近畿圏の新築戸建て工事を担い、取引先を複数の柱に分散させたい専門工事会社の現在地
近畿圏で新築戸建ての通信設備工事などを手がける、ある専門工事会社では、数年後の売上10億円を見据えて取引先の分散を進めています。
現在、最大の取引先が売上の25〜30%ほどを占めています。既存取引を減らしたいわけではありません。ただ、一社の比率が30〜40%まで高まり、その仕事が突然なくなったときの影響は小さくありません。そのため、メーカー、ハウスメーカーなど複数の商流を、それぞれ20%前後の柱に育てたいという考えです。
一方、これまでの仕事は自社から営業して獲得したものばかりではありませんでした。
「うちは自社から営業してきた実績がほとんどなくて、『こういう工事はできませんか』と相談を受けて、やりましょうか、という形が多かったんです」
社長自身は、アポイントが決まった後の面談には対応できます。しかし、候補企業を探し、電話や紹介依頼を重ね、接点を作るところまで付きっきりになる時間はありません。社内で育成中の営業担当者も、すぐに新規開拓を任せられる段階ではない状況です。
そこで大手企業との接点を持つ方法として、人脈や紹介の活用が候補に挙がりました。ただし、経営者から返ってきたのは、営業の本質を突く言葉でした。
「接点を作っていただけるのはありがたいです。でも、相手が困っていなければ、ほんまに顔合わせだけで終わると思うんです」
大手企業のキーマンに会えることと、発注先として検討されることは別です。接点を作る前に、相手が取引先を見直す理由と、自社を選ぶ理由の両方を整理する必要があります。
1週間で 22件の相談 がありました
- 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
- 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
- 9月8日工務店広島県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
- 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
- 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
- 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
- 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
- 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
- 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
- 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
- 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
- 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
- 8月31日総合土木広島県業務効率化システムの相談
- 8月30日内装工事会社東京都高卒採用の相談
- 8月30日工務店福岡県利益率向上の相談
- 8月30日電気設備工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 8月29日内装工事会社神奈川県案件獲得の相談
紹介で大手企業に会えても、既存業者を切り替える理由がなければ動かない発注判断
大手企業との新規取引では、「誰に会えるか」が注目されがちです。もちろん、担当部署や決裁に関わるキーマンとの接点は重要です。しかし、既存業者が問題なく工事を納めているなら、相手にとって発注先を増やしたり切り替えたりする理由はありません。
新しい施工会社の登録や選定には、対応工種、施工体制、安全・品質、対応地域、価格、実績などの確認が伴います。既存業者との調整も必要です。その負担を上回る利点が見えなければ、紹介者への配慮から面談は実施されても、その後の具体的な話には進みにくくなります。
この会社の経営者も、そこを冷静に見ていました。
「今頼んでいる工事会社さんと比べて、うちと打ち合わせるメリットが向こうにないといけない。そのメリットをどう作るかが疑問として残ります」
営業準備で先に答えるべきなのは、「どうすれば会えるか」だけではありません。
- 相手は現在の施工体制の何に困っているのか
- 既存業者を見直すタイミングにあるのか
- 自社は、どの工種をどの地域で、どれほど供給できるのか
- 品質や価格以外に、発注側の負担を減らせる点はあるのか
- 直接取引を狙うべきか、まず既存商流の一段下で実績を作るべきか
面談の目的は会社紹介ではなく、「相手の切り替え需要」と「自社の供給能力」が重なる場所を確かめることです。ここが曖昧なままでは、紹介の価値を受注に変えにくくなります。
既存業者の継続的な値上げと交渉負担が重なったときに生まれた切り替え需要
この会社が既存の大手ハウスメーカーと直接取引を始めた経緯には、発注先が動く具体的なタイミングがありました。
当時、発注側は既存の工事会社から毎年のように値上げ交渉を受けていました。長く取引してきた大手業者だったものの、価格交渉を繰り返す負担が積み重なり、別の対応先を検討する理由が生まれていたのです。
「毎年値上げの話が出て、その交渉も煩わしくなっていた。そこで『この金額感で対応できませんか』という依頼をいただきました。結局、相手側に需要があったんです」
このとき、自社が単に安価で受けただけではありません。協力会社からも、以前に大手業者の下で施工していたときより労務単価が良くなったという反応がありました。発注側、受注側、施工を担う協力会社の条件がかみ合う商流を作れたことが、取引につながった背景にあります。
この経験から見えるのは、発注先の見直しが起きやすい場面です。
- 既存業者の値上げが続き、価格交渉の負担が大きくなっている
- 現在の施工会社だけでは、繁忙期の供給能力が足りない
- 対応できる工種や施工エリアに空白がある
- 工程への追随や連絡対応に改善余地がある
- 一社依存を避けるため、第二・第三の施工会社を探している
すべての大手企業がこうした状況にあるわけではありません。だからこそ、会社名の知名度だけで開拓先を並べるのではなく、「今、その会社に発注先を見直す事情があるか」というタイミングの確認が重要です。
同社には、近畿一円の新築戸建てに対応してきた実績があり、同じ工事であれば自社職人を中心に完結できる見通しもありました。一方、集合住宅については工程のずれを追いにくく、手離れも良くないため、積極的に広げる方針ではありませんでした。
これは営業上の大切な整理です。受注できそうな案件を広く掲げるより、自社が安定して納められる「新築戸建て」「通信設備工事」「近畿一円」といった条件を明確にしたほうが、発注側も検討しやすくなります。
切り替え需要、自社の提供条件、商流の入り方を面談前にそろえる営業設計
大手企業への営業準備は、紹介先を探す前に三つの順番で整理すると進めやすくなります。
1.相手の「困りごと」ではなく、発注先を動かす条件まで確認する
「何か困っていますか」と尋ねるだけでは、具体的な案件にはつながりにくいものです。既存業者に多少の不満があっても、切り替えの手間が大きければ取引は継続されます。
紹介者や大手企業の事情に詳しい人から、面談前に可能な範囲で次の点を確認します。
- 現在の施工会社の体制と社数
- 値上げ、供給不足、対応地域などの見直し要因
- 新規業者を必要とする工種やエリア
- 月間・年間のおおよその施工量
- 新規登録や口座開設に必要な条件
- 実務担当者、選定担当者、決裁者の関係
- 見直しが行われる時期
「キーマンを紹介できるか」だけでなく、「なぜ今、新しい会社と会う必要があるのか」まで確認できる紹介であることが、接点の質を左右します。
需要が確認できない場合、無理に面談を設定する必要はありません。情報交換にとどめ、値上げ改定、繁忙期、施工エリア拡大などのタイミングで再度接点を持つ方法もあります。
2.自社の強みを「相手が発注判断できる条件」に置き換える
「幅広い工事に対応できます」「協力会社が多くいます」だけでは、大手企業は発注後の姿を想像しにくくなります。営業資料では、少なくとも以下を具体化しておきます。
- 対応工種:どの設備・施工まで自社で担えるか
- 対応物件:新築か改修か、戸建てか集合住宅か
- 対応地域:日常的に動ける範囲と、条件付きで動ける範囲
- 供給能力:自社職人と協力会社を含め、どの程度対応できるか
- 品質管理:施工品質をどのようにそろえるか
- 受注条件:得意な案件規模や工程条件
- 発注側の利点:価格以外に、調整や管理の負担を何によって減らせるか
この会社の場合は、既存の直接取引で再現できている条件を基準にできます。新築戸建ての通信設備工事、近畿一円への対応、自社職人を中心とした施工体制などです。
一方で、工程を追いにくく手離れが悪い集合住宅まで「対応可能」と広げると、受注後に現場負担が増える可能性があります。営業準備では、できることだけでなく、継続的に利益を残して納められる条件を示すことが大切です。
3.直接取引と商流の一段下を、接点の有無だけで決めない
大手企業との直接取引を狙うか、その案件を受けている元請け・一次会社の下から入るかは、営業上の大きな判断になります。
直接取引が向いているのは、既存取引で再現性のある工種があり、相手側の切り替え需要も確認でき、必要な施工量を受けられる場合です。発注側のキーマンまで適切な導線があり、口座開設や品質基準にも対応できるなら、直接取引を検討しやすくなります。
一方、相手の施工基準や案件特性が分からず、直接取引の実績もない場合は、商流の一段下で経験を積む選択肢があります。実際の現場を通じて、工程、品質基準、書類、連絡方法などを把握できる利点があります。
ただし、一段下から入る場合には、小口案件が多くなる、利益率が下がる、後から直接取引へ移りにくくなるといった点も考える必要があります。特に建設業では、既存の取引先を飛び越えることが「筋を通していない」と受け取られる場合があります。
「されて嫌なことはするな、と昔から言われています」
この考えを守りながら販路を広げるには、最初から直接取引への移行を前提にするのではなく、現在の取引関係と役割を明確にしたうえで参入することが欠かせません。
判断するときは、次の四点を比べます。
- 相手側に顕在化した切り替え需要があるか
- 自社に直接受注を安定して納める体制があるか
- 一段下で入ることで得られる実績や知見が明確か
- 将来の取引拡大が既存取引先との信頼を損なわないか
直接取引が常に正解ではなく、一段下から入ることが常に遠回りでもありません。需要、供給能力、採算、取引上の筋をそろえて判断することが重要です。
まとめ
大手企業との新規取引では、キーマンとの接点が入口になります。しかし、紹介だけで受注が決まるわけではありません。
相手に既存業者を見直す理由がなければ、面談は顔合わせで終わります。反対に、継続的な値上げ、供給能力の不足、対応工種や施工エリアの空白といった需要があり、自社の対応条件が合えば、知名度の差があっても検討対象に入る余地があります。
営業準備として押さえたい要点は、次の三つです。
- 相手に発注先を見直す理由とタイミングがあるかを確認する
- 対応工種、物件、地域、供給能力、品質、価格以外の利点を具体化する
- 直接取引と商流の一段下を、採算・実績・取引上の筋から選ぶ
会うことを営業の成果にせず、相手が発注判断できる材料をそろえてから接点を持つことが、大手開拓を「顔合わせだけ」で終わらせない準備になります。
大手開拓の前に、選ばれる条件を一緒に整理するために
大手企業との販路を広げたいものの、「どの会社を狙うべきか」「相手側に需要があるのか」「直接取引から入るべきか」がまだ整理できていないこともあります。その段階で、無理にアポイントを増やす必要はありません。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、現場、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。大手企業との接点づくりだけでなく、自社の対応条件や開拓先の優先順位、面談前に確認すべき需要の整理から進められます。
「うちの場合は何を強みにすべきか」「何から整理すればよいか分からない」という段階でも問題ありません。無理に話を進めることはありませんので、今後の販路を考える材料として気軽にお声がけください。



































