前提

社長がプレイヤーで、管理担当と2〜3名体制の内装系専門工事会社という現在地

千葉県で内装・仕上げ・金属工事まわりを手がける、創業数年の専門工事会社の話です。社内は社長と管理担当を中心にした少人数体制で、現場は協力会社に支えてもらいながら回しています。

仕事の引き合いはあります。むしろ、受けようと思えば広げられる余地もあります。ただ、社長自身が現場・段取り・見積・管理を見ているため、採用した人を一から教える時間がありません。

「人がいないから、受けられるパイは決まっているんです」

この言葉は、多くの専門工事会社に共通する実感ではないでしょうか。仕事はある。けれど、人を入れれば解決するほど単純ではない。特に、社長がプレイヤーの会社では、採用課題は“人を集める問題”ではなく、“入った人を戦力化できる状態か”という問題になりやすいです。

この会社でも、採用そのものには関心があります。ホームページや採用の見せ方もいずれ必要だと感じています。ただ、今すぐ未経験者を採っても、現場で育てきれるかという点に大きな不安がありました。

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  • 7月10日電気設備工事会社京都府
  • 7月8日総合土木愛知県
  • 7月8日工務店山形県
  • 7月8日外構工事会社群馬県
  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
  • 7月4日外構工事会社千葉県
  • 7月2日防水工事会社茨城県
  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

未経験者を採っても、教える人と時間がなければ定着・戦力化が難しい

いちばんの課題は、未経験者を受け入れる教育余力が社内にないことです。

相談の中では、こんな言葉がありました。

「今、何も分からない子が入ってきても、正直きついです。そこに時間をかけて教育できる体制がないんです」

これは採用に消極的という話ではありません。むしろ、人を増やしたい気持ちは強い。ただ、社長自身がプレイヤーで、管理担当も日々の業務で手一杯の中、未経験者に現場の流れ、見積、材料、協力会社とのやり取り、元請け対応まで順番に教えるのは簡単ではありません。

建設業の少人数会社では、未経験者を採るときに次のようなことが起きがちです。

  • 社長が現場に出ていて、教える時間が細切れになる
  • 教える内容が人の頭の中にあり、資料や台帳にまとまっていない
  • 何を任せるかが曖昧で、新人が手待ちになる
  • 現場ごとの判断が多く、未経験者が自走するまで時間がかかる
  • 教育担当がいないため、社長への確認が集中する

未経験採用が悪いわけではありません。若手を育てることは、会社の将来にとって大切です。ただ、“採った後に誰が、何を、どの順番で教えるか”が決まっていない状態では、採用費よりも社内の負担が先に膨らみます

そのため、この段階では求人媒体を増やす前に、まず受け入れ体制を整理する必要があります。

背景

仕事はあるのに、業務が社長の頭の中とExcelに集まりすぎている

背景にあるのは、少人数会社ならではの業務集中です。

この会社では、見積管理、工事情報、材料仕入れ、現場ごとの原価、過去案件の確認などをExcelや書類で管理していました。会計ソフトは入っているものの、工事ごとの細かい情報や、材料単価の履歴、過去にどの現場で何を使ったかといった実務情報は、すぐに検索できる状態ではありません。

「先月入れた材料、いくらだったっけと調べるのに、全部書類を引っ張るんです」

この状態だと、社長や管理担当は日々の確認作業に時間を取られます。新人が入ってきても、過去の情報を見れば分かる状態ではなく、結局は社長に聞くしかありません。

特に、内装・仕上げ・金属工事のように、1つの物件の中に複数の工事項目が入る場合、管理が粗いままだと「物件全体では利益が出ているように見えるが、どの工事で食われているのか分からない」という状態になります。

採用・教育の観点で見ると、ここが重要です。業務情報が見える化されていない会社では、新人教育が“人に張り付いて覚える方式”になりやすいからです。

もちろん、建設業では現場でしか覚えられないことがあります。図面の読み方、段取り、職人さんとの距離感、元請けとの調整は、机上だけでは身につきません。

ただ、次のような情報まで毎回口頭で教えていると、教育負担は大きくなります。

  • 過去に似た工事があったか
  • どの元請けで、どのような案件をやったか
  • 見積金額と実際の原価にどれくらい差が出たか
  • 内装・仕上げ・金属など、工事項目ごとの外注費や材料費
  • 材料単価が以前と比べてどう変わっているか
  • どの協力会社にどの工事をお願いしたか

こうした情報が台帳やシステムで引き継げる状態になっていれば、新人は「まず見て確認する」ことができます。逆に、情報が社長の頭の中にあるままだと、経験者であっても立ち上がりに時間がかかります。

つまり、採用前の業務整理は、事務効率化だけでなく、教育の土台づくりでもあるということです。

解決

採用媒体を増やす前に、任せる業務・教える人・見える化する情報を決める

このような会社では、いきなり未経験採用に踏み切るよりも、先に4つの点を整理するのが現実的です。

1. まず「入社後に任せる業務範囲」を小さく切る

最初に決めたいのは、採用した人に何を任せるかです。

少人数会社では、「将来的には何でもできる人がほしい」と考えがちです。気持ちはよく分かります。ただ、最初から営業、見積、現場管理、協力会社対応、材料手配まで求めると、未経験者には重く、経験者でも会社独自のやり方に慣れるまで時間がかかります。

まずは、業務を次のように分けて考えると整理しやすくなります。

  • 現場同行から始めるのか
  • 見積補助から始めるのか
  • 材料や過去案件の検索・整理を任せるのか
  • 協力会社との連絡補助を任せるのか
  • 元請け対応まで任せるのはいつからか

大切なのは、「人を採る」前に「最初の3か月で任せる仕事」を決めることです。ここが曖昧だと、入社後に社長の判断待ちが増え、教育も進みにくくなります。

2. 今すぐ未経験者ではなく、経験者または教育役候補を検討する

今回のように、社長自身が「一から教える余裕がない」と感じている場合、最初の採用は未経験者にこだわらない方がよいケースがあります。

相談の中でも、「一番はノウハウがある人を入れるしかない」という話がありました。これは現実的な判断です。

もちろん、経験者採用は簡単ではありません。給与条件や働き方、前職との関係もあります。ただ、少人数会社で最初に採るべき人は、単なる作業者ではなく、社長の頭の中にある業務を一緒に整理し、将来の教育役になれる人である可能性があります。

たとえば、次のような人材像です。

  • 同業・近い工種で現場や段取りを理解している人
  • 元請けや協力会社とのやり取りに抵抗がない人
  • 見積や原価の考え方をある程度分かっている人
  • 若手に教える役割を担える人
  • 社長の右腕として、管理側に回る意欲がある人

ここで重要なのは、経験者を「すぐ売上をつくる人」とだけ見ないことです。最初の経験者採用は、次の未経験者を育てるための土台になる人かどうかで見ると、採用の意味が変わります。

3. 教育に使える時間を、理想ではなく現実で見積もる

採用前には、教育時間を現実的に見積もる必要があります。

たとえば、社長が週に何時間なら新人に向き合えるのか。現場同行は週に何日できるのか。管理担当が教えられる範囲はどこまでか。ここを曖昧にしたまま採用すると、入社後に「忙しくて教えられない」が起きます。

教育時間は、立派な研修制度でなくても構いません。最初は次のような形でも十分です。

  • 毎朝10分、当日の現場と確認事項を共有する
  • 週1回、見積・原価・材料の振り返りをする
  • 過去案件を1件ずつ見ながら、判断の理由を説明する
  • 同行後に「今日見たこと」をメモ化してもらう
  • 分からないことを聞く時間をあらかじめ決める

大切なのは、教育を“空いた時間でやるもの”にしないことです。少人数会社ほど空き時間は自然には生まれません。だからこそ、短くても固定した時間を先に確保する必要があります。

4. 案件管理・見積・原価・材料情報を、教育に使える形で残す

この会社では、案件管理や過去情報の検索性にも課題がありました。ここは、採用体制と深くつながります。

たとえば、1つの物件に対して、内装・仕上げ・金属などの工事項目別に外注費や材料費を分けて見られるようにする。過去の見積や材料単価を検索できるようにする。図面や現場情報を案件ごとに紐づける。こうした仕組みがあると、入社した人が業務を覚えやすくなります。

システムを入れるかどうかは、会社の規模や予算、使う人のIT慣れによって判断すべきです。ただ、最初から大きな仕組みにする必要はありません。

まずは、次の情報を台帳化するだけでも教育効果があります。

  • 案件名、元請け、工事場所
  • 工事項目ごとの見積金額
  • 工事項目ごとの外注費・材料費
  • 協力会社名と担当範囲
  • 使用した主な材料と単価
  • 予定原価と実際原価の差
  • 次回似た案件で注意すること

ここまで整理されていれば、新人や経験者が入ったときに「この案件を見れば流れが分かる」という教材になります。

案件管理の見える化は、社長の確認作業を減らすだけでなく、会社独自の仕事の進め方を引き継ぐための教育資料になります

採用前に確認したい4つの判断軸

未経験採用に進むか、経験者採用を優先するか、業務整理を先にするか。判断に迷う場合は、次の4つを確認すると方向性が見えやすくなります。

1つ目は、任せる業務範囲です。入社後すぐに任せる仕事が具体的に決まっていれば、採用に進みやすくなります。

2つ目は、教えられる人です。社長しか教えられないなら、採用前に教育役候補を探すか、業務の標準化を先に進めた方が安全です。

3つ目は、教育に使える時間です。週に数時間でも固定できるなら、未経験者の受け入れ可能性は高まります。まったく時間が取れないなら、経験者採用や外部人材の活用を検討する方が現実的です。

4つ目は、引き継げる情報です。見積、原価、材料、過去案件が検索できる状態なら、入社後の教育負担は下がります。情報が頭の中と紙に散らばっているなら、採用前に台帳整備から始める価値があります。

この4つを整理すると、採用活動の前にやるべきことが見えてきます。

まとめ

社長が現場に出ている少人数の建設会社では、人を採りたいと思っても、未経験者をすぐ受け入れるのが難しいことがあります。

その場合、採用媒体を増やす前に、「誰を採るか」より先に「入った人が育つ状態か」を確認することが大切です。

特に整理したいのは、次の4点です。

  • 最初に任せる業務範囲
  • 教育を担える人、または教育役候補
  • 社長や管理担当が実際に使える教育時間
  • 見積・原価・材料・過去案件を引き継げる台帳や仕組み

未経験採用は、会社の未来をつくる大切な選択肢です。ただ、今の体制で育てきれないと感じるなら、まず経験者採用や教育役の確保、業務の標準化、案件管理の見える化を組み合わせて考える方が、結果的に採用の成功率は高まります。

人を増やす準備とは、求人を出す準備だけではなく、社長の頭の中にある仕事の進め方を会社の仕組みに移していく準備です

自社の採用前に、教育体制と業務の見える化を一度整理してみる

「うちも人は採りたいけれど、教える余裕がない」「未経験者を採るべきか、経験者を探すべきか迷っている」という段階では、採用活動そのものより先に、受け入れ体制を整理するだけでも次の一手が見えやすくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用媒体の選定だけでなく、教育役の考え方、業務の棚卸し、案件管理や台帳整備なども含めて、会社の現在地に合わせて一緒に考えることができます。

「まだ何から整理すべきか分からない」という段階でも問題ありません。無理な営業はいたしませんので、まずは自社の場合の優先順位を確認する場としてご活用ください。

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