前提

千葉県北西部の防水工事会社が、無料求人から有料掲載と自社採用ページ整備へ進み始めた段階

千葉県北西部で防水工事を手がける、数名規模の専門工事会社の話です。社長自身も現場に出ながら、職人採用、中途採用、高卒採用、ホームページづくりまで見ている状態でした。

直近では、中途採用を無料掲載で出しながら、高卒求人票の準備も進めていました。無料掲載でも求人ページは月に二十数回ほどクリックされており、担当者からは「無料でここまで中を見られているのは、あまり多くないです」という見立ても出ていました。

一方で、社長の感覚としては「求人を出しているけれど、本当にこれで採れるのか」「有料にしたら費用だけかかって終わらないか」という迷いもあります。建設業ではよくある状態です。仕事はある。人がいれば受けられる。けれど、採用のやり方が昔のままでは読めなくなってきている、という局面です。

ここで大事なのは、求人媒体を否定することではありません。むしろ媒体は使うべきです。ただし、求人媒体を“採用そのもの”にしないことが重要です。媒体は応募者との接点をつくる入口であり、採用力の本体は自社側に持つ必要があります。

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課題

求人媒体任せでは、クリックが増えても採用につながる理由を自社に残せない

建設会社の採用で一番危ないのは、「求人媒体に出したから、あとは応募を待つだけ」という状態です。

以前は、無料掲載でも応募が来る会社がありました。タイミングが良ければ、原稿をそこまで作り込まなくても、職人や未経験者から反応がありました。しかし今は、無料掲載の露出が弱くなり、有料掲載へ誘導される流れも強くなっています。

有料掲載に切り替えると、クリック課金型や優先表示のような仕組みが入ってきます。つまり、お金をかければ必ず採れるのではなく、見られた後に応募したくなる設計が必要になります。

実際、会話の中でも「同じ媒体でも、担当者が変わると原稿の作り方が全然違う」という話が出ていました。ある媒体では、営業担当によって提案力や原稿改善力に大きな差があり、別の会社では「無料では採れていたのに、有料で大きく費用をかけても採れなかった」という経験も語られていました。

これは、媒体の良し悪しだけの問題ではありません。建設会社側に、次のような判断材料が残っていないことが問題です。

  • どの原稿でクリックが増えたのか
  • どの写真や見出しが見られているのか
  • どの職種名・仕事内容の書き方が反応されているのか
  • どの層に届けたい求人なのか
  • 応募前に会社のどこを見てもらうべきなのか

ここが見えないまま媒体を替えると、毎回「担当者次第」「媒体次第」「時期次第」になってしまいます。採用費をかけても、自社にノウハウが蓄積されない採用になりやすいのです。

背景

無料掲載の反応低下と、写真・動画・原稿改善力の差が採用成果を左右している

求人媒体の環境は、かなり変わっています。

無料掲載だけで採れていた時期から、有料掲載、優先表示、スカウト的な配信、SNS連動へと移っています。求人検索媒体側も、多くの求職者データを持ち、条件に合いそうな人へ求人を届ける仕組みを強めています。

一方で、求職者側も変わっています。とくに若い層や未経験者は、求人票の文字だけで判断しません。会社名を検索し、ホームページを見て、写真を見て、雰囲気を見て、場合によってはSNSも見ます。

相談の中でも、ホームページ用の写真や画像、採用向けの見せ方について何度も話が出ていました。撮影できなかった現場写真をどう補うか、施工後の写真にどう人の気配を出すか、求人用の画像をどう整えるか。そこまで話が及んでいたのは、採用が単なる求人票作成ではなくなっているからです。

「出せば人が来る時代じゃないですよ」という言葉がありました。これは、かなり本質的です。

求人原稿も同じです。防水工事とだけ書くのか、屋上防水・改修工事・マンションや公共施設の仕事が中心だと伝えるのか。未経験でもどう育つのか、資格取得や職人から番頭へ進む道があるのか。社長がどんな人を求め、どんな現場をつくりたいのか。

こうした情報がないと、求職者は比較できません。逆に、仕事内容・人・育成・将来像が伝わる会社は、媒体の中でも目に留まりやすくなります

また、制作会社にホームページを作ってもらっても、「作って終わり」になっているケースは少なくありません。きれいなサイトはできた。でも、どのページで離脱しているのか、採用ページが読まれているのか、応募導線が弱いのかまでは見ていない。

採用に使うホームページは、会社案内とは役割が違います。求職者にとっては、応募する前に不安を減らす場所です。だからこそ、採用ページだけを切り出して見せる、写真や動画で仕事の実感を伝える、SNSや求人媒体から流入させる、アクセスを見て改善する、という流れが必要になります。

解決

採用サイト・原稿・写真動画・SNS・アクセス分析をつないで直接採用の改善サイクルを持つ

これからの建設会社の採用は、求人媒体を使いながらも、最終的には自社で採用改善を回せる状態をつくることが大切です。いわゆる「直接採用」の基盤です。

直接採用といっても、媒体を一切使わないという意味ではありません。求人媒体、採用サイト、写真・動画、SNS、応募後の連絡体制をつなぎ、どこを直せば応募につながるかを自社で判断できる状態にすることです。

進め方は、いきなり大きく作り込むより、次の順番が現実的です。

まず、採りたい人を絞ります。経験者の職人なのか、未経験の若手なのか、高卒なのか、将来の番頭候補なのかで、伝えるべき内容は変わります。防水工事会社であれば、「屋上防水を中心に覚えてほしい」「将来は職人から現場を見られる人になってほしい」など、会社が本当に求めている姿を言葉にしておきます。

次に、求人媒体はテストの場として使います。無料掲載でどのくらい表示・クリックされているかを見たうえで、有料掲載に切り替える場合も、予算や期間を決めて小さく始めます。大事なのは、応募が来たかどうかだけでなく、クリック数・閲覧数・原稿変更後の反応を見ることです。

そのうえで、求人原稿を磨きます。建設業の原稿では、きれいな言葉よりも具体性が効きます。

  • どんな建物の防水工事が多いのか
  • 未経験者は何から覚えるのか
  • 仕事のきつさと面白さはどこにあるのか
  • 資格や技術が身につく流れはあるのか
  • 社長や先輩はどんな距離感で関わるのか

こうした情報は、社長の頭の中にはあります。ただ、求人原稿に出ていないことが多いです。媒体担当者に任せるだけでなく、自社でも「何を伝えると応募者が安心するか」を持っておくことが重要です。

写真や動画も、採用では大きな役割を持ちます。現場写真、施工前後、道具、作業風景、社員の表情、会社の雰囲気。すべてを完璧に撮る必要はありませんが、文字だけでは伝わらない“働くイメージ”を補う素材は必要です。

最近は、画像生成や動画編集の選択肢も増えています。ただし、実態とかけ離れた見せ方にするのではなく、あくまで自社の現場感を伝える補助として使うのがよいです。「かっこよく見せる」よりも、「ここで働く自分を想像できる」ことが大切です。

採用ページは、会社ホームページの一部として置くだけでなく、求職者用の入口として設計します。トップで心をつかみ、仕事内容、社員、育成、募集要項、応募導線へ自然に進める。求人媒体やSNSから来た人が、迷わず会社理解できる流れにします。

SNSも、単に「流行っているからやる」では続きません。TikTok、Instagram、LINEなど、どれを使うかより先に、誰に何を見せたいのかを決める必要があります。職人経験者に届けたいのか、若い未経験者に会社の雰囲気を見せたいのか。目的が違えば、投稿内容も変わります。

最後に、アクセス分析を入れます。どのページが見られているか、どこで離脱しているか、求人媒体から来た人が採用ページを見ているか。ここを見ることで、改善の優先順位がわかります。

たとえば、クリックはあるのに応募がないなら、原稿や採用ページの中身が弱い可能性があります。採用ページは見られているのに応募されないなら、応募条件や導線が引っかかっているかもしれません。応募は来るのに面接につながらないなら、連絡方法やスピードを見直す必要があります。

このように見ると、採用は一発勝負ではありません。媒体に出す、反応を見る、原稿を直す、写真を差し替える、採用ページを整える、また反応を見る。この繰り返しを自社に残すことが、採用力になります。

まとめ

建設会社の採用は、求人媒体に出せば応募が来る時代から、媒体を使いながら自社で改善する時代に変わっています。

無料掲載の反応が落ち、有料掲載の仕組みが複雑になり、担当者の原稿作成力によって成果が変わる。だからこそ、採用を外部任せにしすぎると、うまくいった理由もうまくいかなかった理由も残りません。

まずは、自社で採りたい人を明確にすること。求人原稿に現場の具体を入れること。写真や動画で働くイメージを伝えること。採用ページを整えること。媒体やSNSからの流入を見て、数字をもとに改善すること。

この積み重ねが、求人媒体に依存しない直接採用の土台になります。採用に強い会社は、特別なことをしているというより、反応を見ながら少しずつ直せる仕組みを持っています。

人手不足の中でも、採用はまだ打ち手があります。大きく構えすぎず、まずは今出している求人が「誰に、何を、どこまで伝えているか」から見直すだけでも、次の一手は見えてきます。

自社の採用導線を一度整理してみたいときは

求人媒体、有料掲載、採用ページ、写真・動画、SNS、応募後の連絡体制は、それぞれ別々に見えるようで、実際にはつながっています。

「媒体に出しているが応募につながらない」「採用サイトを作ったが活用できていない」「原稿や写真をどう直せばよいかわからない」という段階でも、まずは現状を整理するだけで改善点が見えてきます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用、人材確保、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで横断して、ものづくりに集中できる状態づくりを支援しています。無理な営業はいたしませんので、「うちの場合は何から整理すべきか」を考える場としてご活用ください。

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