前提

若手を入れてカルチャーを作りたい一方で、出勤のばらつきや育成負担も見えている状態

建設業の中小企業にとって、若手採用は大きな可能性があります。

未経験から育てた人材は、自社の考え方や仕事の進め方を吸収しやすいです。現場の空気に合えば、将来の中核人材になることもあります。

一方で、若手採用は簡単ではありません。

ある会社では、学生アルバイトを試したものの、短期的に数字が出にくく、出勤にもばらつきがありました。結果として、「今のフェーズでは育てる投資の意義が薄い」と判断し、経験のある人材に切り替えていました。

この判断は現実的です。若手採用は良い施策ですが、いつでも正解ではありません。まず必要なのは、今すぐ戦力が必要な採用なのか、将来の中核を育てる採用なのかを分けることです。

課題

短期成果を求めすぎると、若手採用は早期離脱や現場負担につながりやすい

若手や未経験者を採るときに起きやすい失敗は、期待値の置き方です。

「若いから吸収が早いはず」「行動量は出してくれるはず」「現場で見て覚えてくれるはず」。こうした期待だけで採用すると、入社後にギャップが生まれます。

特に建設業では、現場の段取り、職人との関係、顧客との距離感など、言葉にしにくい暗黙知が多くあります。

ベテランにとっては当たり前でも、若手にとっては分からないことだらけです。

この状態で短期成果だけを求めると、本人は何を頑張ればよいか分からず、現場側も教える負担を重く感じます。結果として、採用よりも定着が難しい状態になります。

「若手を染め上げたい」という思いは、カルチャーづくりの観点では自然です。ただし、そのためには、育てる側の準備が必要です。

若手採用は、求人を出す前から始まっています。

背景

エネルギーのある組織ほど、新卒採用はカルチャーづくりに効きやすい

一方で、若手採用には大きな強みもあります。

会社がまだ成長途中で、メンバーに熱量があり、これから文化を作っていく段階なら、新卒や未経験者はカルチャーづくりに合いやすいです。

すでに完成された大企業に入るよりも、自分たちで会社を作っていく感覚を持てるからです。

「エネルギーあふれる組織になってきている」。そう感じられる会社であれば、若手にとっても魅力があります。

ただし、最近の新卒採用では、スカウト媒体に登録しただけで多くの会社から声がかかる学生もいます。媒体上で待つだけでは、埋もれやすいです。

そこで大切になるのが、リアルな接点づくりです。

説明会や媒体だけでなく、既存の若手社員、内定者、リファラルで入ったメンバーが、自分の言葉で会社を語る。経営者だけが話すのではなく、近い年齢の社員が前に出る。

これにより、候補者は入社後の自分を想像しやすくなります。

建設業でも同じです。現場の仕事は、外から見ると分かりにくいことが多いです。だからこそ、若手社員のリアルな声が、入社後の解像度を上げる役割を持ちます。

解決

採用フェーズを見極め、業務の型化と育成担当を小さく設計する

若手採用で失敗しないためには、まず自社のフェーズを見極めます。

今すぐ売上や現場対応を増やしたいなら、経験者や一定の業務経験がある人を優先した方がよい場合があります。特に、電話営業や現場管理などで短期成果が必要な場合は、未経験の若手に期待しすぎない方が安全です。

一方で、1年後、2年後の中核人材を作りたいなら、若手採用に投資する意味があります。

判断軸はシンプルです。

  • 入社後3か月で何を期待するのか
  • 半年後にどの業務を任せたいのか
  • 誰が日々の育成を見るのか
  • 既存社員の育成時間をどれだけ確保できるのか
  • 若手に任せる仕事を型化できているか

ここが曖昧なまま採用すると、入社後に現場任せになります。

まずは、若手に任せる業務を小さく切り出します。たとえば、電話、日報、現場同行、顧客への報告補助など、最初に覚える仕事を決めます。

次に、育成担当を決めます。社長がすべて見る必要はありません。ただし、誰が何を教えるのかは明確にします。

若手採用では、オンボーディングの最初の数週間が重要です。ここで放置されると、本人は会社の期待をつかめません。

進め方としては、次の順番が現実的です。

  1. 即戦力採用と育成採用を分けて考える
  2. 若手に任せる初期業務を決める
  3. 育成担当と相談先を決める
  4. 既存の若手社員を採用活動にも関わらせる
  5. 入社後の振り返りを定期的に行う

いきなり大きな研修制度を作る必要はありません。まずは、教える内容を小さく揃えることから始めれば十分です。

まとめ

若手採用は、建設会社のカルチャーづくりに大きく効きます。

ただし、短期戦力としてだけ期待すると、本人にも現場にも負担がかかります。今すぐ成果が必要なのか、将来の中核人材を育てたいのか。この判断を先に置くことが大切です。

学生や未経験者を採るなら、業務の型化、育成担当、オンボーディングをセットで考える必要があります。

一方で、会社に熱量があり、若手が前に出られる環境があるなら、それは大きな採用上の魅力になります。既存の若手社員が自分の言葉で語ることも、候補者にとっては強い判断材料になります。

若手採用は、根性論では続きません。育つ環境を先に整えることで、採用はカルチャーづくりにつながっていきます。