アクセス工事一筋から、無線・有線を扱う20名弱の通信工事会社へ広げてきた現在地
首都圏を中心に通信設備工事を手がける、20名弱の会社があります。創業当初は、特定の元請から受注するアクセス工事が事業の中心でした。
アクセス工事は、電柱間などに敷設された通信ケーブルを扱う仕事です。以前は、未経験者を現場に同行させながら育てる余地もありました。しかし現在は、一人で高所作業車に乗り、複数箇所を回る形が増えています。出来高で単価が積み上がるため、新人を同乗させるほど一人当たりの生産性が下がりやすい構造です。
「昔は2人で現場に入っても、それぞれの人工を見てもらえました。だから教えながら人を増やせたんです」
今は教育に数年かかる一方、その間の人件費を工事収入だけで吸収しにくくなっています。安全管理も細かくなり、作業状況をカメラで確認される現場もあります。
そこで同社は、一社・一工種への依存を減らしてきました。屋内の通信設備工事をはじめ、無線、有線、開通、保守などへ対応範囲を広げています。
「軸は全部です。分散がメインです」
事業分散の出発点は、売上を増やすことだけではありません。発注側に単価を決められやすい取引構造から、少しずつ選択肢を増やすことにあります。
1週間で 16件の相談 がありました
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
- 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
- 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
- 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
- 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
- 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
- 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
- 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
- 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
- 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
- 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
- 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
- 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
高い事故リスクと管理負担を負っても、発注側が決めた単価では利益を残しにくい構造
一社・一工種への依存が難しいのは、仕事量の増減だけが理由ではありません。負う責任に対して、自社で単価や受注条件を調整しにくいことが大きな問題です。
通信工事は、回線を誤って切れば周辺への影響が広がります。基地局や設備を止めれば、大きな問題につながりかねません。現場では高い技術と慎重な作業が求められます。
一方、発注単価は元請側のルールで決まりやすく、細かな工程ごとの出来高になることもあります。
「どこまでいっても、単価は向こうに決められてしまいます。回線を少し切っただけでも大きな問題になる。リスクだけは大きいんです」
人を増やすにも壁があります。一人で完結する工事へ新人を同行させれば、同じ売上を2人で分ける形になります。教育期間が長いほど、会社側の持ち出しも続きます。
だからといって、受けられる工事を無条件に増やせばよいわけでもありません。工種ごとに必要な技術、車両、材料、管理方法が異なれば、売上が増えても稼働率や粗利が下がることがあります。
依存から抜けるための多角化が、設備・運搬・教育の重複を生み、新たな固定負担になる可能性もあります。
「一式で受ければ強い」という発想が、異なる荷物と車両による無駄を生んだ経験
同社にも、対応範囲を大きく広げようとした時期がありました。接続、外線、電柱関連、切り替えなど、エリア内の工事をまとめて受けられる体制を目指したのです。
工事を一式で受けられれば、元請にとって頼みやすい会社になります。自社で完結できる範囲が広がり、受注機会も増えるように見えます。
しかし、実際に動かすと別の問題が出ました。
「運ぶ荷物が違う。車両も違う。全部できるようにした結果、結局は無駄が出たんです」
一つの班や一台の車両で複数工種を回せなければ、工種ごとに人員、車両、機材を持つことになります。案件量が安定しない間も、その固定負担は残ります。
一方、屋内の通信設備工事は、複数人のチームで動きます。大人数の現場であれば、新人を一人、二人と配置し、ケーブルを引く、指定された機器を取り付けるといった作業から経験を積ませやすくなります。教育人員を見積もりに含められる余地もあります。
ここには、工種を選ぶうえで重要な違いがあります。
- 一人で完結する工事か、集団で動く工事か
- 新人を配置しても班全体の生産性を保てるか
- 既存の技術や管理方法を使えるか
- 車両や機材を共用できるか
- 教育中の人件費を受注額で吸収できるか
工種の数ではなく、既存の人員・技術・設備をどこまで共用できるかが、分散の成否を左右します。
既存技術との共通性から粗利と継続受注まで、六つの軸で新しい工種と取引先を比べる進め方
事業分散を進める際は、「受注できそうか」だけで判断しないことが大切です。候補となる工種や取引先を、同じ項目で横並びにすると整理しやすくなります。
1.既存技術との共通性
最初に見るのは、現在の社員が持つ技術を転用できるかです。同社が無線と有線の双方へ広げられた背景には、通信設備を扱ってきた技術の蓄積があります。
完全な未経験分野へ進むより、既存社員が理解しやすく、安全管理や品質基準にも共通点がある工種のほうが立ち上げ負担を抑えられます。
2.人員配置のしやすさ
次に、一人作業なのか、複数人で動くのかを確認します。特に採用と育成を続けたい会社では、新人をどこに配置できるかが重要です。
「仕事がある」だけでなく、次の状態まで見ておく必要があります。
- 経験者だけでなければ成立しないか
- 新人が担当できる工程があるか
- 教える人の生産性が大きく落ちないか
- 複数工種の繁閑に合わせて人を移せるか
人を増やしたい会社では、新しい工種が教育の受け皿になるかどうかも判断軸になります。
3.必要な車両・機材・運搬方法
新しい工種を始めるたびに、専用車両や専用機材が必要になると、稼働率が低い設備を抱えやすくなります。
既存車両に積めるのか。材料の運搬方法は共通か。保管場所を増やさずに済むのか。案件が少ない時期に、別工種でも使えるのか。受注前にここまで確認しておきたいところです。
4.教育期間と独り立ちまでの負担
「何年で一人前になるか」だけでは足りません。その期間中に、どの工事へ配置でき、どれだけ売上に参加できるかまで見ます。
教育期間が長くても、集団で動く現場で段階的に仕事を任せられるなら、会社の負担は変わります。反対に、一人前になるまで常に経験者との2人配置が必要なら、受注単価とのバランスを慎重に見る必要があります。
5.管理負担と事故リスクを含めた粗利
粗利は、材料費と外注費を引くだけでは見誤ります。現場確認、安全書類、元請との調整、手直し、教育担当者の時間まで含めて比べる必要があります。
特に通信設備のように、一度の事故が広い範囲へ影響する工事では、単価だけでなく責任範囲も確認します。
売上が大きい工事より、管理負担と事故リスクを差し引いた後に利益が残る工事を優先する視点が欠かせません。
6.継続受注と取引先の分散
単発の大型案件だけでは、専用人員や車両を持ち続けにくくなります。年間を通じて案件があるか、既存工事の閑散期を補えるか、別の取引先にも同じ技術を提供できるかを確認します。
一工種を複数の取引先へ提供できれば、元請一社への依存を下げられます。反対に、新しい工種でも発注元が同じなら、工種は分散していても取引先リスクは残ります。
候補を比べる際は、次の六項目を一枚に並べると判断しやすくなります。
- 既存技術との共通性
- 人員配置のしやすさ
- 車両・機材の共用可能性
- 教育期間中の収益性
- 管理負担と事故リスクを含む粗利
- 継続受注と取引先分散の見込み
すべてを一度に広げる必要はありません。共通性が高く、追加設備が少なく、既存社員を無理なく配置できる工種から比重を上げるほうが進めやすくなります。
まとめ
元請一社・一工種への依存は、受注量だけの問題ではありません。単価の決定権、事故時の責任、教育負担、設備稼働率まで含めて考える必要があります。
一方、依存を減らそうとして何でも自社対応にすると、異なる車両や機材を抱え、かえって利益が残らなくなることがあります。
目指したいのは工種数の多い会社ではなく、人・技術・車両を共用しながら、複数の取引先から継続受注できる会社です。
まずは現在の工事を取引先別・工種別に分け、粗利、教育負担、必要設備、事故リスクを並べるところから始めると、自社が強めるべき仕事と減らすべき依存が見えやすくなります。
自社に合う事業の分散先を整理したいときに
「一社依存を減らしたいが、どの工種へ広げるべきか分からない」「売上はあるのに、管理負担まで含めると利益が見えにくい」という段階でも、整理できることがあります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、人員配置、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。事業分散についても、既存技術や車両を活かせる工種、取引先別の収益性、必要な人員体制を一緒に確認できます。
まだ方針が固まっていなくても問題ありません。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、自社の場合に何から整理すべきかを考える場としてご活用ください。



























