前提

関西で50名前後を動かしてきた労務提供型の会社が、土木の請負に進もうとしている状況

関西圏で、手元作業や現場応援を中心に事業を伸ばしてきた、ある建設会社の話です。

多い時は60人近くを現場に出し、売上も2億円台まで積み上がっています。出面管理や請求、給与まわりは自社で仕組み化され、AIも活用されています。現場に人を出す力。段取りする力。指示系統をつくる力。ここはすでにあります。

一方で、代表はこう話していました。

「今のビジネスモデル、このままずっと長くはいけないと思ってるんです」

手元作業や労務提供は、人を手配できれば売上になります。けれど、単価の上限も見えやすい。人の確保に追われ続ける感覚もあります。

そこで考えているのが、土木を中心とした請負工事への展開です。施工管理技士の資格も取り始めています。重機や道具は、最初はリースで考えています。

ただ、踏み出せない理由があります。

請負工事で一番怖いのは、「仕事が取れるか」より先に、「いくらで取れば赤字にならないか」が見えないことです。

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  • 7月2日防水工事会社茨城県
  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

材料費・人工・リース費・利益を読めないと、請負の受注判断ができない

労務提供型から請負型へ移る時、多くの会社がぶつかるのは見積もりです。

代表の言葉は、とても現場感がありました。

「人工はだいたい分かるんです。何日かかって、何人いるかは計算できる。でも、材料が何本かかるか分からない。みんな利益をどれぐらい乗せてるのかも分からない」

この不安は自然です。

手元作業であれば、基本は「人数 × 日数 × 単価」で考えられます。現場側から人数を求められ、その人数を手配する。採算も比較的読みやすいです。

しかし請負になると、見積もりの中に複数の読みが入ります。

  • 材料はどれだけ必要か
  • 何人で何日かかるか
  • 外注を使う場面はあるか
  • 重機や道具を買うのか、リースするのか
  • 工期が延びた時の人工は誰が持つのか
  • 現場管理や書類対応の手間をどう見るか
  • 最後にどれだけ利益を残すか

請負の見積もりは、単価表をつくる作業ではなく、「この工事を自社の体制で終わらせた時に、いくら残るか」を事前に組み立てる作業です。

ここが見えないまま受注すると、売上は立っているのに現場が終わったら利益が残っていない、という状態になりやすくなります。

背景

手元作業の延長で見積もると、請負で負う責任範囲を見落としやすい

請負に踏み出しにくい背景には、仕事の性質の違いがあります。

労務提供では、主に「人を出す責任」を負います。もちろん安全や品質は重要ですが、材料の手配、数量の読み、工程全体の責任は、発注側や上位会社が持っていることが多いです。

請負になると、責任の持ち方が変わります。

請負では、「人を何人出したか」ではなく、「決められた範囲を、決められた品質で、決められた期間内に終わらせたか」が問われます。

この会社も、体制面ではかなり準備が進んでいました。

「5人ぐらいで動くなら、班はつくれるんです」

「受け負いに変えた時は、そこに長けてる人間を頭につけようと思ってます」

つまり、人がいないわけではありません。むしろ人はいます。問題は、請負として受ける時の計算式がまだ社内にないことです。

特に土木や解体に近い工事では、材料や重機、産廃、リース、交通、現場管理のような費用が絡みます。重機を持っている人がいる場合でも、燃料、回送、待機、予備日まで見なければなりません。

また、初めての請負では、現場側の「いつも通り」が自社にとって初めての条件になることもあります。

  • 図面や数量がどこまで正確か
  • 材料支給なのか、自社調達なのか
  • 追加変更が出た時に別途請求できるのか
  • 工期遅延の原因がどちらにあるか
  • 書類や写真管理まで含むのか

こうした条件を曖昧にしたまま見積もると、利益率以前に、原価の前提がずれてしまいます。

請負化の最初の壁は、工事の技術そのものよりも、「責任範囲を原価項目に翻訳すること」です。

解決

初回の請負は、見積書づくりより先に実行予算を小さく組む

請負工事に進む時は、いきなり立派な見積書をつくるより、先に実行予算を組むほうが安全です。

実行予算とは、その工事を実際に施工した時に、どこにいくらかかるかを社内用に分解したものです。見積書はお客様に出す書類です。実行予算は、自社が赤字にならないための設計図です。

初回の請負では、「見積金額をいくらにするか」よりも、「この工事で何にお金が出ていくか」を先に見える化することが大切です。

まずは、原価を大きく分けます。

項目

見るべき内容

材料費

数量、ロス、支給か自社調達か、納期

労務費

何人で何日か、班長を誰にするか、予備日

外注費

自社でできない作業、資格が必要な作業

重機・リース費

日数、回送、燃料、延長時の費用

現場経費

交通、駐車、消耗品、安全用品、写真・書類

管理費

打合せ、段取り、事務処理、施工管理の時間

予備費

手戻り、天候、数量差、段取り変更

利益

最低限残したい粗利額・粗利率

次に、数量を読む作業です。

代表が気にしていた「材料が何本かかるか分からない」という点は、請負化では避けて通れません。ただ、最初から完璧に読む必要はありません。

初回は、以下のように小さく始めるのが現実的です。

  • 材料支給の案件から入る
  • 数量が読みやすい単純な工種に絞る
  • 工期が短く、5人前後の班で完結する範囲にする
  • 重機は購入せず、リース前提で原価を固定する
  • 追加変更の扱いを事前に確認する
  • 「含む工事」「含まない工事」を見積条件に書く

最初の請負は、売上を大きく取りに行くより、「自社の読みがどこまで当たるか」を検証できる案件にするほうが次につながります。

利益率も、なんとなく乗せるのではなく、最低限残したい金額から逆算します。

たとえば、5人で数日動く工事なら、人工、リース、材料、交通、管理時間を積み上げます。そのうえで、想定外に備える予備費を入れます。最後に、会社として残したい利益を足します。

この順番です。

  1. 工事範囲を決める
  2. 数量を拾う
  3. 施工日数と人数を置く
  4. 材料・リース・外注を積み上げる
  5. 現場管理と事務の手間を入れる
  6. 予備費を入れる
  7. 利益を乗せる
  8. 見積条件を明記する

逆に、最初から「相場はどれぐらいか」だけで決めると危うくなります。相場は大事です。ただし、自社の体制でその単価が合うかは別です。

見積もりは相場を見るだけでは足りません。「自社の班で施工した時の原価」と照らし合わせて、受けてよい金額かを判断する必要があります。

そして、受注後がさらに大事です。

工事が終わったら、必ず実績原価を振り返ります。

  • 見積もった人工と実際の人工は合っていたか
  • 材料の数量差はどこで出たか
  • リース日数は延びたか
  • 追加作業を請求できたか
  • 現場管理に何時間かかったか
  • 粗利は想定通り残ったか

この振り返りを1件ごとに残すと、次の見積もりが強くなります。

請負の見積もり力は、最初から持っているものではなく、実行予算と実績原価の差を埋めながら育てるものです。

まとめ

労務提供型の会社が請負工事に進む時、最大の壁は「現場ができるか」だけではありません。

人がいる。班も組める。資格も取り始めている。書類や出面の仕組みもある。そこまで整っていても、見積もりの組み方が見えないと、受注判断が止まります。

特に初回の請負では、材料費、人工、外注費、重機・リース費、工期、管理費、予備費、利益を分解して考える必要があります。

請負化で大切なのは、大きな案件をいきなり取ることではなく、小さな案件で「自社の原価の読み方」をつくることです。

そのためには、見積書の見た目を整える前に、実行予算を組むこと。工事後に実績原価を振り返ること。次の見積もりに反映すること。

この流れができると、請負は少しずつ怖いものではなくなります。

「うちなら何人で、何日で、いくら残せるか」

この問いに答えられるようになることが、労務提供型から請負型へ進む最初の一歩です。

請負化の見積もりと実行予算を、まずは自社の数字で整理する

請負工事に進みたいけれど、材料数量や人工、リース費、利益率の置き方がまだ不安。そう感じる段階では、いきなり営業先を増やすより、自社の体制で受けられる工事範囲と原価の組み方を整理するのが近道です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。請負化に向けた実行予算づくりや、初回案件の受注設計も、会社の現在地に合わせて一緒に考えることができます。

「うちの場合は、どの工事から請負にしたらよいか」「見積もりのどこから整理すべきか分からない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、情報整理の場として気軽にご相談ください。

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