20名弱で複数の通信工事を手がけ、30名台への拡大を目指す会社の現在地
首都圏で通信工事を手がける、20名弱の専門工事会社があります。もともとは屋外のアクセス工事を主力としていましたが、現在は屋内通信設備、光回線、無線、有線などへ施工領域を広げています。
一社、一分野への依存を減らし、「何でもできる体制」をつくってきました。現場もあります。今後は30名台まで社員を増やしたい考えです。
一方で、求人媒体を継続して使っても反応は鈍く、未経験者の育成にも大きな負担があります。新しい人の教育について尋ねると、返ってきたのは「現場に行くだけです」という言葉でした。
これは教育を軽視しているという話ではありません。通信工事では、現場に同行させながら覚えてもらう形が長く続いてきました。ところが、今の単価と施工体制では、そのOJTが採算に合いにくくなっています。
人を増やしたいのに、未経験者を受け入れるほど既存社員の生産性が下がる。通信工事会社の採用では、この矛盾を先に解く必要があります。
1週間で 16件の相談 がありました
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
- 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
- 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
- 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
- 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
- 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
- 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
- 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
- 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
- 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
- 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
- 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
- 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
一人作業の出来高現場では、同行期間が長いほど熟練者の売上が落ちる構造
アクセス工事や開通工事の一部は、一人で現場を回って完結させる仕事です。熟練者は高所作業車などで複数の現場を回り、一日の出来高を積み上げます。
「一人で完結する仕事に、もう一人を乗せて回ることになる。そうすると、一人分の売上を二人で分けるようなものです」
新人を同行させても、単純に処理件数が倍になるわけではありません。むしろ説明や確認に時間がかかり、熟練者が一人で回るときより件数が落ちることもあります。
現場によっては、単独作業を認められるまで長い経験期間が必要です。光ファイバーなどの細かな作業に加え、安全上のルールも厳しく、未経験者へすぐに任せられる仕事は限られます。
安全行動をカメラで確認する現場もあります。昇降時の動作など、細かな部分まで指摘対象になります。通信設備は、施工ミスが電話回線や周辺設備へ影響する可能性もあるため、「見ながら覚えてもらう」だけでは任せにくい仕事です。
「3年かけて、やっと一人立ちできる。その間の給料をどこで稼ぐのか、という話です」
新人の給与だけが育成費ではありません。同行する熟練者の処理件数と粗利が下がる分も、会社が負担している教育コストです。
人を育てられた時代と違い、人数ではなく工程ごとの出来高で単価が決まる現場
以前は、二人で現場に入れば二人分の人工を見込める仕事もありました。その条件なら、一人が作業し、もう一人に教えながら進めても会社の収支は成り立ちます。
相談企業の経営者も、当時をこう振り返ります。
「二人で入れば、その人数分を見てもらえた。だから教えられたし、人も増やせました」
現在は、接続や取り付けなどの工程単位で金額が決まる出来高型の仕事が増えています。二人で施工しても、完成する工程が同じなら売上は増えません。そのため、同行者が増えた分だけ利益が薄くなります。
ただし、同じ通信工事でも、すべての現場が同じ構造ではありません。
屋内設備など、5人、10人でまとまって動く現場では、新人にも任せやすい作業があります。相談企業では、「ケーブルを引っ張る」「指定されたものを取り付ける」といった作業を切り出し、経験の浅い人をチームに加えることが可能でした。見積もりの段階から補助人員を含められる案件もあります。
一方、一人で複数箇所を回る仕事では、新人一人を同行させる影響が大きくなります。
育成が難しい原因は、若手の姿勢や教え方だけではありません。新人を受け入れやすい現場と、受け入れるほど採算が悪化する現場が混在していることが背景にあります。
この区別をしないまま「まず採用して、現場で育てよう」とすると、配属先の都合で教育内容が変わります。教える社員も固定されません。結果として、独り立ちまでの期間も育成費も見えにくくなります。
経験者を採りたいという判断も自然です。ただ、経験者だけに絞ると採用対象は狭くなります。未経験者を採るか、経験者を待つかを考える前に、まず自社の現場を育成向きかどうかで分ける必要があります。
複数人現場から仕事を段階的に渡し、採用前に育成原価を確認する設計
教育体制を組み直すときは、研修資料をつくることから始める必要はありません。先に整理したいのは、どの現場で、誰が、何を教え、いつ一人分の粗利を生み始めるかです。
進め方は、次の4段階に分けると整理しやすくなります。
1.現場を「育成向き」と「単独稼働向き」に分ける
まず、受注している工事を教育のしやすさで分類します。
- 複数人で動き、新人を一人加えても全体の生産性が大きく落ちない現場
- ケーブルの運搬や敷設、取り付け補助など、作業を切り出せる現場
- 見積もりに補助人員を含められる現場
- 一人で複数箇所を回り、出来高を積み上げる現場
- 安全や品質上、一定の経験がなければ触らせにくい現場
採用直後から一人作業の現場へ同行させるのではなく、最初は複数人現場を育成の受け皿にします。
新人の配属先は、空いている現場ではなく、教えながら粗利を確保できる現場から選ぶことが大切です。
2.「一人前」を待たず、習熟段階ごとに作業を分ける
通信工事では、一人で現場を完結できるまでに時間がかかります。そこで、一人前か未熟かの二択にせず、任せられる作業を段階的に増やします。
たとえば、複数人現場であれば、次のように分けられます。
- ケーブルの運搬や準備を正しく行える
- 指示を受けて敷設や取り付け補助ができる
- 決められた工程を確認付きで担当できる
- 安全・品質基準を守り、一部工程を単独で完了できる
- 現場全体を理解し、一人で施工判断ができる
各段階で「何ができれば次へ進めるか」を決めておけば、現場任せの教育になりにくくなります。新人側も、自分がどこまで進んでいるかを把握できます。
3.教育担当者の時間を先に確保する
教育担当者は、技術力だけで選ぶと稼働が崩れやすくなります。出来高の高い熟練者へ常に新人を同行させれば、会社として最も大きな売上を生む人の処理件数が落ちるためです。
教育担当を決める際は、次の点を確認します。
- 同行によって一日の処理件数がどれだけ変わるか
- 複数人現場の中で教えられる時間があるか
- 新人に切り出せる作業を持っているか
- 安全や品質の確認を無理なく行えるか
- 担当者が変わっても同じ基準で教えられるか
一人の熟練者へ育成を背負わせるのではなく、工程ごとに教える担当を分ける方法もあります。現場の稼働を守りながら、教育負担を平準化しやすくなります。
4.案件単価と育成費を採用前に並べる
採用人数を決める前に、少なくとも次の数字を月単位で置きます。
- 新人の給与と会社負担分
- 教育担当者の処理件数が落ちることによる粗利減少
- 新人が担当できる作業から生まれる売上
- 補助人員を見積もりに含められる案件の粗利
- 単独稼働までに必要な想定期間
育成期間中の収支は、概ね次の考え方で確認できます。
育成期間の収支=新人が担当した作業の粗利-新人の人件費-教育担当者の粗利減少分
この収支が長期間マイナスになるなら、未経験者の採用人数を抑える、経験者採用を優先する、育成向きの案件を増やすといった判断が必要です。
採用支援や奨励制度が利用できても、教育担当者の生産性低下まですべて埋められるとは限りません。制度を使うかどうかより先に、育成期間全体の採算を見ることが欠かせません。
「採用できるか」ではなく、「今の案件構成で何人まで育てられるか」を基準にすると、無理のない採用計画へ変わります。
まとめ
通信工事会社が未経験者を育てにくいのは、教育への意欲が足りないからではありません。一人作業と出来高制が中心の現場では、新人を同行させるほど熟練者の生産性が下がる構造があります。
一方で、複数人で動く屋内工事などには、新人へ段階的に仕事を渡せる余地があります。
採用前に整理したいのは、次の4点です。
- 新人を受け入れやすい複数人現場はどれか
- 習熟段階ごとに、どの作業を任せられるか
- 誰が教え、その間の稼働をどう確保するか
- 単独稼働までの育成費を、案件粗利で回収できるか
教育体制は、教え方だけでなく、配属する現場、案件単価、熟練者の稼働まで含めて設計するものです。
この土台が整えば、未経験者と経験者のどちらを採るべきか、年間で何人まで受け入れられるかも判断しやすくなります。
自社の案件に合った教育体制を整理したい方へ
「新人を採りたいが、どの現場へ入れればよいかわからない」「教育担当を置くと現場が回らない」と感じている場合は、採用方法より先に、案件構成と教育コストを並べてみると整理しやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。教育体制だけでなく、育成に向く案件の見極めや、採用人数と収支の組み立てから一緒に確認できます。
「うちの場合は、何から整理すべきか」という段階でも問題ありません。無理にサービスを勧めることはありませんので、状況の棚卸し先として気軽にご活用ください。



























