30分の初回面談では、会社概要と強みを伝えるだけで実質15分ほどになること
ある専門工事会社では、初回面談がオンラインで30分ほどに設定されていました。手元には会社案内に加えて、対応できる工事範囲や実績をまとめた営業資料もあります。
ただ、30分の場で資料を最初から最後まで説明しようとすると、相手の状況を聞く時間がほとんど残りません。実際の感覚としても、「説明できる時間は15分あるかないか」になりがちです。
この場合、初回面談の目的は、詳しい提案を完了させることではありません。まずは「こういう会社です」と伝え、会社概要と強みを短く共有すること。そして、次に会うための材料を集めることです。
営業資料を全部話すほど、次回商談に必要な情報が取れなくなること
工事会社の営業では、どうしても「何ができるか」を丁寧に説明したくなります。対応工事、対応メーカー、施工実績、資格、品質面の強み。どれも大事です。
ただ、初回面談で本当に知りたいのは、相手先で工事の話を進めるときに、誰が決定に関わるのかです。
たとえば、現場責任者が決める会社もあります。工事部門の部長が判断する会社もあります。総務や設備担当が窓口になっているケースもあります。
ここを聞かないまま終わると、次回も同じ相手に同じ説明をするだけになりかねません。「改めてお時間をください」と言えても、次に誰へ話すべきかが見えていない状態です。
工事の決定権者は会社ごとに違い、外からは見えにくいこと
工事の発注先を決める流れは、会社によってかなり違います。
現場に近い人が「ここに頼もう」と決めることもあれば、工事部門の責任者が比較検討することもあります。既存の協力会社との関係や、過去の取引実績が影響することもあります。
そのため、初回から「決定権者はどなたですか」と直球で聞くと、少し踏み込みすぎに聞こえる場合があります。そこで使いやすいのが、他社の例を挟む聞き方です。
たとえば、次のような聞き方です。
「お付き合いのあるお客様ですと、現場責任者の方が決められる場合もあれば、工事部門の責任者の方が見られる場合もあります。御社の場合は、こういった工事のご相談はどなたが中心になりますか」
この聞き方なら、相手を詰める感じになりません。他社ではこうです、御社ではどうですかという流れなので、自然に社内の動き方を教えてもらいやすくなります。
初回は説明を絞り、次回会うべき人と部署を聞き出す流れにすること
初回面談では、資料を「説明する順番」ではなく、聞きたい情報から逆算して使うのが現実的です。
まず、会社概要を短く伝えます。何の工事をしている会社なのか。どの範囲まで対応できるのか。強みは何か。ここでは、たとえば「ICT関連の工事をまとめて対応できる」といった一言で伝わる強みを軸にします。
次に、相手が「どんなことをやっているのですか」と深掘りしてきたときだけ、詳細資料を使います。初回から全ページを説明するのではなく、相手の関心に合わせて出す資料として扱う形です。
そのうえで、次の3点を確認します。
- 工事の相談は、普段どの部署が受けているか
- 発注や協力会社選定は、現場側と部門長側のどちらが主導するか
- 再度詳しく話すなら、誰に同席してもらうのがよいか
聞き方は、できるだけ会話の中に混ぜます。
「本日はまず会社の概要だけお伝えできればと思っています。もし次に具体的な工事内容までお話しする場合、どなたに同席いただくのがよさそうでしょうか」
ここまで聞けると、初回面談の価値は大きく変わります。単なる挨拶ではなく、次回商談の設計図が手元に残るからです。
また、面談が複数件ある日は、終わった直後にメモを残すことも大切です。相手の部署名、反応がよかった話題、次回会うべき人、温度感。短くても構いません。時間が経つと、似た話が混ざってしまいます。
まとめ
30分の初回面談では、営業資料をすべて説明しきる必要はありません。
むしろ、最初に伝えるべきことを絞り、会社概要と強みを簡潔に話したうえで、次に誰へ会うべきかを確認することが大事です。
工事会社の営業は、資料の完成度だけで決まるわけではありません。相手先の社内で、誰が現場を見て、誰が判断し、どの部署が関わるのか。そこを押さえられると、次回の提案はぐっと具体的になります。


































