年商1億円前後・5名弱で都内のビル修繕を回す塗装工事会社の現在地
首都圏にある、5名弱の塗装工事会社の話です。売上は年商1億円前後。協力会社は約15〜20社あり、現場は都内のビル修繕が中心です。
工事内容は外壁よりも内装塗装が多く、新築より修繕がほとんど。大手ゼネコンやビル管理系の取引先とも長く付き合いがあり、売上の一部を安定的に支えています。
ただ、社長の考えはとてもはっきりしていました。
「売上を増やすのは簡単です。2億でも3億でも増やすことは可能です。でも、勇気を持ってやろうという気はないです」
ここで言う「勇気」は、前向きな挑戦を避けているという意味ではありません。売上を追った結果、利益率・現場品質・安全管理・信用を崩すなら、増収そのものに意味はないという判断です。
小規模の専門工事会社にとって、これはかなり現実的な経営判断です。
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- 7月6日工務店兵庫県
- 7月6日電気設備工事会社神奈川県
- 7月6日防水工事会社東京都
- 7月5日塗装工事会社神奈川県
- 7月5日プラント工事会社福島県
- 7月5日リフォーム会社東京都
- 7月5日総合土木福井県
- 7月4日外構工事会社千葉県
- 7月2日防水工事会社茨城県
- 6月30日ビルメンテナンス北海道
- 6月30日ビルメンテナンス福岡県
- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
- 6月27日リフォーム会社山口県
- 6月27日内装工事会社大阪府
- 6月26日塗装工事会社秋田県
- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
売上拡大はできても利益率と現場リスクが釣り合わない受注先がある
この会社の課題は、仕事がないことではありません。むしろ、受注先を広げれば売上は増やせる見込みがあります。
問題は、売上を増やしたときに今の利益率を維持できるかです。
社長は、現在の1億円前後の売上と利益率には納得していました。理想は、今の利益率を守りながら売上も増えることです。ただし、実際にはそう簡単ではありません。
たとえば、大手ゼネコンの仕事は安心感がある一方で、単価交渉や紹介経路によって条件が変わることがあります。社長は「大きな会社なので、足元を見てくる人も多い」と話していました。
一方で、小さな会社の現場にも別のリスクがあります。
「小さい会社の仕事は、盗難が多いんです。数千円、1万円くらいのものだと、いちいち警察に言うのも大変で」
金額だけ見れば小さくても、積み重なれば利益を削ります。道具の紛失対応、現場確認、関係者への説明。こうした手間も見えない原価です。
つまり、受注先を増やす判断は、売上額ではなく“利益が残る現場か、余計なリスクを抱えない現場か”で見る必要があります。
特殊な建物の内装修繕では安全管理と信用が受注判断の中心になる
この会社が慎重になる背景には、現場の性質があります。扱っているのは、警備や入退場管理が厳しい建物です。詳細は明かせないものの、公共性の高い人が出入りするような施設も含まれます。
そのため、一般的な建設現場の経験がそのまま強みになるとは限りません。
「他の建設現場を経験している人が、その通りにやると問題になることがあるんです。技術も大切ですけど、仕事をやる姿勢のほうがもっと大事です」
これは協力会社選びにもつながります。
知らない会社を急に入れて、万が一トラブルが起きれば、自社の信用に傷がつきます。社長は「知らないところを使って信用を落とすのが嫌」と話し、協力会社は時間をかけて見極める方針を取っていました。
ここに、小規模工事会社ならではの構造があります。
人数が少ない会社ほど、1件の現場トラブルが会社全体の信用に直結します。 だからこそ、売上を増やすために受注先や協力会社を一気に広げることが、必ずしも合理的とは限りません。
さらに対応エリアも、都内中心に絞っています。工場や郊外の大型案件ではなく、ビル・商業施設の内装修繕が得意領域です。
つまり、この会社にとっての強みは、単に「塗装ができる」ことではありません。都内のビル修繕、内装塗装、安全管理が厳しい現場、信頼できる協力会社網。この組み合わせで利益率を守っているのです。
受注先を増やす前に利益率・商流・安全性・体制の4点でふるいにかける
売上を伸ばす余地がある会社ほど、先に受注先の選定基準を決めておくことが大切です。勢いで案件を増やすと、あとから利益率や現場対応で苦しくなります。
まず確認したいのは、次の4点です。
- 利益率:今の利益率を下げずに回せる単価か
- 商流:紹介経路や元請けとの関係で、条件交渉の余地があるか
- 現場安全性:盗難・入退場・書類対応・警備条件などのリスクが見えているか
- 体制:自社の人数と協力会社で、品質を落とさず回せるか
この会社の場合、受注先として相性が良いのは「都内のビル・商業施設」「修繕」「内装塗装」「安全管理が整っている現場」です。反対に、外壁中心の工場案件や、セキュリティが緩い小規模現場は、単価だけでは判断しにくい領域です。
ここで重要なのは、受注可否を感覚だけで決めないことです。
たとえば、案件ごとに簡単なチェック表を作るだけでも判断が揃います。
- 既存の利益率を維持できるか
- 材料高騰分を単価に反映できるか
- 書類対応や入退場管理の負担は大きすぎないか
- 道具・材料の保管環境に不安はないか
- 自社の得意工種から外れていないか
- 社長や主力社員が過度に現場へ張り付かなくてよいか
- 信頼できる協力会社で対応できるか
売上を伸ばすなら、まず“受けたい仕事”と“受けない仕事”を言語化することが先です。
特に小規模会社では、売上2倍を目指す前に「今の利益率を守れる売上の増やし方か」を見る必要があります。取引先を増やすこと自体よりも、既存の得意領域に近い受注先を探すほうが、利益も品質も守りやすくなります。
現状維持を選ぶ場合も同じです。
「ちゃんとした仕事をしていれば、また仕事が来るから。ずっとその繰り返しです」
この考え方は、決して消極的ではありません。現状維持とは、何もしないことではなく、利益率・信用・安全を崩さない範囲を守る経営判断です。
まとめ
売上を伸ばせる会社が、あえて伸ばさない。これは建設業では珍しい話ではありません。
人を増やす。協力会社を増やす。受注先を増やす。どれも売上拡大にはつながります。ただし、その結果として利益率が下がり、現場リスクが増え、信用を落とす可能性があるなら、慎重に見る必要があります。
今回のような小規模の塗装工事会社では、次の判断軸が特に重要です。
- 今の利益率を守れる単価か
- 商流や紹介経路に無理がないか
- 盗難・安全管理・書類対応などの現場リスクを読めるか
- 都内ビル修繕・内装塗装など、自社の得意領域に合っているか
- 既存の社員と協力会社で品質を落とさず回せるか
売上を追うことは悪いことではありません。けれど、利益が残り、信用が積み上がり、現場が無理なく回る受注だけを選ぶことも、立派な成長戦略です。
受注先を増やす前に、自社に合う案件の条件を整理する
「売上は増やせるが、利益率が落ちそうで踏み切れない」「どの取引先を広げるべきか判断しにくい」という段階では、まず自社の得意領域と受けない案件の条件を整理するだけでも、次の動きが見えやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、原価管理、人材確保、組織づくり、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。
うちの場合は現状維持でよいのか、受注先を広げるならどこから考えるべきか。まだ方向性が固まっていない段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、情報整理の相手としてご活用ください。
































