営業中のホテルで、レストランをスケルトンから改修した現場
ある内装会社では、ホテル内の大型レストランを、解体から仕上げまで一括で対応していました。ホテル自体は休館せず、宿泊客がいる状態で工事を進めています。
現場担当者はホテル内の部屋を借り、泊まり込みに近い形で対応していました。音の出る作業は、宿泊客がチェックアウトしてからチェックインするまでの短い時間帯に寄せる必要がありました。
「音出しは、日中のチェックアウトからチェックインの間でやっていました」
「予約のシステムの状況を確認しながら工程を組むのが、なかなか難しかったです」
ホテル改修では、図面通りに工程表を作るだけでは足りません。宿泊予約、宴会、朝食、清掃、搬入経路、騒音、におい、安全区画など、運営側の都合が工程に大きく影響します。
記事の要点は、営業中施設の改修では「工事工程」ではなく「営業工程と工事工程を重ねた工程表」を作る必要があるということです。
現場は進めたいのに、ホテル運営の都合で工事が止まりやすいこと
営業中のホテル改修で難しいのは、工事の都合だけでは現場が動かないことです。
現場としては、解体、下地、設備、仕上げ、家具搬入と順番に進めたい。しかしホテル側では、宿泊予約が入っている日、団体客が多い日、朝食会場の運用、清掃時間、チェックイン対応などがあります。
結果として、現場では次のようなことが起きます。
- 音の出る作業を急に止める必要がある
- 搬入したい時間に共用部が使えない
- 厨房やバックヤードの一部を営業側が使う
- 日中しかできない作業と夜間しかできない作業が分かれる
- ホテル側の担当者と現場側の判断がずれる
「けっこうストップをかけられたりしました」
こうした停止が重なると、工程表上は余裕があるように見えても、実際には職人の手配や材料搬入が崩れていきます。
ホテル改修では、発注者だけでなく運営担当者との調整が現場品質を左右すること
ホテル改修では、意思決定者が一人とは限りません。オーナー側、開発担当、運営担当、現場のホテルスタッフ、それぞれが別の視点を持っています。
オーナーは空間の見え方や投資効果を見ます。運営担当者は、宿泊客への影響やスタッフ動線を気にします。ホテルの現場スタッフは、日々の清掃や配膳、チェックイン対応が止まらないかを見ています。
施工会社からすると、「誰の了承を取れば進めてよいのか」が曖昧だと、手戻りが増えます。特に営業中のホテルでは、現場判断で進めた作業が、後から運営側に止められることもあります。
また、ホテル内レストランの改修では、内装だけでなく厨房、空調、給排水、排気、照明、家具、サインなどの取り合いも多くなります。営業しながらこれらを動かすため、工程調整の密度は通常の空き店舗改修より高くなります。
予約状況・音出し時間・運営判断者を工程表に組み込むこと
営業中ホテルの改修では、最初に作るべきものは、通常の工事工程表だけではありません。ホテル運営の制約を入れ込んだ「運営連動型の工程表」が必要です。
具体的には、次の情報を早い段階で確認しておくと進めやすくなります。
- 宿泊予約が多い日、団体利用がある日
- 音出し可能な時間帯
- 搬入・搬出に使える動線と時間帯
- 共用部を養生できる範囲
- 厨房やバックヤードを止められる時間
- ホテル側の最終判断者と、日々の現場窓口
- 工事を止める判断が出た場合の代替作業
特に大切なのは、「止まったら何をするか」を事前に決めておくことです。音出しが止まっても、墨出し、材料加工、別区画の下地、先行できる設備確認など、代替作業を用意しておけば、完全な空転を減らせます。
また、現場定例では、工事の進捗だけでなく、ホテル側の予約・運営状況も毎回確認するのが有効です。
「来週はどこまで進みます」だけでなく、「来週は宿泊が多いので、この時間帯は音を出しません」「この搬入は朝の清掃後にします」といった粒度まで合わせます。
工事会社がホテル運営の言葉を理解して動けると、発注者側の安心感は大きくなります。
まとめ
営業中ホテルの改修は、施工技術だけでなく、運営とのすり合わせが現場の成否を分けます。
特にレストランやラウンジの改修では、宿泊客、朝食、清掃、搬入、騒音、厨房、共用部の動きがすべて工程に絡みます。工事工程だけを見ていると、現場はすぐに止まります。
最初から予約状況や音出し時間、運営側の判断者を工程に組み込むことで、無理な突貫ではなく、営業を守りながら進める改修に近づきます。ホテル案件を増やしたい会社ほど、「工事ができます」だけでなく「営業中でも運営と合わせて進められます」と言える状態を作っておきたいところです。



























































































