前提

見積もりから着工まで約1年空き、社員職人30名弱を抱える内装工事会社の収益構造

北関東にある年商12億円前後の専門工事会社では、売上の約8割を内装工事が占めています。大手ハウスメーカーやゼネコンの新築案件を中心に受注し、社員職人が現場へ常駐できる機動力を強みにしてきました。

一方、直近では本業の営業利益がわずかにマイナスとなっています。大きな要因の一つが、見積もりと着工の時間差です。

「見積もりを出すのは着工の1年くらい前です。契約金額が決まって、実際に始まる頃には資材の値段が上がっています」

さらに、同社には30名弱の社員職人がいます。外注中心の会社とは異なり、人件費や社会保険料などが継続して発生します。ただし、この社員体制が、現場に自社の人間を常駐させられる機動力にもつながっています。

資材高騰だけを切り離して考えるのではなく、見積もりから着工までの時間差と、社員職人を抱える固定費を一緒に捉える必要があります。

1週間で 14件の相談 がありました

  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
  • 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
  • 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
  • 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
  • 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
  • 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
  • 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
  • 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
  • 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
  • 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
  • 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
  • 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
  • 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
  • 7月17日総合土木山形県案件獲得の相談
  • 7月17日電気設備工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 7月16日外構工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月16日塗装工事会社大阪府人材育成の相談
  • 7月16日内装工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 7月16日総合建築岐阜県原価管理の相談
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課題

1年前に決めた契約金額のまま、資材費と外注費の上昇を自社で吸収する状態

問題は、資材価格が上がること自体ではありません。見積時点の原価が古くなっても、契約金額を見直す仕組みがないことです。

同社では、着工前に価格が上がった場合、発注者と負担方法を協議しています。しかし、実際に増額へ応じてもらえる現場は多くありません。

「どう負担するかを協議しても、対応してくれる現場はほとんどありません。そこで本来残るはずだった利益を確保できませんでした」

たとえば、見積時点では採算が合っていた案件でも、着工までに次の原価が変われば利益は縮みます。

  • 内装材などの資材単価
  • 協力会社へ支払う外注単価
  • 社員職人を配置するための人件費
  • 人件費に伴う社会保険料などの負担

特に注意したいのは、売上額が大きい案件です。契約金額が大きくても、原価上昇を反映できなければ、現場が動くほど利益を圧迫することがあります。

受注時には利益があるように見えても、着工時の原価で計算し直すと赤字になっている。この時間差が採算悪化の中心です。

背景

見積有効期限と再協議ルールが曖昧なまま、受注後の値上がりを現場ごとの交渉に委ねている構造

見積もりから着工までの期間が長い工事では、見積書を出した時点の単価を長期間保証するのは難しくなっています。それでも、価格が変動した場合の扱いを先に決めていなければ、着工直前の増額協議になりがちです。

この段階では、すでに発注者側の予算や契約金額が固まっています。施工会社から見れば合理的な申し入れでも、相手が受け入れにくい状況です。

また、仕事量を確保したい時期ほど、「いただける仕事は受けたい」という判断になりやすいものです。社員職人を抱える会社では、現場を空けることにもコストがかかります。そのため、多少採算が薄くても受注する選択には一定の合理性があります。

ただし、次の二つは分けて考えなければなりません。

  • 社員職人の稼働を確保するため、意図して薄い利益で受ける案件
  • 原価が更新されておらず、利益があると思って受けた結果、赤字になる案件

前者は経営判断です。後者は管理上の見落としです。

利益の薄い案件を受けることよりも、最新原価を把握しないまま受注可否を決めることのほうが問題になりやすいといえます。

解決

見積有効期限、価格変動条件、着工前の原価更新を一つの受注ルールとして整える進め方

必要なのは、値上がりが起きてから交渉することではありません。見積提出時から着工前まで、どの時点で原価と契約金額を見直すかを先に決めておくことです。

1.見積書に「いつまでの価格か」を明記する

最初に、見積有効期限を明確にします。有効期限だけでなく、見積金額がどの時点の資材単価と外注単価に基づくものかも記録します。

最低限、案件台帳に次の項目を持たせると整理しやすくなります。

  • 見積提出日
  • 見積有効期限
  • 受注予定日
  • 着工予定日
  • 資材単価の確認日
  • 外注見積もりの取得日
  • 原価を再確認する予定日

見積有効期限は、単に責任を避けるための文言ではありません。発注者へ「この金額を再確認する時期」を共有する役割があります。

見積金額を無期限に固定せず、価格の前提と再確認時期をセットで示すことが第一歩です。

2.価格が動いた場合の再協議条件を受注前に共有する

「価格上昇時は別途協議」とだけ書いても、実際の協議では解釈が分かれます。何が変わった場合に、何を根拠として話し合うのかまで整理しておく必要があります。

再協議条件には、たとえば次のような考え方があります。

  • 指定資材の仕入価格が見積時点から変わった場合
  • 協力会社から有効期限後の再見積もりが出た場合
  • 着工予定が当初より後ろへ延びた場合
  • 発注範囲や仕様が見積時点から変わった場合

再協議では、仕入先の見積書や外注先の再見積もりなど、差額を確認できる資料を用意します。自社の希望額を伝えるだけではなく、見積時と現在で何が、いくら変わったのかを示せる状態にしておくことが重要です。

実際の記載方法や契約書との整合は、発注者との取引条件を踏まえて確認します。大切なのは、着工直前に初めて値上がりを伝えるのではなく、受注前から再協議の可能性を共有することです。

3.見積時、受注時、着工前の3段階で原価を更新する

見積原価を一度作って終わりにすると、着工までの期間が長い案件ほど実態とずれます。少なくとも、次の3段階で更新します。

  1. 見積提出時に基準原価を登録する
  2. 受注・契約時に資材費と外注費を更新する
  3. 着工前に発注価格と配置人員を再確認する

更新時には、総額だけを見るのではなく、資材費、外注費、社員職人の労務費を分けます。どこで差額が発生したかが分かれば、発注者との協議もしやすくなります。

見積原価は保存する数字ではなく、着工まで更新し続ける数字として扱います。

4.社員職人の固定費を案件別採算へ入れる

社員職人が多い会社では、資材費と外注費だけで採算を判断できません。社員職人を何人、何日配置するのかを案件ごとに見積もり、人件費や社会保険料を含めて確認します。

そのうえで、受注可否を次のように分けて考えます。

  • 最新原価でも必要な利益が残る案件
  • 利益は薄いが、社員職人の稼働確保を踏まえて受ける案件
  • 原価上昇分を協議できれば受けられる案件
  • 稼働確保を考慮しても赤字が大きく、条件を見直すべき案件

仕事が薄い時期には、固定費の一部を回収できる案件を受ける判断もあります。ただし、それは最新原価を確認したうえで行う選択です。

「仕事を空けないために受ける」のか、「十分な利益を得るために受ける」のかを案件ごとに明確にすると、受注判断がぶれにくくなります。

5.完工後に見積原価と実際原価の差を残す

完工後は、当初見積、着工前の更新原価、実際原価を比較します。差額の理由は、資材、外注、社員労務、工期変更などに分けて記録します。

この記録が蓄積すると、取引先や工事内容ごとの傾向が見えてきます。

  • 見積もりから着工までの期間が長い取引先
  • 価格変動の再協議がしやすい取引先
  • 仕様を把握するまで利益が安定しにくい工事
  • 外注費の変動が大きい工事

単価の良し悪しだけでは、取引先の採算性は判断できません。支払いへの安心感や仕事量に加え、価格変動への対応も含めて評価する必要があります。

案件別採算を残す目的は、過去の赤字を責めることではなく、次の見積もりと受注判断を正確にすることです。

まとめ

見積もりから着工まで約1年空く工事では、見積時点の原価だけで利益を守ることは難しくなっています。

整えたいのは、次の一連の流れです。

  • 見積有効期限と価格の前提を明記する
  • 価格変動時の再協議条件を受注前に共有する
  • 見積時、受注時、着工前に原価を更新する
  • 社員職人の人件費や社会保険料を案件原価へ反映する
  • 最新原価を基に受注可否を判断する
  • 完工後に見積原価と実際原価の差を残す

社員職人を抱える体制は、固定費だけを見れば負担です。一方で、自社の職人を現場へ常駐させられる機動力は、外注中心の会社にはない強みになります。

守るべきなのは社員体制を削ることではなく、その供給力を維持できるだけの利益が残る受注管理です。

自社の見積もりと案件別採算を整理するところから

見積有効期限をどのように設定するか、価格変動条件を取引先へどう伝えるかは、工事内容や取引構造によって変わります。社員職人と外注の構成によっても、受注判断の基準は異なります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の収支管理や原価管理を、現場体制や取引先との関係まで含めて整理し、実行を支援しています。「自社の場合は何から見直すべきか」という段階でも問題ありません。無理に契約や施策を勧めることはありませんので、今の管理方法を確認する場として気軽にお声がけください。

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