前提

佐賀県で表電を中心に動く5名弱の電気工事会社が、既存サブコンの仕事を軸に年商1億円前後をつくっている状態

佐賀県内を中心に、工場・ホテル・商業施設・オフィスビルなどの電気工事を手がける、5名弱の専門工事会社の話です。外部の応援職人が数名入ることはありますが、基本的には自社側で現場を回し、丸投げの外注はほとんどしていません。

売上は年によって変動しながらも1億円前後。主な仕事は、長く付き合いのある大手サブコンや地場サブコンからの依頼です。特定の1社に寄る年もあれば、別のサブコンの案件が大きく入り、半々に近くなる年もあります。

この会社の強みは、単に「電気工事ができる」ことではありません。社長の言葉を借りると、既存サブコンからの扱われ方は「緊急部隊」「火消し」に近いものです。

「ガチャガチャになってきた現場は、うちが消しに行くような感じです」

工事が詰まっている、納まりが難しい、人を投入しないと現場が危ない。そういう局面で声がかかるため、単価面でも比較的よい立ち位置を取れている状態です。既存取引の中で“困ったときに呼ばれる会社”になっていること自体が、すでに大きな営業資産です。

一方で、地域の大型案件や再開発が一巡し、今後は地元だけで安定的に仕事が続くとは限りません。近隣県では半導体関連や大型施設の需要もあり、電気工事そのものの需要は強い。それでも、自社の人数・管理体制・既存先との関係を考えると、やみくもに取引先を増やせばよいわけではありません。

この会社の現在地は、「仕事がないから営業したい」のではなく、「既存の良い関係を守りながら、工事の切れ目に備えるパイプを持ちたい」という段階です。

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  • 7月2日防水工事会社茨城県
  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

新しい取引先は欲しいが、増やしすぎるとダブルブッキングと既存先との競合が起きる

このテーマの難しさは、販路開拓そのものではなく、既存サブコンとの距離感にあります。

社長は、新しいパイプの必要性を感じています。既存サブコンの工事が空く時期、着工がずれる時期、次の現場が始まるまでの間を埋められる取引先があれば、職人を遊ばせずに済みます。

ただし、社長は同時にこうも話していました。

「パイプは作りすぎてもいかんって、昔から思っとるんです」

理由は明確です。あちこちに良い顔をしようとすると、同じ時期に複数社から声がかかり、受けきれなくなる。さらに、サブコン同士が同じ案件の見積に入っていることもあります。下手な立ち回りをすると、どこかの現場で既存先と競合したり、「あそこにも顔を出しているのか」と角が立ったりする可能性があります。

「下手な立ち回り方をすると、どこからも外される可能性もゼロじゃない」

これは、専門工事会社の営業でかなり本質的な感覚です。特に、サブコン経由の仕事で一定の信頼を積んできた会社ほど、単純に新規開拓件数を増やすだけでは危うくなります。

販路開拓で最初に考えるべきことは、“何社に会うか”ではなく、“どの仕事なら既存取引を壊さずに受けられるか”です。

この会社の場合、住宅のような小口案件は規模が合いません。社長も「住宅は規模が合わんでしょう」と話していました。月に何棟も細かく回すより、一定規模の建物で、表電を中心に自社の得意領域が活きる仕事のほうが合っています。

つまり、課題は「営業先を増やすこと」ではありません。自社に合う取引先だけを選び、既存先との関係を守りながら、空白期間を埋める導線をつくることです。

背景

地域需要の波とサブコン都合の着工ずれが、職人を遊ばせないための別パイプを必要にしている

背景には、建設業特有の工事の波があります。

この会社は、以前は九州内をあちこち動いていましたが、近年は地元県内の仕事が中心でした。新幹線関連や再開発などもあり、地域として忙しい時期が続いていたからです。ただ、そうした大型需要が一段落すると、地元だけで同じ密度の仕事が続くとは限りません。

社長は、建設業の難しさをこう表現していました。

「終わったら一旦終わる。次が始まるまで時間がかかる。それをラップしていくと、だんだんきつくなる」

ひとつの現場が終盤に入り、次の現場がまだ始まらない。サブコン側では受注していても、着工がずれる。図面や段取りの都合で、現場に入る時期が後ろ倒しになる。こうしたズレは、専門工事会社側ではコントロールしきれません。

一方で、職人は日々動いています。社員を抱えている以上、「空いたから休ませる」というわけにもいきません。特に若手を育てている会社では、現場が空くことは売上だけでなく、育成機会のロスにもつながります。

この会社では採用にも取り組み、SNSや求人媒体にも力を入れています。ただし、採用を一気に増やすつもりはありません。未経験者を入れれば、教育が必要です。先輩職人の手も取られます。

「入れればいいっていう仕事では、どうしてもないけんが」

この感覚も重要です。販路を増やすには人が必要ですが、人を増やすには仕事の見通しが必要です。元請けに寄せるなら施工管理や積算の体制も必要になりますが、その仕事が見えていない段階で先に人を構えるのは難しい。

そのため、現実的な選択肢は、いきなり元請け化を進めることではなく、既存サブコンの仕事を主軸にしたまま、空きが出る時期に相性のよい別サブコンの仕事を差し込める状態をつくることです。

ここで大事になるのが、取引先の“名前の大きさ”ではありません。社長は、大手企業との接点についても冷静でした。

「上の人間と一気につながるのが、いいのか悪いのかも分からん。うちの規模じゃちょっとね、って逆にならんかなって」

大手の執行側や上層部につながれること自体は魅力があります。ただ、自社の施工キャパや実績の見せ方が整理されていないまま上の窓口に行くと、期待値が合わない可能性もあります。逆に、現場担当者レベルから小さく入りすぎると、規模の合わない案件ばかりになる可能性もあります。

新しいパイプづくりでは、“誰につながるか”より先に、“どの規模・どの工種・どの時期の仕事なら受けたいか”を決めておく必要があります。

解決

販路開拓の前に、受けたい工事・受けられる量・避けたい案件を決めてから窓口を選ぶ

既存サブコンとの関係を守りながら新しい取引先を増やすには、営業先リストを広げる前に、自社側の条件を整理することが先です。

特に、今回のような電気工事会社であれば、次の4つを明確にしておくと、営業の打ち手がかなり絞りやすくなります。

  • 対応可能工種:表電を中心に、どこまでを自社の得意領域として出すか
  • 施工キャパ:社員数・応援職人・教育中の若手を踏まえ、どの規模まで受けるか
  • 避けたい案件:住宅のような小口、長期拘束が強すぎる案件、専門外の工種など
  • 既存先との棲み分け:競合しやすい案件、見積に入ると角が立つ相手を把握すること

この整理がないまま大手企業にアプローチすると、「何でもできます」と言ってしまいがちです。しかし、専門工事会社の営業では、何でもできるよりも、“この条件なら強い”が伝わるほうが次につながります。

今回の会社でいえば、打ち出すべき強みはかなり明確です。

「工場でもホテルでも商業施設でも、振られたものはやってきた」 「大きい建物の表電が基本」 「現場が詰まったときに火消しで入れる」

これらは、単なる施工実績ではなく、取引先から見た発注理由になります。新規先に伝えるなら、次のような表現に整理できます。

「大規模建物の表電を中心に、工程が詰まった現場や人員投入が必要な局面で、少数精鋭で対応してきた会社です」

ここまで言語化できると、狙うべき取引先も見えてきます。

まず、既存先と真正面から競合する取引先は慎重に扱うべきです。同じ案件で複数サブコンが見積に入る構造があるなら、むやみに顔を出すのは避けたほうがよい場面もあります。

次に狙うべきは、既存先の仕事が空いたときに補完関係になりやすい相手です。たとえば、次のような取引先です。

  • 地域や時期が少しずれており、既存先の繁忙期・閑散期と重なりにくいサブコン
  • 表電や大型建物の実績を評価しやすい設備系企業
  • 小口住宅ではなく、商業施設・工場・ホテル・オフィスビルなどの一定規模を扱う会社
  • 最初から大規模常駐ではなく、スポットや部分工事から相性を確認できる会社

新規取引先は、“たくさん持つ”のではなく、“穴埋めとして機能する少数の良い先を持つ”という考え方が合います。

また、窓口選びも大事です。

社長は「知らんところはいらん」「こっちが欲しいところにアポを取ってほしい」と話していました。これはかなり実務的な感覚です。全く知らないプラント系や専門外の電気工事を紹介されても、動きようがありません。電気工事と一口に言っても、強電・弱電・計装・通信・住宅・店舗・大型建物では、必要な体制も利益の出方も違います。

そのため、窓口は次の順で考えると現実的です。

  1. 自社が分かる工種・現場種類を扱っている会社を選ぶ
  2. 既存先との競合が起きにくい地域・案件種別を確認する
  3. いきなり上層部だけでなく、現場を分かる責任者につながる導線を持つ
  4. 初回から大きく受けず、対応範囲を限定して試す

大手企業の上層部につながること自体は、悪いことではありません。ただし、自社の規模に合わない期待値を持たれると、後が苦しくなります。反対に、現場担当者だけだと小口の依頼に寄りすぎることもあります。

大事なのは、自社のキャパに合う規模感を理解してくれる窓口につながることです。上層部か現場担当者かではなく、「この会社に何を頼むとよいか」を理解してくれる相手かどうかを見たほうがよいです。

進め方としては、最初から新規先を何社も増やす必要はありません。まずは、既存取引を守るルールを社内で決めることです。

たとえば、次のような基準です。

  • 既存サブコンと同じ案件に入る可能性がある場合は、事前に確認する
  • 新規先には「常時対応」ではなく「時期と工種が合う場合に対応」と伝える
  • 受ける工事規模の上限・下限を決めておく
  • 住宅や小口案件など、合わない仕事は最初から断る
  • 若手育成中の時期は、教育に支障が出る長期拘束案件を避ける

この基準があると、営業先から声がかかったときに迷いにくくなります。結果として、既存先にも誠実に立ち回れます。

販路開拓は、既存先を裏切る動きではありません。既存先に迷惑をかけない範囲を決めたうえで、自社の空白を埋めるための経営判断です。

まとめ

既存サブコンから安定して仕事がある会社ほど、新しい取引先を増やす判断は慎重になります。仕事が欲しいからといって、どこにでも顔を出すと、ダブルブッキングや既存先との競合が起きやすくなるからです。

今回のように、少数精鋭で大きめの建物の表電を担い、既存サブコンから“火消し”として頼られている会社には、その立ち位置自体に価値があります。だからこそ、新規開拓ではその価値を崩さないことが大前提になります。

整理すべき順番は、営業先ではなく自社側の条件です。

受けたい工種、受けられる施工キャパ、避けたい案件、既存先と競合しない範囲を決めること。

そのうえで、穴埋めになる取引先、規模感が合う取引先、自社の強みが伝わる窓口を選んでいく。これが、既存サブコンとの関係を守りながら販路を広げる現実的な進め方です。

新しいパイプは、多ければよいものではありません。自社の職人を遊ばせず、既存先にも迷惑をかけず、無理なく利益を残せる少数の取引先を持つことが、中小の専門工事会社にとっては強い営業基盤になります。

既存取引を守りながら販路を広げたいときの整理先

「うちの場合、どの取引先なら角が立たないのか」「新規先に何を強みとして伝えればよいのか」「そもそも今は販路開拓より体制づくりが先なのか」と感じる場合は、一度、自社の状況を外から整理してみるだけでも判断しやすくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大、採用、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで、現場と経営の両面から課題を整理し、実行まで支援しています。既存サブコンとの関係を大切にしながら、次の取引先をどう考えるべきかという段階でも相談できます。

無理な営業はいたしませんので、「まだ考えがまとまっていない」「何から整理すべきかわからない」という段階でも、必要に応じてお声がけください。

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