関西のガラス・サッシ工事会社で、紹介と長年の付き合いが受注の中心になっている状態
関西圏を拠点に、ガラス・サッシまわりの工事を手がけるある専門工事会社では、仕事量そのものには困っていませんでした。
むしろ社長の感覚としては、「仕事はめちゃめちゃある。無理せず行けるなら、新しい先もありかな」という状態です。
受注の入口は、社長自身の紹介が中心です。若い頃からの地域団体でのつながり、先輩経営者からの紹介、親族や父親世代から続く縁。そうした関係から、自然と声がかかってきます。
既存取引先の中には、25年近く付き合いが続く先もあります。取引先はおよそ20社前後。長く続いている分、無理に広げなくても仕事は回ります。
一方で、社長の頭の中には次のテーマがありました。
あと2〜3年で後継者へ渡す前に、利益率の高い取引をもう少し会社側に残しておきたい。
すでに何社かは息子さんへ引き継ぎ始めています。社長も「息子も急にはできないから、少しずつ譲っている」と話していました。
ただ、ここで大事なのは、単に名刺を渡すことではありません。
社長個人に紐づいた信頼を、後継者が使える会社の信用に変えていくことです。ここを整理できるかどうかで、次の代の利益体質は大きく変わります。
1週間で 12件ダウンロード されました
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
- 6月16日電気設備工事会社東京都
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
- 6月11日プラント工事会社京都府
- 6月11日空調設備工事会社神奈川県
- 6月11日空調設備工事会社茨城県
- 6月11日総合土木長野県
- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
- 6月10日内装工事会社愛知県
- 6月9日設備保全会社京都府
- 6月9日総合土木北海道
- 6月9日設備保全会社山口県
- 6月8日防水工事会社兵庫県
- 6月8日電気設備工事会社神奈川県
- 6月8日内装工事会社大阪府
- 6月5日リフォーム会社愛知県
- 6月5日プラント工事会社香川県
社長個人の人脈で取れている利益率の高い仕事を、そのまま後継者が引き継げるとは限らない
この会社の悩みは、「仕事がない」ことではありません。
課題は、仕事の入口が社長個人に寄っていることです。
紹介で仕事が来る会社は、営業コストが低く、価格競争にも巻き込まれにくい傾向があります。特に専門工事会社では、長年の施工実績や現場対応への信頼が、次の仕事につながります。
ただし、その信頼が社長個人に強く結びついている場合、代替わりのタイミングで少し揺れます。
たとえば、次のようなことが起こりやすくなります。
- 後継者は面識があっても、先方の本音をまだつかめていない
- どの取引先が利益率に貢献しているか、社長の感覚に残っている
- 既存先との関係を壊したくないため、新規開拓の優先順位が曖昧になる
- 大手や有名企業に行けばよいわけではなく、自社の体制に合う先を選ぶ必要がある
実際、この会社でも、大手デベロッパーや大型ゼネコンの名前が出たとき、社長はすぐにこう反応しました。
「規模が大きいですね。うちで対応できるのかな、というのが一番です」
さらに、既存の長い取引先を抱えながら大型案件へ振り切ることにも慎重でした。
後継者へ残すべきものは、売上規模の大きい案件ではなく、次の代でも無理なく利益が残る取引構造です。
ここを間違えると、せっかくの承継準備が「大きい仕事を取ったが、現場も資金も苦しくなった」という形になってしまいます。
25年続く取引先を守りながら、利益率の高い直接取引先を数本仕込む必要がある
この会社が慎重だったのは、守るべき既存取引があるからです。
20社近い取引先の中には、長年の信頼で続いている先があります。改修工事や店舗・施設系の仕事、メーカーや元請け経由の仕事など、入口は複数あります。
一方で、取引先候補を見ていくと、社長の判断軸はかなり明確でした。
「有名企業かどうか」よりも、「利益率が合うか」「既存先とぶつからないか」「自社の職人・協力会社体制で無理なく回せるか」。
たとえば、マンション系の大手は安いという評判がありました。物件数は多くても、価格を叩かれやすいなら、後継者に渡す資産としては慎重に見たほうがよい。
大型開発に強い大手デベロッパーも、案件規模が大きすぎれば、既存先の工事に影響します。
社長は、「全部を捨ててそこ一本でいくなら別だけど、今のお客さんも長い付き合いなので」と話していました。
この感覚は、とても現実的です。
承継前の新規開拓では、派手な大型案件を狙うより、既存事業を崩さずに、利益率の高い直取引や準直取引を1〜2本増やすことのほうが価値があります。
特に後継者の代を考えるなら、次のような取引先が候補になります。
- 既存取引先と商流がぶつかりにくい先
- 大型すぎず、自社の職人・協力会社で対応できる先
- 改修・更新など、継続的に案件が出る先
- 価格だけでなく、品質や対応力を見てくれる先
- 担当者や部署ごとに関係を広げられる先
この会社では、サッシメーカーや建材メーカー系のルートにも関心がありました。
理由はシンプルです。
人手不足が進む中で、メーカー側も信頼できる施工会社を必要としている可能性があるからです。
「サッシメーカーは人が足りなくなってきているのでは。そこが入りやすくて、利益率も高いのではないか」という社長の見立ては、承継前の営業戦略として筋が通っています。
取引先承継は、既存先の引き継ぎと新しい高利益ルートづくりを2〜3年で並行して進める
後継者へ会社を渡す前の2〜3年でやるべきことは、大きく3つです。
第一に、既存取引先を「社長の感覚」から「会社の管理情報」に変えること。
長年の付き合いほど、情報が社長の頭の中に残りがちです。
「あそこは昔からの付き合いだから大事」「あの担当者は話が早い」「あの会社は仕事量はあるが利益が薄い」
こうした判断は、後継者にとって非常に価値があります。ただ、口頭で少しずつ伝えるだけでは抜け漏れが出ます。
まずは既存取引先を、次のように整理しておくとよいです。
- 年間の売上規模
- 粗利率・手残り感
- 支払い条件
- 現場の段取りのしやすさ
- 担当者との関係性
- 後継者がすでに面識を持っているか
- 今後も伸ばしたい先か、現状維持でよい先か
ここで大事なのは、売上順だけで並べないことです。
承継で本当に残したいのは、売上の大きい取引先ではなく、利益と現場負荷のバランスがよい取引先です。
第二に、後継者を少しずつ前面に出すことです。
すでにこの会社では、何社かを息子さんへ譲り始めていました。これは良い進め方です。
ただし、単に担当を変えるだけではなく、段階を踏むほうが安定します。
たとえば、次の順番です。
- 社長同席で、後継者を正式に紹介する
- 小さな案件や定例連絡を後継者が受ける
- 見積・工程・現場判断の一部を後継者が担う
- 社長は重要局面だけ同席する
- 先方から後継者へ直接連絡が入る状態にする
この流れを取ると、取引先側も安心します。
「社長が退く」のではなく、「会社として次の体制に移る」と伝わるからです。
第三に、新しい高利益ルートを1〜2本仕込むことです。
既存取引先の引き継ぎだけでは、社長の代で築いた構造を維持することはできます。ただ、後継者の代で会社を少し良くするには、新しい柱も必要です。
ここで狙うべきは、何でもよい新規先ではありません。
既存先とぶつからず、今の体制で無理なく対応でき、利益率の改善が見込める直接取引先です。
候補を考えるときは、次の4つで絞ると現実的です。
- 既存先とのバッティングがないか
- 案件規模が大きすぎないか
- 価格競争に巻き込まれにくいか
- 継続案件や改修案件が見込めるか
大手企業や有名元請けとの接点は魅力的です。ただ、社長が感じていた通り、規模が大きすぎる先は慎重に見たほうがよいです。
反対に、メーカー系・改修系・部署別に発注権限が分かれる先などは、専門工事会社にとって入り口を作りやすい場合があります。
そのうえで、関係を会社の資産にするには、接点づくりも属人化させないことです。
初回の紹介や面談は社長の人脈でも構いません。しかし、その後は必ず会社側に記録を残します。
- 誰からの紹介か
- 先方の部署・担当者は誰か
- どの工事領域に関心があるか
- どの条件なら利益が合うか
- 次回接点を誰が持つか
- 後継者をどのタイミングで同席させるか
人脈を会社の資産に変えるとは、紹介者の名前を残すことではなく、次の担当者が関係を続けられる状態にすることです。
まとめ
社長個人の紹介で仕事が回っている会社は、強い会社です。
信頼があるから紹介されます。実績があるから次の仕事が来ます。価格だけで選ばれていないから、利益も残しやすい。
ただ、後継者へ渡す前には、その強さを少しだけ会社側に移しておく必要があります。
承継前の2〜3年で見るべきポイントは、既存取引先の引き継ぎ、新しい高利益ルートの仕込み、属人的な関係情報の見える化です。
大手に行けばよいわけではありません。売上を大きくすればよいわけでもありません。
自社の職人・協力会社体制で無理なく回せること。既存の長い付き合いを壊さないこと。後継者の代でも利益が残ること。
この3つを満たす取引先を、1〜2本でも仕込めると、承継後の安心感はかなり変わります。
社長の人脈を後継者へ渡すのではなく、社長の人脈を会社の営業資産に変えてから渡す。
それが、次の代にとって一番使いやすい承継準備になります。
後継者へ渡す取引先と、新しく仕込む取引先を一緒に整理する
「どの取引先から後継者へ引き継ぐべきか」「新しい直接取引先を狙うなら、どのルートが現実的か」は、会社ごとに答えが変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、組織、人材、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。
後継者へ渡す前の取引先整理や、既存先とぶつからない新規ルートづくりについて、「うちの場合は何から考えるべきか」という段階でもご相談いただけます。無理な営業はいたしませんので、状況整理の場として使ってください。



































