4月に入った新人をどう育てるか悩む会社で、過去には夏前の離職が続いていた状況
ある専門工事会社では、4月に新しく若手が入社しました。会社としては、その人をどう育てていくかを考えているところです。
ただ、その前の年も、その前の年も、若手が夏まで持たずに辞めてしまいました。「やっぱりきついんですよね。日本も暑くなってきて、外仕事が多い」という言葉がありました。体力面の負荷は、以前より無視しにくくなっています。
これまでは、ベテラン職人につけて仕事を覚えてもらう形でした。現場で見て、やって、覚える。建設業では自然な育て方です。けれど今は、それだけではうまくいかない場面が増えています。
若手が弱いという話ではありません。会社側が、昔ながらのOJTだけに頼れない状況になっていると捉えるほうが、次の一手を考えやすくなります。
ベテラン任せの育成では、相性・暑さ・覚える時間の不足を会社が拾いきれないこと
相談の中で出ていたのは、ベテランに任せる育成の限界です。「相性の問題とか、いろいろあります」という言葉がありました。職人として腕があることと、新人に合わせて教えられることは、必ずしも同じではありません。
さらに、働き方も変わっています。今いる中堅・ベテランは、若い頃に今の若手の2倍、3倍働いて覚えてきた感覚がある。けれど、同じことはもうさせられない。働く時間が短くなれば、習得までの期間も長くなります。
ここで起きるのは、現場側のもどかしさです。教える側は「なぜ覚えないのか」と感じる。若手側は「何をどこまでできればいいのか」が見えにくい。会社側も、現場に任せきりだと途中で異変をつかみにくい。
結果として、育成がベテラン依存になり、若手の状態を会社として把握する仕組みが弱くなります。夏の暑さ、体力、仕事のきつさ、相性の問題が重なったとき、離職のサインを拾う前に辞めてしまうことがあります。
昭和・平成型の長時間で覚える育成から、会社が支える育成へ変わる必要性
この会社には、若手を育ててきた歴史があります。昭和・平成の頃には、毎年数人ずつ若手が入り、その時代に育った人たちが今の会社の力になっています。
ただ、その流れが途中で止まってしまった。「これは打破しないとダメだ」という言葉が出ていました。会社を存続させるには人材が必要であり、若い人に「この会社で働きたい」と思ってもらう会社にしたい、という考えです。
同時に、職人側の負担も増えています。「自分でも稼がなきゃいけない、若手も育てなきゃいけない」となると、教える側に余裕がなくなります。だからこそ、会社としてバックアップしながら人を育てる原点に戻る必要があります。
今の若手に合わせるというと、甘やかすように聞こえるかもしれません。しかし実際には、育成の手順を見える化することです。何をいつ覚えるのか。誰が見るのか。どこでつまずきやすいのか。そこを会社が持つことで、現場も若手も動きやすくなります。
現場に任せきらず、育成カリキュラム・受け入れ体制・面談で小さく支える進め方
まず必要なのは、入社後の数か月を「現場に慣れる期間」として設計することです。いきなり一人前の働きを求めるのではなく、夏までに何をできるようにするかを決めます。
進め方としては、次のような整理が有効です。
- 入社1か月目、3か月目、半年後の到達目標を決める
- 教える内容を、道具・安全・作業補助・現場の動き方に分ける
- ベテラン一人に任せず、複数人で見る体制にする
- 暑さや体力面を踏まえ、夏前の負荷を確認する
- 定期面談で「何がきついか」「何が分からないか」を聞く
ポイントは、立派な研修制度を一気に作ることではありません。新人の状態を会社が見に行くことです。現場で問題が起きてから対応するのではなく、最初から確認する場を用意します。
また、面談では期待値のすり合わせも必要です。職人の仕事にはきつさがあります。その事実を隠すのではなく、どの時期に何が大変か、どう乗り越えるかを伝える。すると若手も、つらさを「自分だけが合っていない」と受け止めにくくなります。
ベテラン職人にも、すべてを背負わせないことが大切です。教える人、相談を受ける人、進捗を見る人を分けられれば、現場の負荷を分散できます。小さな役割分担でも、育成の属人化はかなり減ります。
まとめ
若手が夏までに辞めてしまう背景には、暑さや体力だけでなく、育成の見えにくさがあります。ベテランにつけるOJTは大切ですが、それだけでは相性や負荷の問題を会社が拾いきれません。
これからは、現場で覚える育成を残しながら、会社としてカリキュラム、面談、受け入れ体制を整えることが必要です。
大きな制度を作る前に、まずは夏までの育成設計を見直すことです。新人が何を覚え、誰が支え、どのタイミングで状態を確認するのか。そこを決めるだけでも、若手が続けやすい会社に近づきます。



























































































