前提

10名弱で屋根・板金・内装を担い、大手との長年取引を社長が支える専門工事会社

中国地方にある従業員10名弱の専門工事会社では、屋根工事を中心に、板金や内装まで幅広く対応しています。年商は2億円台後半。会社規模に対して取引先の層が厚く、大手企業やゼネコン、メーカーから継続的に仕事を受けてきました。

こうした取引は、会社の施工力だけで成り立っているわけではありません。創業から長い時間をかけて築いてきた、社長と取引先との信頼関係が大きな土台になっています。

社長は、その強みと同時に、将来への課題もはっきり認識していました。

「会社と会社の付き合いではあるけれど、実際には人間同士のやり取りです。自分がいる間は、自分の名前が売れているというだけです」

社長が若手だった頃に付き合っていた取引先の担当者は、今では決裁に近い立場へ上がっています。そのため、相談や見積依頼が通りやすく、多少の融通も利きます。

ただし、その関係は自動的に次の世代へ移るものではありません。長年の取引実績があっても、社長個人への信用を会社全体の信用へ変えなければ、営業基盤の承継は完了しません。

1週間で 16件の相談 がありました

  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
  • 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
  • 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
  • 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
  • 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
  • 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
  • 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
  • 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
  • 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
  • 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
  • 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
  • 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
  • 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
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課題

社長の名前で届く相談を、次世代の継続受注へ変えきれていない状態

目の前の受注が続いている間は、営業承継の問題が表面化しにくいものです。いつもの担当者から社長へ連絡が入り、社長が話をまとめ、社員や協力会社を動かせば、工事は進みます。

一方で、社長から後継を担う専務や社員へ案件を渡した後、その人たちが取引先へ顔を出し、関係を深められているかは別の話です。

「次に渡してはいるけれど、その後に動いてくれなければ、自分が言うだけでは駄目です」

この言葉が示しているのは、単なる営業力不足ではありません。問題は、既存顧客との関係づくりが、社長から案件を振るところで止まっていることです。

営業承継では、次世代へ顧客名や連絡先を渡すだけでは足りません。

  • 取引先の誰と、どのような経緯で関係ができたのか
  • 誰が相談を持ち込み、誰が見積先を選んでいるのか
  • 現場担当者、上司、メーカーなどがどう関わっているのか
  • どのような対応が評価され、次の依頼につながったのか
  • 社長がどのタイミングで顔を出し、何を確認しているのか

こうした情報まで渡して、初めて関係を引き継ぐ準備が整います。

営業承継で引き継ぐ対象は案件ではなく、「次もこの会社へ相談しよう」と思ってもらえる関係そのものです。

背景

顧客側も世代交代するなか、若手同士の関係づくりには10年単位の時間がかかる構造

既存顧客との関係承継が難しいのは、信頼が短期間ではつくられないからです。

社長は、取引先の組織について次のように見ていました。

「上の人は知っているけれど、下の人とはまだ関係がない。その人が10年後に上へ上がったとき、初めて答えが出ます。今やっていることは、今ではなく未来の話です」

この感覚は、長期取引の多い建設会社に共通します。現在の決裁者との関係だけを見ていると受注は安定しているように見えますが、顧客側でも世代交代は進みます。次の課長、所長、工事責任者になる人たちが、自社の後継者や社員を知らなければ、既存取引が同じ形で続くとは限りません。

特に建設業では、見積金額や施工実績だけで発注先が決まるわけではありません。現場の状況が変わったときに早く相談できること、メーカーや他業者との関係を踏まえて段取りできること、問題が起きる前に確認を入れられることも信用の一部です。

この会社の社長も、営業を単なる挨拶回りとは捉えていませんでした。

「顔を出して営業しないと、なかなか次にはつながりません」

顔を出す目的は、その場で仕事をもらうことだけではありません。相手の担当範囲や関心、困り事を知り、自社の次世代を覚えてもらうことにあります。

顧客側の次世代が役職に就いてから関係づくりを始めるのでは遅く、双方が若いうちから接点を重ねることが営業承継の中心になります。

解決

関係者マップと同行、接点記録、段階的な窓口移管で営業承継を日常業務にする進め方

営業承継は、社長が退く直前の引き継ぎ業務ではありません。数年かけて、顧客との接点を社長一人から複数人へ広げる取り組みです。

進める際は、次の4段階に分けると整理しやすくなります。

1.取引先ごとの関係者マップをつくる

最初に、主要な既存顧客を数社に絞り、関係者を一覧にします。組織図をきれいにつくることが目的ではなく、「誰との関係が切れると、相談や見積依頼が止まりやすいか」を把握するためです。

最低限、次の内容を整理します。

  • 現在の主な窓口
  • その上司や決裁に関わる人
  • 現場で接点の多い監督や担当者
  • メーカーなど案件情報を持つ関係者
  • 自社側で対応している人
  • 関係が社長だけに偏っている相手

整理した結果、社長と顧客側の役職者だけが線で結ばれ、次世代同士には接点がない場合、優先的に同行を始める必要があります。

引き継ぎの優先順位は売上高だけでなく、「社長以外との接点がどれだけあるか」で決めることが重要です。

2.後継者や社員を商談・現場訪問へ同行させる

次に、社長が取引先へ出向く際、後継者や担当社員を同席させます。最初から説明や交渉を任せる必要はありません。まずは相手の名前、役割、会話の流れを知る段階です。

ただし、単に横へ座らせるだけでは関係は深まりません。訪問前に、社長から次の点を共有しておきます。

  • 今回会う相手と、どのような付き合いがあるか
  • 過去にどのような工事を担当したか
  • 相手が品質、納期、段取りの何を重視するか
  • 今回の訪問で確認したいことは何か
  • 同行者にどこまで話してほしいか

訪問後は、「誰が何を気にしていたか」「次に何を返すか」を短時間で振り返ります。この前後の共有がなければ、同行が顔合わせだけで終わってしまいます。

3.接点履歴と案件情報を社内に残す

社長の頭の中にある情報は、取引先ごとの記録へ移します。大がかりな営業システムから始める必要はなく、共有表や既存の日報でも構いません。

残す情報は、訪問日や見積金額だけでは不十分です。

  • 誰と会ったか
  • 何を相談されたか
  • 相手の役割や関心は何か
  • 過去案件とのつながりはあるか
  • 次回、誰がいつ連絡するか
  • 社長の同席が必要か

社長が自然に判断している「この話は先にあの人へ通しておいた方がよい」「この案件はメーカー側にも確認が必要」といった情報も、できる限り言葉にします。

接点履歴は活動報告ではなく、社長がいなくても次の一手を判断するための営業資産として残します。

なお、会話を録音する場合は、目的と利用範囲を説明し、相手の了承を得ることが前提です。営業承継では、情報を残すことと同じくらい、相手への誠実な扱いが欠かせません。

4.窓口を一度に替えず、役割を段階的に移す

関係ができてきたら、社長から後継者や社員へ窓口を移します。一度にすべてを任せるのではなく、次のように段階を分けます。

  1. 社長が主担当となり、後継者が同席する
  2. 後継者が説明し、社長が補足する
  3. 後継者が主担当となり、社長へ共有する
  4. 通常案件は後継者が対応し、重要案件だけ社長が同席する
  5. 顧客から後継者へ直接、相談や見積依頼が入る状態をつくる

判断基準は、名刺交換の回数ではありません。相手から直接連絡が入るか、案件が固まる前の相談をもらえるか、後継者の説明で話が進むかを見ます。

社長がすぐに助け舟を出し続けると、顧客側も社内側も「最後は社長」と考えます。だからといって急に手を引けば、長年の信用を損なう可能性があります。社長の信用を後ろ盾として残しながら、実務上の主語を次世代へ移していくことが、無理のない窓口移管です。

まとめ

社長の人脈で受注できていることは、決して悪い状態ではありません。長年にわたって品質、納期、段取りへ向き合い、人と人との信頼を積み重ねてきた結果です。

一方で、その信頼を社長個人の中だけに残すと、次世代は同じ時間をゼロからかけることになります。

営業承継で進めたいのは、次の4点です。

  • 取引先の関係者を整理する
  • 後継者や社員を商談・現場訪問へ同行させる
  • 接点履歴と案件情報を共有する
  • 顧客の反応を見ながら窓口を段階的に移す

社長が退いても相談や見積依頼が続く会社は、顧客を引き継ぐのではなく、関係を育てる時間まで次世代へ渡しています。

10年後に相手企業の中心となる人と、自社の中心となる人が、今から顔を合わせているか。まずは主要顧客一社の関係者を書き出すところから、営業承継を始められます。

既存顧客との関係を次の世代へつなぐための整理先

既存顧客との取引が社長個人に偏っている場合でも、すぐに営業担当を置いたり、窓口を一斉に替えたりする必要はありません。まずは、どの顧客の、どの関係が、誰に集中しているのかを整理することが先です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。営業承継についても、取引先との関係整理や社内の役割設計など、「うちの場合はどこから考えるべきか」という段階から一緒に整理できます。

ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、無理にサービスを勧めることはありません。既存顧客との関係を次世代へどうつなぐか迷っている場合は、現在の取引構造を言葉にするところからお聞かせください。

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