山陰エリアで50年続く、8名規模・年商1億円台の地域密着会社の現在地
山陰エリアで塗装・防水系の工事を手がける、創業から約50年の専門工事会社があります。二代目の社長が引き継いで10年ほど。社員は社長を含めて8名前後。全員が40代以上で、現場経験の長いベテランが中心です。
売上はここ数年、おおむね1億円台半ばで推移しています。大きく伸ばしているわけではありません。ただ、急に落ち込んでいるわけでもありません。地元の長い取引先との関係で、新築や改修などの現場を受けながら、地域の中で仕事を続けてきた会社です。
社長の言葉は、とても率直でした。
「今のところ、3年後とか5年後にどうしたいというのは全然ないです」
「規模を大きくしたいというより、今の状態を守れればいいかなという感じです」
これは、珍しい話ではありません。地方の専門工事会社では、売上拡大よりも、いまの取引先と社員を守りながら、無理なく続けることを優先する会社が多くあります。
その考え方自体は、自然です。むしろ堅実です。
ただし、ここで大事なのは、成長戦略を作ることではありません。拡大しない会社にも、現状維持のための最低限の経営設計は必要だという点です。
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- 7月8日総合土木愛知県
- 7月8日工務店山形県
- 7月8日外構工事会社群馬県
- 7月6日工務店兵庫県
- 7月6日電気設備工事会社神奈川県
- 7月6日防水工事会社東京都
- 7月5日塗装工事会社神奈川県
- 7月5日プラント工事会社福島県
- 7月5日リフォーム会社東京都
- 7月5日総合土木福井県
- 7月4日外構工事会社千葉県
- 7月2日防水工事会社茨城県
- 6月30日ビルメンテナンス北海道
- 6月30日ビルメンテナンス福岡県
- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
- 6月27日リフォーム会社山口県
- 6月27日内装工事会社大阪府
- 6月26日塗装工事会社秋田県
- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
「なるようにしかならない」のままだと、現状維持のつもりが選択肢を失いやすい
この会社の社長は、何度か同じ趣旨のことを話していました。
「なるようにしかならないんですよ」
「来るものを拒まず、去るものを追わずです」
「ダメならダメで畳むかな、ぐらいの話です」
言葉だけを見ると、少し投げやりに聞こえるかもしれません。ですが、実際にはそう単純ではありません。
社長は、外部に相談することにも慎重でした。
「相談して失敗したら、その人のせいにしそうで嫌なんです。自分で判断して失敗するほうが気持ちが楽です」
この感覚は、よく分かります。中小の建設会社では、最後に責任を取るのは社長です。採用も、外注も、取引先との関係も、資金繰りも、結局は社長の判断になります。だからこそ、簡単に人へ任せたり、外から来た人に内情を話したりする気になれない。そういう会社は少なくありません。
ただ、「自分で決める」と「何も決めない」は別物です。
売上を2倍にする計画はいらないかもしれません。社員を20名にする計画もいらないかもしれません。新しい拠点を出す必要もないかもしれません。
それでも、次のような変化は、こちらの意思に関係なく起きます。
- ベテラン社員が年齢を重ねる
- 協力会社の一人親方も年齢を重ねる
- 長年の取引先の担当者が変わる
- 地域の工事件数が増減する
- 資材や人件費の水準が変わる
- 社長自身の体力や時間の使い方も変わる
現状維持を望んでいても、周りの条件は止まりません。
そのため、「拡大するかどうか」ではなく、「いまの規模をいつまで、どの形で続けるか」を決めておくことが大切になります。
長年の取引先とベテラン職人で回る会社ほど、将来の変化が見えにくい
この会社は、地元の限られたエリアで長く仕事を続けてきました。主な現場は、県内の中心部と近隣エリア。取引先も昔からの付き合いが中心です。
売上の比重について聞くと、特定の1社に極端に偏っているというより、複数社と付き合いながら回している様子でした。現場も、新築、改修、住宅、建物系などが混在しています。
一見すると、安定しています。
社員もベテランです。現場を分かっている人が多い。協力会社も、法人というより個人の職人が中心で、必要に応じて手伝ってもらう関係です。
社長は協力会社について、こう話していました。
「手伝ってくれる人は手伝ってくれるし、離れていく人は離れていく。それも一緒です」
現場の感覚としては、とても現実的です。人の縁で仕事が回る。昔からの付き合いで助け合う。地方の専門工事会社では、これが自然な形です。
ただ、この形には見えにくい弱点もあります。
人の縁で回っている会社ほど、その縁が細くなったときの代替策が見えにくいのです。
たとえば、社員が8名前後で全員40代以上の場合、3年後に急に全員が抜けるわけではありません。けれど、体力面や家庭事情、健康面で、今まで通りの現場量をこなせなくなる人が出てくる可能性はあります。
協力会社も同じです。個人の職人に頼っている場合、その人が忙しくなった、体調を崩した、別の元請けに寄った、引退した、というだけで現場の組み方が変わります。
受注先も同じです。長年の取引先があることは強みです。ただ、相手先の担当者交代、発注方針の変更、価格条件の変化が起きると、これまでの関係だけでは読めないことが出てきます。
この会社のように、売上も人員も大きく変えずに続けている会社ほど、日々の仕事は回ります。だからこそ、先のことを考えるきっかけが少なくなります。
「困っていないから考えない」のではなく、「困る前に選択肢だけは持っておく」くらいの温度感がちょうどいいのだと思います。
拡大計画ではなく、現状維持のための3年先の判断軸を決めておく
無理に成長戦略を作る必要はありません。大きな計画書もいりません。
このような地域密着の建設会社でまず整理したいのは、3年後も今の仕事量を受けられる状態かどうかです。
見るべきポイントは、次の5つです。
1. 受注先の偏りを「社数」ではなく「関係の強さ」で見る
取引先が複数あっても、実際には特定の担当者、特定の工事種類、特定の時期に依存していることがあります。
売上割合だけを見るのではなく、次のように整理すると現実が見えやすくなります。
- 毎年安定して声がかかる先
- 担当者との関係で続いている先
- 価格が厳しくなってきた先
- 忙しい時だけ声がかかる先
- 今後も続けたい先、無理に追わなくてよい先
ここで大切なのは、新規開拓を無理に始めることではありません。既存の取引先を「今後も守りたい先」と「流れに任せる先」に分けることです。
現状維持を目指す会社ほど、何でも受けると疲弊します。逆に、長く付き合いたい先が明確になると、限られた人員でも仕事の組み方がしやすくなります。
2. 職人の引退時期を、年齢ではなく「できる作業」で見る
社員が40代以上中心でも、すぐに問題が起きるとは限りません。経験値が高く、現場対応力もあります。
ただ、3年先を考えるなら、年齢表だけでは足りません。
誰が、どの現場を、どの強度で、あと何年できそうかを見ておく必要があります。
たとえば、次のような整理です。
- 高所や体力負荷の高い作業を任せられる人
- 現場を段取りできる人
- 若手や外注に指示を出せる人
- 特定の施工だけ得意な人
- 繁忙期に無理をさせにくい人
ここまで見えると、採用するかどうか以前に、今いる人の使い方が変わります。
新しい人が入れば理想です。ただ、社長が話していたように、ハローワークに出しても反応が少ない、入っても定着しない、という会社は多いです。
だからこそ、採用ありきではなく、今いるベテランの力をどこに集中させるかを決めることが先です。
3. 協力会社は「来てくれる人」から「頼れる条件」へ整理する
協力会社について、「来る人は来るし、離れる人は離れる」という感覚は、現場では自然です。
ただ、3年先を考えるなら、協力会社を人数や社数だけで見ないほうがよいです。
見るべきは、どの条件なら頼れるかです。
- 急な応援に来てくれるか
- 繁忙期でも相談できるか
- 品質面で安心できるか
- 元請けや現場監督との相性がよいか
- 単価条件が合うか
- 将来も続ける意思がありそうか
個人の職人が中心の場合、関係性はとても大事です。だからこそ、普段から少しだけ状況を聞いておく。忙しさ、年齢、今後の働き方、手伝える工事の範囲。これだけでも違います。
協力会社の確保は、名簿を増やすことではなく、頼れる条件を把握することです。
4. 採算ラインを「売上」ではなく「この人数で無理なく残る利益」で見る
年商1億円台半ばを維持できている会社でも、現場の忙しさと利益が合っているとは限りません。
現状維持を目指すなら、売上目標よりも先に、最低限の採算ラインを決めておくほうが実務的です。
たとえば、次のような問いです。
- 社員8名前後で無理なく回せる年間売上はいくらか
- 繁忙期に外注を入れても利益が残る工事単価か
- 受けると現場は埋まるが、利益が薄い仕事はどれか
- 断ってもよい仕事の条件は何か
- 社長が現場・見積・事務を抱えすぎない仕事量はどこか
ここで大切なのは、売上を下げようという話ではありません。
「この仕事量なら続けられる」という会社なりの安全ラインを持つことです。
売上を追わない会社ほど、利益と体力のバランスが大事になります。忙しいのに残らない状態が続くと、社員も協力会社も疲れます。社長も判断する余裕を失います。
5. 廃業・縮小・承継を、最後の話ではなく選択肢として持つ
社長の「ダメなら畳むかな」という言葉には、ある種の覚悟があります。
その覚悟は悪いものではありません。会社を続けるにも、閉じるにも、最後は社長の判断です。
ただ、廃業や縮小を考えるなら、できれば追い込まれてからではなく、選べるうちに考えたいところです。
整理しておきたいのは、次のような判断軸です。
- 何人を下回ったら、今の受注量は維持しないのか
- どの取引先との仕事は最後まで守りたいのか
- 協力会社中心に切り替える余地はあるのか
- 後継者候補がいない場合、第三者承継の可能性はあるのか
- 何歳まで今の働き方を続けたいのか
- 畳むなら、取引先・社員・協力会社に迷惑をかけにくい時期はいつか
これは後ろ向きな話ではありません。
廃業・縮小・承継を選択肢として言語化しておくと、逆に「続けるために何を守るか」がはっきりします。
現状維持の経営では、この視点がとても大切です。
まとめ
地域密着で長く続いてきた建設会社にとって、売上拡大や人員増が必ずしも正解とは限りません。
地元の取引先と、ベテラン社員と、昔からの協力会社。その関係を大切にしながら、無理のない規模で続ける。これは立派な経営判断です。
ただし、「大きくしない」と「何も決めない」は違います。
3年先に向けて、最低限見ておきたいのは次の5つです。
- 受注先の偏りと、今後も守りたい取引先
- 社員の年齢ではなく、できる作業と任せられる役割
- 協力会社の数ではなく、頼れる条件
- 売上目標ではなく、この人数で無理なく残る採算ライン
- 廃業・縮小・承継を含めた、社長自身の選択肢
「なるようにしかならない」と感じる場面は、どの会社にもあります。
それでも、少しだけ先に決めておくと、なるようになったときの受け止め方が変わります。慌てて選ぶのではなく、納得して選べるようになります。
現状維持を目指す会社に必要なのは、大きな成長計画ではありません。
いまの会社を、どの形で、どこまで続けたいのか。そのために何を守り、何を手放すのかを決めることです。
うちの規模で何を決めておくべきかを整理したいときは
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。
売上を大きく伸ばしたい会社だけでなく、「今の規模を無理なく続けたい」「社員や協力会社の年齢を考えると、3年先だけは整理しておきたい」という段階でも大丈夫です。
受注先、人員体制、協力会社、採算ライン、縮小や承継の選択肢まで、会社の状況に合わせて一緒に整理できます。無理な営業はいたしませんので、「うちの場合は何から考えるべきか」を確認する場としてご活用ください。































