社員15名強で業務用空調を中心に、日勤と夜勤の現場を分けて回している会社の現在地
埼玉県南部のある設備工事会社では、売上の中心は業務用空調工事です。売上構成で見ると、空調が大半を占め、残りを電気工事や鉄道関連の夜間工事が支えています。社員は15名強。日中の空調工事を担当する部隊と、終電後に入る鉄道関連工事の部隊は分かれており、社長自身は以前ほど現場に出ず、打ち合わせや現地調査に回ることが増えています。
空調工事の現場は、規模によってかなり幅があります。1日で終わる小さな現場もあれば、1カ月半ほど人を入れ続ける大きめの現場もあります。 人数も2名で回る現場から、10名近く入る現場までさまざまです。
この会社では、人も少しずつ増え、仕事の引き合いもあります。ただ、社長の感覚としては、単純に「案件を増やせばよい」という話ではありません。
「どっちが増えればいいという問題ではなくて、両方同じように増えないと多分ダメだと思います」
ここで言う“両方”とは、長期で入る大きめの案件と、短期・小規模で回す細かい案件のことです。予定を埋める力と、利益率を確保する力は、同じ案件から同時に得られるとは限りません。 ここに、工事会社の案件構成の難しさがあります。
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- 7月17日塗装工事会社栃木県
- 7月17日リフォーム会社岩手県
- 7月17日総合土木山形県
- 7月17日電気設備工事会社愛知県
- 7月16日外構工事会社東京都
- 7月16日塗装工事会社大阪府
- 7月16日内装工事会社群馬県
- 7月16日総合建築岐阜県
- 7月15日工務店東京都
- 7月15日内装工事会社神奈川県
- 7月15日塗装工事会社奈良県
- 7月15日内装工事会社鳥取県
- 7月14日配管工事会社高知県
- 7月14日配管工事会社広島県
- 7月14日防水工事会社神奈川県
- 7月12日配管工事会社京都府
- 7月12日ビルメンテナンス佐賀県
- 7月12日リフォーム会社茨城県
- 7月11日総合建築福島県
- 7月11日総合土木大阪府
- 7月11日造園会社愛知県
- 7月11日外構工事会社茨城県
- 7月10日電気設備工事会社京都府
- 7月8日総合土木愛知県
- 7月8日工務店山形県
- 7月8日外構工事会社群馬県
- 7月6日工務店兵庫県
- 7月6日電気設備工事会社神奈川県
- 7月6日防水工事会社東京都
- 7月5日塗装工事会社神奈川県
長期案件だけでも短期案件だけでも、稼働と利益のどちらかが崩れやすい状態
長期案件の良さは、先の予定が見えることです。1カ月、2カ月と現場が埋まれば、売上の見通しは立てやすくなります。職人の予定も組みやすく、空白日を減らせる安心感があります。
一方で、長期案件は人員を長く拘束します。単価や利益率が薄いまま長く入ってしまうと、予定表は埋まっているのに手元に利益が残りにくくなります。社長は、その感覚をかなり率直に話していました。
「長期的に1年後まで埋まっています。でも利益が薄いから、やってもやっても分からないよね、という現場が続くのか」
逆に、短期・小規模案件は利益率が良いことがあります。1日で終わる工事や細かい工事は、段取りがうまくはまれば、人工あたりの利益が出やすい。ただし、短期案件ばかりを追うと、先の予定が不安定になります。
「小さい細かい方が利益率が良かったりするんです。でも小さい細かいのばっかりだと、1カ月先は予定が埋まっていないとかある」
つまり、問題は長期案件が悪い、短期案件が良いという単純な話ではありません。長期案件に偏ると利益率が薄くなりやすく、短期案件に偏ると稼働の空白が生まれやすい。 この両方を見ながら受注しないと、売上はあるのに利益が残らない、または利益率は良いのに月次の売上が読みにくい、という状態になります。
特に社員数が15名から20名弱の会社では、この影響が大きく出ます。数名の配置が変わるだけで、受けられる現場数も、教育に回せる時間も、社長や中堅社員の負担も変わるからです。
案件のバランスは売上表ではなく、人員拘束と先々の予定で崩れていく
この会社では、引き合い自体がまったくないわけではありません。既存の取引先からも、まだ受けられる余地があります。人さえ育てば、現場は増やせるという感覚もあります。
ただし、ここで効いてくるのが人員の質と配置です。若手や未経験者が増えると、人数は増えても、すぐに受注量を増やせるわけではありません。
「若くて新人が多いということがあっても、結局、管理していける中堅がいないと」
この一言は、案件構成を考えるうえでかなり大事です。受注できる量は、社員数ではなく、任せられる人員と管理できる中堅の数で決まります。
長期案件は、予定を安定させてくれる反面、一定期間、人を固定します。そこに中堅を入れ続けると、短期で利益率の良い案件が来ても対応できないことがあります。逆に短期案件を多く取りにいくと、日々の段取り、現地調査、材料手配、職人配置、取引先との調整が増え、中堅や社長に負荷が寄ります。
さらに、日勤と夜勤の部隊が分かれている場合、単純な総人数では判断できません。昼の空調工事で空いている人がいても、夜間の鉄道関連工事にそのまま回せるとは限りません。仕事内容も時間帯も違うため、案件ごとに使える人員が異なります。
そのため、案件のバランスは月次売上だけでは見えません。売上表では順調に見えても、実際には次のようなズレが起きます。
- 予定は埋まっているが、薄利の長期案件で主要メンバーが拘束されている
- 利益率の良い短期案件はあるが、1カ月先の予定が読みにくい
- 新人は増えているが、任せ切れる中堅が足りず、受注を増やしにくい
- 日勤・夜勤で部隊が分かれ、空いている人を簡単に横移動できない
社長が「バランスを取るのが一番難しいです。自分本位じゃないんで」と話していたのは、まさにこの部分です。工事会社側が理想の案件構成を描いても、実際の引き合い、取引先の都合、工期、職人の育ち具合によって、予定は常に揺れます。
受注判断を工期・利益率・人員拘束・先々の予定の4点でそろえる進め方
長期案件と短期案件のバランスを取るには、案件を「大きいか小さいか」だけで見ないことが大切です。受注前に見るべき軸は、工期、利益率、人員拘束、先々の予定の4つです。
まず、過去半年から1年の案件を並べて、現場ごとに次の情報を整理します。
- 工期:1日、数日、数週間、1カ月以上など
- 利益率:粗利率だけでなく、人工あたりで見てどうか
- 人員拘束:何人を、何日間、どのレベルの人で押さえるか
- 予定の見通し:受注時点で何週間先、何カ月先まで埋まるか
- 調整負荷:現地調査、段取り、追加対応、管理工数がどれくらいあるか
この整理をすると、「売上は大きいが、主要メンバーを長く押さえるわりに利益が薄い案件」や、「売上は小さいが、短期で終わり利益率が良い案件」が見えてきます。
次に、受注枠をざっくり分けます。たとえば、すべての稼働を長期案件で埋め切るのではなく、一定の余白を残しておく考え方です。長期案件で最低限の稼働を安定させ、短期・小規模案件で利益を取りにいく。これにより、予定の安心感と利益率の両方を狙いやすくなります。
ここで重要なのは、余白を「空いていてもったいない時間」と見ないことです。利益率の良い短期案件を取るための余白は、利益を残すための受注枠です。 もちろん空白が増えすぎると売上が不安定になりますが、薄利の長期案件で全員を埋め切ると、利益改善の余地がなくなります。
長期案件を受けるときは、次のような問いを置くと判断しやすくなります。
- この工期中、誰が何日拘束されるか
- 中堅社員を固定しても、他の現場管理が回るか
- 利益率が薄い場合、売上の安定以外に受ける理由があるか
- 工期後に空白が出ないよう、次の案件につながる見込みがあるか
- 短期案件を受ける余力をどれくらい残せるか
短期・小規模案件を受けるときは、利益率だけでなく、予定の不安定さと段取り負荷を見ます。
- その案件は単発か、継続的な取引につながるか
- 現地調査や手配に対して、十分な利益が残るか
- 直前対応が増えて、既存現場にしわ寄せが出ないか
- 1カ月先、2カ月先の予定が薄くなりすぎていないか
この2つを分けて考えると、受注判断が感覚だけに寄りにくくなります。社長が言うように、「両方あって初めて、暇が生まれずに利益が残る」状態をつくるには、案件単体の良し悪しではなく、全体の組み合わせを見る必要があります。
実務では、難しい管理表を作るよりも、まずは月ごとの予定表に「長期で固定される人員」と「短期案件に動かせる人員」を色分けするだけでも効果があります。日勤と夜勤の部隊が分かれている会社なら、部隊ごとに見た方が現実に合います。
そのうえで、毎週または隔週で、次の3点を確認します。
- 主要メンバーが薄利の長期案件に固定されすぎていないか
- 1カ月先、2カ月先の空白が大きくなっていないか
- 短期案件を受ける余白が、完全になくなっていないか
この確認を続けると、「今月は売上を安定させるために長期案件を優先する」「来月は短期案件を拾える余白を残す」といった判断がしやすくなります。
まとめ
長期案件と短期案件のバランスは、工事会社の利益に直結します。
長期案件は、予定と売上の見通しをつくります。 ただし、利益率が薄いまま人員を長く拘束すると、忙しいのに利益が残りにくくなります。
短期・小規模案件は、利益率を高める余地があります。 ただし、そればかりになると先の予定が読みにくくなり、稼働の空白や段取り負荷が増えます。
大切なのは、どちらかを正解にしないことです。工期、利益率、人員拘束、先々の予定を並べて、会社としてどの案件をどれくらい持つかを決めることが、利益を残す受注判断につながります。
特に15名から20名規模の会社では、数人の中堅がどこに入るかで、受けられる仕事も利益の残り方も変わります。売上規模を追う前に、今の人員でどの案件構成が一番無理なく利益を残せるかを見直すだけでも、次の一手はかなり見えやすくなります。
自社の案件構成を一度整理してみたいときは
長期案件と短期案件のバランスは、会社ごとの人員構成、取引先、現場の種類によって答えが変わります。空調、電気、内装、鉄道関連など、複数の仕事を持っている会社ほど、売上表だけでは判断しにくい部分もあります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。案件構成や受注判断についても、「うちの場合は何から見ればよいか」という段階から一緒に整理できます。
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