15名弱・監督4名で店舗内装を担う会社ほど、設計施工コンペの負担が経営に直結する状況
東京都東部に拠点を置く、店舗内装・改修を中心とした専門工事会社の話です。創業から30年ほど。飲食店、クリニック、商業施設内テナント、オフィスビルの共用部改修などを手がけています。
設計施工の部署は7名ほど。現場監督は4名。案件規模は、30坪から120坪未満、金額では数千万円から1億円弱の工事が中心です。設計施工で入ることもあれば、設計事務所や建築会社の下で施工だけを担うこともあります。
この規模感の会社にとって、設計施工コンペは大きな営業機会です。一方で、図面・パース・見積の先行工数が、そのまま固定費として効いてくるのも事実です。
「最近ちょっと入札が多くなってきちゃって」
そんな一言には、案件がない悩みとは少し違う、受注前の消耗感がにじんでいました。
リピート先でも毎回3社・5社コンペになり、勝っても負けても粗利を削りやすい構造
店舗内装や改修工事では、一度仕事をして評価されても、次回からすぐ特命になるとは限りません。むしろ、リピート先であっても毎回コンペになることがあります。
相談の中でも、クリニック系の出店やオフィスビルのエントランス・トイレ改修などで、3社程度の相見積もり、場合によっては5社の設計施工コンペになる話が出ていました。
「うちも基本コンペなんですけど、毎度5社です」
「パースを書いて、見積もりの労力をかけて、取れなかったというのがきついんです。うちみたいな小さい会社だと」
この負担は、単に営業部門だけの問題ではありません。設計者が動き、積算が動き、協力業者にも概算確認を依頼します。現場監督も施工性や工程を見ます。受注前なのに、社内の主力人材がかなり使われるわけです。
しかも5社コンペなら、単純確率では勝率は2割です。勝てばまだよいですが、負ければその工数は回収しづらい。勝ったとしても、競争で価格が下がり、施工段階で利益を残しにくくなることもあります。
発注者側の比較ルールと、施工会社側の実績づくりがかみ合わないことが特命化を遠ざける
特命になりにくい理由は、施工会社の評価が低いからとは限りません。発注者側にも、比較を求められる事情があります。
たとえば、複数店舗を展開するクリニックや飲食チェーンでは、社内稟議上、毎回複数社比較が必要なことがあります。ビルを取得して短期間で改修し、きれいにして売却・賃貸につなげたい不動産系の案件でも、金額妥当性を示すために相見積もりが入りやすくなります。
また、設計事務所、指定業者、元請、施主の関係が複雑な場合もあります。設備設計だけ先に手伝っていても、施工は別の指定業者に見積依頼が出る。そんなことも起こります。
一方で、施工会社側には「ここで実績を作れば、次は声がかかるのではないか」という期待があります。実際、オフィスビルのエントランスやトイレ改修で実績を作れば、同じ所有者の別物件や別フロアにつながる可能性はあります。
「今回それで実績を作れば、ちょうどそういう話が来る。それを狙っているんです」
この考え方自体は自然です。ただし、実績づくりと特命化の間には、意図して橋をかける必要があります。ただ良い工事をしただけでは、次回も発注者側のルールでコンペに戻ることがあります。
参加するコンペを絞り、受注前から次回指名につながる条件を確認しておく進め方
設計施工コンペをすべて避ける必要はありません。特に、店舗内装・改修の会社にとって、コンペは新しい発注者や設計事務所に入り込む入口にもなります。
ただし、参加する案件は選んだ方がよいです。見るべきは、目先の受注確率だけではありません。次回以降に指名・特命へ近づく余地があるかです。
判断軸は、次の4つに整理できます。
- 継続性があるか:単発店舗か、複数出店・複数物件・継続改修がある発注者か
- 意思決定者に近づけるか:設計事務所止まりではなく、施主や発注部門と会話できる余地があるか
- 評価基準が価格だけでないか:工程短縮、夜間工事、既存設備との取り合い、営業再開日などを評価してもらえるか
- 自社の強みが出る範囲か:設計施工、設備調整、分離発注管理、短工期改修など、得意領域で勝負できるか
反対に、避けたいのは、予算も評価基準もあいまいなまま、5社以上でデザインと見積を出す案件です。さらに、施主に会えず、過去実績も活かせず、次回の案件見込みもない場合は、慎重に見た方がよいです。
参加すると決めた案件では、最初から「次につなげる設計」をしておきます。
たとえば、オフィスビルの共用部改修なら、単に今回のエントランスとトイレを納めるだけでなく、同じビル内の別フロア、別棟、別物件に横展開できる提案にしておく。クリニック出店なら、次回出店時に使える標準仕様、設備容量の考え方、見積項目の型を残しておく。
完工後には、施工写真とともに「次回はここを早めに決めるとコストが読みやすい」「この設備条件なら、次はこの工程で組める」といった振り返りを出します。工事実績を、次回発注の判断材料に変えるイメージです。
特命に近づく会社は、単に安い会社ではありません。発注者にとって、次回の不確実性を減らしてくれる会社です。図面が固まる前から相談できる。工程リスクを先に拾える。協力業者との調整が早い。こうした安心材料が積み重なると、「次は最初から相談しよう」に変わっていきます。
まとめ
設計施工コンペや入札が増えること自体は、悪いことではありません。新しい取引先に入る入口にもなりますし、実績づくりの機会にもなります。
ただ、15名弱・監督4名のような体制では、すべてのコンペに同じ熱量で参加すると、設計・積算・現場の負担が重くなります。受注前工数をどこに投じるかは、経営判断そのものです。
大事なのは、案件を「取れるかどうか」だけで見ないことです。継続性があるか。意思決定者に近づけるか。価格以外の評価軸を作れるか。自社の強みが出るか。そこを見ながら、参加する案件を絞る。
そして、受注できた案件では、完工して終わりにしないことです。次回出店、別フロア改修、別物件展開につながるように、実績を発注者の安心材料として残していく。そこから、指名や特命の芽が育ちます。
案件を選びながら特命受注に近づけたいときの整理先
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大、案件獲得、組織体制、原価管理、デジタル活用までを横断して整理し、実行まで支援しています。
「どのコンペに参加すべきか判断しづらい」「リピート先なのに毎回相見積もりになる」「特命につなげる営業の型を作りたい」といった段階でも、状況の整理から一緒に考えられます。
無理な営業はいたしません。まずは、うちの場合は何から整えるとよいかを確認する場としてご活用ください。
































