10年で人口が1万人近く減る南九州の町で、地域密着の仕上げ工事会社が若手採用に悩んでいる状況
南九州のある市で、地域密着で仕事を続けてきた仕上げ系の専門工事会社の話です。
市の人口は9万人台。ここから10年で1万人近く減る見通しがあります。地元の仕事はゼロになるわけではありません。既存のお客様との関係もあります。横のつながりもあります。
ただ、人の話になると空気が変わります。
「この町は、ここ10年でかなり人口が減るんですよ」
「高校を出たら、一度は県外に出たいという子が多いんです」
地元の工業高校があっても、若い人は福岡や関西方面へ出ていく。大学進学で県外に出る。就職でも県外に出る。地元に大学があっても、「卒業後もこの町に住みたいか」と聞くと、なかなか首を縦に振らない。
若者が集まる場所が少ない。都市部に比べると賃金も見劣りする。地域の閉鎖性もある。そうした条件の中で、建設会社が若手を採るのは簡単ではありません。
ただし、ここで大事なのは、「田舎だから無理」と決める前に、誰に、何を、どう伝えるかを設計し直すことです。
求人票を出すだけでは届きません。給与や休日を少し変えるだけでも足りない場合があります。人口減少エリアの採用では、採用活動そのものを“地元で選ばれる導線づくり”として考える必要があります。
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- 6月27日リフォーム会社山口県
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若手が県外へ出ていく地域では、求人を出すだけでは採用の入口に立てない
地方の建設会社の若手採用で起きている課題は、単に「応募が少ない」ではありません。
そもそも若手の生活圏と情報接点の中に、地元建設会社が入っていないことが大きな問題です。
高校生は、進学か就職かを考える時点で、製造業、公務員、介護、看護、県外企業などを比較します。建設業が選択肢に入っていたとしても、「きつそう」「休みが少なそう」「親が心配しそう」という見られ方をされやすい。
一方で、地元企業側はこう考えがちです。
「このあたりには、そもそも高校生がいない」
「若い子は県外に出るから、来るわけがない」
「求人を出しても反応がない」
この感覚は、とても自然です。実際に母数は減っています。地元志向の若者も多くはありません。
ただ、ここで止まってしまうと、採用活動は毎年同じ形になります。求人票を出す。反応を待つ。来なければ「やっぱり無理だった」となる。この繰り返しです。
人口が減る地域では、“待つ採用”から“狙う採用”に変えないと、若手との接点が生まれにくくなります。
狙う採用とは、大きく言えば次のような整理です。
- 地元高校生を狙うのか
- 高校や専門学校を中退した若者を狙うのか
- 一度県外に出たUターン人材を狙うのか
- 他業種から手に職をつけたい若手を狙うのか
- 外国人材も含めて考えるのか
全部を同時に狙う必要はありません。むしろ、最初は絞った方が進めやすいです。
誰に来てほしいのかが曖昧なままでは、会社の魅力もぼやけます。若手に向けた言葉も作れません。学校への伝え方も、親御さんへの安心材料も、社内で受け入れる準備も定まりません。
地元高校生、県外に出た若者、親御さんの目線まで含めて採用を考える時代になっている
若手採用が難しくなっている背景には、地域そのものの変化があります。
地方の若者にとって、「一度は外に出たい」は自然な感覚です。高校卒業後に福岡や関西へ行く。専門学校や大学で県外へ出る。就職も都市部で探す。これは、建設業だけでどうにかできる話ではありません。
「自分たちの頃も、まずは外に出たいという気持ちがありました」
こうした声は、地方出身の方ほど実感があるはずです。
だからこそ、地元の建設会社が若手採用を考えるときは、“卒業時に地元へ残る人”だけを見ていると母数がかなり限られます。
一方で、別の入口もあります。
一度県外へ出たけれど、都市部の働き方が合わずに戻ってくる人。大学や専門学校を出た後に、地元で手に職をつけたいと考える人。進学したものの中退し、働き口を探している人。製造業だけではなく、将来性のある技能職に目を向け始める人。
建設業は、きついイメージを持たれやすい仕事です。ただ、見方を変えると、AIや自動化が進んでも、現場で技能を持つ人の価値は残りやすい仕事でもあります。
この価値は、若い人に伝え方を変えれば響く可能性があります。
たとえば、ただ「職人募集」と出すのではなく、次のように見せ方を変える余地があります。
- 何年でどんな作業を覚えられるのか
- 資格や技能が身につくと、収入や役割がどう変わるのか
- 地元で暮らしながら、どんな生活ができるのか
- 未経験でも最初に何を教えてもらえるのか
- 社宅や引っ越し支援があるなら、どこまで助けてもらえるのか
若い人本人だけでなく、親御さんの目線も大切です。
地方では、会社の評判が想像以上に採用へ影響します。社名入りの作業着で町を歩く。飲食店へ行く。コンビニへ行く。そこに高校生の親御さんがいるかもしれません。
ある会社では、地域での見られ方を変えるために、作業着のまま店に入るときの身だしなみや振る舞いまで見直した例があります。理由はシンプルです。
高校生本人より先に、親御さんや地域の大人が会社を見ているからです。
求人票の条件だけではなく、「あの会社なら大丈夫そうだ」と思われる空気をつくる。人口が少ない地域ほど、この積み重ねが効きます。
給与や休日の前に、狙う人材と自社の魅力を言語化して採用導線を作る
若手採用で最初に見直したいのは、求人媒体ではありません。
最初に見直すべきは、採りたい人材の設定と、自社の魅力の言語化です。
給与や休日を整えることは大切です。年間休日を70日台から90日、100日へ少しずつ増やす努力をしている会社もあります。働き方の選択肢として、休日日数と給与のバランスを複数コースに分ける会社もあります。
ただ、条件だけで都市部や製造業と真正面から比べると、地方の専門工事会社は不利になりやすいです。
だからこそ、順番が大切です。
まずは、次の3つを整理します。
1つ目は、誰を採りたいのかです。
地元高校生なのか。中退者なのか。Uターン人材なのか。県外から来る若手なのか。未経験者なのか。経験者なのか。
ターゲットが変われば、伝える内容も変わります。
地元高校生なら、学校との関係づくり、親御さんへの安心感、入社後の教育体制が重要です。中退者なら、学歴よりも人柄や意欲を見て受け入れる姿勢が必要です。Uターン人材なら、地元で暮らす理由や将来の安定感が大切になります。県外から来てもらうなら、社宅や引っ越し補助のような生活面の支援が効きます。
2つ目は、社長が思う会社の良さと、社員が感じている会社の良さを分けて聞くことです。
ここは意外とずれます。
社長は「技術力がある」「地元で信頼されている」「仕事が切れない」と考えているかもしれません。一方で、社員は「面倒見がいい」「道具をちゃんと揃えてくれる」「現場で怒鳴られっぱなしではない」「家族の事情を相談しやすい」と感じているかもしれません。
このずれの中に、外へ伝えるべき魅力があります。
「早速、社員に聞いてみよう」
そういう動きが出るだけでも、採用の入口は変わります。
聞くときは、良いところだけではなく、悪いところも聞いた方がよいです。
「評価とは関係ない。会社をよくするために、嫌なことも出してほしい」
この前提を置いて聞くと、普段は社長に言いにくいことも出てきます。もちろん、全部をすぐ直す必要はありません。ただ、社員が何に困っているかを知らないまま、外に向けて採用メッセージを作るのは難しいです。
3つ目は、外に伝わる形へ変えることです。
会社の中に良いところがあっても、若手に伝わっていなければ存在しないのと同じです。
たとえば、次のような形です。
- 「未経験歓迎」ではなく、最初の3か月で覚えることを書く
- 「資格取得支援あり」ではなく、どの資格を、いつ、誰が支援するかを書く
- 「アットホームな会社」ではなく、社員が実際に助かった場面を書く
- 「地元密着」ではなく、地域のどんな建物や現場に関わってきたかを書く
- 「手に職がつく」ではなく、5年後に任される仕事や収入の変化を書く
こうすると、若い人が自分の将来を想像しやすくなります。
採用導線としては、いきなり求人票を出す前に、次の流れで考えると進めやすいです。
- 社員に会社の良いところ、直したいところを聞く
- 採りたい層を1つか2つに絞る
- その層が不安に思う点を洗い出す
- 社宅、引っ越し支援、休日、教育、資格、キャリアを整理する
- 学校、地域、紹介、SNS、ホームページのどこで伝えるか決める
- 地域で見られる振る舞いや評判も整える
大きな採用予算をかける前にできることは多いです。
特に人口減少エリアでは、求人広告の量よりも、“この会社で働く理由”が地域の中で伝わることが大切になります。
まとめ
人口が減る地域で若手を採るのは、たしかに簡単ではありません。
高校生は県外へ出ます。地元に残る人数も限られます。都市部と同じ条件勝負をしても、勝ちにくい場面があります。
それでも、打ち手がないわけではありません。
最初にやるべきことは、求人を増やすことではなく、採りたい人材を決め、自社の魅力を社員の声から棚卸しし、外に伝わる言葉へ変えることです。
地元高校生。中退者。Uターン人材。手に職をつけたい若手。県外から来る人。どこを狙うかで、用意すべき導線は変わります。
社宅や引っ越し支援が必要な場合もあります。休日や給与の見せ方を工夫する必要もあります。キャリアの見せ方を変えるだけで、印象が変わることもあります。
そして、地域での評判も採用の一部です。
人口が少ない町ほど、会社の姿勢は求人票より先に伝わります。
まずは社員に聞くところからで十分です。
「うちの良いところは何か」
「若い人が入るなら、どこを直した方がいいか」
この2つを聞くだけでも、採用の見え方は変わり始めます。
自社の若手採用をどこから整理するか迷ったときは
若手採用は、求人票だけの問題ではありません。地域性、学校との接点、社員の本音、働き方、社宅や引っ越し支援、キャリアの見せ方までつながっています。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。
「うちの場合は、高校生を狙うべきか、Uターン人材を狙うべきか」
「社員に何を聞けばいいかわからない」
「採用の前に、会社の見せ方を整えたい」
そうした段階でも大丈夫です。無理な営業を前提にした話ではなく、まずは今の状況を一緒に整理するところから始められます。
若手採用の導線づくりを考えたい方は、お問い合わせはこちらからご相談ください。






























