20名弱の土木・道路系専門工事会社で、仕事はあるが職長が足りない状態
関東圏で土木・道路工事、工場まわりの外構工事などを手がける、20名弱の専門工事会社の話です。
売上はここ数年で伸びており、今後5年から10年ほどの仕事の見通しもあります。大型案件の有無で年度ごとの波はあるものの、社長の感覚としては「仕事はある」。一方で、現場を束ねる人が追いついていません。
社内には職人が十数名、職長クラスが数名。60代のベテランもいて、あと5年、10年で自然に抜けていく人も見えています。若手は外国人社員が中心で、20代の社員もいます。
この会社で特徴的なのは、外国人社員の定着が悪くないことです。
「嫌で辞めている人は、まだいないですね」
妊娠や家庭の事情で一時的に離れるケースはあっても、会社に合わずに辞めていく流れではありません。社内の雰囲気も大きく崩れておらず、若い外国人社員が会社に残り、仕事を覚え、戦力になってきています。
だからこそ、次に出てくるのが職長候補としての育成です。
社長はこう話していました。
「一人、かなりできる子がいるので、現場に任せてもいいんですよ」
ただ、すぐに一人で任せきれるかというと、まだ迷いがあります。
仕事があり、人も定着している会社ほど、次の壁は“職人を増やすこと”ではなく“現場を任せられる人をどう育てるか”になりやすいです。
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- 7月6日工務店兵庫県
- 7月6日電気設備工事会社神奈川県
- 7月6日防水工事会社東京都
- 7月5日塗装工事会社神奈川県
- 7月5日プラント工事会社福島県
- 7月5日リフォーム会社東京都
- 7月5日総合土木福井県
- 7月4日外構工事会社千葉県
- 7月2日防水工事会社茨城県
- 6月30日ビルメンテナンス北海道
- 6月30日ビルメンテナンス福岡県
- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
- 6月27日リフォーム会社山口県
- 6月27日内装工事会社大阪府
- 6月26日塗装工事会社秋田県
- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
能力の高い外国人社員を職長候補にしたいが、認識違いと判断ミスが不安になる
この会社の悩みは、外国人社員を職長にするかどうかの是非ではありません。
むしろ社長は、能力のある外国人社員に対して前向きです。現場に任せたい気持ちもあります。本人にも意欲があります。
ただし、本人からもこんな声が出ています。
「ちょっと心配だから、一人つけてください」
社長側にも、同じ不安があります。
「一つ一つが、間違えているときもあるじゃないですか。認識の違いというのがあるので」
ここに、外国人社員を職長候補に育てるときの本質があります。
技術がある。真面目に働く。会社にも残っている。現場で手も動く。けれど、職長になると求められるものが変わります。
職長には、単に作業ができるだけではなく、次のような役割が乗ってきます。
- 元請けや上位会社からの指示を正しく受け取る
- その指示を自社の職人に分かる形で伝える
- 品質、安全、工程の優先順位を現場ごとに判断する
- 迷ったときに、止める・確認する・進めるを切り分ける
- 現場で起きたズレを早めに社内へ戻す
ここで起きる不安は、国籍そのものの問題ではありません。
職長に必要な判断や確認の型が、会社の中でまだ言語化されていないことが不安の正体です。
日本人の若手でも、経験だけで職長に上げれば同じことが起きます。ただ、外国人社員の場合は、言葉のニュアンス、現場用語、元請けとのやり取り、暗黙の了解が重なりやすいため、認識違いが表に出やすくなります。
「できる子だから任せる」だけでは危ない。
一方で、「心配だから任せない」では育ちません。
この間をどう設計するかが、職長候補育成の肝になります。
仕事量の拡大とベテランの高齢化で、社長が現場を見続ける体制に限界が近づいている
この会社では、仕事量そのものはあります。土木・道路に加えて、工場の外構工事も増えてきています。取引先との関係もあり、今後も一定の案件は見えています。
一方で、人の構成を見ると、職長層は厚くありません。社長自身も現場に出て動いており、現場管理を担える人は限られています。さらに、60代のベテランが数名いて、そのうち一人は職長クラスです。
今は回っていても、5年後、10年後を見れば、現場を任せられる人を増やさないと、会社の受けられる仕事量に上限が出ます。
ここで、外国人社員が定着していることは大きな強みです。
若い社員が残らない会社が多い中で、会社に残り、仕事を覚え、社長が「現場に任せてもいい」と感じる人材がいる。この状態は、簡単につくれるものではありません。
だからこそ、育成の焦点は採用ではなく、任せ方に移ります。
ただ、職長候補への移行でつまずきやすいのは、次のような場面です。
- 元請けの指示を、本人は理解したつもりでも細部がズレる
- 図面や口頭指示の解釈が、現場の前提と噛み合わない
- 危険作業や手戻りの可能性がある場面で、確認せず進めてしまう
- 日本人職人や協力会社に対して、指示の出し方が曖昧になる
- 社長や既存職長が、どこまで任せてよいか判断できない
こうしたズレは、本人の能力不足だけで片づけない方がよいです。
むしろ、会社側に「職長として任せる前に、何を確認できれば合格か」という物差しがないと、社長の感覚に頼るしかなくなります。
外国人社員を職長候補に育てるには、“任せられるかどうか”を人柄や勘で判断するのではなく、確認すべき項目を会社の基準にしておくことが大切です。
いきなり職長にするのではなく、補佐付きで判断基準と確認ルールを固めてから権限を渡す
外国人社員を職長候補に育てるときは、いきなり一人で現場を持たせるよりも、段階を分けた方が現実的です。
この会社のように、本人から「一人つけてほしい」という声が出ているなら、それは弱さではなく、育成設計の入り口になります。本人が不安を言語化できている時点で、無理に独り立ちさせるより、補佐付きで経験を積ませる方が伸びやすいです。
進め方は、大きく5つに分けて考えます。
1. 職長候補に求める基準を、技術・安全・伝達・判断に分ける
最初に整えたいのは、職長候補の判断基準です。
「仕事ができる」だけでは、職長として十分かどうかを判断しづらくなります。現場を任せる基準を、少なくとも次の4つに分けて見ます。
- 技術:自分の作業品質を安定して出せるか
- 安全:危険箇所、重機まわり、第三者災害のリスクに気づけるか
- 伝達:元請けの指示を受け、自社メンバーに正しく伝えられるか
- 判断:迷ったときに、勝手に進めず確認できるか
特に大事なのは、最後の「判断」です。
職長候補に必要なのは、何でも自分で決める力ではありません。むしろ最初は、決めてよいことと、確認すべきことを分けられる力が重要です。
たとえば、日々の段取り変更は任せてもよい。軽微な作業順の入れ替えも任せてよい。ただし、品質に影響する変更、安全リスクが増える変更、元請けとの約束が変わる変更は、必ず既存職長か社長に確認する。
この線引きを先に決めておくと、本人も動きやすくなります。
2. 補佐役は“見張り役”ではなく、確認役として付ける
本人が「一人つけてほしい」と言っている場合、補佐役の付け方が重要です。
ここで補佐役を見張り役のように置くと、本人は任されている感覚を持ちにくくなります。逆に、完全に裏方に回しすぎると、ミスが起きるまで気づけません。
補佐役の役割は、本人の代わりに判断することではなく、本人の判断を確認することです。
具体的には、次のように役割を分けます。
- 朝礼前:その日の作業内容と注意点を職長候補が説明し、補佐役が抜け漏れを確認する
- 作業中:危険作業や変更点が出たときだけ、補佐役に確認する
- 終業前:進捗、手戻り、明日の段取りを職長候補がまとめ、補佐役が社内へ戻す内容を確認する
この形にすると、職長候補が主担当として現場を見る経験を積みながら、会社としての品質・安全の担保もできます。
補佐役を付ける目的は、ミスを防ぐことだけではなく、本人が“職長として何を見ればよいか”を毎日覚えることです。
3. 指示確認は「分かった?」ではなく、復唱と写真・図で確認する
認識違いを防ぐうえで、「分かった?」という確認はあまり機能しません。
本人が本当に分かっているつもりでも、細部がズレていることがあります。これは外国人社員に限らず、若手育成全般で起きることです。
職長候補に任せる前には、指示確認の型を決めておくと安心です。
たとえば、元請けや既存職長から指示を受けたあとに、本人が次の3点を復唱します。
- 今日やる作業は何か
- 絶対に間違えてはいけない品質・寸法・仕上がりは何か
- 危ない作業、止めて確認すべき作業は何か
口頭だけで不安が残る場合は、写真、図面、簡単なメモを使います。スマートフォンで現場写真を撮り、赤丸や矢印を付けて「ここをこうする」と残すだけでも、認識違いは減ります。
大事なのは、本人の日本語力を試すことではありません。
現場の指示を、誰が見ても同じ意味に近づけることです。
職長候補を育てる会社ほど、指示を曖昧にしない工夫が必要になります。
4. 元請けとの窓口は、最初から一人に背負わせない
職長になると、元請けや上位会社とのやり取りが増えます。ここをいきなり一人に背負わせると、本人にも会社にも負荷が大きくなります。
最初の段階では、元請けとの正式な窓口は既存職長や社長が持ちつつ、職長候補には同席・復唱・報告を担ってもらう形がよいです。
たとえば、元請けからの指示を受ける場面では、職長候補がその場に入り、指示内容を自分の言葉で確認します。その後、既存職長や社長に「こういう理解で合っていますか」と戻す。
慣れてきたら、軽微な確認や日々の段取り連絡は本人に任せる。品質や工程に影響する内容は、まだ既存職長が見る。
このように、窓口業務も段階を分けます。
- 第1段階:同席して聞く
- 第2段階:聞いた内容を社内に報告する
- 第3段階:軽微な連絡を本人が行う
- 第4段階:重要事項だけ社長・既存職長に確認して進める
元請け対応は“任せる・任せない”の二択ではなく、会話の種類ごとに任せる範囲を分けると進めやすくなります。
5. 権限移譲は、現場規模とリスクで段階をつくる
職長候補に任せる現場は、いきなり難しい現場から始めない方がよいです。
土木・道路・外構の現場では、現場ごとに条件が違います。重機の有無、第三者の通行、元請けの管理レベル、工期の厳しさ、近隣対応の有無などで、職長に求められる判断は大きく変わります。
最初は、比較的リスクが読みやすい現場から任せます。
- 作業内容が繰り返し型である
- 元請けとの関係性が安定している
- 既存職長が近くでフォローできる
- 工期や品質の条件が複雑すぎない
- 危険作業の判断ポイントが明確である
そのうえで、任せる範囲を少しずつ広げます。
最初は「一日の段取り」。次に「数日単位の進捗管理」。その次に「小規模現場の主担当」。最後に「元請け対応を含む現場運営」。
この順番で進めると、本人も会社も無理なく判断できます。
職長候補の育成は、肩書きを先に渡すのではなく、任せる範囲を広げながら実力を確認していく方が安定します。
まとめ
外国人社員が定着し、能力の高い若手が育っている会社は、これからの専門工事会社にとって大きな可能性を持っています。
ただ、職長候補に育てる段階では、技術だけでは足りません。元請けとのやり取り、安全判断、品質確認、社内への指示伝達まで含めて、現場を動かす力が必要になります。
このとき大事なのは、本人にすべてを背負わせることではありません。
会社側が、職長に必要な判断基準、補佐役の付け方、指示確認の型、元請け対応の範囲、権限移譲の段階を整えることです。
「できる子だから任せたい」
「でも、認識違いが心配」
この迷いは自然です。むしろ、その迷いをそのままにせず、育成の仕組みに変えられる会社は強くなります。
仕事があり、若手が残り、ベテランの引退時期も見えている。そういう会社ほど、職長育成は早めに整理しておく価値があります。
外国人社員を職長候補にする取り組みは、人手不足対策ではなく、会社の次の現場体制をつくる取り組みです。
自社の職長候補をどう育てるか整理したいときは
外国人社員を職長候補にするかどうかは、会社ごとの現場内容、人員構成、既存職長の余力、元請けとの関係性によって進め方が変わります。
「うちの若手には、どこまで任せてよいのか」
「補佐を付けるなら、誰に何を見てもらえばよいのか」
「職長候補の基準を、社内でどう決めればよいのか」
こうした段階から整理するだけでも、次の一手は見えやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。外国人社員の育成や職長候補づくりについても、会社の現状に合わせて一緒に整理できます。
無理な営業はいたしませんので、「まず何から考えるべきか知りたい」という段階でも大丈夫です。































