前提

三重県の内装系専門工事会社で、社員5名のまま施工は一人親方に頼る体制が続いている状態

三重県で内装系の専門工事を手がける、5名規模の会社の話です。代表、親族の社員、現場を担う社員、事務担当がいるものの、施工の中心は長く付き合いのある一人親方や個人事業主です。

会社として仕事を取り、現場を納めてきた実績はあります。一方で、代表の口から出た言葉はかなり率直でした。

自分のところで職人を育てるという感覚がないんですよね。仕事は頼むもんや、という流れで来てますから

これは、内装・専門工事会社では珍しい話ではありません。職種が多く、現場ごとに必要な手が変わり、昔から外注の職人ネットワークで回してきた会社は多いです。むしろ、それで成り立ってきたからこそ、今になって急に「自社職人を育てる」と言われても、何から手をつけるべきか見えにくいのだと思います。

ただ、現場の空気は少しずつ変わっています。職人は、より条件のよい現場、稼働が切れにくい会社、段取りのよい会社へ動きやすくなっています。材料や工程の乱れで現場が止まれば、日給月給の職人ほど別の仕事へ流れやすい。そうなると、今まで「いつもの人に頼めば何とかなる」と思っていた体制が、少しずつ不安定になります。

この会社でも、代表は「中をきっちりしないと、外に出ていけない気がする」と話していました。売上を伸ばす、新しい得意先を増やすという前に、まず社内の足場を整えたいという感覚です。

自社職人を育てる話は、単なる採用の話ではなく、外注中心で成り立ってきた会社が次の安定基盤をどう作るかという経営課題です。

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  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
  • 6月8日内装工事会社大阪府
  • 6月5日リフォーム会社愛知県
  • 6月5日プラント工事会社香川県
  • 6月5日ビルメンテナンス兵庫県
  • 6月5日内装工事会社長崎県
  • 6月4日防水工事会社東京都
  • 6月4日内装工事会社東京都
  • 6月3日総合建築埼玉県
  • 6月3日空調設備工事会社香川県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

自社職人ゼロの会社が未経験者を採っても、誰が何を教えるのかが決まっていないこと

一番の課題は、人を採るかどうかではありません。採った人を誰が育てるのかが決まっていないことです。

この会社では、自社で抱えている職人はいません。施工は一人親方・個人事業主が中心です。代表に「教育する人はいますか」と確認すると、答えは明確でした。

「いないです。結局みんな個人事業主だから、その人のやり方があるんです」

ここが外注中心の会社の難しさです。外注の職人には、それぞれの仕事の進め方があります。長年の関係性で仕事を頼んでいる以上、「うちはこういうやり方で統一してください」と強く言いにくい。言い方を間違えれば、「それなら別の会社の仕事に行く」となってしまうこともあります。

つまり、未経験者を採用しても、その若手を既存の一人親方の現場にただ同行させるだけでは、教育が会社の仕組みになりません。

起きやすいのは、次のような状態です。

  • 現場ごとに教え方が変わる
  • 「見て覚えろ」になり、若手が何を覚えればよいかわからない
  • 職人のやり方に会社が口を出しにくい
  • 代表がフォローに入り続け、結局代表の負担が減らない
  • 若手が育つ前に、現場の温度差で離れてしまう

特に、代表自身が営業、見積、段取り、現場フォローまで見ている会社では、教育まで代表が抱え込むと回らなくなります。この会社でも、代表は既存顧客への見積や段取りを「まだ任せられない」と感じており、現場でもフォローに入っていました。

「こっちの仕事はやりたい、こっちはやりたくない、となるとズルズル崩れてしまう。相手先の監督さんから話が出ると、僕がフォローしているのが実際のところです」

採用だけを先に進めると、教育不在のまま代表の負担が増え、現場品質も人間関係も不安定になりやすいです。

背景

外注で回すのが当たり前だった時代から、職人が会社を選ぶ時代に変わっていること

この問題の背景には、会社の努力不足ではなく、業界の前提変化があります。

以前は、職人の数も今より多く、外注先とのつながりがあれば仕事を回しやすい時代でした。内装系の会社では、軽天、ボード、クロス、床、造作など、職種ごとに外部の職人へ依頼する形が自然でした。

代表も「そういう時代でしたもんね」と話していました。

しかし今は、職人側も一社専属で固定されにくくなっています。仕事が途切れにくい会社、段取りがよい会社、条件のよい現場へ動くのは自然な流れです。会社側から見ると、今まで頼れていた職人が、いざ必要なときに別現場へ入っていることが増えます。

外注先の確保力だけに頼る経営は、仕事量を増やしたい局面ほど不安定になりやすくなっています。

もう一つの背景は、代表の考えを次の世代や社員へ伝える難しさです。

この会社では、親族を含む社員が現場に関わっています。ただ、代表はその社員に対して、強く言い切れないもどかしさを抱えていました。

「本当は言いたいんだけど、言葉を選びながらやっている自分がいる」

「注意して変な関係になるのが嫌だし、言う時にガツンと言ったら悪い方向へ行きそうで」

建設業の小規模会社では、家族・親族・昔からの仲間が近い距離で働いていることが多いです。その関係性は強みでもありますが、教育や評価、仕事への向き合い方を言語化する場面では、かえって言いにくさになります。

代表の中には、「お客様からもらった仕事は、やりたい仕事もそうでない仕事も責任を持って納める」という感覚があります。ただ、それを背中だけで伝えるのは難しい時代になっています。

若手や次の担い手には、次のように目的から伝える必要があります。

  • なぜこの仕事を受けているのか
  • なぜこの段取りが必要なのか
  • なぜ苦手な仕事も会社として対応するのか
  • どこまでできるようになれば評価されるのか
  • 将来どの役割を任せたいのか

「背中を見て覚えろ」だけでは、技術も責任感も会社の考え方も伝わりにくくなっています。

解決

未経験採用の前に、社内の誰が教えるかと外部職人に何を任せるかを決めること

自社職人を育てる第一歩は、求人を出すことではなく、教育の設計です。誰を採るかの前に、誰が教えるか、何を教えるか、どこまで任せるかを決める必要があります。

この会社のように自社職人ゼロの場合、選択肢は大きく4つあります。

1. 代表が直接教える体制を作る

会社の考え方、得意先との関係、仕事の基準を一番知っているのは代表です。その意味では、最初の教育者として代表が関わるのは理想に近いです。

ただし、代表が見積、営業、現場段取り、顧客対応をすべて抱えている状態では、教育に十分な時間を取れません。そこでまず見るべきは、代表が今やっている仕事の棚卸しです。

たとえば、次のように整理します。

  • 代表しか判断できない仕事
  • 社員に任せられるが、まだ任せていない仕事
  • 手順化すれば事務側で支えられる仕事
  • 外部に任せても品質が落ちない仕事

この整理によって、代表が教育に回れる時間を作れるかが見えてきます。

代表が教えるなら、先に代表の業務を減らす設計が必要です。教育は気合いではなく、時間を確保して初めて成り立ちます。

2. 代表の右腕を置き、その人が日常教育を見る

この会社では、代表が直接社員に言い続けるよりも、間に入る人を置く方が現実的に見えました。代表自身も「中間に誰か入ってやるのが理想」と話していました。

小規模会社では、代表が急に細かく言い始めると、社員側が「今さら何だろう」と受け取ることがあります。特に親族関係が絡むと、正しい内容でも感情の摩擦が起きやすいです。

そのため、代表の考えを理解した右腕が、日常のコミュニケーションを担う形が合う場合があります。

この場合の役割分担は、次のような形です。

  • 代表は会社の方針、仕事の基準、評価の考え方を右腕に伝える
  • 右腕は若手や現場社員の日常指導を行う
  • 代表は節目の面談や評価で、期待値と課題を伝える
  • 現場の細かな注意や相談は、右腕が受け止める

代表が全員を直接育てるのではなく、代表の考えを翻訳できる人を育てることが、教育体制づくりの近道になることがあります。

3. 信頼できる一人親方に教育役を依頼する

自社職人がいない会社では、外部の一人親方に教育役を担ってもらう方法もあります。

ただし、「若い子を連れて行くから、ついでに教えておいて」ではうまくいきません。教育は手間がかかります。職人にとっては、自分の作業スピードが落ちることもあります。だからこそ、依頼内容と対価を明確にする必要があります。

進め方としては、たとえば次のように整理します。

  • どの現場に同行させるか
  • 何の作業を見せ、何をやらせるか
  • 1か月後、3か月後に何ができればよいか
  • 教育のための追加費用をどう設定するか
  • 会社側がどの頻度で進捗確認するか

外部職人に教育を頼む場合も、会社としての基準は必要です。現場での教え方は職人に任せつつ、「挨拶」「報告」「安全」「道具の扱い」「施工前後の確認」など、会社として外せない部分は明文化しておきたいところです。

一人親方に教育を頼むなら、外注費の延長ではなく、教育役として正式に依頼することが大切です。

4. 職人から管理者へ育てる道筋を作る

自社職人を抱える目的は、単に手を増やすことだけではありません。将来的には、現場を任せられる管理者を育てることが重要です。

内装系の会社では、現場ごとに職種も工程も変わります。すべてを代表が見続けると、会社の成長は代表の稼働時間で止まります。だからこそ、最初から「職人として一人前になる」だけでなく、「現場をまとめる人になる」道筋を見せておく必要があります。

たとえば、育成段階を次のように置きます。

  • 1年目:現場の流れ、道具、基本作業、安全、報告を覚える
  • 2〜3年目:部分作業を任され、外部職人とのやり取りを覚える
  • 3〜5年目:小規模現場の段取りや品質確認を担う
  • その後:現場責任者として、職人チームをまとめる

もちろん会社規模や工種によって年数は変わります。ただ、こうした道筋がないと、若手は「自分がどこへ向かっているのか」が見えません。

職人を採るなら、最初から管理者候補としての成長ルートも一緒に設計することが必要です。

判断軸は「今すぐ教えられる人がいるか」から始める

未経験採用へ進むか、右腕採用を先にするか、外部職人に教育役を頼むかは、会社によって違います。判断軸はシンプルです。

まず、次の問いに答えることです。

  • 代表は週にどれくらい教育時間を取れるか
  • 社内に、代表の考えを理解して若手に伝えられる人がいるか
  • 外部の一人親方の中に、教育を任せられる人がいるか
  • 若手に任せる最初の作業を具体化できているか
  • 仕事への姿勢や評価基準を言葉にできているか

ここが曖昧なまま採用すると、入社後に現場任せになります。逆に、ここが整理できていれば、未経験者でも育てる入口が作れます。

採用活動の前に教育役を決める。教育役を決める前に、代表の仕事と会社の基準を整理する。この順番が、自社職人づくりの土台になります。

まとめ

外注の一人親方に頼る体制は、これまで多くの専門工事会社を支えてきました。関係性のある職人がいて、仕事があり、現場が回る。その形自体が悪いわけではありません。

ただ、職人不足や働き方の変化が進む中で、外注だけに頼る体制は少しずつ読みにくくなっています。自社職人を育てることは、売上拡大のためだけではなく、現場品質、得意先対応、事業の継続性を安定させるための選択肢です。

大事なのは、いきなり採用に走らないことです。

自社職人づくりは、採用ではなく教育体制づくりから始まります。

まずは、誰が教えるのかを決める。代表が教えるのか、右腕を置くのか、信頼できる一人親方に教育役を頼むのか。次に、何をどの順番で教えるのかを決める。そして、職人として育てるだけでなく、将来的に現場を任せる管理者へどう育てるかを考える。

この順番で整理すると、「うちも職人を採らなければ」という焦りではなく、「うちならどの形なら育てられるか」という現実的な一手が見えてきます。

外注中心から自社育成へ移るには、昔のやり方を否定する必要はありません。これまでの職人ネットワークを活かしながら、会社として育てる仕組みを一つずつ足していくことが大切です。

自社職人を育てる前に、教育役と社内体制を一緒に整理する

「うちの場合、まず採用なのか、右腕づくりなのか、外部職人に教育を頼む形なのか」。この整理は、会社の人数、代表の業務量、外注先との関係性、既存社員との距離感によって変わります。

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