前提

売上1億円台半ば・10名前後の補修工事会社が、拡大より若返りを優先している状態

中国地方で防水工事やコンクリート補修を手がける、創業15年ほどの専門工事会社の話です。

公共工事が中心です。トンネル、橋、土木構造物などのインフラ補修にも入ります。売上はここ数年、1億円台半ばで大きくは変わっていません。

社長の考えは、かなりはっきりしていました。

「売上規模は別に変わらなくてもいいです。上がれば嬉しいですけど、見栄えの数字を追いたいわけじゃないんです」

目指しているのは、売上を大きくすることではありません。

今と同じくらいの規模を保ちながら、粗利と純利益の質を良くし、現場を支える人の年齢構成を若返らせることです。

現在は社長を含めて10名前後の体制です。そのうち2名は技能実習生。日本人の若手は20代が1名ほどで、30代はほぼいません。残りは40代、50代のベテランが中心です。

この状態で、社長はこう話していました。

「人材が血液のように回っていけばいいんです。年の者が辞めていく。新しい者が入ってくる。また覚えていく。そういう流れができてほしい」

この言葉に、同じような規模の建設会社が抱える本音が出ています。

売上拡大の前に、まず人が入れ替わっても現場が止まらない会社にしたい。 そこが出発点です。

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  • 6月11日総合土木静岡県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

技能実習生2名と50代中心の体制では、3〜5年後に今の10名前後を保ちにくいこと

一番の課題は、3〜5年後の人数がすでに読めてしまっていることです。

社長は、技能実習生2名について「ないものと考えています」と話していました。帰国の可能性があります。5年を超えれば、より条件の良い会社へ移る可能性もあります。

さらに、ベテランの中には「あと5年くらいかな」という人もいます。

つまり、今は10名前後で回っていても、何もしなければ数年後に2〜3名分の穴が開く可能性があります。

建設業では、この2〜3名が重いです。

1人減るだけで、段取りが変わります。2人減ると、受けられる現場が変わります。3人減ると、社長や残った職人の負担が一気に増えます。

しかも、若手は入社してすぐに主力にはなりません。

3〜5年後に不足するなら、採用は3〜5年後では遅いです。教育期間を見込んで、今から入れ始める必要があります。

社長も、そこは感覚的にわかっていました。

「3年、5年でいきなりどうこうなるわけじゃない。流れができ始めればいいんです」

この見方はとても現実的です。

若返りは、一発で解決するものではありません。求人を出して1人採れたら終わりでもありません。

毎年、または一定期間ごとに若手が入り、現場で覚え、次の若手を教えられるようになる循環をつくることが本題です。

背景

技能実習生で人数を補っても、教育・事務・送迎の負担が社長に戻ってきていること

技能実習生は、人数を補う手段として大きな助けになります。ただ、この会社では、社長の負担も同時に増えていました。

「事務手続きは全部私がやっています。現場も出ます。全部出ます」

実習生の住まい、手続き、生活面、言葉の壁、教育。免許がなければ送迎も必要になります。外部の仲介や専門先に任せる部分はあっても、最後は社長が動く場面が残ります。

社長はこうも話していました。

「3年、5年と教えても、一番いいときに帰っていかれたり、転職もあります。そこが読めないんです」

ここが難しいところです。

技能実習生は短期的な人手不足には効いても、会社の年齢構成を安定させる土台にはなりにくい場合があります。

もちろん、実習生の活用が悪いわけではありません。会社によっては大きな戦力になります。

ただ、この会社が求めているのは「ずっと会社に残り、技術を積み上げ、次の世代を教えていく人」です。

その意味で、社長の中では答えが出ていました。

「日本人の若い子が欲しいんです」

もう一つの背景は、協力会社ではなく自社の職人を育てたいという方針です。

協力会社やメーカー経由の職人手配は、遠方や一時的な現場では役立ちます。ただ、日常的な主力として考えると、工種や地域によって使いやすさに差があります。

この会社も、協力会社で即戦力を確保するより、自社で採用して育てたいという考えでした。

「自社ですね」

短い言葉ですが、ここに方向性があります。

同じ規模を保ち、利益の質を守りたい会社ほど、どの仕事を自社の職人で担い、どこを協力会社で補うかを分けて考える必要があります。

解決

必要人数を逆算し、正社員採用と教育期間を前提に人が循環する計画を作ること

最初に整理したいのは、「何人採りたいか」ではなく「何人いれば今の現場と利益を保てるか」です。

この会社の場合、目標は売上拡大ではありません。今の1億円台半ばを保ちながら、粗利と純利益のバランスを良くすることです。

そのためには、まず人員表をつくるのが現実的です。

  • 現在の人数
  • 年齢
  • 担当できる工事
  • 現場を任せられるか
  • 教える側に回れるか
  • 退職や離脱の見込み
  • 技能実習生の在留・転職リスク

難しい資料でなくて大丈夫です。紙1枚でも十分です。

大事なのは、3〜5年後に減る人数と、育つまでに必要な年数を同じ表で見ることです。

たとえば、技能実習生2名を将来の固定戦力として見ない。5年以内にベテラン1名が現場を離れる可能性がある。そう見るなら、今の10名前後を保つだけでも、数年内に2〜3名の若手を入れる必要があります。

ただし、一気に3名採るのは負担が重くなります。

教育する側も大変です。社長の事務も増えます。現場の段取りも変わります。

そのため、現実的には次のような考え方になります。

「毎年1名」または「1年半に1名」のように、会社が教え切れるペースで採用することです。

採用の入り口も、年齢ごとに分けて考えます。

18〜20代前半なら、経験よりも定着と育成が大事です。高校新卒、既卒、地域から都市部へ出たい若者などが対象になります。

20代後半〜30代なら、未経験でも前職経験があります。給与、休日、将来の見通し、家族への説明材料を見ます。

30代経験者なら、即戦力に近い一方で、給与条件や仕事の任せ方が重要になります。

「若い人が欲しい」を一括りにせず、18〜24歳、25〜34歳、経験者の3つに分けると、採用で伝える内容が変わります。

次に必要なのは、入社後の見通しです。

社長の頭の中には、「頑張ればこうなれる」という絵があります。けれど、若手からは見えません。

だから、ざっくりでいいので言葉にします。

たとえば、次のような整理です。

  • 入社1年目:安全、道具、材料、現場の流れを覚える
  • 2〜3年目:先輩の下で補修や防水の主要作業を任される
  • 4〜5年目:小さな現場や後輩指導を任される
  • その先:資格、職長、現場を動かす立場を目指す

これは立派な制度でなくても構いません。

若手が知りたいのは、「この会社に入ったら、自分は何年後にどうなれるのか」です。

ここが見えるだけで、面接で話せる内容が変わります。ホームページや求人票に載せる言葉も変わります。今いる社員にも、教える順番が伝わりやすくなります。

協力会社の活用についても、判断軸を決めておくと迷いが減ります。

自社で担うべき仕事は、会社の品質や信用に直結する仕事です。公共工事やインフラ補修で、継続的に受ける工種は自社の職人を育てた方が安定します。

一方で、遠方の一時的な応援、繁忙期の山、専門性が限定される作業は、協力会社を使う余地があります。

正社員採用は会社の土台づくり、協力会社活用は波をならす手段。役割を分けると、どちらか一方に寄りすぎずに考えられます。

そして最後に、社長一人に寄っている負担を少しだけ分けることです。

現場を任せられるベテランが2〜3名いるなら、その人たちに「新人の何を見てもらうか」を決めます。技術を全部教えてもらう必要はありません。

最初は、挨拶、安全、道具の扱い、現場での動き方だけでも十分です。

若手採用は、社長だけの仕事にすると続きません。採用、教育、定着を小さく分担することで、循環が始まります。

まとめ

売上を伸ばすことだけが、建設会社の成長ではありません。

この会社のように、今の売上規模を保ちながら、粗利や純利益の質を良くし、現場の年齢構成を整えることも大切な成長です。

3〜5年後に技能実習生が抜けるかもしれない。ベテランが現場を離れるかもしれない。20代は1名だけで、30代がいない。

この状態で必要なのは、大きな採用投資を一気にかけることではありません。

まず、今の人数・年齢・技能・離脱時期を見える化することです。

そのうえで、10名前後を保つには何人必要かを逆算します。若手が育つまでの期間を見込みます。自社で育てる仕事と、協力会社で補う仕事を分けます。

そして、若手に対して「入社後にどうなれるか」を言葉にします。

人材が血液のように回る会社は、偶然できるものではなく、採用と教育のペースを決めるところから少しずつ形になります。

うちの年齢構成と採用計画を一度整理したい方へ

「若い人を採りたいけれど、何人必要なのかがまだ曖昧」

「技能実習生や協力会社に頼っているが、3〜5年後を考えると少し不安がある」

「売上拡大より、今の規模を保てる人員体制をつくりたい」

こうした段階では、求人媒体を選ぶ前に、まず年齢構成と必要人数を整理するだけでも次の一手が見えやすくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用、育成、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで、現場の実情に合わせて整理し、実行まで支援しています。

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