千葉県北西部の住宅系専門工事会社が、5年以上前の求人票のまま高卒採用に向き合う現在地
千葉県北西部で、大手住宅メーカーの戸建て工事を主に担う10名規模の専門工事会社の話です。ハローワークの事業所登録はあり、中途採用の求人票も出していました。ただ、求人票の中身は何年も大きく変えておらず、手元に残っていたものはFAXでやり取りしていた時代の名残がある形式でした。
「内容、変えてないですね」「5年くらいは給与表記も見直していないです」というやり取りがありました。以前はそれでも応募が来ていたものの、「6〜8年前くらいから来なくなった」という感覚もあります。
高卒採用を始めるなら、最初に見るべきは“採用手法”ではなく、今の会社を正しく伝えられているかという求人票の中身です。
特に高卒採用では、6月に求人票の受付が始まり、7月以降に学校側へ情報が届いていきます。限られた時期に出す求人票が古いままだと、会社の実態よりも弱く見えてしまいます。
求人票が条件表のままだと、先生・保護者・高校生に会社の良さが届かない
求人票は、単なる「給与」「休日」「勤務時間」の記入欄ではありません。今は、求人票の情報が求人検索サイトや高校生向けの求人閲覧サービスに転載・整理され、スマホ上で比較される時代です。
昔は、学校に届いた紙の求人票を先生が見て、生徒に紹介する流れが中心でした。今は違います。高校生本人だけでなく、保護者も家で求人情報を見ることがあります。条件で絞り込み、会社名を検索し、ホームページを見て、他社と比べます。
その中で、昔の堅い表現のままでは埋もれます。
たとえば、求人票に「建築工事作業」とだけ書いてあっても、高校生には何をする仕事か想像しにくいものです。大手住宅メーカーの家づくりに関わる仕事なのか、躯体を組む仕事なのか、現場でどんな技術を覚えるのかが見えません。
相談の中でも、「この求人票が一番の教科書なんです。これもチラシなんです」という話がありました。まさにその通りで、求人票は会社を知らない人に向けた最初の営業資料です。
高校の先生にとっても同じです。先生は建設業の細かい職種の違いをすべて理解しているわけではありません。まして高校生本人は、「建設業」「住宅工事」「大工」「躯体工事」の違いを知らないことも多いです。
求人票を見た人が“この会社は何をしていて、自分はどう成長できるのか”を一目でつかめないことが、応募以前の大きなロスになります。
ネット検索と求人アプリで比較される時代に、昔の堅い求人票が置いていかれている
求人票を何年も更新していない会社は、珍しくありません。特に建設業では、現場が忙しく、採用は必要になったときに出すものになりがちです。過去に応募が来ていた原稿をそのまま使うこともあります。
ただ、この数年で求職者側の見方は大きく変わりました。
高校生も保護者も、求人票だけを見て終わりではありません。求人検索サイト、会社ホームページ、写真、口コミ、SNS、周辺企業の条件を見比べます。求人票の内容が古いと、「会社も古いのかな」「教育体制はあるのかな」「休みは本当に取れるのかな」と受け取られやすくなります。
今回の会社にも、実は伝えるべき材料がありました。
- 住宅メーカーの仕事を継続して担っている安定感
- 18歳から入り、20代前半で親方として動けるようになった若手の実例
- 家族手当など、規模のわりに手厚い制度
- 成果に応じた現場手当や昇給の実績
- 「今日帰る」と決めれば定時に帰れる運用がある現場感
ところが、求人票の書き方が古いままだと、こうした強みは見えません。
休日の表記も同じです。実態として「第1・第3土曜、日曜、祝日が休み」「現場や時期によって休み方に幅がある」という会社であれば、無理に良く見せる必要はありません。むしろ、できないことまで書くと入社後のズレになります。
「120日」と書いても、実態と違えば見透かされます。建設業を知っている人ほど、「本当に休めるのか」と見ます。大事なのは条件を盛ることではなく、実態に合った強みを正直に、伝わる言葉へ変えることです。
職種名・仕事内容・休日・教育体制・キャリアを、求職者目線で書き直す
求人票を見直すときは、いきなり給与だけを変えるのではなく、伝える順番を整理するのが先です。高卒採用では、本人・保護者・先生の3者がそれぞれ違う不安を持っています。
本人は「自分にもできるか」「きついだけではないか」を見ます。保護者は「安定しているか」「休みや給与は大丈夫か」を見ます。先生は「紹介しても早期離職しないか」「教育してくれる会社か」を見ます。
求人票は、この3者に向けて“うちはこういう会社です”と説明する資料として作る必要があります。
見直すべきポイントは、主に5つです。
1. 職種名は、仕事内容が想像できる言葉にする
「建築工事作業員」だけでは伝わりにくい場合があります。
たとえば、住宅の躯体工事を担う会社なら、単に作業員と書くのではなく、「大手住宅メーカーの家づくりを支える躯体工事スタッフ」のように、誰の何に関わる仕事かを入れるだけで印象が変わります。
職種名は検索にも影響します。求人サイトに転載されたとき、最初に見られるのは職種名です。ここで興味を持たれなければ、本文まで読まれません。
2. 仕事内容は、作業名ではなく成長の流れまで書く
高校生にとって、「躯体工事」「建方」「施工補助」といった言葉は、ほとんど知らない言葉です。専門用語だけでなく、入社後に何から覚えるのかを入れると伝わりやすくなります。
たとえば、以下のような整理です。
- 最初は道具や材料の名前、安全ルールを覚える
- 先輩と一緒に現場に入り、住宅工事の流れを学ぶ
- 慣れてきたら、部材の準備や組立補助を担当する
- 数年かけて、現場を任される技術者を目指す
相談企業では、「18歳から始めて、23歳で親方として動いている人がいる」という話がありました。これは大きな材料です。若手が成長した実例は、求人票の中で具体的に伝えるべき強みです。
3. 休日は、数字だけでなく運用を正直に書く
休日は、応募者が必ず見る項目です。ただし、建設業では天候、工程、元請けの都合で動きが出ます。だからこそ、表記は慎重に整える必要があります。
「完全週休2日制」と書けないのに、それに近い表現をしてしまうと、後でズレになります。一方で、休みが少なく見えるからといって何も補足しないと、実態より厳しく見えることもあります。
たとえば、年間休日、土曜休みの頻度、祝日の扱い、有給の取りやすさ、現場が落ち着いた時期の休み方などを、実態に合わせて整理します。
休日は“多く見せる”より、“入社後に違和感が出ない説明”にすることが大切です。
4. 教育体制は「未経験歓迎」だけで終わらせない
求人票でよくあるのが、「未経験者歓迎」とだけ書いてあるパターンです。しかし、高卒採用ではそれだけでは弱いです。
本人も保護者も先生も、「歓迎するのはわかった。では誰が、どう教えるのか」を見ています。
たとえば、求人票には次のような情報を入れたいところです。
- 入社後に最初に覚えること
- 現場で誰について学ぶのか
- 資格取得に関する会社負担の有無
- 何年くらいで一人前を目指すのか
- どんな先輩がいるのか
今回の会社でも、資格取得費用や育成の考え方、若手の成長事例が話題になりました。これらは、求人票に入れることで「ここなら育ててもらえそう」という安心材料になります。
5. キャリアは、給与より先に“未来の姿”を見せる
給与はもちろん重要です。ただ、高卒採用では「入社時の金額」だけでなく、「3年後、5年後にどうなれるか」が大事です。
相談の中では、18歳未経験の給与をいくらにするか、周辺相場を見ながら決める必要があるという話がありました。それと同時に、技術を覚え、資格を取り、現場を任されるようになったときにどう評価するかも重要です。
高卒採用の求人票では、“最初の条件”と“成長後の姿”をセットで見せることが、応募の後押しになります。
「早く技術を覚えて、家づくりの中心を担ってほしい」「数年で現場を引っ張れる人材を目指せる」といった言葉は、ただの飾りではありません。会社が本当にそう育てるつもりなら、先生や保護者に伝える価値があります。
まとめ
高卒採用で求人票を出すとき、古い原稿を少し直すだけでは足りないことがあります。特に、何年も更新していない求人票は、今の会社の実態を反映していない場合が多いです。
求人票は、会社を知らない高校生・保護者・先生に向けた最初の営業資料です。
見直すべきは、条件をよく見せることではありません。
- 職種名で仕事内容が伝わるか
- 仕事内容で成長の流れが見えるか
- 休日や残業が実態に沿っているか
- 未経験者をどう育てるかが書かれているか
- 3年後、5年後のキャリアが想像できるか
この5つを整えるだけでも、求人票の見え方は大きく変わります。
そして、高校訪問をするなら、求人票だけでなく、会社案内や写真、ホームページ、説明する言葉もそろえておきたいところです。先生に「この会社なら生徒を紹介してもよさそうだ」と思ってもらうには、会社の強みを自分たちの言葉で説明できる準備が必要です。
採用は、求人を出した日から始まるのではなく、会社の魅力を整理した時点から始まります。
高卒採用に向けて、求人票の見直しから整理したい方へ
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで、現場の実態に合わせて整理し、実行まで支援しています。
高卒採用に向けて「求人票をどう直せばいいかわからない」「うちの強みが何なのか言葉にできない」「高校訪問までに何を準備すべきか整理したい」という段階でも大丈夫です。
ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、無理に良く見せるのではなく、実態に合った魅力を一緒に整理していきます。無理な営業はいたしませんので、まずは今の求人票や採用の状況を確認するところからご相談ください。
































