前提

職人6名で既存顧客の改修工事を優先する空調設備会社の現在地

青森県で空調設備工事を手がける、10名弱の専門工事会社があります。職人は6名で、施工管理と事務をそれぞれ1名ずつ配置。案件の9割ほどが店舗や商業施設などの非住宅で、なかでも改修工事が6割強を占めています。

既存顧客から継続的に仕事を受けており、更新・改修工事が多いため、一定の採算も確保できています。無理に売上規模を追うより、現在の体制に合わせて会社を運営していく方針です。

一方、年間を通して仕事量が一定ではありません。9月のように社長も現場へ出なければ回らない時期がある一方、2〜4月には施工余力が生まれやすくなります。そのため、新規営業には「仕事を増やす」というより、閑散期を埋める役割が期待されています。

社長の言葉にも、その考え方が表れています。

「何でもいいから仕事を取ってくればいいわけではなく、自分の会社のキャパに合ったタイミングの営業でないと難しいんです」

この会社に必要なのは案件数を増やす営業ではなく、既存顧客の仕事を守りながら施工余力を埋める営業です。

1週間で 21件の相談 がありました

  • 9月11日工務店福岡県案件獲得の相談
  • 9月11日外構工事会社沖縄県業務効率化システムの相談
  • 9月11日解体工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月11日電気設備工事会社三重県案件獲得の相談
  • 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
  • 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
  • 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
  • 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
  • 9月8日工務店広島県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
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課題

新規案件の着工時期と既存現場が重なる受注のミスマッチ

新規開拓の難しさは、案件を見つけることだけではありません。依頼を受けた時期に施工できるかどうかが、営業時点では確定していないことにあります。

新規顧客へ「仕事をください」と声をかけ、実際に依頼を受けた後で、「今月は難しいので、来月末からになります」と返せば、発注側は別の工事会社を探します。一度断られた印象が残れば、その後の相談も入りにくくなります。

かといって、新規案件を優先して既存顧客の工事を後ろ倒しにすることもできません。継続的に仕事を依頼してくれる元請けへの対応が、経営上の土台だからです。

この状態で営業量だけを増やすと、次のようなズレが起きます。

  • 問い合わせは増えたものの、希望する着工時期に対応できない
  • 施工できる時期と、相手が発注したい時期が合わない
  • 小規模な工事を想定していたが、必要な人工や工期が大きい
  • 対応地域が広く、移動を含めると既存現場に影響が出る
  • 現地確認や見積もりに社長の時間を取られ、施工判断が遅れる

受注できない原因が営業力の不足ではなく、営業と施工計画がつながっていないことにある場合、アポイントを増やすだけでは解決しません。

背景

空調改修の見積もりは人工・工期・他工種との取り合いまで見なければ判断できない構造

専門工事会社のキャパは、職人の人数だけでは決まりません。工種、現場の規模、施工地域、工期、他工種との調整、現地確認や見積もりに必要な時間まで含めて考える必要があります。

たとえば配線や配管を10メートル施工する案件でも、単純に単価を掛ければ見積もれるわけではありません。どのルートを通せるのか、穴あけが必要か、どの材料を使うのか、建築工事とどの順番で進めるのかによって、必要な人工と日数が変わります。

相談企業でも、新規開拓から現地確認、施工方法の判断、見積もりまでを社長が担っていました。見積もりには自社工事だけでなく、現場全体を見る経験が必要です。そのため、営業担当が新規案件を見つけても、最終的な受注判断は社長に集中します。

さらに、既存案件の工程は動くことがあります。着工の延期や前工程の遅れがあれば、空いているはずだった職人が別の月へずれ込みます。月単位では余裕があるように見えても、週単位で確認すると動けないこともあります。

専門工事会社の営業キャパは「職人が何人いるか」ではなく、「いつ、どの工種を、何人工で、どの地域まで対応できるか」で捉える必要があります。

解決

月別の施工余力を起点に狙う案件と着工時期を先に決める営業設計

営業を施工可能な案件へつなげるには、営業を始める前に「受けられる条件」を決めておくことが有効です。案件が来てから予定表を見るのではなく、施工余力から逆算して営業先と提案内容を選びます。

1.月別・週別の施工余力を人工で可視化する

最初に、今後3〜6か月の稼働状況を一覧にします。売上予定だけではなく、案件ごとに必要な人数と日数を置くことがポイントです。

最低限、次の項目を並べます。

  • 既存顧客から受注済みの現場
  • 受注確度は高いものの、日程が未確定の現場
  • 現場ごとの着工予定日と完工予定日
  • 必要な職人の人数と日数
  • 社長や施工管理担当者の関与が必要な日
  • 追加で受けられる人工と着工可能な時期

工程変更が多い会社では、予定を埋め切らず、調整用の余力を残しておきます。月次だけでなく週次でも確認すると、「4月は空いているが、実際に受けられるのは後半だけ」といった違いも見えます。

営業担当が見るべき数字は売上目標だけではなく、今後3〜6か月の受注可能人工です。

2.受けたい案件を工種・規模・地域・時期で絞る

施工余力が見えたら、案件条件へ置き換えます。相談企業であれば、非住宅の空調改修を中心に、既存案件の合間で対応できる規模を狙う形が考えられます。

整理する条件は次の4つです。

  1. 工種:自社だけで施工判断しやすい空調設備工事か
  2. 規模:何人工、何日程度までなら既存現場に影響しないか
  3. 地域:移動時間を含めて予定どおり施工できる範囲か
  4. 時期:着工可能な月や週が相手の希望と合うか

「非住宅なら何でも」「改修工事なら何でも」と広げると、現地確認や見積もりの負担が増えます。反対に、「2〜4月着工」「数日から2週間程度」「既存商圏内の店舗改修」など、施工可能な条件まで絞れば、営業時点でのミスマッチを減らせます。

狙う顧客は知名度や案件数ではなく、自社が空けたい時期に、対応可能な工種・規模・地域の仕事を発注するかで選びます。

3.商談では着工可能時期を先に共有する

新規顧客との打ち合わせでは、案件の有無だけでなく、発注時期と着工希望日を早い段階で確認します。同時に、自社の対応可能時期も伝えます。

「いつでも対応できます」と入り、後から日程を断るより、「直近は既存工事があるため、次にまとまって動けるのは4月後半です」と先に伝えた方が、双方で調整しやすくなります。

相手の希望時期が合わない場合でも、着工日の変更、施工範囲の分割、先行調査だけの実施など、調整できる余地があるかを確認します。調整が難しければ、見積もりへ進む前に判断できます。

営業段階で着工可能な期間を具体的に伝えることが、受注後の辞退を防ぎ、新規顧客との信用を守ります。

4.見積もり前と受注前にキャパ確認を入れる

営業から見積もりへ進む前に、一度キャパを確認します。さらに、見積もり提出後から発注までに工程が変わることもあるため、受注確定前にも再確認します。

確認項目は複雑にする必要はありません。

  • 希望する着工日と完工日
  • 必要な人工と現場日数
  • 他工種との工程調整の有無
  • 既存顧客の現場との重複
  • 現地確認、見積もり、施工管理まで含めた社内負担

案件は「対応可能」「日程調整できれば可能」「現状では対応困難」の3段階に分けると、判断しやすくなります。社長だけが判断できる会社でも、確認項目を共通化すれば、営業担当や施工管理担当が必要な情報をそろえられます。

受注判断を社長の感覚だけに置かず、見積もり前と受注前のキャパ確認を営業プロセスに組み込むことが重要です。

まとめ

専門工事会社にとって、新規営業の成果は案件数だけでは測れません。既存顧客の仕事を守りながら、空いている時期に施工できる案件を獲得して初めて、営業が経営に貢献します。

そのために必要なのは、次の流れです。

  • 月別・週別の施工余力を人工で可視化する
  • 対応可能な工種、規模、地域、着工時期を決める
  • その条件に合う案件を持つ顧客へ営業する
  • 商談時に希望時期と着工可能時期をすり合わせる
  • 見積もり前と受注前にキャパを再確認する

自社のキャパに合った営業とは、取れる仕事を探す活動ではなく、無理なく施工できる仕事だけを狙って受注する仕組みです。

自社に合う案件条件と営業の進め方を整理したい方へ

「閑散期を埋めたいが、どの案件を狙えばよいかわからない」「新規開拓を進めると既存顧客の仕事に影響しそう」と感じる場合は、まず月別の施工余力と受注条件を整理するところから始められます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。販路拡大についても、営業先を増やすだけではなく、自社の施工体制に合う顧客や案件の選定、営業プロセスづくりから一緒に検討できます。

「うちの場合はどの時期、工種、規模を狙うべきか」という整理段階でも問題ありません。無理にサービスを勧めることはありませんので、今の稼働状況や既存顧客との関係を踏まえて、次の一手を考えたいときにお声がけください。

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