前提

首都圏の電飾工事会社では学校経由の若手採用が主な入口になっている

首都圏で電飾・季節装飾に近い工事を手がける、30名台規模の専門工事会社の話です。

中途経験者の採用はほとんどなく、若手採用の入口は専門学校や工業系の学校とのつながりが中心です。学校側から応募の打診があったり、現場経験のある講師の紹介で同じ学校から数年続けて入社があったりします。

入社時点で、フルハーネス特別教育や足場まわりの教育を受けている人もいます。電気工事士を持っている人も一部います。ただ、会社の仕事は一般的な電気工事とも照明工事とも少し違います。イルミネーション、電飾、イベントや季節装飾に近い領域で、現場ごとの動き方やお客様との関係性も独特です。

そのため、資格や学校での学びがあっても、すぐに利益を生む戦力になるわけではありません。

社長の言葉にも、その実感が出ていました。

「会社の中身を覚えてもらうには、やっぱり1年くらいはかかります。そこまでは正直、会社の利益にはなっていないレベルです」

中途経験者を待つより、新卒・未経験を採って育てるしかない会社ほど、採用活動と同じくらい入社後の育成設計が重要になります。

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  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
  • 6月8日内装工事会社大阪府
  • 6月5日リフォーム会社愛知県
  • 6月5日プラント工事会社香川県
  • 6月5日ビルメンテナンス兵庫県
  • 6月5日内装工事会社長崎県
  • 6月4日防水工事会社東京都
  • 6月4日内装工事会社東京都
  • 6月3日総合建築埼玉県
  • 6月3日空調設備工事会社香川県
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課題

採用はできても案件を万能に任せられる人材が育ちきっていない

一番の悩みは、若手が入ってきても「どの現場でも安心して任せられる人材」まで育ちにくいことです。

この会社では、一定数の採用機会はあります。学校経由の応募もあり、まったく人が来ない状態ではありません。むしろ、採用の入口だけを見ると、同規模の専門工事会社の中では恵まれている部分もあります。

ただ、入社後にばらつきが出ます。

社長はこう話していました。

「この案件はこいつに任せられるけど、万能にやれるようなメンバーが育っていないのは確かにあります」

技術が高い人はいます。何をやらせても器用にこなす人もいます。一方で、人との付き合いが得意ではない。後輩への接し方に課題がある。お客様先での振る舞いに不安がある。そうした小さな欠けが、現場の任せ方を限定します。

これは建設業では珍しい話ではありません。

現場人材に求められる力は、単純な技術だけではありません。

  • 作業を安全に進める力
  • 現場ごとの段取りを読む力
  • お客様や元請けとやり取りする力
  • 後輩に教える力
  • 繁忙期にチームで踏ん張る力
  • 自社のやり方を理解して動く力

これらがそろって初めて、社長や幹部が「任せられる」と感じます。

若手育成の課題は、本人の能力差だけではなく、会社として何をどの順番で身につけさせるかが見える化されていないことにあります。

背景

1年は利益化しにくく5年は続いてほしいのに育成が現場任せになりやすい

育成が難しくなる背景には、建設業ならではの時間軸があります。

未経験や新卒は、最初の1年ほどは会社の利益に直結しにくい。工具や材料、現場の流れ、お客様ごとの考え方、自社の段取りを覚える期間が必要です。特に電飾や季節装飾のように、一般的な電気工事と重なりつつも独自性がある仕事では、覚える内容も現場ごとに変わります。

だからこそ、社長としては「せめて5年くらいは」と考えます。

1年かけてようやく会社の中身を覚え、これから利益に変わるというタイミングで辞められると、会社へのダメージは小さくありません。採用費だけでなく、先輩が教えた時間、現場で受け入れた負担も含めて、見えないコストが積み上がっています。

もう一つ、この会社ならではの事情もあります。

若手の一部は、入社してすぐにお客様先へ出向に近い形で入り、そこで現場経験を積みます。お客様先で育つため、技術は身につきます。ただし、その人材はお客様先のカルチャーで育ちます。

戻ってきたときに、すぐ自社の即戦力になるとは限りません。

社長はこの点も率直に話していました。

「技術は持っているんですけど、やり方とか考え方が変わってくる。戻ってくるメンバーが、こっちの仕事をそのまましていたわけではないので」

これは、多くの専門工事会社にも置き換えられます。応援、常駐、出向、元請け現場への長期配置など、外の現場で育つ人材はいます。その経験は大きな財産です。一方で、外で育った経験を自社の戦力に変えるには、自社側の育成基準と受け戻しの設計が必要です。

さらに、教える側の問題もあります。

現場で仕事ができる人が、必ずしも教えるのがうまいとは限りません。若手にどう声をかけるか。どこまで任せるか。失敗したときにどう振り返るか。お客様先での振る舞いをどう伝えるか。

ここが各先輩の感覚に任されると、若手の育ち方も配属先次第になります。

採用数を増やす前に、1年目から5年目までの育ち方を会社として設計することが、定着と戦力化の土台になります。

解決

技能マップと配属基準を作り先輩の教え方までそろえる

最初に取り組みたいのは、教育を「気合い」や「現場慣れ」だけにしないことです。

大きな制度を一気に作る必要はありません。まずは、社長や幹部の頭の中にある「任せられる人材像」を分解します。

たとえば、次のような項目です。

  • 安全:高所作業、フルハーネス、足場まわりの基本動作
  • 技能:電飾・装飾材の扱い、施工手順、撤去作業、養生
  • 段取り:現場前準備、材料確認、車両積み込み、当日の動き
  • 対人:お客様先でのあいさつ、報連相、トラブル時の初動
  • チーム:後輩への声かけ、他職種との調整、繁忙期の連携
  • 自社理解:自社の品質基準、利益感覚、やってよいこと・避けたいこと

これを、1年目、2〜3年目、4〜5年目に分けて整理します。

ポイントは、完璧な評価制度を作ることではありません。「何ができれば、どの現場に出せるのか」を会社の共通言語にすることです。

たとえば、入社1年目は「単独で任せる」ではなく、補助として安全に動けることをゴールにします。2〜3年目は、小規模現場の一部を任せる。4〜5年目は、現場単位で段取りを持ち、後輩を連れて動ける。こうした段階を置くと、本人も先輩も目標を持ちやすくなります。

次に、現場配属の基準を作ります。

「この案件はこいつに任せられる」という判断は大切です。ただ、その判断が社長や一部幹部の勘だけになると、育成が属人化します。

配属基準では、案件の難易度を分けます。

  • 作業内容が定型的な現場
  • お客様対応が多い現場
  • 夜間・短工期で判断力が必要な現場
  • 若手の教育に向いている現場
  • 失敗が許されにくい現場

そのうえで、若手をどの現場に入れるかを決めます。

育成に向いている現場と、まだ任せるべきではない現場を分けるだけでも、若手の成長速度と現場の安心感は変わります。

三つ目は、先輩社員の教え方をそろえることです。

若手に問題があるように見えて、実は教える側が「見て覚えろ」から抜け出せていない場合もあります。もちろん、現場でしか覚えられないことはあります。ただ、今の若手に長く働いてもらうには、教え方にも最低限の型が必要です。

具体的には、次のようなルールで十分です。

  • 作業前に、今日覚えてほしいことを1つ伝える
  • 作業中に、危ないポイントだけはその場で止めて教える
  • 作業後に、できたことと次の課題を短く振り返る
  • 感情ではなく、行動ベースで伝える
  • お客様先での言動は、良い例と悪い例を具体的に共有する

また、技術が高い人ほど、コミュニケーション面の研修が効くこともあります。

別の電気工事会社では、採用強化と同時に、社員向けのコミュニケーション研修やグループワークを行いました。後輩に接するときのスタンス、話を聞く姿勢、会社をどうしていきたいかを話し合う場を設けたことで、社長一人では伝えきれなかった考えが少しずつ共有されていきました。

研修というと堅く聞こえますが、目的は立派な座学ではありません。現場で教える人たちの言葉と基準をそろえることです。

最後に、5年定着を前提にしたキャリア設計を置きます。

若手にとっても、「この会社で5年働くと何ができるようになるのか」が見えることは大切です。

1年目は現場補助。3年目で小さな現場を任される。5年目で後輩を連れて動ける。お客様先で経験を積んだ人は、自社に戻ったときにどの役割を担うのか。こうした道筋があると、本人も将来を考えやすくなります。

出向やお客様先での育成がある会社では、特にここが重要です。

お客様先で育った人材を戻すのか。戻すならいつか。戻した後に自社で何を任せるのか。逆に、お客様先で長く活躍するキャリアも認めるのか。

この整理がないまま採用だけを増やすと、人は増えても社内の中核人材が厚くなりません。

採用数を増やす前に、入社後5年間の技能・配属・教える人・キャリアの流れを一本につなげることが、万能な現場人材を育てる近道です。

まとめ

新卒・未経験採用は、建設業の中小企業にとって現実的な選択肢になっています。中途経験者が採りにくい以上、学校経由や第二新卒を迎え入れ、自社で育てる流れはこれからも増えていきます。

ただし、採っただけでは育ちません。

特に、電飾や季節装飾のように特殊性のある工事では、1年目から利益化しにくく、任せられる現場も限られます。能力や人間性のばらつきもあります。技術はあるが人付き合いが苦手、現場はできるが後輩指導が苦手、外の現場で育ったが自社のやり方には慣れていない。こうしたことは自然に起こります。

だからこそ、見るべきポイントは本人だけではありません。

会社として、どの技能を、どの順番で、どの現場で、誰が、どう教えるのかを決めることが大切です。

まずは、次の4つから整理すると進めやすくなります。

  • 1〜5年目までの技能マップを作る
  • 現場ごとの配属基準を決める
  • 先輩社員の教え方をそろえる
  • 5年定着を前提にキャリアの道筋を見せる

大がかりな制度でなくても構いません。社長や幹部の頭の中にある「この人なら任せられる」という感覚を、少しずつ言葉にしていくことから始められます。

採用と育成を分けて考えず、採った人が5年後にどの現場を任されているかまで設計することが、これからの専門工事会社の人材づくりになります。

自社の若手育成をどこから整えるか考えたいときは

若手を採る入口はある。でも、入社後の育て方が現場任せになっている。万能に任せられる人材がなかなか育たない。お客様先で育った人材を、自社の中核にどうつなげるか悩んでいる。

こうした悩みは、採用だけ、研修だけ、評価制度だけで切り分けると整理しにくいものです。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、採用、人材定着、教育体制、組織づくり、現場運営まで横断して整理し、実行まで支援しています。若手の技能マップづくり、現場配属基準、先輩社員の教え方、5年定着を前提にしたキャリア設計なども、会社の現状に合わせて一緒に考えることができます。

「うちの場合は、まず何から整理すべきか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、考えを整理する場としてご活用ください。

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