前提

首都圏で住宅・商業施設の電気工事需要が増える一方、協力会社探しは紹介頼みに寄りやすい状況

首都圏で住宅、マンション、商業店舗、ホテル改修などを扱う建設会社では、電気工事の協力会社探しが以前より難しくなっています。

現場側の感覚としては、仕事はある。むしろ電気に関わる工事は増えています。新築、リニューアル、省エネ対応、EV関連、設備更新。どの用途でも電気工事は外せません。

一方で、電気工事は資格と経験が必要です。「今日資格を取ったから明日から現場を任せられる」という仕事ではありません。 有資格者・経験者の高齢化も進んでいます。

実際、首都圏だけでも電気工事の許可業者は相当数あります。全国では約6万社、首都圏でも2万社弱という見方があります。ところが、会社数が多いことと、案件に合う施工体制を持つ会社が多いことは別です。

ある建設会社の担当者からも、協力会社探しについてこんな言葉が出ていました。

「協力業者を探すのは、もう紹介ベースです。現場監督が過去に使った人か、知っている会社からの紹介になっています」

この言葉は、多くの会社にとって他人事ではないと思います。

電気工事の協力会社探しは、“会社を探す”段階から、“案件に合う施工体制を見極める”段階に移っています。

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課題

許可業者数だけでは、500万円の工事と1億円の工事を任せられる会社の違いが見えにくい

電気工事会社を探すときに難しいのは、同じ「電気工事業者」でも中身が大きく違うことです。

500万円規模の工事を中心にしている会社と、1億円規模の工事を受けている会社では、管理体制も資金繰りも協力会社網も違います。マンションに強い会社、オフィスビルに強い会社、病院や工場に慣れている会社、店舗内装のスピード感に合う会社も違います。

「電気工事ができる会社」ではなく、「この案件に合う電気工事会社」かどうかを見る必要があります。

たとえば、次のような違いです。

  • 500万円前後の小規模工事が中心か、数千万円〜1億円規模の実績があるか
  • マンション、ホテル、店舗、工場、病院、公共工事のどこに実績が多いか
  • 元請として現場管理までできるか、下請として施工部隊に強いか
  • 自社の職人を抱えているか、外注依存が高いか
  • 材料を自社で持つ体制か、人工中心の施工会社か
  • 財務の安全性や利益の出方に大きなブレがないか

紹介でつながった会社が悪いわけではありません。むしろ信頼できる紹介は今も大切です。

ただ、紹介だけだと候補が限られます。過去に使った会社、知人が知っている会社、既存協力会社の紹介先。この範囲だけで探すと、案件規模や用途が変わったときに選択肢が足りなくなります。

紹介頼みの限界は、候補数の少なさではなく、比較する軸が持ちにくいことにあります。

背景

許可業者は増えても、1社あたりの人数が減り、施工体制の見極めが難しくなっている

電気工事会社の数は増えているように見えても、実態としては小規模化が進んでいます。

以前は1社で5人、10人と社員を抱えていた会社から、若い人が独立して2人、3人の会社をつくる。すると許可業者数は増えます。けれど、1社あたりの施工力は必ずしも増えません。

「許可業者が増えているから協力会社は探しやすい」とは言い切れないのが、いまの電気工事業界です。

さらに、電気工事は建物用途によってやり方が変わります。オフィスビル、マンション、病院、工場、商業店舗。どれも電気工事ですが、工程の組み方、品質管理、他業種との絡み方、求められるスピードが違います。

現場管理力も重要です。大きな案件では、施工する職人だけでなく、代理人や監督機能を持つ会社が求められます。官庁工事や一定規模以上の公共工事を経験している会社は、管理体制を持っている可能性があります。

一方で、職人を探している場合は見方が変わります。材料費比率が低く、外注費も低めで、人件費がしっかり出ている会社なら、自社職人を抱えている可能性があります。逆に外注費が大きい会社は、協力会社網を使って現場を回している会社かもしれません。

ここで大事なのは、どちらが良い悪いではないことです。

現場管理まで任せたいのか、施工力のある職人会社を探したいのかで、見るべき数字や実績が変わります。

財務面も同じです。単純な評点だけで見ると、小規模で堅実な会社が低く見えることがあります。1億円規模の会社と100億円規模の会社では、利益率や自己資本の見え方が違います。

だからこそ、同じ規模帯の会社の中で、収益性・安全性・生産性を見ることが必要になります。ある担当者は、会社選びの視点として「若くて、しっかり仕事をしている会社をどう見ていくか」と話していました。

その答えは、感覚だけでは出しにくいものです。

解決

案件規模・得意用途・施工体制・財務の4つを並べて、紹介依存から比較できる選定に変える

電気工事会社を選ぶときは、最初から完璧な会社を探すより、案件に合わせて条件を分けるほうが現実的です。

協力会社選定は、「知っている会社に頼む」から「任せたい役割に合う会社を絞る」へ変えていくのが進めやすいです。

まず整理したいのは、案件側の条件です。

  • 工事金額は500万円規模か、数千万円か、1億円級か
  • 建物用途はマンション、住宅、店舗、ホテル、工場、病院、オフィスのどれか
  • 新築か、改修・リニューアルか
  • 現場管理まで任せたいのか、施工部隊を探したいのか
  • 現場エリアはどこか
  • 元請として入ってほしいのか、下請・協力会社として入ってほしいのか

次に、候補会社を見る軸をそろえます。

過去案件を見るときは、単に「ホテルをやったことがある」「店舗をやったことがある」だけでなく、金額も見ます。5000万円以上のホテル案件を経験している会社と、数百万円の部分工事だけを経験している会社では、任せられる範囲が変わります。

施工体制を見るときは、材料費、人件費、外注費のバランスが参考になります。材料費比率が高い会社は、照明器具や配電盤などを自社で持つ元請・管理寄りの可能性があります。外注費が高い会社は、協力会社網を使って現場を組む会社かもしれません。外注費が低く、人件費が厚い会社は、職人を内製している可能性があります。

数字は答えそのものではありませんが、会社の施工体制を質問するための入口になります。

財務を見るときは、直近1期だけで判断しないほうがよいです。建設業は期末の仕掛工事で売上や利益がブレます。大型工事の途中であれば、その期だけ赤字に見えることもあります。逆に翌期に利益が出ることもあります。

そのため、少なくとも数期分で次を見ます。

  • 売上が極端に落ちていないか
  • 営業利益率が継続的に悪化していないか
  • 工事未収入金と工事未払金のバランスが大きく崩れていないか
  • 人件費が増えている場合、人を増やしているのか、待遇改善なのか
  • 安全性が同規模帯の中で大きく低くないか

ここまで見ると、紹介された会社も、まだ会ったことがない会社も、同じ土俵で比較しやすくなります。

実務では、いきなり発注するのではなく、候補リストをつくってから面談で確認する流れがよいです。

たとえば、次のように進めます。

  1. 案件条件を「金額・用途・エリア・役割」で分ける
  2. 過去案件から、近い用途・近い金額の実績がある会社を抽出する
  3. 材料費・外注費・人件費の傾向から、管理寄りか施工寄りかを仮説立てする
  4. 数期分の財務で、極端なブレや資金面の不安がないかを見る
  5. 面談で、代理人の有無、自社職人の人数、協力会社網、対応可能エリアを確認する
  6. 小さめの案件や部分工事から相性を見る

データで候補を絞り、最後は現場感と相性で判断する。これが紹介依存から抜ける現実的な進め方です。

まとめ

電気工事の需要は、今後も底堅く続くと考えられます。インフラ更新、リニューアル、省エネ、建物設備の高度化。電気が関わらない現場はほとんどありません。

一方で、電気工事会社は数が多く見えても、1社あたりの人数や施工体制は小さくなっています。許可業者数だけでは、案件に合う会社かどうかは分かりません。

これからの協力会社探しで大事なのは、「紹介されたから安心」でも「許可があるから大丈夫」でもなく、案件規模・得意工事・施工体制・財務の4つをそろえて見ることです。

紹介は大切です。ただ、紹介だけに頼ると候補が狭くなります。過去案件、建物用途、元請・下請の比率、現場管理力、職人の内製度、財務の安定性まで見ていくと、まだ出会えていない良い会社が見つかる可能性があります。

協力会社探しは、単なる外注先探しではありません。自社の案件を安定して進めるための施工体制づくりです。

「誰か良い電気屋さんいませんか」から、「この案件に合う会社をどう探すか」へ変えるだけで、次の一手はかなり整理しやすくなります。

協力会社探しをデータと現場感の両方で整理したいときは

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。

電気工事会社を探したい元請・建設会社の方も、自社の協力会社網を強くしたい方も、「うちの場合はどの条件で見ればよいか」「紹介以外にどう候補を広げればよいか」という段階から整理できます。

無理な営業はいたしません。まずは状況を伺いながら、案件規模や施工体制に合う考え方を一緒に整理します。

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