十数名の職人を抱え、4年後の承継までに若手3人の定着を目指す専門工事会社
ある地方の専門工事会社では、十数名ほどの社員職人を抱えています。社内には20代も多く、平均年齢は30代です。建設業全体の高齢化を考えれば、比較的若い組織といえます。
経営者は数年後の引退を決めており、後継者候補もいます。そのうえで、次の世代へ引き継ぐまでに若手を3人ほど増やしたいと考えていました。
「会社を大きくしたいというより、次の代にきちんと引き継げればいい。そのために若い職人があと3人は欲しい」
採用対象は、経験者に限っていません。「何もできない子でもいい。未経験なら社内で教えればいい」という考えで、実際にベテラン職人が指導できる体制もあります。
目標は採用人数を増やすことではなく、承継後も現場を支えられる若手を3人定着させることです。
1週間で 17件の相談 がありました
- 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
- 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
- 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
- 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
- 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
- 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
- 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
- 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
- 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
- 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
- 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
応募者は確保できても、入社直後から3年目までの離職が止まらない状態
この会社の悩みは、応募がまったくないことではありません。
「採用は意外と来るけど、結構辞める。若い子はすぐ辞めるんだよな」
公共の職業紹介から入社した人は比較的長く続く一方、求人広告や人材紹介を通じて採用した人のなかには、1日、2日、あるいは1週間ほどで辞めるケースもありました。採用時に費用が発生していても、本人がすぐに退職すれば現場には残りません。
もう一つの壁が、入社から1年前後です。仕事に慣れ始めたころに飽きを感じたり、周囲の仕事がよく見えたりして、建設業とは異なる職種へ移る人がいます。経営者から見ると、特にトラック関係など、外から見て分かりやすい仕事に憧れる若者もいるようでした。
一方で、「1年から3年もてば、ほとんどの人が残る」という実感もあります。つまり、定着の分岐点は入社後の最初の3年間です。
早期離職は一つの問題ではなく、入社直後の期待とのずれと、1〜3年目の飽きや将来像の見えにくさを分けて考える必要があります。
応募数だけを追いかけても、この期間を越えられなければ人員は積み上がりません。採用経路ごとに「何人応募したか」だけでなく、「1週間、半年、1年、3年後に何人残ったか」を確認することが大切です。
残業がほぼなく土曜も休める職場でも、若手が自分の将来を描けない難しさ
若手が辞めると、賃金や休日、人間関係に原因を求めたくなります。しかし、この会社では働き方の改善がすでに進んでいました。
残業はほとんどなく、土曜日も基本的に休みです。現場の都合で休日出勤することはあっても、頻繁ではありません。経営者自身も「残業がほぼなくなってから人が増えた」と感じています。
それでも離職がなくなるわけではありません。働きやすさは定着の土台になりますが、休日や残業だけでは若手が3年間働き続ける理由にはなりません。
背景には、次のようなずれがあります。
- 入社前に想像していた仕事内容と、実際の現場作業が違う
- 休みを重視したいのか、働いて収入を増やしたいのか、本人の希望が整理されていない
- 1年後、2年後に何ができるようになるのかが見えない
- 他職種の分かりやすい魅力と、自社で働き続ける価値を比較できない
- 仕事を教わっていても、成長を確認する節目が少ない
この会社には、一定の経験年数を重ねた社員に技能試験を受けてもらう考えがあります。入社1年半ほどの若手についても、受験できる時期を見ながら資格取得を促していました。
経営者は、「資格を持っていないと、どこに行っても判断材料がない」と話します。この言葉には、資格を会社のためだけに取らせるのではなく、本人の技能を形にするという意味があります。
ただし、資格取得の話が入社後に断片的に伝えられるだけでは、若手には将来像として届きません。入社時点から「何年目に何を覚え、いつ資格を目指せるのか」が見えて初めて、目の前の仕事と将来がつながります。
若手に必要なのは仕事を与えることだけではなく、今の作業が技能や資格、次の役割へどうつながるかを見えるようにすることです。
採用時の情報開示、定期面談、働き方の選択、3年間の育成計画を一つにつなぐ設計
定着率を高めるには、採用と育成を別々に扱わないことが重要です。入社前に伝えた内容を、入社後の面談と育成計画で引き継いでいきます。
1.入社後の実態を求人と面接で具体的に伝える
最初に整えたいのは、求人表現の華やかさではなく、入社後の実態との一致です。
この会社であれば、残業がほぼないことや土曜日は基本的に休みであることは、若手に伝えられる強みです。同時に、実際の仕事内容、現場で最初に任される作業、資格取得までの期間も隠さず伝えます。
面接では、少なくとも次の点をすり合わせます。
- 最初の半年間に担当する作業
- 現場の開始・終了時刻と残業の実態
- 休日出勤が発生する条件
- 未経験者を誰がどのように教えるか
- 技能試験を目指せる時期
- 休みと収入のどちらを重視したいか
採用時の情報開示は応募者を減らすためではなく、入社後に「聞いていた話と違う」となる人を減らすために行います。
2.退職時期ごとに原因を分けて記録する
「若い人はすぐ辞める」「理由は人それぞれ」で終えると、対策も人それぞれになってしまいます。退職理由を完璧に特定する必要はありませんが、時期ごとに分けるだけでも傾向が見えやすくなります。
- 数日から1週間:仕事内容や職場への期待とのずれ
- 1〜6カ月:現場への適応や指導方法との相性
- 1年前後:仕事への飽き、他職種への関心
- 1〜3年:資格、役割、収入など将来像への迷い
採用経路も一緒に記録すれば、「どの媒体から何人来たか」ではなく、「どの経路から来た人が長く残ったか」で判断できます。
見るべき採用成果は応募数や入社数ではなく、採用経路ごとの1年後・3年後の定着人数です。
3.入社後3年間の面談時期と確認項目を決める
年1回の面談だけでは、入社直後のずれを拾えない可能性があります。少なくとも入社1カ月、3カ月、6カ月、1年の節目では、短時間でも本人の話を聞ける場を設けたいところです。
面談で確認したいのは、評価よりも変化です。
- 入社前の説明と違った点はないか
- 難しい作業、分からない作業は何か
- 指導を受けにくい場面はないか
- 休み方や働く時間への希望は変わったか
- 次に覚えたい仕事は何か
- 資格取得への関心はあるか
- 他に気になっている職種や仕事はあるか
他職種への関心も、否定せずに聞くことが大切です。本人が何に魅力を感じているかが分かれば、自社の仕事で近い経験や成長機会を示せる場合があります。
定期面談は退職を引き止める場ではなく、本人の希望と会社で用意できる成長機会を調整する場です。
4.働き方を選べる仕組みは、実現できる範囲から設ける
若手と一口にいっても、休みを重視する人と、働いて収入を増やしたい人では希望が異なります。ある専門工事会社では、ワークライフバランスを重視する求人と、より多く働いて収入を得たい人向けの求人を分け、条件差を事前に伝えていました。年1回の面談でコースを変更できる仕組みも設けています。
ただし、どの会社でも二つの働き方をすぐに用意できるわけではありません。現場が土日休みで、追加の仕事を安定して確保できない場合、「稼ぎたい人向け」の働き方を掲げても実現できないためです。
判断する際は、次の点を確認します。
- 実際に勤務日数や担当現場を選べるか
- 働き方に応じた賃金差を説明できるか
- 現場配置と労務管理に無理が出ないか
- 本人が後から選び直せるか
二つのコースを設けることが難しければ、残業や休日の実態を明確にし、本人の希望を面談で継続的に確認するだけでも前進です。
選べる働き方は制度の数を増やすことではなく、本人の希望と実際の勤務条件をずらさないための仕組みです。
5.資格取得を含む3年間の育成計画を本人と共有する
未経験者を採る会社では、「現場で教える」だけでなく、3年間の成長を段階に分けて見せることが定着につながります。
例えば、最初の半年で覚える作業、1年目に一人でできるようになる作業、2年目前後に目指す技能試験、3年目に任せたい役割を整理します。細かな人事制度をつくる必要はありません。A4用紙1枚でも、本人と指導側が同じ順序を見られることが重要です。
資格を取得すれば、技能が社内外から分かる形になります。本人にとっては自分の成長の証明になり、会社にとっては次の世代を支える職人が育っているかを確認する目安になります。
入社1〜3年の定着には、「今できること」「次に覚えること」「資格を目指す時期」を本人と共有する育成計画が必要です。
まとめ
応募が来ている会社ほど、採用活動を増やす前に入社後3年間を点検する余地があります。特に、数日で辞める人と1年前後で辞める人では、離職の背景も打ち手も異なります。
整理したいのは、次の四つです。
- 入社前に仕事内容と働き方を具体的に伝える
- 退職時期と採用経路を記録する
- 入社後の節目に定期面談を行う
- 資格取得を含む3年間の育成計画を示す
働きやすい環境を整えていても、それが若手に伝わっていなかったり、その先の成長が見えなかったりすれば、定着にはつながりにくいものです。
若手定着の中心は待遇改善だけではなく、入社前の期待、入社後の働き方、3年後の将来像を一つにつなぐことです。
自社の入社後3年間を整理するところから
「応募はあるのに定着しない」「面談で何を聞けばよいか分からない」「資格取得までの育成計画を形にできていない」といった段階では、採用施策を増やす前に、現在の離職時期や指導体制を整理すると次の一手が見えやすくなります。
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