前提

東北の専門工事会社が、県内中心の仕事から宮城・北東北方面へ案件を広げようとしている状態

秋田県近郊を主戦場にしてきた、20名弱の通信・電気系の専門工事会社の話です。

これまでは地元周辺の工事が中心でした。次の成長を考える中で、宮城方面や北東北エリアにも案件を広げたい。そこで、通信・情報系の大手企業に直接つながる動きと、地域のIT会社・機器販売会社との関係づくりを並行して進めていました。

動いてみると、早めに反応が出たのは地域側でした。

地域のIT会社からは、「宮城方面で工事に動いてくれる業者がなかなかいない」という声が出ていました。無線機器、ネットワーク機器、オフィス機器、コピー機まわりの電源・配線など、IT会社や機器販売会社の先には、意外と細かな工事ニーズがあります。

一方で、大手通信工事会社への直営業は、担当者にはつながっても、そこから案件化するまでの距離が見えにくい状態でした。

社長の言葉にも、その迷いが出ていました。

「大手ともつながっていきたいです。ただ、まずは近しいところ、必要としてもらっているところに行くのが一番いいのかなとも思っています」

大手直営業か、地域提携か。これは“どちらが正しいか”ではなく、“今の自社にとって、どちらを先に深めるか”の問題です。

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  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
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  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
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  • 6月9日設備保全会社山口県
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  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
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  • 6月5日ビルメンテナンス兵庫県
  • 6月5日内装工事会社長崎県
  • 6月4日防水工事会社東京都
  • 6月4日内装工事会社東京都
  • 6月3日総合建築埼玉県
  • 6月3日空調設備工事会社香川県
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課題

大手の大きなボリュームを狙う動きと、地域提携で小さく早く受注する動きが混ざっている

営業方針が迷いやすい理由は、狙っている成果の種類が違うからです。

大手通信工事会社と直接つながれば、将来的な受注ボリュームは大きくなる可能性があります。一次請け、元請け、あるいは大手グループの協力会社として入れれば、工事量の見通しも変わります。

ただし、入り口は簡単ではありません。

担当者と名刺交換できても、その人がどこまで工事発注を握っているのか。県単位でチームが分かれているのか。東北全体で管理しているのか。上位の決裁者や協力会社選定の担当者は誰なのか。ここが見えないと、動き方が定まりません。

社長も、大手へのアプローチについてこう話していました。

「何回か顔を出さないとだめなのか。取引がないから、うちに投げるのが面倒なのか。どの時期に、何と言ってアタックすればいいのか悩みどころです」

一方、地域のIT会社や機器販売会社は、案件の規模は大手直請けほど大きくないかもしれません。ただ、困りごとが具体的です。

たとえば、次のような場面です。

  • ネットワーク機器を納品したが、現地工事を頼める先が足りない
  • 無線設備の設置で、電源や配線の対応が必要になる
  • コピー機や周辺機器を入れる際に、電源位置や簡単な工事が発生する
  • 自治体や法人顧客に納品するが、施工まで一緒に動ける業者がほしい

こうした会社にとって、工事会社は「売り込み先」ではなく「顧客対応を助けてくれる相手」になります。

大手直営業は“将来の太い柱”を作る動きです。地域提携は“足元の案件接点”を増やす動きです。混ぜて考えると、優先順位がぼやけます。

背景

地域のIT会社には工事の困りごとがあり、大手企業には組織の壁がある

今回の動きで見えてきたのは、地域のIT・機器販売会社との相性の良さです。

IT会社は、機器やシステムの提案・販売は得意です。ただ、現地での電源工事、LAN配線、設置まわりの調整、通信設備に付随する作業まで自社で抱えているとは限りません。

特に地方では、「いつも頼んでいる工事会社が埋まっている」「急ぎの案件で動ける先がいない」「県外・隣県まで対応できる業者が少ない」ということが起きやすくなります。

実際、地域の機器販売会社からは、宮城方面で動ける工事業者の不足が話題に出ていました。別の販売会社では、自治体や法人向けの機器納品が多く、そこに付随する電気・通信系の小工事が発生しそうだという見立てもありました。

この場合、最初の案件は小さいかもしれません。

しかし、小さな工事でも、納期・連絡・現場対応をきちんと積み重ねると、次の紹介につながりやすいです。地域の販売会社は、地元企業や自治体との接点を持っています。そこに「施工で頼れる会社」として入れる意味は小さくありません。

一方で、大手企業への営業は違う難しさがあります。

担当者に会えても、その担当者が発注権限を持っているとは限りません。現場チームの責任者なのか。協力会社を選ぶ立場なのか。エリア全体を見ているのか。別の部署が工事会社管理をしているのか。

ここを確認しないまま通い続けると、関係は悪くなくても案件につながらない時間が長くなります。

大手向けの営業でまず見るべきなのは、熱量よりも構造です。

  • その会社の工事発注は、支店単位か、県単位か、エリア単位か
  • 今会っている担当者は、どの範囲の案件に関われるのか
  • 協力会社の新規登録や見積依頼の入口はどこか
  • 自社の施工エリア・資格・実績が、相手の不足している範囲に合うか
  • 既存業者の繁忙時に、スポットで入れる余地があるか

地域提携は“相手の困りごと”から入れます。大手直営業は“相手の組織構造”を読まないと進みにくいです。

解決

まず地域提携で実績を作り、大手直営業は発注構造を見極めながら進める

この状況では、足元では地域提携を優先しながら、大手直営業を止めずに育てる進め方が現実的です。

理由はシンプルです。

地域のIT会社・機器販売会社には、すでに工事の困りごとがあります。紹介された会社から小さな工事の打ち合わせが始まりそうであれば、まずそこを確実に形にすることが大切です。

最初の1件は、売上金額以上の意味を持ちます。

「この会社なら、宮城方面でも動いてくれる」 「電源や配線も相談できる」 「顧客先での対応が丁寧だった」

こうした評価が残ると、次の案件が来やすくなります。紹介者も紹介しやすくなります。

短期では、地域の近接業種と組んで“小さくても確実な実績”を作る。中長期では、その実績を持って大手開拓を進める。この順番が取りやすいです。

進め方は、次の3段階で整理できます。

1. 地域提携先を「案件が出る会社」として見る

IT会社や機器販売会社とつながるときは、単に挨拶して終わらせないことが大切です。

聞くべきことは、紹介してほしい顧客名ではありません。まずは、相手の業務の中で工事が発生する場面です。

たとえば、次のように確認します。

  • 機器納品時に、電源や配線で困ることはあるか
  • 既存の工事業者で対応しきれないエリアはあるか
  • 急ぎの案件や小工事で断っているものはあるか
  • 法人・自治体向けの納品で、現地調査が必要になることはあるか
  • 工事会社に頼むとき、不満や不安になりやすい点は何か

ここが見えると、自社がどう役に立てるかが具体的になります。

「何でもできます」よりも、「宮城方面の小規模な電源・通信まわりなら、現調から相談できます」のほうが、相手は思い出しやすくなります。

2. 大手直営業は、担当者ではなく発注ルートを確認する

大手企業に行く場合は、会う回数だけを増やしても進まないことがあります。

次に聞くべきなのは、案件の有無だけではありません。

「東北エリアの工事チームは、どのような単位で分かれていますか」 「協力会社さんは、県ごとに違いますか」 「新しい施工会社に声がかかるのは、どのような場面ですか」 「繁忙期や既存業者さんが埋まったときに、スポットで相談されることはありますか」

このような聞き方なら、相手にも答えてもらいやすいです。

社長が感じていた「取引がないから面倒なのかもしれない」という感覚は、多くの中小工事会社がぶつかる壁です。大手側にも、登録、与信、安全書類、品質基準、既存業者との関係があります。

だからこそ、いきなり大きな仕事を取りに行くより、まずは「どの入口なら検討されるのか」を探るほうが進みやすくなります。

大手営業では、目の前の担当者に案件を迫るより、“誰が・どの単位で・どんなときに外部業者を使うのか”を聞くことが先です。

3. 営業リソースを分けて、期待する成果を変える

地域提携と大手直営業は、同じ営業でも時間軸が違います。

地域提携は、比較的早く案件化しやすい動きです。小工事、現調、スポット対応から始まりやすいです。

大手直営業は、時間がかかります。その代わり、つながったときの工事量や継続性に期待があります。

そのため、社長や少人数の営業体制で動くなら、最初から配分を決めておくと迷いにくくなります。

たとえば、当面は次のように分けます。

  • 7割:地域のIT会社・機器販売会社との関係づくりと初回工事の獲得
  • 2割:大手通信工事会社の組織構造・発注ルートの情報収集
  • 1割:施工実績資料、対応エリア、資格、過去工事の整理

この配分は固定ではありません。

地域提携から実績が増えれば、大手に見せられる材料が増えます。大手側のキーマンや入口が見えれば、そこに時間を寄せる判断もできます。

大事なのは、営業活動を「がんばる量」ではなく「次に判断できる情報が増えているか」で見ることです。

短期受注を取りに行く営業と、中長期の太い柱を作る営業を分けて管理すると、動きが整理されます。

まとめ

工事案件を増やす営業では、大手に直接行くか、地域提携を増やすかで迷う場面があります。

大手直営業には、大きな可能性があります。受注ボリュームも期待できます。ただし、担当者に会うだけでは進まないことも多く、発注ルートや組織構造を読み解く時間が必要です。

地域のIT会社・機器販売会社との提携は、最初の案件規模は小さいかもしれません。それでも、相手の困りごとが具体的で、早く仕事につながる可能性があります。特に、地方で「工事に動ける会社が足りない」という声があるなら、入り口としてはかなり有効です。

今回のように、県内中心から隣県・東北エリアへ広げたい会社であれば、まずは地域提携で実績を作る。そのうえで、大手直営業は発注構造を確認しながら育てる。この順番が取りやすいです。

営業戦略は、“大手か地域か”の二択ではありません。短期で案件化する道と、中長期で受注規模を広げる道を分けて持つことが大切です。

自社の営業先をどう整理するか迷ったときに

「大手に行くべきか、地域の会社と組むべきか」 「今つながっている担当者に、どこまで期待してよいのか」 「施工体制に対して、営業先を広げすぎていないか」

こうした悩みは、会社ごとの対応エリア、職人数、資格、過去実績、社長が営業に使える時間によって答えが変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、組織づくり、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。

まだ方針が固まっていない段階でも大丈夫です。うちの場合は何から整理すべきか、営業先の優先順位をどう考えるべきか、といったところから一緒に確認できます。無理な営業はいたしませんので、必要なタイミングでご相談ください。

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