紙・PDF・手書きの請求書が月に数十件届き、事務担当がExcelと原価管理ソフトへ入力している状態
このセクションでは、請求書処理の現場で何が起きているのかを整理します。
ある専門工事会社では、材料会社や外注先から毎月数十件の請求書が届きます。材料系の請求書は明細が細かく、1つの請求書の中に複数現場分の材料が並ぶこともあります。外注先からの請求書は1〜2枚で収まることも多い一方、手書きのものも少なくありません。
請求書が届いたら、まずは金額や人工の確認を行います。職人の請求であれば、人工数に間違いがないかを確認します。外注先の請求であれば、担当者に内容を確認してから台帳へ入力します。
その後、Excelの工事台帳に入力し、さらに原価管理ソフトにも入力します。Excelは見やすく、パッと状況を把握しやすい。一方で、手入力が多いためミスも起きやすい。原価管理ソフトは正式な管理には必要ですが、細かく入力する分、どうしても手間がかかります。
「結局、同じことをExcelとソフトの両方でやっているんです」
この二重入力が、月末の事務負担をじわじわ重くしています。
請求書の明細を見ながら電卓と手入力で台帳化するため、時間もミスも減りにくい状態
このセクションでは、請求書処理のどこに負担が集中しているのかを見ていきます。
請求書処理で大変なのは、単に「件数が多い」ことだけではありません。フォーマットがそろっていないことが、負担を大きくしています。
材料会社、外注先、職人、それぞれで請求書の形式が違います。紙で届くもの、PDFで届くもの、手書きのものもあります。さらに、同じ材料会社の請求でも、明細が細かく、現場ごとに振り分けながら確認しなければならないことがあります。
事務担当は、請求書を見ながら次のような作業を行います。
- 現場名を確認する
- 材料費や外注費の区分を判断する
- 人工数や請求金額を担当者に確認する
- Excelの工事台帳に入力する
- 原価管理ソフトにも入力する
- 必要に応じて合計を確認する
この作業は、1件ごとに見れば小さな手間です。しかし月末にまとまると、かなりの時間になります。合間に進めているため何とか回っているものの、1人でまとめて処理しようとすると1日では終わらない可能性もあります。
しかも、Excelは見やすい反面、転記ミスや入力漏れが起きやすい面があります。手入力を前提にしている限り、時間短縮にも正確性向上にも限界が出てきます。
原価管理ソフトは細かく管理できる一方で、日々の把握にはExcelの見やすさが手放せない状態
このセクションでは、なぜ二重管理が残ってしまうのかを整理します。
原価管理ソフトを使っている会社でも、Excelの工事台帳を別に持っているケースは多くあります。理由はシンプルで、Excelの方が見たい数字にすぐたどり着きやすいからです。
原価管理ソフトには、材料仕入れ、外注費、売上、工事ごとの明細などを細かく入力できます。ただ、細かく入る分、一覧でパッと把握したいときには見づらいことがあります。
一方、Excelの工事台帳では、現場ごとに売上、材料費、外注費、経費、原価合計などをざっくり並べられます。社長や担当者が「この現場、今どのくらい原価が積み上がっている?」と見たいときには、Excelの方が早いこともあります。
そのため、現場ごとの把握にはExcel、正式な原価管理にはソフト、という形で二重管理が残りやすくなります。
本来であれば、原価管理ソフトから見やすい形で出力できれば理想です。ただ、ソフトの機能を使いこなせていなかったり、自社が見たい形にうまく合わせられていなかったりすると、結局Excel台帳を作り続けることになります。
つまり課題は、「Excelをやめるかどうか」ではありません。まずは、請求書からExcelやソフトへ入力する入口の手間を減らすことが現実的です。
請求書をAI-OCRで標準フォーマット化し、確認後にExcelやソフトへ流す入口改善
このセクションでは、請求書処理をどのように軽くできるかを整理します。
請求書処理でまず改善しやすいのは、紙やPDFの請求書を人が見ながら手入力する部分です。ここはAI-OCRを使い、請求書に書かれた明細名、金額、現場名、日付などを読み取り、指定のフォーマットに出力する形が考えられます。
大事なのは、いきなり完全自動化を目指さないことです。請求書は取引先ごとに形式が違い、手書きもあります。最初は、AI-OCRで読み取った内容を人が確認し、必要な修正をした上でExcelや原価管理ソフトに反映する流れが現実的です。
たとえば、次のような流れです。
- 紙やPDFの請求書を読み込む
- AI-OCRで明細・金額・現場名を抽出する
- 自社の入力用フォーマットにそろえる
- 事務担当が内容を確認する
- Excel台帳や原価管理ソフトへ貼り付ける、または取り込む
これだけでも、請求書を見ながら一つひとつ打ち込む作業はかなり減らせます。特に、明細が多い材料会社の請求書では効果が出やすい領域です。
あわせて、将来的には「Excelと原価管理ソフトのどちらを正とするか」も考えておくとよいです。すぐにExcelをやめる必要はありません。ただ、同じ情報を何度も入力しているなら、どこか一カ所に入れた情報を別の帳票にも使えるようにする発想が必要です。
「Excelは見やすい。でも、Excelの方がミスも起きやすい」
この感覚がある会社ほど、まずは請求書入力の入口から整えると、無理なく改善を始められます。
まとめ
請求書処理の負担は、月に数十件という件数だけでなく、紙・PDF・手書き・取引先ごとのバラバラなフォーマットによって大きくなります。さらに、Excelと原価管理ソフトの二重入力があると、時間もミスも減りにくくなります。
改善の第一歩は、請求書をAI-OCRで読み取り、自社の標準フォーマットにそろえることです。最初から完全自動化を目指すのではなく、人が確認した上でExcelやソフトへ流す形にすれば、現場に無理なく導入できます。
Excelを残すか、原価管理ソフトに寄せるかは会社ごとに違います。ですが、同じ情報を何度も手入力しているなら、まずはその入口を軽くするだけでも、月末の事務作業はかなり変わります。



























































































