組合や工業高校とのつながりで若手を迎えてきた会社ほど、採用の前提が変わってきている状況
ある専門工事会社では、長く付き合いのある組合の求人部を通じて、工業高校の卒業生を職人として迎えてきました。入社後は訓練校で座学と実技を学ぶ流れもあり、若手を育てる土台がありました。
ただ、ここ数年は状況が変わっています。「そこへ来る人数が、だんだん毎年減っていってしまっている」という声がありました。さらに、リフォーム会社が増え、若手をまとめて採っていく。大手や地元企業に流れる。保護者から見ると、名前を知らない会社に子どもを入れる不安もある。
つまり、問題は単に求人票の出し方ではありません。これまで機能していた高校・先生・組合との関係だけでは届きにくい時代になっている、という前提から考える必要があります。
先生との関係が切れると応募が止まり、会社の魅力も若手や親に届かない状態
高校採用は、関係性の積み重ねが大きい世界です。以前は、卒業生の先輩が学校で話す機会もありました。「先輩が言っているんだから、僕は行こう」という流れがあったそうです。
一方で、一度つながりが切れると、戻すまでに時間がかかります。ある学校との関係も、事情があって長く途切れ、何度も通ってようやく復活したという話がありました。先生側にも「この会社とは少し距離がある」という記憶が残ることがあります。
加えて、若手本人だけでなく保護者も見ています。「私たちのような無名な会社に入れる勇気がなかなかない」という言葉は、多くの中小建設会社に近い悩みではないでしょうか。
採用で見直すべきは、求人を増やすことだけではありません。誰に来てほしいのか、その人に何を伝えるのか、そして本人や親が調べたときに会社の顔が見える状態になっているかです。
若手経験者を待つより、未経験者や第二新卒を育てる会社に採用力が寄っている流れ
建設業では、経験者採用がかなり難しくなっています。中途で即戦力を採る前提だけでは、母数が足りません。そのため、採れている会社ほど、未経験者をどう育てるかに目を向けています。
相談の中でも、「本当にこの職人になりたいという思いを持っている子を育てたい」という言葉がありました。高校新卒だけに限らず、一度別の会社に入ったものの合わずに辞めた第二新卒にも関心がありました。「2番目でも3番目でもいい」「2回目の人がどうやったら出会えるのか」という視点です。
ここは大事な分岐点です。高校新卒にこだわるのか。第二新卒まで広げるのか。未経験の20代まで見るのか。入口を広げるほど、育成の設計もセットで必要になります。
ただ、入口を広げないと応募母数は増えません。採るかどうかは面接で判断できますが、まずは面接に来る母数を作ることが先です。そのためには、採用活動を「学校訪問」だけでなく、会社を知ってもらう導線づくりとして捉え直す必要があります。
採りたい人物像を決め、学校訪問・OB活用・採用ページを同じメッセージでつなげる進め方
最初に整理したいのは、採用したい人の輪郭です。たとえば、体力仕事に抵抗が少ない人なのか。手に職をつけたい人なのか。家庭を持っても自分で食べていける職人になりたい人なのか。会社によって答えは違います。
そのうえで、次の順番で小さく整えていくのが現実的です。
- 来てほしい人の条件と、許容できる範囲を決める
- 高校新卒、第二新卒、未経験者のどこまで対象にするか決める
- 学校訪問で話す内容を、先生向け・生徒向けに分けて準備する
- OBがいる学校では、OBに同行や発信をお願いする
- 求人原稿や採用ページに、社員の顔や育成の流れを載せる
特に若手は、会社名を聞いたあとにスマホで調べます。求人票だけで判断するのではなく、ホームページや採用ページを何度も見ます。だからこそ、社員の顔が見えること、入社後の育ち方が見えること、会社が大事にしている考え方が伝わることが重要です。
また、学校訪問は続ける価値があります。ただし、昔と同じ説明を続けるだけでは足りません。先生に安心して紹介してもらうには、受け入れ体制、育成の考え方、定着への工夫まで伝える必要があります。
採用は一度で変わるものではありません。毎年の訪問、求人原稿の見直し、採用ページの改善、OBの巻き込みを積み重ね、毎年応募が来る状態を作ることが目標になります。
まとめ
高校求人や組合経由の採用は、今でも大切なルートです。ただ、それだけに頼ると、応募者減少や競合増加の影響を受けやすくなります。
これからは、従来の関係性を活かしながら、第二新卒や未経験者まで視野を広げ、会社の魅力と育成の考え方を見える形にすることが大切です。
採用は「求人を出す活動」ではなく、若手がこの会社で働く未来を想像できる状態を作る活動です。そこから見直すと、学校訪問も、OBの協力も、採用ページも、同じ方向につながっていきます。



























































































