ドライバーや現場系職種で、以前のように応募が集まらなくなっている採用現場
建設業や建設周辺業では、職人だけでなく、ドライバー、加工スタッフ、営業、施工管理など、さまざまな職種で人手不足の話が出ています。
特にドライバーや現場に近い職種では、以前の採用方法が効きにくくなったと感じている会社も多いのではないでしょうか。
ある会社の担当者は、採用についてこう話していました。
「10数年前なら、ハローワークに出すと電話がバンバンかかってきて、何人も面接できました。でも今は、1年掲載しても2〜3件くらいです」
しかも、無料掲載だけでは足りず、有料媒体や広告の案内も増えています。費用をかければ必ず採れるわけでもなく、「お金をかけても辞められたら終わり」という不安もあります。
採用が難しくなった今は、求人を出す場所だけでなく、職種の見せ方と入社後の道筋までセットで見直す必要があります。
ハローワークや従来の求人媒体に出しても、応募数が読めなくなっている
以前は、ハローワークや大手求人媒体に求人を出せば、一定数の応募が来る会社も少なくありませんでした。
しかし、今は求人媒体が増え、求職者の探し方も変わっています。
担当者の方は、特にドライバー採用の難しさをこう表現していました。
「営業とか加工なら、まだ引っかかりがいいんです。だけどドライバーだけは本当にジャンルとして難しいんです」
この感覚は、建設周辺業でもよくあります。
同じ会社の募集でも、職種名によって応募の集まり方が大きく変わります。営業、事務、加工、倉庫、配送、施工補助など、仕事内容に近い言葉はいくつもありますが、「ドライバー」と前面に出した途端に競合が増え、条件比較に巻き込まれやすくなります。
また、人材紹介会社を使う場合も、費用面の負担が大きくなります。年収に対して一定割合の紹介手数料がかかることが多く、採用できても短期離職が起きれば、採用費と教育時間の両方が重くのしかかります。
「何年か働いてくれるならまだ見えるけど、すぐ辞めるかもしれない人に大きな費用をかけるのは怖い」
この不安は自然なものです。
だからこそ、採用を単に“求人を出す作業”として見るのではなく、応募を集める入口から、定着までを一つの流れで考える必要があります。
求人媒体が増えすぎて、どこに出せばよいか判断しにくくなっている
採用が難しくなった背景には、人手不足だけでなく、求人の探され方が大きく変わったことがあります。
今は、求人媒体だけでも非常に多くの選択肢があります。大手媒体、アルバイト系媒体、専門職種向け媒体、検索エンジン型の求人サービスなど、求職者が触れる入口が分散しています。
そのため、以前のように「とりあえずハローワークに出す」「大手媒体に載せる」だけでは、求職者の目に届きにくくなっています。
採用支援の現場では、よく「池がたくさんありすぎて、どこに釣り糸を垂らせばいいかわからない状態」と表現されます。
たとえば、求職者がインターネットで「地域名 ドライバー 未経験」と検索したとき、最初に目に入るのは求人検索サービスや検索結果上の求人情報であることが増えています。つまり、会社がどの媒体に出しているかだけでなく、検索されたときに見つかる状態になっているかが重要です。
一方で、小規模な会社ほど、複数媒体に大きな費用をかけ続けることは難しいものです。
さらに、人材紹介会社も、採用決定しやすい会社や条件の良い求人を優先する傾向があります。知名度が高い会社、給与が高い会社、採用人数が多い会社に候補者が流れやすく、小規模な会社にはなかなか紹介が来ないこともあります。
その結果、採用したい側は「費用は上がるのに、応募は増えない」という状況に陥りやすくなります。
職種名だけで募集せず、入口を広げて入社後のキャリアを見せる採用設計
ドライバーや現場系職種の採用では、職種名をそのまま出すだけでなく、入口の設計を見直すことが有効です。
一つの考え方として、「オープン募集」があります。
これは、最初から一つの職種に絞り込むのではなく、「当社には配送、営業、加工、現場補助など複数の仕事があります。適性に合わせて相談できます」という形で募集する方法です。
たとえば、いきなり「ドライバー募集」と出すのではなく、会社全体の仕事を見せたうえで、面談の中で本人の希望や適性を確認します。
そのうえで、
- 最初は配送補助や倉庫業務から始める
- 慣れてきたら配送を担当する
- 将来的には営業や現場管理に広げる
といった道筋を提示します。
もちろん、仕事内容を偽って募集するのは避けるべきです。ただ、求職者にとって「ドライバーだけを一生やる仕事」と見えるのか、「会社の中でいくつかの役割に広がる仕事」と見えるのかでは、受け取り方が変わります。
特に小規模な会社では、一人が複数の役割を担うことも多いはずです。その実態を前向きに整理して伝えることで、単純な条件比較から少し抜け出せます。
また、媒体選びについては、最初から高額な媒体を複数使うよりも、検索されやすい求人サービスを軸にして、求人票の内容を細かく改善していく方が現実的です。
見直したいポイントは、たとえば次のような項目です。
- 職種名が求職者に伝わる言葉になっているか
- 未経験者が不安に思う点を先回りして書いているか
- 1日の流れや扱う商材、移動範囲が具体的に書かれているか
- 入社後に誰が教えるのか、どのくらいで慣れるのかが見えるか
- 将来的にできる仕事の広がりが示されているか
採用は、媒体に出した瞬間に終わるものではありません。応募が少なければ職種名や仕事内容の見せ方を変え、応募が来ても面接につながらなければ連絡スピードや説明内容を見直す。採用後に辞めてしまうなら、入社前に伝えていた内容と実際の仕事にズレがないかを確認する。
このように、一つずつ改善していく必要があります。
まとめ
建設業や建設周辺業の採用は、以前より明らかに難しくなっています。
ハローワークに出せば応募が来た時代から、求職者が検索し、比較し、条件だけでなく働き方や将来像まで見る時代に変わっています。
だからといって、いきなり大きな費用をかけることだけが正解ではありません。
まずは、今の求人が求職者にどう見えているかを確認することです。特にドライバーや現場系職種では、職種名だけで勝負せず、会社の中にある複数の仕事やキャリアの広がりを見せることで、入口を広げられる可能性があります。
「1年出しても応募が数件」という状態でも、求人票、媒体、職種の切り出し方、入社後の説明を見直す余地はあります。
採用は一発勝負ではなく、改善を重ねる経営課題です。現場の実態を丁寧に言葉にすることが、次の応募につながる第一歩になります。



























































































