前提

資材の供給不安が出ると、在庫を持っている会社ほど問い合わせが集中しやすい状況

海外情勢や物流の乱れをきっかけに、特定の資材が入りにくくなる場面があります。そんなとき、建材や部材を扱う会社、または自社で在庫を持つ工事会社ほど、普段は取引のない先からも問い合わせが増えがちです。

ある経営者は、「在庫を抱えているから大丈夫、とは簡単に言わない方がいい」と話していました。理由はシンプルで、在庫があると分かった瞬間に注文が集中し、普段のお客様に供給できなくなる可能性があるからです。

課題

一見の注文に応えすぎると、普段のお客様への供給が崩れやすいこと

資材不足の局面では、目の前の売上だけを見ると、来た注文に応えたくなります。ただ、建設業の取引は一回きりではありません。日頃から現場を回してくれている取引先、毎月のように発注があるお客様、急ぎのときに助け合ってきた協力会社があります。

「普段のお客さんに供給できるかを見ないと、一見さんは難しい」という言葉には、現場の実感があります。

在庫は数字上は十分に見えても、問い合わせが一気に増えれば、途端に足りなくなることがあります。しかも、資材が切れると工期や職人の手配にも影響します。単なる仕入れの問題ではなく、取引先の信用や現場全体の段取りに関わる話になります。

背景

在庫量だけでなく、横のつながりや代替ルートまで含めて見ないと判断できない事情

建設業では、同業者同士の横のつながりで資材を融通することもあります。ただ、それも無限ではありません。どこか一社に注文が集中すれば、結果的に地域全体で不足感が強まることもあります。

また、資材不足のときほど「うちは在庫があります」と外に強く出すほど、普段の取引先以外からも注文が入りやすくなります。すると、営業上はチャンスに見えても、既存顧客との関係を傷つけるリスクが出てきます。

だからこそ、資材不足時には、在庫の有無だけでなく次のような整理が必要です。

  • いつも取引している顧客への必要量
  • すでに決まっている現場の納期
  • 代替品や仕様変更の余地
  • 同業・仕入れ先との融通可能性
  • 新規問い合わせに応じる範囲

大事なのは、「在庫があるか」ではなく「誰の現場を、どの順番で守るか」を先に決めておくことです。

解決

平時のうちに優先順位と代替案を決め、資材不足時の説明をそろえること

資材不足への対応は、起きてから考えるとどうしても場当たり的になります。まずは平時のうちに、供給の優先順位を社内で決めておくことが現実的です。

たとえば、継続取引先、進行中の現場、支払い条件が安定している先、過去に協力関係がある先など、判断軸をあらかじめ持っておきます。新規の問い合わせをすべて断る必要はありませんが、「どこまでなら受けるか」を決めておくと、営業担当ごとの対応ブレも減ります。

あわせて、代替品や施工方法の選択肢も整理しておきたいところです。完全に同じ資材が入らない場合でも、設計者や元請けと相談すれば、仕様変更で乗り切れるケースがあります。ここを現場任せにせず、会社として選択肢を持っておくと、取引先への説明も落ち着いてできます。

まとめ

資材不足の局面では、「在庫がある会社」が頼られます。ただ、その頼られ方を間違えると、普段のお客様への供給が崩れます。

まず守るべき取引先を決める。進行中の現場を確認する。新規問い合わせに応じる基準を持つ。代替品や横のつながりも含めて準備する。

この順番で整理しておくと、資材不足は単なる我慢比べではなく、取引先との信頼を深める機会にもなります。