監督5名ほどの会社で、40代の経験者と20代の若手が同じ現場を回している状況
首都圏近郊で住宅系の工事を担う、監督5名ほどの建設会社の話です。役員兼務の担当者も含め、40代の経験者が3名。そこに、23歳・25歳ほどの若手が2名入ってきました。
若手は紹介経由で入社しています。以前にも20代の人材が入ったものの、1年ほどで辞めてしまったことがありました。
会社としては、採用だけでなく定着と育成も何とかしたい。けれど、日々の現場は忙しい。引き渡し、段取り、元請け対応、職人手配。目の前の仕事で手一杯になります。
担当者からは、こんな声がありました。
「10年もいるんですけど、下の子を育てられるかというと難しいんです。現場は引き渡しまでやる。でも、人を育てるとなると自分で精一杯みたいな感じで」
現場を回せることと、後輩を育てられることは別の力です。 ここを分けて考えると、打ち手が見えやすくなります。
1週間で 12件ダウンロード されました
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
- 6月16日電気設備工事会社東京都
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
- 6月11日プラント工事会社京都府
- 6月11日空調設備工事会社神奈川県
- 6月11日空調設備工事会社茨城県
- 6月11日総合土木長野県
- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
- 6月10日内装工事会社愛知県
- 6月9日設備保全会社京都府
- 6月9日総合土木北海道
- 6月9日設備保全会社山口県
- 6月8日防水工事会社兵庫県
- 6月8日電気設備工事会社神奈川県
- 6月8日内装工事会社大阪府
- 6月5日リフォーム会社愛知県
- 6月5日プラント工事会社香川県
10年選手に任せても、若手育成が現場の成り行きになってしまうこと
この会社の悩みは、「若手がいない」だけではありません。若手は入ってきています。問題は、入った後に育つ道筋が見えにくいことです。
経験者は現場対応ができます。段取りもできます。お客様とのやり取りもできます。けれど、若手に何をどの順番で教えるか。どこまでできたら次の段階に進めるか。注意と指導をどう分けるか。そこまでは整理されていません。
そのため、育成がどうしても人任せになります。
- 面倒見のよい人が、感覚で教える
- 忙しい日は、若手が見て覚える形になる
- 指摘はするが、次にどうすればよいかまでは伝わらない
- 社長や一部の人だけが、若手の様子を気にかける
こうなると、若手から見た会社は少し不安定に映ります。
「自分は成長しているのか」 「次に何ができればいいのか」 「いつまで補助的な立場なのか」
このあたりが曖昧なままだと、本人の気持ちが切れやすくなります。
若手育成でつまずく会社は、教える気がないのではなく、教えるための型がないことが多いです。
教え方を学ばないまま、経験者が育成係になっている構造
建設業では、仕事を覚える場は現場です。これは今も変わりません。机上の研修だけで監督や職人が育つわけではありません。
ただ、現場で覚えることと、現場任せにすることは違います。
ある設備工事会社では、高校卒業直後の未経験者を受け入れた際に、社内のベテランが「どう教えていいかわからない」という状態になりました。その会社には、少し近寄りがたい雰囲気のベテランもいました。
そこで行ったのが、技術研修ではなく、まずは教え方に関する研修でした。
内容は難しいものではありません。
- 人の話を聞くとはどういうことか
- 傾聴とは何か
- 指摘と指導は何が違うのか
- 新人に伝わる説明とは何か
その後、一番変化したのは、その近寄りがたいと思われていたベテランでした。若手と一緒に現場へ行き、教える姿勢が変わっていきました。
その人の言葉が印象的です。
「そもそも、そういうのを学ぶ機会がなかったんです。どうやればいいか、よくわからなかった」
これは多くの建設会社に通じる話です。
10年選手、20年選手であっても、教え方を学んだことがなければ、育成は自己流になります。 自己流が悪いわけではありません。ただ、会社として若手を増やしていく段階では、自己流だけでは限界が出やすくなります。
もう一つの背景は、忙しさです。
「育成が大事なのはわかっている。でも、現場から帰ってきて、それを考える余裕がない」
この感覚は自然です。だからこそ、育成は気合いではなく、仕組みに寄せる必要があります。
教える人・教える内容・成長の見え方を小さく型化すること
現場任せのOJTから抜け出すには、大きな制度を一気に作るより、まずは小さく型を作るのが現実的です。
最初に整理したいのは、誰に何を期待するかです。
経験者全員に、いきなり立派な教育係を求める必要はありません。まずは、若手と一緒に現場へ行く機会が多い人、声をかけやすい人、社長が任せたい人を1〜2名決めます。そのうえで、その人たちに「教え方」を学ぶ機会を作ります。
教える側に必要なのは、専門的な教育理論よりも、現場で使える共通認識です。
- 叱る前に、何ができていないかを具体化する
- 「なんでできない」ではなく「次はこうしよう」と伝える
- 一度で覚えられない前提で、確認の場を作る
- 教えた内容を、社長や他の先輩とも共有する
次に、教える内容を見える化することです。
たとえば監督職であれば、入社後すぐにすべてを覚える必要はありません。年次や習熟度ごとに、できるようになってほしいことを分けます。
- 1年目:現場同行、写真管理、基本的な安全確認、職人さんへのあいさつ
- 2年目:小規模現場の段取り補助、材料確認、簡単な工程把握
- 3年目:一部現場の担当、元請けとの基本的なやり取り、後輩への簡単な説明
会社ごとに中身は変わります。大事なのは、「何年目に何ができればよいか」を若手にも先輩にも見える形にすることです。
そのうえで、OJTチェックリストを作ります。難しい表でなくて構いません。
「現場入場時の確認ができる」 「写真を決められたルールで残せる」 「職人さんに翌日の予定を確認できる」 「不明点をその日のうちに報告できる」
こうした項目を、月1回でも確認します。チェックの目的は評価ではありません。会話のきっかけにするためです。
さらに有効なのが、技術や施工手順の動画化です。
設備工事会社では、スマホで撮影した施工手順の動画にナレーションをつけ、社内研修用の動画として蓄積する取り組みを始めていました。これなら、教える人によって説明が毎回変わることを減らせます。若手も、現場前後に見返せます。
動画は立派なものでなくて構いません。
- よく間違える作業
- 最初に覚えてほしい安全確認
- 先輩が毎回説明している段取り
- 口頭だけでは伝わりにくい施工手順
このあたりから撮るだけでも、教育の負担は軽くなります。
最後に、若手が成長を実感できるキャリアアッププランを作ります。
「これができるようになれば、次はここを任せる」 「この段階まで来たら、給与や役割もこう変わる」
この見通しがあるだけで、若手の受け止め方は変わります。今の仕事が、ただの雑務ではなく、次の役割につながる経験になります。
育成の仕組みづくりは、次の順番で進めると取り組みやすいです。
- 育成を任せる経験者を1〜2名決める
- 教え方・聞き方・指導の基本をそろえる
- 年次別に「できるようになること」を書き出す
- OJTチェックリストに落とす
- よく教える内容を短い動画にする
- 月1回、若手と育成担当で成長確認をする
育成は、社長が全部抱える仕事ではありません。経験者が教えやすくなる環境を作る仕事です。
まとめ
10年いる社員が後輩を育てられないとき、本人の意識だけを責めても前に進みにくいです。
現場を回す力と、人を育てる力は違います。多くの場合、経験者は教える機会を与えられていても、教え方を学ぶ機会はありません。
だからこそ、まずは小さな型が必要です。
育成担当者を決める。教え方をそろえる。年次別の到達点を作る。OJTチェックリストで確認する。施工手順を動画にする。キャリアアップの見通しを伝える。
このあたりを少しずつ整えるだけでも、若手にとっては「この会社で育っていけそうだ」という感覚につながります。
採用した人が辞めない会社にするには、立派な制度より先に、日々の現場で成長を感じられる仕組みが必要です。
自社のOJTをどこから整えるか、一緒に棚卸しする
「うちも若手は入るけれど、育てるところで止まっている」 「経験者に任せたいが、どう任せればいいかわからない」 「社長や一部の人に育成が偏っている」
こうした段階でも、整理できることはあります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。育成や定着についても、会社の人数、現場体制、若手の状況に合わせて、OJTチェックリストやキャリアアッププランづくりから一緒に考えることができます。
「何から手をつけるべきか知りたい」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の場としてご活用ください。


































