前提

首都圏東部で店舗内装を30年近く続け、監督3〜4名で数千万円規模の設計施工を回している会社の現在地

首都圏東部に拠点を置く、15名規模の店舗内装会社の話です。飲食店やクリニックを中心に、設計施工で店舗づくりを手がけてきました。現場監督は3〜4名。基本は監督1人が1現場をしっかり見る体制です。

最近は、30坪以上から100坪超の店舗や施設改修も増え、1件あたりの工事金額も数千万円から1億円弱まで大きくなってきています。自社で設備設計まで入り、分離発注で協力業者を組み立てる力もあります。

一方で、案件が大型化すると、会社全体の動き方も変わります。1件取れれば大きい。けれど、取れなければ見積りや設計提案の労力だけが残る。現場監督も協力業者も、先の予定を組みづらくなります。

「大きい案件だけで伸ばしていくのは、やっぱり波がありますよね」

この感覚は、店舗内装や専門工事をやっている会社ならかなり近いものがあると思います。

課題

大型の設計施工案件だけでは、売上も監督の稼働も月ごとに読みにくくなる

設計施工の大型案件は、会社の実績にもなりますし、粗利も取りにいきやすい仕事です。こだわった店舗、クリニック、ホテル内レストラン、オフィスビルの共用部改修などは、提案力や現場対応力が評価されやすい領域です。

ただし、悩ましいのは受注のタイミングが読みにくいことです。

設計施工コンペになれば、3社、5社で比較されます。図面を描き、概算を組み、協力業者にも見積りを依頼します。それでも受注できるとは限りません。小規模な会社ほど、この前さばきの負担は重くなります。

さらに、現場監督が3〜4名の会社では、同時に持てる大型現場の数にも限りがあります。外部の監督に応援を頼むことはできても、分離発注で細かく現場を組んでいる場合、どうしても自社側の目配りが必要です。

そのため、売上計画上は大型案件を追いながらも、実務上は次のような状態になりがちです。

  • 受注できる月とできない月の差が大きい
  • 監督の稼働が一気に詰まる時期がある
  • 協力業者の予定を先に押さえにくい
  • 見積りや提案に時間をかけても空振りが出る
  • 大型案件が重なると、既存顧客対応が苦しくなる

ここで考えたいのが、チェーン店や多店舗展開企業の定期改装をベース案件として組み込む考え方です。

背景

大手チェーンの改装は低粗利になりやすいが、月1件の予定が見えるだけで現場運営が変わる

ある大手ファストフードチェーンの改装では、1店舗あたり2〜3週間ほど閉店して工事を行う形でした。内装だけで数百万円台後半から一千万円前後。全体ではもう少し大きくなります。

ただ、こうしたチェーン店改装は、正直に言えば最初から高粗利を狙いやすい仕事ではありません。

材料が支給に近い形だったり、仕様が決まっていたり、既存店の制約が多かったりします。現場側の感覚としても「手間作業に近い」と感じる場面があります。

「数をこなして慣れてきて、やっと利益が出てくるような仕事ですね」

この言葉が、定期改装案件の本質をよく表しています。

単発で1店舗だけ受けると、段取りの理解、職人の慣れ、図面の読み替え、夜間・短工期対応などに手間がかかります。利益も出にくいです。

しかし、年間で30店舗ほどの計画があり、施工会社が3〜4社で分担し、「この会社は月1件」「対応できる月は月2件」といった形で予定が組めるなら、見え方が変わります。

ポイントは、1店舗ごとの粗利だけで判断しないことです。

定期改装は、華やかな設計施工案件とは違います。けれど、年間計画が見える。月次の売上が読める。監督や協力業者の稼働を先に押さえられる。若手や協力会社が標準作業を覚えやすい。

つまり、会社にとっては売上と稼働の下支えになる案件になり得ます。

解決

定期改装は「儲かるか」より先に、年間計画・専任化・標準化で利益が出る形にできるかを見る

チェーン店の定期改装を受けるかどうかは、単純に「粗利率が高いか低いか」だけでは決めにくいです。大事なのは、自社の稼働を平準化する役割を持たせられるかです。

まず整理したいのは、年間の現場枠です。

監督が3〜4名で、既存の設計施工案件が1人1現場に近い形なら、いきなり月2件を取りに行くのは危険です。最初は月1件を基準にするくらいが現実的です。

そのうえで、次の順番で考えると判断しやすくなります。

1つ目は、年間予定を先にもらえるかです。店舗名まで確定していなくても、いつ頃、どのエリアで、何店舗分の改装が出そうかが見えれば、協力業者を押さえやすくなります。

2つ目は、担当する監督をなるべく固定できるかです。定期改装は、毎回ゼロから考える仕事ではありません。仕様、注意点、発注者の癖、閉店期間中の段取りを覚えるほど、現場は早くなります。専任に近い担当者を置けるかが利益の分かれ目です。

3つ目は、協力業者も固定できるかです。内装、電気、設備、解体、クリーニングなどが毎回入れ替わると、標準化の効果が出ません。「このチェーンの改装はこのチームで回す」という形にできると、現場ごとの確認事項が減っていきます。

4つ目は、見積りと実行予算を通常案件と分けて管理することです。定期改装は、材料費で大きく利益を出すより、段取り短縮と手戻り削減で利益を残す仕事です。だからこそ、初回から通常の設計施工案件と同じ粗利感覚で見ると、判断を誤りやすくなります。

最初の数店舗は、学習コストがかかります。そこで見るべき数字は、初回の利益だけではありません。

  • 3店舗目以降で現場日数が短くなっているか
  • 職人の人工が読みやすくなっているか
  • 現場監督の拘束時間が減っているか
  • 追加・手戻りの原因が潰せているか
  • 月1件なら既存案件に支障が出ないか

このあたりを見ながら、月1件を維持するのか、繁忙期以外に月2件まで受けるのかを決めます。

特に大事なのは、定期改装を大型設計施工の代わりにしないことです。あくまで役割は会社のベースをつくる仕事です。

大型の設計施工案件は、実績づくりや粗利確保の柱として残す。一方で、定期改装は売上の谷を埋め、監督や協力業者の稼働をならす。こう分けて考えると、低粗利に見える仕事でも受ける意味が見えてきます。

まとめ

大型案件が増えること自体は、会社にとって前向きな変化です。ただ、1件あたりが大きくなるほど、受注の波も、監督の稼働の波も大きくなります。

そのとき、チェーン店や多店舗展開企業の定期改装は、会社の足元を整える選択肢になります。

もちろん、単発で受けると利益は出にくいです。材料支給に近い形や短工期対応もあり、最初は手間が勝ちます。

それでも、年間計画が見え、月1件の予定が組めて、担当監督と協力業者を固定できるなら、定期改装は稼働を平準化するベース案件になります。

考える順番はシンプルです。

まず月1件で回せるか。次に標準化できるか。さらに3店舗目以降で利益が改善するか。そして、大型の設計施工案件を圧迫しないか。

この順番で見れば、「安いからやらない」「売上になるから全部受ける」のどちらにも寄りすぎず、自社に合った受け方を決めやすくなります。

定期改装を自社のベース案件にできるか整理したいときは

定期改装を取りに行くべきか、既存の設計施工案件を優先すべきかは、会社の監督体制、協力業者の余力、粗利の見方によって変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大、原価管理、組織体制、デジタル活用まで横断して整理し、建設企業の持続的成長を支援しています。

「うちの場合、月1件なら受けられるのか」「どの案件をベースにすべきか」「既存案件とのバランスをどう見るべきか」といった段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、状況整理の場として気軽にお話しください。

お問い合わせはこちら