材木販売の既存客が、内装工事では競合や上位会社になることがある
材木や造作材を長く販売してきた会社が、内装工事にも事業を広げる。建設業では自然な流れです。
ただし、この動きには注意点があります。材木の販売先が、内装工事では元請け、一次下請け、あるいは競合になることがあるからです。
ある会社でも、地元の内装会社や家具・造作系の会社に材料を納めていました。一方で、自社でも工事を取りに行きたい。そこで出てきたのが、既存の販売先と競合しないかという悩みです。
相談者からは「そこに入ると、材木のほうがなくなってしまう可能性がある」という言葉もありました。これはかなり現実的な論点です。
工事を取りに行く相手を間違えると、材料販売の取引を失う可能性がある
内装工事の新規開拓では、売上規模や案件数だけでターゲットを決めたくなります。大きな会社、伸びている会社、地元で名前を聞く会社。候補はたくさん出てきます。
しかし、材木販売をしている会社の場合、単純なリスト営業は危険です。
たとえば、ある会社の下請けに入ろうとした先が、既存顧客の競争相手だったり、既存顧客がすでに入っている商流だったりすることがあります。すると、工事の受注が取れないだけでなく、材料販売側の関係にも影響します。
実際に「そこはお客さんの下請けで、競争相手なので難しい」という判断もありました。
つまり課題は、営業先の数ではありません。どの商流に入ると既存客とぶつかるのかを先に見極めることです。
元請け・一次下請け・二次下請けの位置で、営業の意味が大きく変わる
同じ内装工事会社に見えても、商流上の位置は違います。
元請けに近い会社なのか。一次下請けとして現場をまとめている会社なのか。さらにその下で造作だけを担当している会社なのか。この違いによって、自社が入るべきかどうかは変わります。
相談者側でも、「元請けで10億、20億規模の会社の下で、一次下請けとして入る形がよい」「二次下請けのようになると合わない」という整理がされていました。
これは、利益率だけの話ではありません。二次、三次と下がるほど、既存の材料販売先と重なりやすくなります。また、価格面でも厳しくなりやすいです。
一方で、県外に本社があり、地元に営業所や案件を持つ会社は、狙い目になることがあります。地元の協力会社が薄い場合、地域に根ざした材木・造作・工事対応ができる会社は、現地パートナーとして価値を出しやすいからです。
ただし、相手の信用確認も必要です。過去に「支払いが遅れると聞いたので売らなかった」という話もありました。新規開拓では、案件の有無だけでなく、取引してよい相手かも見る必要があります。
商流マップを作り、地域外本社の地方案件や一次下請けポジションを優先する
最初に行うべきは、営業リストを増やすことではなく、商流の見える化です。
既存顧客、販売先、競合、元請け候補、一次下請け候補を分けて整理します。社名を並べるだけでなく、「自社にとって何の関係か」を書き込むことが大切です。
分類の例は、次のように考えられます。
- 材木販売を守るべき既存顧客
- 競合になりやすく、工事営業を避ける先
- 元請けまたは一次下請けとして狙える先
- 地元協力会社を探していそうな県外本社の会社
- 信用面を確認してから接点を持つ先
この分類ができると、営業先の優先順位が見えてきます。
特に狙いやすいのは、地域外本社で地方案件を持つ会社です。地元の協力会社が十分でない場合、現地対応できる会社を探している可能性があります。相談者も「県外が本社だけど、地元に営業所があるところのほうが入りやすいのでは」と話していました。
次に見るべきは、案件タイプです。大型商業施設、スーパー系の改装、飲食・サービス系の造作、短期納品取付など、自社の強みが出やすい領域に絞ります。
そして、既存顧客と重なりそうな場合は、無理に攻めません。材料販売の継続性を守るほうが、長期的には得になることがあります。新規工事の売上だけで判断せず、販売と工事を合わせた利益で考えることが大切です。
まとめ
材木販売と内装工事を両立する会社にとって、新規開拓は単に営業先を増やす活動ではありません。
既存の販売先と競合しないか。どの商流に入るのか。元請け、一次下請け、二次下請けのどこを狙うのか。ここを整理しないと、工事を取りに行った結果、材料販売の関係を崩すことがあります。
まずは、既存顧客と営業候補を商流マップで分けることです。そのうえで、一次下請けとして入りやすい先や、地元協力会社が薄い発注者を優先します。
新規開拓は、攻める先を増やすほどよいわけではありません。材木販売で積み上げた信用を守りながら、工事で伸ばせる先を選ぶ。その順番が、両立型の会社には合っています。



































