一級管工事の受験者が3名ほどいる関東圏の設備工事会社で、長年支えてくれた技術指導役が退く局面
関東圏で設備工事を手がける、社員数は10名に満たない規模の会社から、一級管工事施工管理技士の試験対策について相談がありました。
これまで社内には、社長が若い頃から教わってきた年配の技術者がいて、ほぼ無償に近い形で社員の資格取得を支えてくれていました。昼食をご一緒する程度で、技術的な相談や試験対策を見てもらえていたそうです。
ただ、その方も80代に入り、継続が難しくなってきました。そこで、外部の技術講師や顧問に代わりをお願いできないか、という話になりました。
候補としては、大手設備会社で長く経験を積み、一級管工事施工管理技士や技術士などの資格も持つ方が挙がっていました。経歴だけを見れば、技術指導役として申し分ない人材です。
しかし、実際に費用感を確認すると、社長の反応は明確でした。
「すごくいい方だとは思うんですけど、指導対象が3人だとコストが合わないですね」
この言葉に、少人数の建設会社が資格取得支援を考えるうえでの本質があります。外部講師の良し悪しだけではなく、自社の受験人数と支援範囲に対して、どこまで外部化するのが適切かを見極める必要があります。
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指導対象が数名だと、顧問型の外部講師は費用対効果が合いにくい
少人数の会社で資格取得支援を外部に頼むときに難しいのは、講師の質ではなく、支援の設計です。
外部講師や技術顧問を継続的に入れる場合、月次の訪問、個別指導、学習管理、質問対応、教材作成など、支援範囲が広くなりがちです。支援範囲が広がれば、その分だけ費用も上がります。
受験者が10名、15名いる会社であれば、同じ講師費用でも1人あたりの負担は下がります。社内教育の仕組みとしても蓄積しやすく、費用対効果を説明しやすくなります。
一方で、受験者が2〜3名の場合は事情が変わります。良い講師を毎月入れても、受益者が少ないため、経営判断として重たくなります。
特に今回のように、これまで無償に近い形で支えてくれていた技術者がいた場合、外部サービスの相場とのギャップも出やすくなります。社長が想定していたのは、半日単位や時間単位で必要なところだけお願いする形でした。しかし、実際に提示されやすいのは、初期設計と月額支援を組み合わせた継続型です。
ここで無理に顧問型を選ぶと、資格支援そのものが続きません。少人数企業では、外部講師に「全部を任せる」のではなく、「どの工程だけ外部の力を借りるか」を先に決めることが重要です。
無償の先輩技術者に支えられてきた教育を、そのまま外部化すると負担が大きくなる
建設業では、資格取得や技術指導が、長年の人間関係に支えられていることがよくあります。
元社員、協力会社の先輩、昔からの知り合い、地域の技術者。こうした方が、正式な契約ではなく、関係性の中で若手や中堅を見てくれている会社は少なくありません。
今回の会社でも、まさにその形でした。社長自身が若い頃に教わった方が、そのまま社員の資格取得も支えてくれていました。しかも、費用はほとんどかかっていませんでした。
これは会社にとって非常にありがたい一方で、引き継ぎのときに難しさが出ます。
なぜなら、これまで担ってもらっていた役割が、実はかなり広いからです。
たとえば、試験対策ひとつを取っても、実際には次のような役割が混ざっています。
- 受験者の理解度を見る
- 施工経験と試験問題をつなげて説明する
- 勉強の進み具合を確認する
- 苦手分野を見つける
- 記述問題の書き方を直す
- 試験前に背中を押す
- 仕事の相談にも少し乗る
これを外部講師にそのままお願いしようとすると、単なる講義ではなく、教育顧問に近い役割になります。すると、当然ながら費用も顧問型に近づきます。
ここで整理したいのは、無償で支えてくれていた方の価値を、外部講師の費用と単純比較しないことです。これまでの支援は、関係性によって成り立っていた特別な形であり、外部化するなら役割を分解して再設計する必要があります。
少人数企業では、外部講師を弱点診断・計画づくり・月次レビューに絞って使う
少人数の会社が資格取得支援を続けるなら、外部講師を常駐的な先生として置くよりも、役割を絞って活用するほうが現実的です。
最初に考えたいのは、外部講師に任せる仕事を「講義」ではなく「合格までの詰まりどころを外す支援」として設計することです。
たとえば、一級管工事施工管理技士の対策であれば、次のような使い方が考えられます。
- 最初に受験者3名の理解度を見てもらう
- 過去問や記述問題をもとに、苦手分野を診断する
- 試験日から逆算して、3か月・6か月の学習計画を作る
- 月1回だけ進捗を確認し、勉強のズレを修正する
- 記述問題の添削や模擬面接だけ外部に任せる
- 通常の勉強会は社内で実施する
この形にすると、外部講師の時間を「知識を一から教える時間」ではなく、「合否に効く部分を見極める時間」に使えます。
少人数企業では、毎回講師を呼んで一斉講義をするよりも、社員が市販教材や動画教材で自習し、月1回だけ外部の目で修正するほうが合いやすい場合があります。
判断軸は、次の3つです。
1つ目は、受験者数です。 受験者が2〜3名なら、継続顧問よりもスポット支援や月次レビューが向いています。受験者が10名近くになってくれば、社内研修化や定期講義も検討しやすくなります。
2つ目は、社内で担える範囲です。 過去問を解く、教材を配る、勉強時間を確保する、声をかける。ここまでは社内でできます。一方で、記述問題の添削や技術的な説明、学習の優先順位づけは、外部の力を借りたほうが早いことがあります。
3つ目は、合格後に何を残したいかです。 今年の3名を合格させるだけならスポット支援で十分かもしれません。来年以降も毎年受験者が出るなら、社内の勉強会資料や添削ノウハウを少しずつ残す設計にしたほうが、投資の意味が出てきます。
外部講師を入れる前に、次のように支援範囲を段階分けしておくと、費用対効果を見やすくなります。
- 第1段階:初回診断と学習計画だけ依頼する
- 第2段階:月1回の進捗確認と記述添削を追加する
- 第3段階:試験直前の模擬面接や重点講義を追加する
- 第4段階:受験者が増えたら、社内研修として定期化する
この順番であれば、最初から大きな契約にせず、効果を見ながら支援範囲を広げられます。
大事なのは、外部講師を安く使うことではありません。少人数の会社では、外部講師の専門性を「一番効く場面」に集中させることが、費用対効果を合わせるポイントです。
まとめ
資格取得支援は、建設会社にとって採用や処遇、現場力にもつながる大事な取り組みです。ただ、少人数の会社で外部講師を入れる場合は、受験者数と支援範囲を見誤ると、負担感が先に立ってしまいます。
今回のように、一級管工事の受験者が3名ほどで、これまで無償に近い形で支えてくれた技術指導役が退く場合、同じ役割をそのまま外部顧問に置き換えるのは難しくなります。
そのため、最初に整理すべきことはシンプルです。
- 受験者は何名いるのか
- 社内でできる勉強支援はどこまでか
- 外部に任せたいのは講義か、添削か、計画づくりか
- 今年だけの支援か、来年以降も使える仕組みにしたいのか
- 合格後に社内へ何を残したいのか
この整理ができると、外部講師を入れるかどうかだけでなく、入れるならどの範囲が適切かも見えやすくなります。
受験者が少ない会社ほど、外部講師を丸ごと抱えるのではなく、弱点診断・学習計画・月次レビュー・記述添削のように役割を絞ることが現実的です。 そのうえで、社員数や受験人数が増えてきた段階で、社内勉強会や定期研修へ広げていく流れが取りやすくなります。
自社の受験者数に合う資格取得支援の形を整理する
資格取得支援は、会社ごとにちょうどよい形が違います。受験者が数名の会社と、毎年複数名が受験する会社では、外部講師に任せるべき範囲も変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。資格取得や教育体制についても、「外部講師を入れるべきか」「社内勉強会で足りるのか」「どこだけ外部の力を借りるとよいか」といった段階から一緒に整理できます。
うちの場合はどう考えるべきか、何から決めればよいかわからない、という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要な整理先を見つける感覚でご相談ください。






























