8名弱で戸建てを回し、売上の約8割を一社の木造案件が占める電気工事会社
千葉県内のある電気工事会社では、木造戸建ての電気工事が売上の中心です。特に多い取引先の案件が、木造工事全体の約8割を占めています。
現場は毎日埋まっています。一方、一人で現場を任せられるのは代表を含めて3名ほど。若手を同行させながら、複数の戸建て現場を次々と回しています。
代表の言葉は率直でした。
「利益が出ているのか、正直わからないくらいです」
材料費が上がった時期には、赤字になった現場もありました。ただ、仕事がないわけではありません。むしろ忙しい状態です。
戸建て工事の受注量は確保できていても、移動、施工件数、材料費、新人の生産性まで含めると、会社に利益が残りにくい状態でした。
同社は、将来的に15名前後まで組織を広げる構想を持っています。そのためには人数だけでなく、複数人を同じ現場へ配置できる仕事へ、受注構成も変えていく必要があります。
そこで候補に挙がったのが、集合住宅の電気工事でした。
1週間で 20件の相談 がありました
- 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
- 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
- 9月8日工務店広島県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
- 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
- 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
- 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
- 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
- 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
- 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
- 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
- 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
- 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
- 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
- 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
- 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
- 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
戸建てを数多く回すほど移動と新人教育の負担が重なる収益構造
戸建て工事では、1件あたりの施工範囲と受注金額が限られます。売上を積み上げるには、現場数を増やさなければなりません。
「木造はスピード勝負です。どんどん次へ行かないといけません」
しかし、現場数が増えるほど移動も増えます。経験の浅い社員が多ければ、施工時間も予定どおりには縮まりません。先輩が確認や手直しに入る時間も必要です。
材料費が上がっても、すでに決まった請負金額へすぐ転嫁できるとは限りません。結果として、社員の給与や日々の経費は賄えても、会社に残る利益が薄くなります。
忙しさと利益は別物です。戸建て工事では「何件終えたか」だけでなく、移動時間、材料差額、同行人数まで含めて採算を見る必要があります。
集合住宅であれば、一つの現場へ3〜4名をまとめて配置できる可能性があります。移動を抑えながら、同じ場所で一定期間施工できます。若手も、現場を転々とするより作業の流れを経験しやすくなります。
ただし、集合住宅へ移れば自動的に利益が増えるわけではありません。実績がない状態で大型案件を受ければ、見積もりの甘さや現場管理の不慣れから、戸建て以上に利益を失う可能性もあります。
集合住宅進出の目的は、単に売上を増やすことではなく、複数人を効率よく配置し、利益を確保できる施工体制へ変えることです。
既存取引を守りながら集合住宅の実績もつくらなければならない参入障壁
同社には、すぐに戸建て案件を減らせない事情があります。
主要取引先との関係があり、現場も毎日入っています。将来的には依存度を下げたいと考えていますが、代わりになる仕事が決まっていない段階で受注を減らすのは現実的ではありません。
「今は減らしたくありません。ただ、いずれは別の現場へ置き換えたいと思っています」
一方、集合住宅の管理会社から見ると、戸建て工事しか実績がない会社へ、いきなり大規模な改修工事を任せるのは難しいものです。施工力があっても、集合住宅特有の進め方に対応できるか判断できないためです。
さらに、現在の職人を新しい案件へ移せば、既存の戸建て現場が回らなくなります。協力会社へ任せる方法もありますが、採算が合わなければ引き受けてもらえるとは限りません。
ここには、二つの壁があります。
- 集合住宅の仕事を取りたいが、施工実績がない
- 仕事を取れても、既存案件を維持したまま配置できる人がいない
「案件が先か、人が先か」の二択ではなく、小さな案件で取引の入口をつくりながら、動かせる班を段階的に用意する必要があります。
その入口として検討できるのが、同社に戸建てでの施工経験があるEV充電設備です。対応できる社員も3名ほどいます。
集合住宅全体の電気工事実績は少なくても、EV充電設備の施工経験は示せます。新築一式ではなく、既存マンションの改修として提案できる点も、最初の案件として取り組みやすい要素です。
EV充電設備の改修を入口に既存案件から集合住宅へ移る段階移行
集合住宅への進出は、いきなり大型工事を受注するのではなく、経験のある専門工事から始める方法が現実的です。
最初の一歩は「集合住宅の電気工事一式」ではなく、「既存マンションのEV充電設備改修」に絞ります。
進め方は、次の順番で整理できます。
1.集合住宅へ進出する目的を利益と配置で揃える
まず確認したいのは、売上規模ではありません。現在の戸建て工事と比べて、どのような配置なら利益を残せるかです。
見るべき項目は、受注金額、材料費、現場日数、必要人数、移動時間です。新人を同行させる場合は、その期間も含めます。
集合住宅案件を選ぶ基準は、受注金額の大きさではなく、必要人数と工期を踏まえて粗利を確保できるかどうかです。
2.自社に施工経験がある工事へ入口を絞る
同社の場合はEV充電設備です。戸建てでの経験を、集合住宅の改修へ横展開します。
もちろん、戸建てと集合住宅では、管理者との調整や共用部での施工など、進め方に違いがあります。それでも、まったく経験のない工事一式から始めるより、技術的な不確実性を抑えられます。
補助制度が提案の後押しになる場合もあります。ただし、対象設備や申請条件は変わるため、提案時点の最新情報を確認することが前提です。
3.地域の管理会社との接点をつくる
対象は、施工可能エリア内で複数の集合住宅を管理している会社です。単に会社数を追うのではなく、次の条件で絞ります。
- 自社の商圏と管理物件の所在地が合っている
- 既存マンションの改修を扱っている
- EV充電設備の提案先になり得る物件を管理している
- 新しい施工会社や設備提案を受け入れる余地がある
最初から「電気工事をすべて任せてください」と持ちかける必要はありません。まずはEV充電設備の現地確認や施工対応ができることを伝えます。
管理会社との最初の取引では、受注額よりも、現地対応、説明、施工、報告を問題なく完了させることが次の案件につながります。
4.小規模な改修実績から工事範囲を広げる
EV充電設備の工事を納めれば、集合住宅での施工実績ができます。管理会社にも、現場対応やコミュニケーションを見てもらえます。
その信頼をもとに、別物件のEV充電設備や、より広い電気改修工事へ進みます。
「実績がないから受注できない」という状態を、一件ずつ解消する進め方です。
EV充電設備はゴールではなく、集合住宅の管理会社と関係をつくり、電気改修工事へ広げる入口です。
5.既存取引を維持しながら試行できる班をつくる
同社では、EV充電設備に対応できる社員が限られています。この3名を一度に戸建て現場から外すと、主要取引先の案件が回らなくなります。
そのため、現場を任せられる人材を増やし、戸建て班と集合住宅班を分けられる状態を目指します。最初から完全に分業する必要はありません。代表や経験者が一部の日程を空け、小規模案件から試す方法もあります。
既存案件を急に減らすのではなく、集合住宅へ動ける責任者と補助人員を確保できた分だけ、新しい案件を増やします。
これなら、現在の取引関係を守りながら、数年かけて戸建てへの依存度を下げられます。
まとめ
戸建て工事が忙しいのに利益が残らないときは、件数をさらに増やす前に、移動、材料費、配置人数まで含めた採算を確認する必要があります。
集合住宅は、複数人をまとめて配置できる有力な選択肢です。ただし、実績のない会社がいきなり大型工事へ入るのは負担が大きくなります。
現実的な順番は、既存の戸建て取引を維持しながら、施工経験のあるEV充電設備の改修で集合住宅へ入り、管理会社との信頼と実績を積み上げることです。
そのうえで、より広い電気改修工事へ展開します。案件の増加に合わせて班編成を変えれば、既存取引を無理に手放さずに事業領域を広げられます。
売上だけを追う方向転換ではありません。利益が残り、若手も育ち、複数人が同じ現場で力を発揮できる仕事へ、少しずつ受注構成を変えていく取り組みです。
集合住宅への広げ方と収益の見通しを一緒に整理
集合住宅へ進出したいと思っても、既存取引をどこまで維持するか、どの工事を入口にするか、誰を配置するかは会社ごとに異なります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、原価管理、人材確保、組織づくり、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。
「うちの場合は、EV充電設備を入口にできるのか」「何から採算を確認すべきか」といった段階でも大丈夫です。無理にサービスを勧めることはありません。次の整理先が必要なときに、気軽にお声がけください。
































