月給制で職人の生活を支えてきた東海地方の防水工事会社が、いまは数名体制で協力会社を使っている状況
東海地方でシーリングを中心とした防水工事を続けてきた、年商2億円台後半の専門工事会社の話です。
もともとは職人を社員として雇い、待遇面もかなり考えていました。求人条件も日給ではなく月給制です。理由ははっきりしています。
「従業員の子たちが結婚して、家を建てて、という話になる。雨で休みだから給料が減る、では困るでしょう」
建設業、とくに外仕事の専門工事では、雨や現場都合で収入がぶれやすいです。そこを月給制にして、生活の安定をつくろうとしていたわけです。
ただ、待遇を整えても人が残るとは限りません。
実際には、育った職人が独立したり、現場内の人間関係で辞めたり、仕事への向き合い方が合わなかったりすることが重なりました。いまは社内を大きく増やすより、元社員や知っている職人、紹介でつながった職人を協力会社として使う形に寄っています。
この会社の現在地は、「人を雇って内製化する会社」から、「品質を見られる社長が、信頼できる協力会社を束ねる会社」へ移っている状態です。
同じように、採用しても独立される、教育しても定着しない、でも仕事はある。そんな会社にとって、協力会社中心の体制は現実的な選択肢になります。
ただし、ただ外注を増やせばよいわけではありません。
ここを間違えると、売上は上がっても、品質事故や手直し、元請け・施主への責任が社長に戻ってきます。
1週間で 11件ダウンロード されました
- 7月6日工務店兵庫県
- 7月6日電気設備工事会社神奈川県
- 7月6日防水工事会社東京都
- 7月5日塗装工事会社神奈川県
- 7月5日プラント工事会社福島県
- 7月5日リフォーム会社東京都
- 7月5日総合土木福井県
- 7月4日外構工事会社千葉県
- 7月2日防水工事会社茨城県
- 6月30日ビルメンテナンス北海道
- 6月30日ビルメンテナンス福岡県
- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
- 6月27日リフォーム会社山口県
- 6月27日内装工事会社大阪府
- 6月26日塗装工事会社秋田県
- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
職人を採用しても独立してしまう会社ほど、知らない外注を増やすと品質責任が社長に集中すること
職人が独立していくこと自体は、建設業では珍しくありません。
ある程度腕がつくと、「自分でやった方が稼げるのでは」と考える人も出ます。周囲から声をかけられることもあります。本人の人生なので、止めきれない部分もあります。
この会社でも、社長はかなり割り切っていました。
「その人の人生だから、だめだと言ってもしょうがない。独立するならそれでいい。ただ、うちの仕事もやれよ、という感じです」
この考え方は、とても実務的です。
社員として抱え続けることにこだわらず、独立した元社員に協力会社として動いてもらう。互いに関係が切れない形にする。これは中小の専門工事会社にとって、十分にあり得る体制です。
一方で、協力会社を増やすときの怖さもあります。
社長はこう話していました。
「なるべく全然知らないところは使いたくない。何が起こるかわからないし、最後はこっちが責任を持たないといけない」
ここが本質です。
協力会社中心にすると、現場で手を動かす人は社外になります。けれど、元請けやお客様から見た責任は、発注した自社に残ります。
つまり、外注化は責任の外出しではなく、施工体制の組み替えです。
人手が足りないからといって、知らない職人を急に増やす。できると言われたから任せる。単価が合うから入れる。これを繰り返すと、現場の品質が社長の目から離れていきます。
特に防水・シーリングのような工種では、見た目だけでは判断しづらい部分があります。施工後すぐに問題が出ないこともあります。だからこそ、「できる」と言う人と、本当に任せられる人の差が大きくなります。
協力会社中心に切り替えるときの課題は、人を増やすことではなく、責任を持てる範囲で任せる相手を見極めることです。
社員として抱えるよりも、元社員や紹介先を使う方が現実的になっている理由
この会社が協力会社中心に寄っている背景には、単純な人手不足だけではない事情があります。
ひとつは、教育の難しさです。
社長は、若手や外部人材を入れても、教える側に十分な腕や姿勢がなければ育たないと感じていました。
「教えろと言っても、結局毎日ただ使ってしまう。そもそも教えられる腕があるのか、という話になる」
これは多くの専門工事会社で起きています。
採用すれば育つわけではありません。現場に入れれば覚えるわけでもありません。教える人、見る人、直す人がいなければ、若手はただの手元になってしまいます。
もうひとつは、仕事観の違いです。
社長は品質へのこだわりが強く、現場での確認も細かいタイプでした。
「お客様は細かいところまではわからない。こっちが気づいたら、やり直しもさせる」
この姿勢があるから、長く仕事が続いてきたとも言えます。一方で、職人側からすると「うるさい」と感じることもあります。独立したい人にとっては、自分のやり方でやりたいという気持ちも出ます。
さらに、売上を無理に大きくしたくない事情もあります。
大きい現場を受けると、足場や周辺工事、他業種との調整、現場のケアが増えます。専門工事だけなら見られるものが、範囲が広がると一気に負荷が増えます。
社長は、数千万円規模の現場を受けると「いろいろ見ないといけなくなる」と話していました。売上が伸びても、知らない下請けを使う必要が出て、社長の許容を超える可能性があるからです。
この背景を整理すると、協力会社中心の体制に切り替える理由は明確です。
- 社員採用を続けても、独立や退職で人が残らない
- 教育できる人材が社内に限られている
- 品質にこだわるほど、誰にでも任せられない
- 大型案件を受けると、知らない外注を使うリスクが増える
- それでも、信頼できる職人がいれば受けられる仕事は増える
内製化をあきらめるというより、「社員で抱えるべき仕事」と「協力会社に任せてもよい仕事」を分ける段階に来ている、という見方が近いです。
協力会社中心に切り替えるなら、紹介ルート・試し発注・社長チェック・工事範囲の線引きを先に決めること
協力会社中心の体制に切り替えるときは、まず「誰を増やすか」より「どう見極めるか」を決めることが大切です。
この会社でも、協力会社の入口はほとんど決まっていました。
元社員、以前から知っている職人、周囲からの紹介です。まったく知らない会社をいきなり使うことには慎重でした。
この順番は、多くの専門工事会社にとって参考になります。
協力会社を増やす入口は、知らない外注リストではなく、信頼が残っている関係先から始める方が安全です。
具体的には、次の順番で整理すると進めやすくなります。
1. 協力会社候補を「関係性」で分ける
最初に、候補を技術だけで見ないことです。
技術は大事です。ただ、現場は技術だけでは回りません。報連相、約束、手直しへの対応、元請けへの態度も含めて仕事です。
候補は、まず次のように分けます。
- 元社員・元職人で、仕事ぶりを知っている相手
- 既存の協力会社から紹介された相手
- 元請けや同業者から評判を聞ける相手
- まったく接点がない相手
優先順位は上からです。
まったく接点がない相手を使う場合は、いきなり主力現場に入れない方がよいです。社長が責任を持てる範囲を超えやすいからです。
2. 「できる」と言う相手には、小さい現場で試す
職人や協力会社は、口では「できます」と言います。
もちろん、本当にできる人もいます。ただ、初回からそれを信じ切るのは危険です。
社長も「口ではみんな、できますと言う。実際どうなのかは見ないとわからない」と話していました。
だから、最初は小さい工事で試すのが現実的です。
たとえば、いきなり大規模修繕の主力に入れるのではなく、範囲が限定されたシーリング補修や、社長が見に行きやすい現場から始めます。
見るべき点は、仕上がりだけではありません。
- 現場前の段取りができているか
- 材料や施工条件の確認をするか
- 不明点を勝手に進めず確認するか
- 手直しを嫌がらず対応するか
- 元請けや管理側への態度に問題がないか
試し発注は、単価を見る場ではなく、「この人に自社の看板を預けられるか」を見る場です。
3. 社長が品質チェックするポイントを絞る
協力会社を使う以上、すべての作業を社長が張り付いて見ることはできません。
ただ、見ないといけないポイントはあります。
この会社のように、社長自身が品質をキャッチできる会社では、社長の目が最大の品質保証になっています。だからこそ、全部を見るのではなく、要所を見る仕組みに変える必要があります。
たとえば、防水・シーリング工事であれば、社長が必ず確認する工程を決めておくことです。
- 着工前の施工範囲確認
- 下地や既存状態の確認
- 材料・仕様の確認
- 施工中の要所写真
- 完了前の仕上がり確認
- 引き渡し前の是正確認
現場ごとに細かく変わるとしても、「ここだけは見る」というポイントを決めておけば、協力会社に任せても品質のブレを抑えやすくなります。
協力会社体制では、社長が全部を見るのではなく、事故が起きやすい箇所を必ず見る形に変えることが重要です。
4. 任せる工事範囲を先に線引きする
協力会社が増えると、受けられる仕事も増えます。
ただし、仕事の範囲まで広げると負荷が跳ねます。
この会社でも、大きい案件や複数工種が絡む案件には慎重でした。専門工事だけなら見られても、足場や周辺工事、他業種調整まで抱えると、社長の仕事が一気に増えるからです。
そのため、協力会社に任せる範囲は先に決めておくべきです。
たとえば、次のような線引きです。
- 自社が品質を判断できる工種だけ請ける
- 初回の協力会社には限定範囲だけ任せる
- 複数工種が絡む案件は、信頼できる管理者がいる場合だけ受ける
- 大型案件は、既存協力会社の稼働と社長の確認時間が確保できる場合だけ受ける
売上を伸ばせるかどうかより、責任を持てるかどうかを先に見ます。
協力会社中心の体制で大切なのは、「受けられる仕事」を増やすことではなく、「任せても崩れない仕事」を増やすことです。
5. 元社員を協力会社にする場合は、関係を曖昧にしすぎない
元社員は仕事ぶりを知っている分、頼みやすい相手です。
一方で、社員時代の感覚が残ることもあります。お互いに甘えが出ることもあります。
だからこそ、独立後に協力会社として付き合うなら、最低限のルールは決めておきたいところです。
- 単価や支払い条件
- 手直し時の対応
- 材料支給の有無
- 現場での連絡窓口
- 元請け・施主対応の範囲
- 他社現場とのスケジュール調整
細かい契約書まで最初から整えきれなくても、「これはうちの仕事として守ってほしい」という基準は共有しておく方がよいです。
元社員だから大丈夫、ではなく、元社員だからこそ仕事上の線引きをする。ここが長く付き合うコツです。
まとめ
職人を採用しても独立してしまう。待遇を整えても定着しない。これは、会社の努力不足だけで片づけられる話ではありません。
月給制にして生活の安定を考えても、職人本人の人生観や仕事観、人間関係、独立志向は残ります。
そのとき、無理に内製化を続けるだけが正解ではありません。
元社員、知っている職人、紹介でつながった協力会社を活用しながら、社長が品質責任を持てる範囲で体制を組むことも、専門工事会社の現実的な経営判断です。
ただし、外注を増やすだけでは危険です。
協力会社中心に切り替えるなら、次の順番で整理するのがよいです。
- 信頼できる紹介ルートから候補を探す
- いきなり大きい現場ではなく、小さい工事で試す
- 技術だけでなく、確認・報告・手直し対応を見る
- 社長が品質チェックする工程を決める
- 任せる工事範囲と受けない工事範囲を線引きする
- 元社員とは、協力会社としてのルールを決め直す
採用で人を増やす会社から、協力会社を束ねる会社へ。
この切り替えは、後ろ向きな縮小ではありません。むしろ、今いる社長の目、技術、信用を活かして、無理のない施工体制をつくる動きです。
大事なのは、雇うか外注かの二択ではなく、自社が品質と責任を持てる形を選ぶことです。
協力会社中心の体制を考える前に、自社の任せ方を整理する
協力会社を増やしたいけれど、誰に任せてよいかわからない。元社員に仕事を出しているが、今のままでよいのか迷う。知らない外注を入れるのは不安だけれど、人手が足りない。
そうした段階では、まず自社の施工範囲、品質チェックの方法、協力会社の選び方を整理するだけでも、次の動きが見えやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。協力会社体制づくりについても、「うちの場合は社員を増やすべきか、協力会社中心にすべきか」という段階から一緒に整理できます。
無理な営業はいたしませんので、まだ方針が固まっていない段階でも大丈夫です。自社の任せ方や体制づくりを一度整理したい方は、お問い合わせはこちらからご相談ください。































