前提

10名前後からもう一段階伸びたい専門工事会社が、求人と組織づくりに同時に悩んでいる状態

このセクションでは、成長したい専門工事会社が置かれやすい状況を整理します。

専門工事会社では、10名前後から20名程度の規模に差しかかったあたりで、経営の悩みが変わってきます。

創業者や親族中心で回してきた会社も、現場数が増え、社員が増え、協力会社との関係も広がると、これまでのやり方だけでは回りにくくなります。

「求人が来ない」 「若い人が入っても続かない」 「現場を任せられる人が少ない」 「社長が全部見ていて、組織になりきれていない」

こうした悩みは、足場、内装、電気、設備、防水、塗装など、工種を問わずよく見られます。ただし、建設業は工種ごとに仕事内容も人の育ち方も違います。一般的な採用ノウハウをそのまま当てはめても、うまくいかないことがあります。

課題

採用だけ頑張っても、入社後の面談や会議が整っていないと人が残りにくい

このセクションでは、求人施策だけでは解決しきれない理由を見ていきます。

人手不足が続くと、まず求人媒体や紹介サービスに目が向きます。もちろん、応募を増やす施策は必要です。

ただ、採用だけを強化しても、社内の受け皿が整っていなければ、入社後の定着にはつながりません。

たとえば、入社した社員が次のような状態になっていないでしょうか。

  • 誰に相談すればいいか分からない
  • 何を覚えれば評価されるのか見えない
  • 社長や先輩が忙しく、振り返りの時間がない
  • 現場ごとの当たり外れで成長が左右される
  • 経営方針が社員に伝わっていない

この状態では、せっかく採用できても「思っていた会社と違った」と感じられやすくなります。

ある専門工事会社では、数名規模から数十名を超える組織へ成長していく過程で、求人だけでなく、社員面談、モチベーションづくり、経営会議の進め方まで一つずつ整えていきました。人を増やすには、人が残り、育つ仕組みも同時に必要になります。

背景

現場を抱えながら社長だけで改善するには限界がある

このセクションでは、なぜ組織づくりが後回しになりやすいのかを考えます。

専門工事会社の社長は、とにかく忙しいです。営業、見積もり、現場対応、職人の手配、資金繰り、採用、社員の相談まで、日々の判断が社長に集中します。

そのため、組織づくりが大事だと分かっていても、どうしても後回しになりがちです。

外部からアドバイスをもらっても、実行する時間がなければ変わりません。「いい話は聞いたけれど、現場が忙しくて手をつけられない」という状態です。

また、建設業は29工種といわれるように幅が広く、同じ専門工事でも文化や働き方が違います。足場会社の育成と、電気工事会社の育成と、内装工事会社の育成では、見るべきポイントが変わります。

だからこそ、採用、面談、会議、評価、業務効率化を、自社の工種や規模に合わせて少しずつ組み合わせる必要があります。

解決

求人導線、社員面談、経営会議をつなげて組織の受け皿をつくる

このセクションでは、採用を成果につなげるための実行ポイントを整理します。

まず大切なのは、採用を単発の施策にしないことです。

求人を出す前に、入社後にどのように育てるか、誰が面談するか、どの会議で人の状況を確認するかを決めておくと、採用の成果が変わります。

取り組みは、難しく考えすぎなくて大丈夫です。最初は次のような小さな整備から始められます。

  • 求人で伝える仕事内容と、実際の現場のズレを減らす
  • 入社後1か月、3か月などの面談タイミングを決める
  • 社員ごとに「次に任せたい仕事」を言語化する
  • 経営会議で採用数だけでなく定着状況も確認する
  • 社長が抱えている判断を、幹部や職長に少しずつ渡す

必要に応じて、業務効率化やデジタル活用も組み合わせます。たとえば、日報、案件管理、採用応募者の管理など、社長や事務担当に負荷が集中している部分を軽くするだけでも、面談や育成に使える時間が生まれます。

採用は入口です。組織の受け皿が整ってはじめて、人は戦力になっていきます。

まとめ

求人を出しても人が来ないとき、採用手法だけを変えたくなります。もちろん入口の改善は必要ですが、それだけでは十分ではありません。

特に、10名前後からもう一段階伸びたい専門工事会社では、採用と同時に、面談、育成、会議、業務の分担を整えることが大切です。

社長がすべてを抱える会社から、社員が育ち、任せられる会社へ。そこに向けて小さな仕組みを積み重ねることが、採用難の時代でも成長できる土台になります。