岐阜県の足場工事会社が初めて高卒求人を出す中で、実態は整っているのに求人票が無味乾燥になっていた
岐阜県で足場工事を手がける、職人十数名規模の専門工事会社の話です。来年度の高卒採用に向けて、ハローワークの求人票を作成していました。
対象は18歳の未経験者。雇用形態は正社員。試用期間は3ヶ月で、条件は本採用後と同じ。給与は月給制で、勤務時間は8時から17時、休憩は120分。休日は日曜を軸に、月平均2日ほど交代で休みがあり、ゴールデンウィーク・お盆・年末年始も会社カレンダーに沿って休む形です。
現場の実態としては、残業も多くありません。求人票上では月平均5時間程度として整理できる水準でした。社長も「10時間もやったことないくらいです」と話していました。
ただ、求人票の入力を進めると、そこで止まりやすい項目がいくつも出てきます。
残業時間、36協定、有給休暇、休日数、研修、資格取得支援、メンター制度、キャリア面談。実際には会社の中でやっていることでも、制度名で聞かれると急に書きづらくなります。
建設業では特に、「そんなの現場で教えるもの」「先輩がつかないと仕事にならない」「資格は必要になったら取りに行かせる」という感覚が自然にあります。
けれど、求人票を見る高校生や保護者、学校の先生にとっては、その“当たり前”が見えていません。求人票に書かれていなければ、ないものとして受け取られることもあります。
働きやすさは、制度を新しく作る前に、まず今ある実態を求職者に伝わる言葉へ置き換えることが大切です。
1週間で 12件ダウンロード されました
- 6月18日総合土木東京都
- 6月18日空調設備工事会社兵庫県
- 6月18日防水工事会社岡山県
- 6月16日配管工事会社青森県
- 6月16日総合建築神奈川県
- 6月16日電気設備工事会社東京都
- 6月15日総合土木千葉県
- 6月15日内装工事会社島根県
- 6月15日設備保全会社群馬県
- 6月14日内装工事会社栃木県
- 6月14日塗装工事会社神奈川県
- 6月13日解体工事会社神奈川県
- 6月11日総合建築和歌山県
- 6月11日総合土木静岡県
- 6月11日プラント工事会社京都府
- 6月11日空調設備工事会社神奈川県
- 6月11日空調設備工事会社茨城県
- 6月11日総合土木長野県
- 6月10日総合建築広島県
- 6月10日総合土木奈良県
- 6月10日総合建築東京都
- 6月10日内装工事会社愛知県
- 6月9日設備保全会社京都府
- 6月9日総合土木北海道
- 6月9日設備保全会社山口県
- 6月8日防水工事会社兵庫県
- 6月8日電気設備工事会社神奈川県
- 6月8日内装工事会社大阪府
- 6月5日リフォーム会社愛知県
- 6月5日プラント工事会社香川県
「職人仕事だから伝わるはず」が、求職者には安心材料不足として見えてしまう
求人票で働きやすさが伝わらない一番の理由は、会社側が魅力だと思っていない部分にあります。
たとえば、先輩がついて教えること。足場や鳶の仕事では、未経験者をいきなり一人で現場に出すことはありません。資材運び、現場での動き方、安全確認、道具の扱い方。最初は先輩と一緒に覚えていくのが普通です。
社長からすれば、「つかないとやれないですからね」という感覚です。
しかし、求人票上で「メンター制度」と聞かれると、急に大げさに感じます。制度として立派なマニュアルがあるわけではない。だから「うちはやっていない」と考えてしまう会社も少なくありません。
資格取得支援も同じです。
「資格を取りに行けよ」と声をかける。必要な資格は会社で段取りする。先輩や社長が、今の技能に応じて次に取るべき資格を伝える。建設会社ではよくある流れです。
ただ、求人票ではそれを「自己啓発支援」「資格取得支援」と表現する欄があります。ここで何も書かないと、求職者には支援がないように見えてしまいます。
会社の中では当たり前でも、求人票では言葉にしない限り伝わりません。
実際、入力の途中でも「普通のことだよね」「同じことが書いてあるなら、ありでいいじゃないですか」というやり取りがありました。まさにここがポイントです。
普通にやっていることを、求職者の安心材料として言語化する。これが建設業の求人票では大きな差になります。
36協定や有給のような制度項目が、会社の実態を棚卸しするきっかけになっていた
求人票の入力項目は、ただの事務作業に見えます。けれど実際には、会社の働き方を棚卸しする作業でもあります。
今回も、時間外労働の欄で36協定の確認が必要になりました。
社長は「36協定は作ってますよ。社労士に作ってもらってます」と話していました。一方で、手元の書類をすぐに見ても、特別条項や具体的な記載まではすぐに確認できませんでした。
ここで大切なのは、求人票に立派なことを書くことではありません。
36協定は、ある・なしを雰囲気で書くものではなく、実際の届出や書類を確認してから書くものです。
残業が少ない会社であれば、月平均残業時間は大きな魅力になります。今回の会社も、求人票上は月平均5時間程度と表現できる実態がありました。これは高校生や保護者にとって、かなり大きな安心材料です。
一方で、有給休暇の欄では「出したことがない」という言葉も出ました。建設業では、日給や現場稼働との兼ね合いで、有給の説明があいまいになりやすい会社があります。
ただ、求人票では年次有給休暇の日数を示す必要があります。入社6ヶ月後に10日付与されること、法令上の取得義務があること、実際にどう運用するかを社内で説明できる状態にしておくことが大切です。
研修の欄でも同じことが起きていました。
外部講習については「今のところないですね」と整理されました。これは無理に書かない判断でよいです。反対に、社内で先輩がついて教えること、未経験者向けに仕事の流れを伝えることは、社内研修として表現できます。
求人票は、盛る場所ではありません。実態があるものは書き、実態がないものは書かない。その線引きが信頼につながります。
制度名に合わせて盛るのではなく、実際にやっている場面を短い言葉へ置き換える
求人票で働きやすさを伝えるには、制度名から考えるより、現場で実際に起きている場面から考えるほうが書きやすくなります。
「制度があるか」ではなく、「新人が入ったときに誰が何をしているか」から整理すると、嘘なく書けます。
たとえば、次のように分けて考えます。
勤務時間・残業は、数字と補足をセットで書く
勤務時間は8時から17時。休憩は120分。残業は月平均5時間程度。
このように数字で書けるものは、できるだけ具体的に出します。建設業の求人では「現場による」「繁忙期による」とぼかしたくなりますが、求職者はそこを不安に感じます。
ただし、36協定については注意が必要です。
36協定の有無や特別条項は、社長の記憶ではなく、届出書類・就業規則・社労士作成資料を確認してから求人票に反映します。
残業が少ない会社ほど、ここを丁寧に整えると強みになります。「残業は少ないです」だけでなく、「月平均5時間程度」と書けるからです。
休日・有給は、会社カレンダーと法定付与を分けて伝える
休日は、日曜を基本に、月平均2日程度の交代休み、ゴールデンウィーク・お盆・年末年始休暇あり。年間休日は会社カレンダーで確認できる形にします。
有給休暇は、入社6ヶ月後に10日付与されることを明記します。
ここで大切なのは、実態を整理しておくことです。今まで取得実績を細かく見ていなかった会社は、これから取得日数を記録するだけでも十分に前進します。
休日は「なんとなく休める」ではなく、会社カレンダーと有給付与日数で説明できる状態にしておくと、求職者に伝わりやすくなります。
研修は、外部講習がなくても社内で教える流れを書ける
外部講習がない場合、無理に「外部研修あり」と書く必要はありません。
一方で、未経験者に対して先輩が一緒について、資材の名前、現場での動き方、安全面、足場の基本を教える流れがあるなら、それは求人票に書く価値があります。
書き方はシンプルで十分です。
入社後は先輩社員が同行し、資材の扱い方や現場での安全確認、足場作業の基本から順番に教えます。
この程度の表現でも、未経験者には安心材料になります。
建設業の新人教育は、現場での同行・実演・反復が中心です。その実態を「社内研修」として言葉にすることが大切です。
資格取得支援は、費用負担だけでなく声かけや段取りも含めて整理する
資格取得支援というと、受験費用を全額会社が負担する制度だけをイメージしがちです。もちろん費用負担があるなら明記できます。
ただ、建設業ではそれだけではありません。
先輩や社長が、本人の成長段階に応じて「次はこの資格を取ろう」と声をかける。講習の日程を調整する。現場経験を積ませる。こうした支援も、求職者から見ると大事なサポートです。
書くときは、細かすぎる条件まで求人票に詰め込む必要はありません。たとえば、退職時の返還ルールなどは、求人票では概要にとどめ、面接や入社時にきちんと説明するほうが自然です。
求人票では「資格取得に向けた費用補助や受講調整、先輩社員による助言を行います」のように、実際にできる範囲で書くのがよいです。
メンター制度は、「一人に先輩がつく」と言い換える
メンター制度という言葉は、建設業の現場では少し遠く感じるかもしれません。
でも、実態としては分かりやすい話です。
新人に対して、相談できる先輩がつく。仕事の覚え方、現場で困ったこと、資格のこと、職場への慣れ方を聞ける人がいる。これがメンター制度として表現できます。
今回の会社でも、「つかないとやれないですからね」という言葉がありました。まさにそれです。
メンター制度は、大げさな仕組みでなくても構いません。新人が一人で抱え込まないように、誰が見るのかを決めているなら求人票に書けます。
キャリア面談は、年1回・随時など運用できる頻度で書く
キャリア面談も、制度名だけ見ると難しく感じます。
しかし実際には、社長や先輩が「今どこまでできるようになったか」「次に何を覚えるか」「どんな資格を取るか」を話す場です。
求人票では、たとえば次のように表現できます。
先輩社員や担当者が随時面談を行い、技能の習得状況に応じた目標設定やキャリア形成の助言を行っています。
これは、現場での声かけや定期的な面談を、求職者に分かる言葉へ置き換えた表現です。
若手が続く会社ほど、技術だけでなく「次に何を目指すか」を話す機会があります。その機会を求人票に書くことで、入社後のイメージが持ちやすくなります。
まとめ
建設業の求人票では、給与や仕事内容だけでなく、働きやすさの見せ方が大きくなっています。
特に高卒・未経験者向けの求人では、本人だけでなく、保護者や学校の先生も求人票を見ます。そこに、残業、休日、有給、研修、資格取得、相談体制が具体的に書かれているかどうかは、安心感に直結します。
大切なのは、会社をよく見せるために盛ることではありません。すでにやっていることを、求職者に伝わる言葉へ変えることです。
今回のような会社では、実態として次の強みがありました。
- 残業が少なく、月平均5時間程度と表現できる
- 8時から17時、休憩120分という働き方を明記できる
- 日曜中心の休日、長期休暇、会社カレンダーを説明できる
- 未経験者に先輩がついて教える流れがある
- 資格取得に向けた声かけや支援がある
- 技能習得や今後のキャリアについて相談する機会がある
どれも、社内では普通のことかもしれません。
でも、求人票を見る側には見えていません。
「職人仕事だから説明しなくても分かる」ではなく、「初めて建設業に入る人が安心できるように書く」。この視点に変えるだけで、求人票の伝わり方はかなり変わります。
求人票に載せる働きやすさを一度棚卸ししたいときは
求人票の改善は、文章をきれいにする作業だけではありません。
残業時間、休日、有給、教育体制、資格取得支援、先輩のフォロー、面談の有無などを一つずつ確認し、実態に合う言葉へ整える作業です。
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「うちの求人票には何を書けるのか」「制度と言えるほどではないが、書いてよいのか」「高卒採用向けに表現を整えたい」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、状況整理の相談先としてご活用ください。


































