千葉県の防水系専門工事会社が高校新卒と外国人材を迎え始めている段階
千葉県を拠点に、防水まわりの専門工事を手がけるある会社では、創業から間もないながらも、主取引先からの大型現場を中心に仕事量は安定していました。200戸を超える集合住宅の現場に入り、終わるまで1年ほどかかる案件もあります。
体制は社員5名ほど、外注が数名。現場はおおむね2名で入る形です。社長自身は15歳ごろからこの仕事に携わり、20年近く現場を見てきました。営業、経理、現場、教育まで自分で担いながら、「今はちょうどチャンスの時期」と捉えています。
採用面では、高校新卒に向けた求人を広い地域に出し、毎年1〜2名ほど若手を迎えたい考えがあります。加えて、取引先経由で外国人材も現場に入り、育成の途中にあります。
ここで大事なのは、採用できるかどうかだけでなく、入社後に誰が・何を・どの順番で教えるかを先に決めておくことです。
社長の言葉にも、その方向性が表れていました。
「自分が育てた子以外は、あまり任せたくないんです」
この感覚は、多くの専門工事会社に共通します。品質や信用を守るには、外から人を増やすだけではなく、自社のやり方で育つ仕組みが必要になります。
1週間で 12件ダウンロード されました
- 7月10日電気設備工事会社京都府
- 7月8日総合土木愛知県
- 7月8日工務店山形県
- 7月8日外構工事会社群馬県
- 7月6日工務店兵庫県
- 7月6日電気設備工事会社神奈川県
- 7月6日防水工事会社東京都
- 7月5日塗装工事会社神奈川県
- 7月5日プラント工事会社福島県
- 7月5日リフォーム会社東京都
- 7月5日総合土木福井県
- 7月4日外構工事会社千葉県
- 7月2日防水工事会社茨城県
- 6月30日ビルメンテナンス北海道
- 6月30日ビルメンテナンス福岡県
- 6月29日総合建築千葉県
- 6月29日総合建築東京都
- 6月28日配管工事会社富山県
- 6月27日リフォーム会社山口県
- 6月27日内装工事会社大阪府
- 6月26日塗装工事会社秋田県
- 6月26日配管工事会社三重県
- 6月26日工務店宮崎県
- 6月25日内装工事会社長野県
- 6月23日プラント工事会社神奈川県
- 6月23日外構工事会社岐阜県
- 6月19日空調設備工事会社兵庫県
- 6月19日総合建築鳥取県
- 6月19日配管工事会社東京都
- 6月18日総合土木東京都
毎年若手が入るほど社長だけが教える体制には限界が来る
若手採用が進む会社ほど、次に詰まりやすいのは教育です。
今回の会社でも、社員の平均年齢は20代後半で、業界経験は平均5年前後。ちょうど一人前になり始める時期です。現場を任せられる人は育ちつつありますが、まだ「新人を体系的に教える側」としては、これから整えていく段階でした。
社長自身も、外国人材の教育について「僕のほうで全て。対応できないときは、うちの従業員に一緒に現場へ行ってもらっています」と話していました。
この形は、少人数のうちは機能します。社長が見れば品質も守れますし、現場ごとの判断も早いです。ただ、高校新卒が毎年入り、外国人材も追加で入ってくるとなると、教育対象が増えていきます。
すると、次のようなことが起きやすくなります。
- 新人ごとに教える内容が変わる
- 教える先輩によって基準がずれる
- できる作業と任せてはいけない作業の線引きが曖昧になる
- 社長が見ていない現場で品質差が出る
- 外国人材が数年で入れ替わる場合、技能が社内に残りにくい
特に専門工事では、「できるように見える」と「任せてよい」は別物です。手元作業が早くなっても、下地の見方、納まりの判断、安全上の注意、元請けとのやり取りまで含めると、一人前の範囲は広くなります。
若手を毎年採るなら、採用人数の計画と同じくらい、育成人数に対する受け皿の計画が必要です。
外注で信用を落とした経験がある会社ほど内製育成を選びやすい
この会社が若手育成に力を入れようとしている背景には、外注活用への慎重さがありました。
過去に外注先の施工品質で信用を落としかけた経験があり、「相手に謝りに行って、飲みにも連れていかないといけない。そうなると、そっちのほうが赤字です」と話していました。
この感覚はかなり現実的です。専門工事会社にとって、施工不良や現場対応の悪さは、その場の手直し費用だけで終わりません。元請けや取引先からの信用、次の現場への声がけ、社長自身の時間まで影響します。
だからこそ、安易に外注を増やすより、自社で採って、自社で育てて、自社の基準で現場に出すという判断になります。
一方で、内製育成には別の難しさがあります。
社員が若い会社では、社長の技術や判断がまだ社内に十分に移り切っていません。経験5年前後の社員は、現場作業者としては伸び盛りですが、新人教育者としてはまだ経験が浅い場合もあります。
また、外国人材の場合は、在留期間や就労期間に区切りがあることもあります。せっかく育っても数年で帰国する可能性があるなら、会社側には5年単位で技能が入れ替わる前提で考える必要があります。
ここで整理したいのは、若手本人の能力の問題ではありません。むしろ、若手を受け入れる会社側に、次のような設計があるかどうかです。
- 入社1年目にどこまでできればよいか
- 2年目に任せる作業は何か
- 3年目以降に後輩を教える立場へどう移すか
- 5年で人が入れ替わっても残る技能や記録は何か
- 社長が見なくても守れる安全・品質基準は何か
採用を増やすほど、教育は「気合い」ではなく「設計」の仕事になります。
新人に任せる作業と先輩が見る基準を段階化すること
若手を毎年迎える会社では、まず教育を大きく4段階に分けると整理しやすくなります。
1段階目:入社直後は「現場に慣れる」より先にルールを揃える
入社直後の若手には、いきなり技術を詰め込むよりも、現場で守るべき共通ルールを先に揃えることが大切です。
たとえば、防水系・補修系の現場であれば、最初に教えるべきことは次のような内容です。
- 現場での挨拶、報告、連絡の基本
- 立入禁止、墜落・転落、火気、粉じんなどの安全ルール
- 材料や道具の名前、置き場、片付け方
- 養生、清掃、写真撮影などの基本作業
- 先輩に確認すべきタイミング
ここで重要なのは、新人に「何をしてはいけないか」を明確にすることです。できる作業を増やす前に、事故やクレームにつながる行動を避けられる状態をつくります。
2段階目:3か月〜1年目は「任せる作業」を限定する
次に、新人に任せる作業を細かく決めます。
少人数の会社では、「現場で見ながら覚えて」という教え方になりがちです。ただ、毎年新人が入るなら、見て覚えるだけでは教育のばらつきが出ます。
たとえば、最初は材料準備、清掃、養生、簡単な手元補助などから入り、次に先輩の確認つきで一部作業を担当する。仕上がりや納まりの判断が必要な工程は、一定期間は必ず先輩が見る。こうした線引きをつくります。
判断軸はシンプルです。
「失敗しても先輩がその場で修正できる作業」から任せ、「信用や手戻りに直結する作業」は確認制にする。
これだけでも、現場教育の安全度は上がります。
3段階目:2〜3年目は「一人前の手前」を評価する
2〜3年目になると、本人もできることが増え、周囲もつい任せたくなります。ここで必要なのが、技能評価です。
評価といっても、大きな制度を作る必要はありません。最初は、現場で使うチェック表で十分です。
たとえば、次のように分けます。
- 安全ルールを守れている
- 道具と材料の準備を自分でできる
- 先輩の指示を理解して動ける
- 一部工程を基準通りに進められる
- 仕上がりの良し悪しを説明できる
- 元請けや他職種とのやり取りで問題がない
- 後輩に基本作業を教えられる
ここで見るべきは、作業スピードだけではありません。品質を言葉で説明できるか、危ない場面を自分で止められるか、後輩に同じ基準で教えられるかです。
この評価があると、社長の頭の中にある「そろそろ任せてもいい」が、社員にも伝わりやすくなります。
4段階目:3〜5年目は「教える側」に移す
社員の平均経験が5年前後の会社では、この層を育成担当にしていくことが大きな分岐点になります。
ただし、いきなり「新人を見ておいて」と任せると、教える側も困ります。まずは、教える範囲を限定するのが現実的です。
たとえば、先輩社員ごとに担当を分けます。
- Aさんは安全ルールと朝の準備を教える
- Bさんは道具・材料・片付けを教える
- Cさんは作業後の確認と写真を教える
- 社長は納まり判断や元請け対応を見る
このように分けると、先輩社員も教えやすくなります。新人も「誰に何を聞けばよいか」がわかります。
社長が全部教えるのではなく、社長が最終基準を持ち、先輩が日常教育を担う形に変えることが、毎年採用を続けるための土台になります。
外国人材は「5年で帰る前提」の技能継承も考える
外国人材を受け入れる場合は、本人の育成と同時に、社内に技能を残す工夫も必要です。
数年で入れ替わる可能性があるなら、育った人に頼り切るのではなく、教えた内容を次の人にも使える形にしておきます。
具体的には、難しいマニュアルでなくても構いません。
- 現場でよく使う言葉の一覧
- やってよい作業、まだ任せない作業の一覧
- 写真つきの良い仕上がり・悪い仕上がりの例
- 作業前後の確認項目
- 先輩が必ず見るポイント
こうしたものを少しずつ残すだけで、次の新人教育が楽になります。
人が入れ替わっても残るものを増やすことが、若手採用を一過性で終わらせないコツです。
まとめ
高校新卒や外国人材を迎えることは、専門工事会社にとって大きな前進です。特に、外注で信用を落とした経験がある会社ほど、自社で育てる意味は大きくなります。
一方で、若手採用は「入ったら終わり」ではありません。毎年1〜2名ずつ増えるなら、3年後には教育対象が複数人になり、教える側の社員も必要になります。
整理すべきポイントは、次の5つです。
- 入社直後に教える安全・品質ルールを決める
- 新人に任せる作業と任せない作業を分ける
- 経験年数ごとの到達基準をつくる
- 経験5年前後の社員を少しずつ教える側に移す
- 外国人材が入れ替わっても残る教育資料をつくる
若手が育つ会社は、社長の技術が高いだけでなく、社長の基準が社内に移っています。
採用に手応えが出てきた会社ほど、次は「誰を採るか」から「どう育つ会社にするか」へ目線を移す時期です。
若手が育つ現場づくりを自社の状況に合わせて整理する
若手採用、外国人材の受け入れ、先輩社員による教育、安全・品質ルールの標準化は、会社ごとの現場体制や取引構造によって進め方が変わります。
「うちの場合は、どこまで仕組みにすればよいのか」「社長が教え続ける状態から、どう先輩社員に渡していくべきか」という段階でも、整理する価値があります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、会社の現在地に合わせた進め方を一緒に考えます。
無理な営業はいたしませんので、まずは状況整理の場としてご活用ください。





























