前提

「1都3県」を営業圏にしながら、実際の通いやすさには大きな差がある埼玉県東部の防水工事会社

埼玉県東部を拠点とする、ある防水工事会社では、新たな取引先を開拓するにあたり、営業エリアをどこまで広げるかが論点になっていました。

候補は、倉庫や工場を保有する企業、不動産会社、改修工事を受注する元請会社などです。対象企業のリストを作るだけなら、「埼玉県を中心に1都3県」と設定できます。

ただ、実際の現場感覚は行政区分だけでは整理できません。

「横浜のほうは行きづらいですね。行けても川崎近辺くらいかなと思います」

「千葉でも南のほうは遠いです。でも、高速道路で行きやすい場所なら市原あたりまで大丈夫です」

同じ神奈川県、同じ千葉県でも、通いやすさはまったく違います。一方、県外でも高速道路に乗れば短時間で着ける地域があります。

「茨城方面なら、高速沿いの土浦は40分くらいで着きます。渋滞もほとんどありません」

建設会社の営業圏は、都県や市区町村ではなく、現場までの実移動時間で捉える必要があります。

1週間で 14件の相談 がありました

  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
  • 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
  • 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
  • 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
  • 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
  • 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
  • 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
  • 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
  • 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
  • 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
  • 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
  • 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
  • 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
  • 7月17日総合土木山形県案件獲得の相談
  • 7月17日電気設備工事会社愛知県利益率向上の相談
  • 7月16日外構工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月16日塗装工事会社大阪府人材育成の相談
  • 7月16日内装工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 7月16日総合建築岐阜県原価管理の相談
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課題

近い県内を優先し、短時間で通える県外案件を外してしまう営業エリアの線引き

営業リストを行政区分で作ると、「県内だから優先」「県外だから後回し」という整理になりがちです。しかし、この分け方では現場運営の負担を正しく反映できません。

たとえば、地図上では近く見える地域でも、一般道の渋滞が多ければ移動に時間がかかります。反対に、距離が離れていても、インターチェンジから近く、高速道路を降りてすぐの現場なら通いやすい場合があります。

相談企業でも、営業圏の目安として「車で1時間から1時間半くらい」という感覚が共有されていました。一方で、2時間まで広げると八王子方面まで入ってきます。

「もう2時間まで行くと、八王子まで行けてしまうんですよね」

ここで難しいのは、移動できるかどうかと、利益を残せるかどうかは別だという点です。片道2時間でも施工はできます。ただし、往復の移動時間、職人の拘束、資材運搬、追加訪問まで含めると、近隣案件と同じ条件では採算が合わない可能性があります。

営業エリアは「行ける範囲」ではなく、「現場を無理なく回し、利益を確保できる範囲」で決めることが大切です。

背景

高速道路、渋滞、資材運搬によって距離と現場負担が一致しない首都圏の移動事情

営業エリアを行政区分で決めにくい背景には、首都圏特有の道路事情があります。

横浜方面は距離以上に時間がかかりやすい一方、北関東方面は高速道路を使うことで短時間に到着できることがあります。千葉方面も、地域名だけでは遠近を判断できません。高速道路へのアクセスや渋滞状況によって、現場への通いやすさが変わります。

防水工事では、人だけが移動すればよいわけではありません。材料や道具を積み、施工期間中は繰り返し現場へ通います。確認や手直しがあれば、予定外の訪問も発生します。

そのため、営業先の所在地を見るときは、単純な直線距離ではなく、次の条件を重ねて考える必要があります。

  • 拠点から現場までの通常時の所要時間
  • 朝夕や雨天時の渋滞
  • 最寄りのインターチェンジまでの距離
  • 高速料金、燃料費、駐車費用
  • 資材や道具を積んだ車両での移動しやすさ
  • 現場確認や緊急対応で再訪する可能性
  • 工期、現場への訪問回数、案件規模

「遠い」と感じる場所でも、まとまった工事量があり、移動コストを吸収できるなら候補になります。反対に、近そうに見えても、短期間に何度も通う必要があり、渋滞が多い場所なら優先順位は下がります。

距離そのものではなく、1現場を完了するまでに発生する移動負担の総量を見ることが、商圏設計の基本になります。

解決

所要時間と案件条件を組み合わせて営業先を三つの優先度に分ける進め方

営業エリアは、地図上に一本の境界線を引くより、優先度を三段階程度に分けると運用しやすくなります。

まず、自社の事務所や資材置き場を起点に、候補地域までの所要時間を調べます。平日朝の現場入りを想定し、高速道路を使う場合と一般道の場合の両方を確認します。

そのうえで、次のように整理します。

  • 優先エリア:日常的に通いやすく、追加訪問にも対応しやすい地域
  • 条件付きエリア:案件規模、工期、高速料金などの条件が合えば受注したい地域
  • 個別判断エリア:移動負担が大きく、粗利や施工体制を確認してから判断する地域

相談企業の感覚を当てはめれば、高速道路で40分ほどの土浦方面は、県外でも優先度を上げられます。一方、移動に2時間近くかかる地域は、営業対象から一律に外すのではなく、案件規模や訪問回数を見て個別に判断する位置付けです。

判断するときは、受注金額だけでなく、移動に伴う原価も含めます。少なくとも、次の項目は案件ごとに確認したいところです。

  1. 往復の移動時間に職人数を掛けた拘束時間
  2. 工期中に想定される訪問日数
  3. 高速料金、燃料費、駐車費用
  4. 資材を追加搬入する可能性
  5. 確認や手直しで再訪する可能性
  6. それらを差し引いても確保できる粗利

最初から精緻な計算表を作る必要はありません。まずは既存現場を振り返り、「通いやすかった現場」「距離以上に負担だった現場」を並べるだけでも、自社に合う基準が見えてきます。

営業活動を始めた後も、アポイント数や受注数だけで評価しないことが重要です。実際の移動時間と採算を記録し、優先エリアを見直します。

営業リストは所在地だけで並べず、移動時間、道路条件、案件規模、必要な訪問回数を加えて優先順位を付けると、受注後の採算まで見通しやすくなります。

まとめ

埼玉、東京、千葉、神奈川という行政区分は、営業先を検索する入口としては便利です。ただし、そのまま営業の優先順位にすると、近くても通いにくい地域を選び、県外でも短時間で到着できる商圏を逃すことがあります。

整理したいポイントは、次の三つです。

  • 営業圏は直線距離や都県ではなく、通常時の所要時間で見る
  • 高速道路、渋滞、資材運搬、再訪のしやすさまで含める
  • 案件規模や工期と移動原価を照らし合わせ、優先度を分ける

「どこまで行けるか」だけなら、営業範囲は広く設定できます。ただ、現場が始まってから無理が出れば、せっかくの受注が利益につながりません。

自社にとっての営業エリアとは、施工できる範囲ではなく、品質を保ちながら利益を残せる範囲です。

自社に合う営業エリアと案件の優先順位を整理したい方へ

営業エリアは、所在地の一覧だけを見ても決めきれません。施工体制、資材の運び方、取引したい元請会社、案件規模によって、優先すべき地域は変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大を、営業リストの作成だけでなく、現場の移動負担や収支まで含めて整理し、実行を支援しています。

「うちの場合は何分圏内を優先すべきか」「県外案件をどこまで狙うべきか」といった段階でも問題ありません。無理に営業を進めることはありませんので、現状の整理先として気軽にお声がけください。

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