前提

一人親方から法人化した地方の専門工事会社が、元請け化に向けて営業職を入れようとしている段階

南九州エリアで専門工事を営む、創業数年の小規模な建設会社の話です。もともとは代表が一人親方に近い形で動き、法人化後も取引先対応や案件づくりを自分で担ってきました。

今後は、職人を大きく増やすよりも、自社が元請けに近い立場で案件を受け、協力会社を管理しながら工事を回す体制を考えています。そのために「営業社員を2〜3人入れたい。まずは今年中に1人ほしい」という状況です。

ただ、営業職を採った経験がありません。

「営業の募集はまだしていないです。採ったことがないので、このぐらいの金額で、どんな感じで出したらいいのか分からないんです」

この言葉は、初めて営業職を置こうとする建設会社ではかなり自然な悩みです。求人を出すかどうか以前に、そもそも自社に必要な営業とは何をする人なのか、どんな条件なら来てもらえるのかが見えにくいからです。

1週間で 9件ダウンロード されました

  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

営業職の求人は、媒体選びより先に採用戦略が決まっていないと勝ち筋が見えにくい

営業職の採用で最初に考えたいのは、「どの求人媒体に出すか」ではありません。先に決めるべきなのは、誰に、何を任せ、何を魅力として伝えるのかです。

今回の会社も、営業職に期待することは大きく2つありました。

  • 協力会社を集めること
  • エンドユーザーや取引先を開拓すること
  • 営業資料や書類作成も一定できること

一方で、経験年数や前職での実績、建設業経験の有無などは、まだ明確ではありませんでした。これはよくある状態です。「営業経験者がよさそう」と思っていても、具体的にどんな営業経験が必要なのかまでは整理できていないことが多いです。

営業経験者といっても、住宅営業、法人営業、ルート営業、新規開拓、建材営業、保険営業、広告営業では、動き方も成果の出し方も違います。建設会社が初めて営業職を採る場合、“営業経験者”という大きなくくりのまま募集すると、採りたい人材像がぼやけます。

さらに、代表自身が「営業の仕方を教えられない」と感じている場合、未経験者を採るより経験者を採りたいという判断になりやすいです。ただし、営業経験者は他業種からも求められます。建設業界内だけでなく、地元の不動産会社、メーカー、商社、保険、通信、IT、サービス業とも同じ人材を取り合うことになります。

地方都市で「営業」と検索すると、求人は数千件単位で出てくることがあります。つまり、建設業の営業採用は、建設業同士の競争ではなく、地域内の全産業との競争として見たほうが現実に近いです。

背景

社長の手が回らなくなった会社ほど、営業採用の目的と条件が混ざりやすい

営業職を入れたい背景には、代表の業務過多があります。

「前々から考えていたんですけど、最近は自分の手が回らないところもあるので、営業社員に任せたほうが仕事が効率よく回るのかなと思っています」

この状態では、営業職に求める役割が広くなりがちです。新規開拓もしてほしい、協力会社も探してほしい、書類も作ってほしい、現場側との調整もしてほしい。気持ちはよく分かりますが、最初の1人にすべてを求めると、求人票の訴求も選考基準も曖昧になります。

営業採用で難しいのは、採用した後に成果が出るまでの見通しです。経験者を採ればすぐ売上につながるように見えますが、実際には自社の工事内容、単価感、協力会社の動き方、既存取引先との関係、見積や書類の進め方を理解してもらう期間が必要です。

また、営業経験者を採る場合は報酬水準も無視できません。地域や業種によって幅はありますが、一定の営業実績がある人は、固定給だけでなく歩合、賞与、休日、裁量、将来の役職などを見ています。「営業経験者がほしい」と「今の自社が提示できる条件」の間にズレがないかを先に確認しておく必要があります。

もう一つの背景は、採用手法が増えすぎていることです。以前は、代表的な求人媒体に出せば一定の応募が見込める時期もありました。今は求人検索サービス、求人広告、人材紹介、ダイレクトリクルーティング、SNS、リファラル採用など、入口が分散しています。

そのため、営業電話を受けて「この媒体がよさそうだから出してみる」と動いても、ターゲットと媒体が合っていなければ成果につながりにくいです。媒体の良し悪しではなく、自社が狙う人がどこにいて、何に反応するかを決めてから媒体を選ぶことが重要になります。

解決

初めて営業を採る前に、役割・人材像・訴求・条件を順番に言語化する

営業職の求人を出す前には、採用戦略を次の順番で整理すると進めやすくなります。

まず決めたいのは、営業職の目的です。今回の会社であれば、目的は単なる売上拡大ではなく、元請け化に向けて、社長が抱えている営業・取引先対応・協力会社開拓を分担することです。

ここが決まると、営業職に任せる業務が見えてきます。

  • 新規取引先を開拓する
  • 協力会社を探し、関係をつくる
  • 既存先とのやり取りを引き継ぐ
  • 見積や提案資料などの書類を整える
  • 受注後に現場側へ情報をつなぐ

このうち、最初の1人に何を優先して任せるかを決めます。全部できる人は魅力的ですが、採用難度も報酬も上がります。最初の営業採用では、“絶対に必要な業務”と“入社後に覚えてもらう業務”を分けることが大切です。

次に、人材像を決めます。営業経験者を狙う場合でも、以下のように分けて考えると求人が具体化します。

  • 建設業界の営業経験者がよいのか
  • 他業種の法人営業経験者でもよいのか
  • 新規開拓経験が必要なのか
  • 既存顧客対応が得意な人でもよいのか
  • 書類作成や見積補助までできる人が必要なのか
  • 将来的に営業責任者候補にしたいのか

今回のように、代表が営業教育に不安を感じている場合は、完全未経験者よりも経験者のほうが合いやすい可能性があります。ただし、経験者採用は競争が強くなります。そこで、建設業経験にこだわるのか、営業の基礎がある他業種人材まで広げるのかを先に決めておくと、採用の幅が変わります。

次に、自社の強みと弱みを言語化します。小規模な建設会社は、大手のような知名度や福利厚生で勝負しづらいことがあります。その一方で、営業職から見ると魅力になる要素もあります。

たとえば、代表との距離が近い、営業の仕組みづくりから関われる、将来の幹部候補になれる、元請け化の立ち上げフェーズに入れる、成果が会社の成長に直結する、といった点です。

求人では、これらをきちんと言葉にする必要があります。小規模企業の採用では、条件だけでなく「この会社で営業をやる意味」を伝えることが重要です。

報酬や働き方の見せ方も、求人前に整理しておきたいポイントです。たとえば、働き方には大きく2つの軸があります。

  • 休みや安定を重視し、無理なく長く働きたい人
  • 多少忙しくても、成果に応じてしっかり稼ぎたい人

どちらを狙うかで、求人の書き方は変わります。両方を狙う場合も、給与設計や評価の考え方を分けて見せる必要があります。休み重視の人に成果報酬色を強く出しすぎると合いませんし、稼ぎたい人に安定だけを訴求しても響きにくくなります。

そのうえで、採用経路を選びます。求人媒体、紹介、人材紹介、ダイレクトリクルーティング、知人経由、協力会社や取引先からの紹介など、選択肢はいくつかあります。大事なのは、媒体を先に決めるのではなく、狙う人材に合わせて経路を選ぶことです。

営業経験者を採りたいなら、求人を出して待つだけでなく、地域内の営業経験者に直接届く方法や、知人・取引先経由の紹介も検討対象になります。建設業界の経験者にこだわるなら、同業周辺のネットワークも重要です。他業種の営業経験者まで広げるなら、建設業の仕事をどう分かりやすく伝えるかが鍵になります。

最後に、入社後の受け入れ体制を決めます。初めて営業を採る会社では、採用できた後に「何を任せるか」が曖昧になりやすいです。入社後1〜3か月で何を覚えてもらうか、誰が同行するか、どの取引先から引き継ぐか、何を成果指標にするかを事前に決めておくと、早期離職のリスクを下げやすくなります。

営業職の採用は、求人票を出す前の設計でかなり変わります。役割、人材像、訴求、条件、採用経路、受け入れ体制を順番に整えることが、初めての営業採用の土台になります。

まとめ

初めて営業職を採る建設会社では、「いくらで募集すればよいか」「どの媒体に出せばよいか」が最初の悩みになりがちです。ただ、その前に整理したいのは、営業職を入れる目的です。

今回のように、代表の手が回らなくなり、元請け化や協力会社管理を進めたい会社では、営業職は単なる案件獲得担当ではありません。社長が抱えている外部対応を分担し、会社の次の体制をつくる人材です。

そのため、求人前に次の点を決めておくと採用活動が進めやすくなります。

  • 営業職に任せる業務の優先順位
  • 経験者を狙うのか、他業種人材まで広げるのか
  • 地域内の競争環境に対して、何を魅力として打ち出すのか
  • 働き方と報酬をどう見せるのか
  • 求人媒体、紹介、直接アプローチなど、どの経路を使うのか
  • 入社後にどう育て、何を成果として見るのか

営業採用は、建設業界の中だけで完結する話ではありません。地域内の全産業と営業人材を取り合う前提で考える必要があります。だからこそ、募集開始前の採用戦略が、費用以上に大きな差になります。

自社に合う営業採用の進め方を整理したいときは

営業職を初めて採るときは、「うちの場合、経験者を狙うべきか」「給与はどの水準が現実的か」「求人に何を書けばよいか」から迷いやすいものです。特に小規模な専門工事会社では、営業採用がそのまま元請け化、協力会社づくり、社長の業務分担につながります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、採用、組織、販路拡大、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。営業職の採用についても、求人媒体を選ぶ前の人材像づくり、訴求内容、条件設計、採用後の受け入れ体制まで一緒に考えることができます。

「まだ求人を出す前で、何から決めればよいか分からない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、自社の場合の考え方を整理する場としてご相談ください。

お問い合わせはこちら