資材を納める建材商社と、5〜20名規模の工事会社が日々つながっている関係
建材商社や資材販売会社は、日々多くの工事会社・工務店と接点を持っています。関係性としては「資材を売る側」と「資材を買う側」です。
ただ、現場の会話は資材の受発注だけで終わらないことも多いはずです。
「人が足りなくて、受けたい工事を受けきれない」 「協力会社が見つからなくて、エリアによって対応できない」 「紙とExcelで回していて、どこに何があるかわからない」
こうした話は、経営相談というより、普段の雑談の中でこぼれてくるものです。
ある資材販売会社の担当者も、自社の立場についてこう話していました。
「うちはあくまで搬入で、工事はしないんです。物を売るだけの立場なんですが、それでもお客さんの困りごとに関われるんですか」
この問いは、同じように工事会社と長く付き合っている会社にとって、かなり身近なテーマではないでしょうか。
取引先の経営課題に直接手を出すのではなく、信頼関係を活かして“相談先につなぐ”ことも、商社としての付加価値になります。
資材の納入だけでは、取引先から選ばれ続ける理由を作りにくい
建材や資材の販売は、価格・在庫・納期が大きな判断軸になります。もちろん、そこをきちんと守ることは大前提です。
一方で、同じような商材を扱う会社が複数ある中で、取引先から見た差はだんだん出しにくくなります。
担当者の方も、最初は「工事会社を紹介する」という考え方に少し引っかかりを持っていました。
「うちは工事を受ける会社じゃないので、工事部隊を紹介するという話とは違いますよね。あくまで物だけです」
ここで大事なのは、商社が工事を請けるわけではないという点です。取引先に対して、無理に新しい商材を売る話でもありません。
むしろ、工事会社側がすでに抱えている悩みを拾えるかどうかです。
たとえば、小規模な工事会社では次のような悩みが出やすくなります。
- 職人やドライバーを採用したいが、応募が来ない
- これまで一人親方中心でやってきたが、協力会社を増やしたい
- 新しい取引先を開拓したいが、営業に手が回らない
- 見積書、勤務表、カレンダーなどが紙やExcelに散らばっている
- 家族経営のまま続けるか、外部人材を入れるか迷っている
資材を納めている会社だからこそ、こうした話を自然に聞ける場面があります。
ただし、聞けることと解決できることは別です。ここを自社だけで抱え込もうとすると、担当者の負担が増えますし、本業からも離れてしまいます。
小さな工事会社ほど、採用・協力会社・業務効率化を相談する相手が限られている
5〜20名規模の工事会社や、家族経営に近い会社では、経営課題があっても相談先が限られがちです。
同業者や知人に聞くことはできても、採用、組織づくり、販路開拓、協力会社探し、業務効率化をまとめて整理してくれる相手は多くありません。
しかも、課題は単独で起きているわけではありません。
たとえば、受注はあるのに施工できる人が足りない。人を採りたいが、求人を出しても応募が少ない。なんとか現場を回すために協力会社を探したいが、営業も現場も忙しくて動けない。
このように、現場の悩みはつながっています。
ある会社では、全国で工事案件を取っているものの、エリアによって施工を任せられる協力会社が足りず、「各エリアで協力会社を探してほしい」という相談がありました。自社の施工部隊はあるものの、すべてを内製では回しきれない状況です。
また別の会社では、見積書や勤務カレンダー、現場資料が紙やExcelに分散し、「どこに何があるかわからない」という状態になっていました。社長や事務担当者の頭の中で何とか回しているものの、人数が増えたり案件が増えたりすると、だんだん限界が見えてきます。
こうした悩みを、資材販売会社の担当者がすべて解決する必要はありません。
ただ、日頃から顔を合わせているからこそ、「それなら一度、相談できる先をつないでみましょうか」と言える立場にはなれます。
取引先の困りごとを拾い、関係性を壊さず専門支援につなぐ仕組み
建材商社や資材販売会社が取り組みやすいのは、いきなり自社でコンサルティング部門を作ることではありません。
まずは、取引先との会話の中で出てきた困りごとを整理し、必要に応じて専門家につなぐ形です。
ポイントは、紹介すること自体を目的にしないことです。
「とりあえず紹介してください」では、取引先との信頼関係を損ねる可能性があります。大切なのは、お客様との関係性を利用するのではなく、関係性を活かして役に立つことです。
実際に、担当者の方もこう話していました。
「うちが変な利益を取るより、お客さんがそれで強くなるならそれでいい。気兼ねなく、困っている会社があればつなげるくらいがいいです」
この感覚はとても重要です。
取引先から見れば、資材を買っている会社が自社の経営課題まで気にかけてくれることは、単なる売り込みとは違います。
たとえば、次のような会話がきっかけになります。
- 「最近、人は足りていますか」
- 「受けたいけど断っている工事はありますか」
- 「協力会社さんは足りていますか」
- 「見積や勤怠まわりは、まだ紙で回していますか」
- 「次の代に引き継ぐ準備は進んでいますか」
こうした質問は、深く踏み込みすぎる必要はありません。相手が「実は困っていて」と話してくれたときに、解決の選択肢を持っておくことが大切です。
商社側にとっても、取引先が採用や協力会社探しに成功し、受けられる工事が増えれば、結果として資材の発注量や取引継続につながる可能性があります。
つまり、短期的に何かを売り込むのではなく、取引先の事業が強くなることで、自社との関係も強くなるという考え方です。
まとめ
資材を納める会社は、工事会社の経営に直接責任を持つ立場ではありません。
しかし、日々の接点があるからこそ、採用、協力会社、販路、業務効率化、事業承継といった悩みに気づける立場でもあります。
「うちは物を売るだけだから関係ない」と切り分けることもできます。ですが、物を売るだけでは差が出にくい時代に、取引先の困りごとを拾い、適切な相談先につなげることは、十分な付加価値になります。
大事なのは、紹介を売上化することだけを目的にしないことです。まずは、取引先が本当に困っていることを聞き、必要なときに無理なくつなぐ。
その積み重ねが、「この会社とつながっていると、資材だけでなく経営の相談先にも出会える」という信頼につながっていきます。



























































































