前提

45名弱の内装系専門工事会社でも、人事評価制度はすでに避けて通れないテーマになっている

東海地方を地盤に、首都圏にも小さな拠点を持つ内装系の専門工事会社の話です。社員は45名弱。現場の職人社員が半分近くを占め、首都圏拠点は管理者中心で数名体制。採用は通年で続けており、20代の未経験者も入ってきています。

採用がまったくできないわけではありません。むしろ、地域の同規模企業の中では動けている方です。それでも離職はあります。若手の教育もあります。働き方の価値観も変わっています。

その中で出てきたのが、人事評価制度の悩みでした。

「うちも結構前からやっているんですけど、なかなか難しいですね。細かい項目を作って点数をつけても、労力の割に効果があまり実感できなくて」

この感覚は、多くの中小建設会社に近いと思います。制度を入れていないから遅れている、という話ではありません。むしろ、制度を作った会社ほど『本当にこれで社員の納得感につながっているのか』で悩みやすいのが実態です。

特に20名を超え、30名、40名と増えてくると、社長や幹部の感覚だけで給与や役割を決めることが少しずつ難しくなります。採用面でも「入社後にどう成長できるのか」を見せる必要が出てきます。

ただし、ここでいきなり細かい評価表を作ると、現場に合わない制度になりやすいです。人事評価制度は、給与査定の表を作る前に『何のために使うのか』を決める必要があります。

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  • 7月8日総合土木愛知県
  • 7月8日工務店山形県
  • 7月8日外構工事会社群馬県
  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
  • 7月4日外構工事会社千葉県
  • 7月2日防水工事会社茨城県
  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

売上や利益率だけでは、現場ごとの難しさや顧客対応の負荷を評価しきれない

建設会社の評価制度が難しい理由は、社員の仕事が数字だけで割り切れないからです。

相談の中でも、かなり生々しい言葉がありました。

「一担当者の売上で見ようとしても、簡単に取れるお客さんと、そうじゃないお客さんがいるんです。そうじゃないお客さんの方が労力はすごくかかっている。利益率が高いからこの子を評価する、というのもまた難しい」

まさにここです。

建設業の仕事は、案件ごとの条件差が大きいです。同じ売上でも、現場の難易度は違います。顧客対応の手間も違います。工程調整のしんどさも違います。追加変更の多さも違います。元請けや施主との関係性も違います。

そのため、単純に次のような評価だけではズレが出ます。

  • 売上が高い人を高く評価する
  • 利益率が高い現場を持った人を高く評価する
  • 残業や休日出勤が多い人を高く評価する
  • 評価項目を細かくして点数化する

もちろん、売上や利益は大事です。休日出勤して現場を支える社員の頑張りも大事です。ただ、数字だけを評価の中心に置くと、見えない調整や難しい顧客対応を担っている社員の貢献がこぼれやすいです。

一方で、感覚だけに戻してしまうと「結局、上司の好き嫌いではないか」と受け取られかねません。

この会社でも、最終的には「この子はB評価かな」といった判断になる場面があるとのことでした。現場をよく見ているからこその判断です。ただ、社員に説明するには、もう少し整理された言葉が必要になります。

評価制度で悩む会社の多くは、制度そのものが悪いわけではありません。評価したい貢献が複雑なのに、評価表だけを細かくして解決しようとしていることが、苦しさの原因になっています。

背景

若手が将来像を知りたい一方で、働き方の希望は一枚岩ではなくなっている

評価制度を始めた理由は、給与査定だけではありませんでした。

「なかなか先がイメージできないよ、という話もあって。じゃあ、ここを頑張ろうとか、頑張ったねというのを明確化できればいいなと思って始めたんです」

この言葉は重要です。

若手にとって、評価制度は点数表ではありません。自分がどこに向かえばよいのかを見る地図です。未経験で入社した20代にとっては、図面の見方、現場の段取り、職人や元請けとのやり取り、積算や管理の考え方など、覚えることが山ほどあります。

ただ、すべてをOJTで教えるのは簡単ではありません。

この会社でも、教育プログラムを考えたことはあるものの、実際にはOJTが中心です。さらに、50代・60代のベテランに20代をつけても、最初はうまくいかない場面があったそうです。

「50歳、60歳のおじさんに20歳の子をつけたって、なかなか難しい。今はできていますけど、一時は苦労しました」

ここに、評価制度のもう一つの役割があります。評価制度は、若手に点数をつけるためだけでなく、ベテランが何を教えるべきかを揃える道具にもなります。

さらに、働き方の希望も分かれています。

この会社では、若手の中にも「土日祝はきちんと休みたい」という人と、「もっと働いて稼ぎたい」という人がいます。数年経つと「自分も土曜に働きたいです」と変わってくる社員もいるそうです。

ここで難しい問いが出ます。

「土日祝に働いている子が評価されるべきなのか。でも、休んでいる子も会社の決めた規定の中で仕事をしているわけじゃないですか」

これはとても現実的な悩みです。

休日出勤をした社員の頑張りは認めたい。一方で、会社が決めた休日を守って働いている社員を低く見るのも違います。働く時間が長い人だけが評価される制度にすると、採用時に伝えている働き方との整合性も崩れます。

つまり、評価制度の前に整理すべきことは、社員をどう点数化するかではありません。

会社として、どんな働き方を用意し、それぞれの働き方で何を期待し、どう成長してもらうのかを決めることです。

解決

評価制度は給与査定表ではなく、採用・教育・定着をつなぐ設計図として作る

人事評価制度を作る前に、まず目的を分けると考えやすくなります。

評価制度には、少なくとも次の使い道があります。

  • 給与や賞与の査定に使う
  • 採用時にキャリアパスを見せる
  • 若手教育のステップを揃える
  • ベテランの教え方を揃える
  • 定着に向けて成長実感をつくる
  • 働き方の選択肢を整理する

全部を一度に満たそうとすると、制度が重くなります。評価項目が増えます。面談も大変になります。管理職の負担も増えます。

そのため、最初に決めたいのは、今の会社にとって一番解きたい課題は『査定』なのか『育成』なのか『採用』なのかです。

たとえば、今回のように「若手が先をイメージできない」「未経験者を育てたい」「働き方の希望が分かれている」という状況なら、いきなり給与査定を精密にするより、教育とキャリアパスに寄せた評価制度の方が合いやすいです。

進め方としては、次の順番が現実的です。

1. 評価制度の目的を一つに絞る

最初は、目的を広げすぎないことが大切です。

「公平な給与査定をしたい」のか。「若手に成長の道筋を見せたい」のか。「採用時に入社後の姿を伝えたい」のか。「幹部候補を育てたい」のか。

目的によって、作るものは変わります。

給与査定が目的なら、等級や報酬との連動が重要になります。育成が目的なら、職種ごとの習得項目や面談の質が重要になります。採用が目的なら、入社後1年目、3年目、5年目の姿をわかりやすく見せることが重要になります。

目的が曖昧なまま評価項目を増やすと、制度は立派でも使いにくくなります。

2. 現場ごとの前提データを整える

売上や利益率を評価に使うなら、その前に現場ごとの前提を見えるようにする必要があります。

たとえば、次のような情報です。

  • 現場規模
  • 工期
  • 顧客対応の難易度
  • 追加変更の多さ
  • 社内外の調整量
  • 予定利益と実績利益
  • 担当者が主担当なのか補助なのか

ここが整理されていないと、評価の場で毎回「この現場は大変だった」「いや、利益率は低い」といった感覚論になりやすいです。

完璧な原価管理システムを最初から入れる必要はありません。まずは、月次や案件完了時に振り返れる最低限の項目を揃えるだけでも違います。

定量評価をしたいなら、評価表より先に、現場を同じものさしで振り返るデータが必要です。

3. 働き方のコースを分けて考える

「しっかり稼ぎたい人」と「休みを重視したい人」を同じ評価軸だけで見ると、どちらかに無理が出ます。

そこで、働き方のコースを分ける考え方があります。

たとえば、しっかり現場に入り収入を伸ばすコースと、休日を確保しながら安定して働くコースを分ける。期待する役割、給与水準、成長ステップをそれぞれ整理する。

大事なのは、休み重視の社員を低く見ることではありません。稼ぎたい社員だけを特別扱いすることでもありません。

会社が認める働き方を先に決め、その中で何を期待するかを分けて評価するという考え方です。

これができると、採用時にも伝えやすくなります。「うちはこういう働き方もできるし、こういう道もある」と話せます。入社後に価値観が変わった社員にも、コース変更の余地をつくれます。

4. 評価と教育をつなげる

若手育成に使うなら、評価項目は細かい点数表よりも、成長段階が見えるものにした方が使いやすいです。

たとえば、未経験者に対しては、いきなり売上や利益ではなく、次のような段階を置きます。

  • 図面の基本を理解できる
  • 現場で必要な報連相ができる
  • 先輩の指示を受けて段取りを組める
  • 小規模案件を一部任せられる
  • 顧客や協力会社との調整を任せられる
  • 原価や工程を意識して現場を見られる

こうした段階があると、若手は「次に何を頑張ればいいか」が見えます。ベテランも「今はここを教える段階だな」と合わせやすくなります。

評価制度を育成に使うなら、点数よりも『次にできるようになること』を明確にする方が効果につながりやすいです。

5. 運用を軽くする

中小建設会社では、制度を作る人も、評価する人も、普段は現場や採用や顧客対応を抱えています。重すぎる制度は続きません。

半期に一度、分厚い評価シートを埋める。細かい項目に点数をつける。根拠を書き込む。面談する。給与に反映する。これを管理職がすべてやるのは、かなりの負担です。

最初は、評価項目を絞ってよいです。面談も短くてよいです。点数よりコメントを重視してもよいです。

大事なのは、毎年少しずつ良くすることです。

評価制度は、完成品を一回で作るものではなく、会社の成長に合わせて直していくものです。

まとめ

中小建設会社で人事評価制度がうまく機能しないのは、社員の貢献が見えていないからではありません。むしろ、現場ごとの難しさ、顧客対応の負荷、若手の成長、働き方の違いなど、見えているものが多すぎるから迷います。

売上や利益率は大事です。ただ、それだけでは測れない仕事があります。休日に働く社員の頑張りも大事です。ただ、会社のルール内で休みながら働く社員を低く見るのも違います。

だからこそ、最初に決めるべきことは評価項目ではありません。

人事評価制度を、給与査定のために作るのか。採用時のキャリアパス提示に使うのか。若手教育に使うのか。定着や働き方の選択肢づくりに使うのか。

ここが決まると、制度はかなり作りやすくなります。

細かい点数表から始めるより、まずは目的を決める。現場ごとの前提データを整える。働き方のコースを整理する。評価と教育をつなげる。運用できる軽さにする。

この順番で考えると、評価制度は管理職を苦しめる書類ではなく、社員と会社の未来を話すための共通言語になっていきます。

自社に合う評価制度の目的を整理したいときに

人事評価制度は、会社ごとに正解が変わります。社員数、職種構成、現場の種類、採用したい人材、働き方の方針によって、必要な制度は違います。

「細かい評価表はあるけれど、うまく使えていない」「若手にキャリアパスを見せたい」「給与査定よりも教育につながる形にしたい」という段階でも、整理できることはあります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。評価制度についても、制度を作ることだけを目的にせず、採用・定着・教育・働き方とつながる形で一緒に考えることができます。

まだ方向性が固まっていない段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、「うちの場合は何から整理すべきか」を考える場としてお使いください。

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