の雰囲気や強みが分からないまま外向きの発信をしても、言葉が薄くなってしまいます。

建設業の中小企業では、社長や幹部が思っている会社の魅力と、社員が感じている魅力が少し違うこともあります。逆に、経営側が当たり前だと思っている日常が、求職者から見ると魅力になることもあります。

だからこそ、採用活動の前に「自社をどう見せるか」ではなく、「自社は実際どういう会社なのか」をつかむことが必要になります。

課題

求人票の言葉を整える前に、社員が感じている良さや不満が見えていない

このセクションでは、採用準備で見落としやすい課題を見ていきます。

採用活動というと、まず求人媒体や採用サイトを考えがちです。

もちろん、それらも大切です。ただ、求人票に書くべき言葉は、机の上だけではなかなか出てきません。

たとえば、社員に聞いてみると、次のような声が出ることがあります。

  • 入社した理由
  • 今の仕事で楽しいと感じていること
  • 逆にしんどいと感じていること
  • 会社の人間関係の良いところ
  • 新しく人が入ったときにつまずきそうなところ

こうした声は、求人票の材料になります。同時に、採用後の定着に関わる課題が見えることもあります。

「人を入れたい」と思っていても、今いる社員の中に不満がたまっていたり、勤務ルールが曖昧だったり、若手を受け入れる体制が整っていなかったりすると、採用しても定着しにくくなります。

採用は入口だけではありません。入った人が続くための受け皿まで含めて考える必要があります。

背景

第三者だからこそ、社内では言いにくい本音が出てくることがある

このセクションでは、なぜ社員インタビューが採用準備に役立つのかを整理します。

社長や幹部が社員に直接聞いても、本音が出にくいことがあります。

これは、社員が悪いわけではありません。毎日一緒に働いている相手だからこそ、言いにくいことがあります。「これを言ったら評価に響くのではないか」「誰が言ったか分かってしまうのではないか」と考えるのは自然です。

一方で、第三者が採用準備の一環として話を聞くと、少し違う声が出てくることがあります。

「実は、朝の集まり方にバラつきがある」 「新人が入っても、誰が教えるのか曖昧になりそう」 「会社のここは好きだけど、ここは直した方がいいと思う」

こうした声は、会社にとって耳の痛い内容も含みます。ただ、採用を進めるうえでは重要な情報です。

大切なのは、誰が言ったかを追及することではありません。個人を責めるのではなく、会社としてどんな傾向があるのかを把握することです。

社員の声を通じて、採用で打ち出す魅力と、入社後に整えるべき受け皿の両方が見えてきます。

解決

社員インタビューで会社の強みと受け皿の課題を分けて整理する

このセクションでは、採用活動に入る前の具体的な進め方を考えます。

採用を強化するなら、最初の一歩として社員インタビューを行うのは有効です。

目的は、大きく2つあります。

1つ目は、会社の魅力を言語化することです。

社員がなぜ入社したのか、なぜ続けているのか、どんな瞬間に仕事の面白さを感じるのか。ここを聞いていくと、求人票や採用サイトに使える言葉が出てきます。

2つ目は、受け皿の課題を見つけることです。

新しい人が入ったとき、誰が教えるのか。現場で何を最初に覚えるのか。既存社員との関係づくりでつまずく点はないか。ここを事前に見ておくことで、採用後のミスマッチを減らしやすくなります。

進め方としては、次のような流れが現実的です。

  • 経営側が採用で重視したい方向性を整理する
  • 社員に個別で話を聞く時間をつくる
  • 個人名ではなく、傾向として内容をまとめる
  • 採用で打ち出す魅力と、改善すべき受け皿を分ける
  • 求人票や面接で伝える内容に反映する

ここで気をつけたいのは、インタビューを粗探しにしないことです。

社員から出た声は、会社を良くする材料です。採用活動のために聞き始めた話が、結果として社内のコミュニケーションや教育体制の改善につながることもあります。

「うちは特別な魅力なんてない」と思っている会社でも、社員の言葉を拾うと意外な強みが見えてきます。現場の距離感、社長との近さ、面倒見の良さ、仕事の幅、地域での安定感。外から見ると十分に魅力になる要素は、日常の中に埋もれていることが多いです。

まとめ

採用活動は、求人票を出すところから始まるように見えます。

しかし実際には、その前に「自社をどう理解するか」が大切です。会社の雰囲気、社員が感じている良さ、受け入れ体制の弱いところ。ここを見ないまま発信だけ整えても、採用後の定着につながりにくくなります。

社員インタビューは、採用のための材料集めであり、同時に組織の点検でもあります。

誰かを責めるためではなく、これから入ってくる人が安心して働ける会社にするために、今いる社員の声を聞く。そこから採用の言葉を作っていくと、自社らしさのある発信になります。

「うちの雰囲気をどう伝えればいいか分からない」と感じたときほど、まずは社内の声に耳を向けることが近道です。