前提

東北の専門工事会社が、鉄道・高速道路系の実績を土台に売上倍増を狙う段階

東北地方のある専門工事会社では、今後5年から10年を見据えて、売上を現在の倍近くまで伸ばしたいという構想がありました。

正社員を大きく増やすよりも、30代を中心とした専属外注のネットワークを機動的に動かし、自社は管理者を出して現場を納める。そんな体制を理想に置いています。

強みは、鉄道・高速道路系の施工実績、夜間対応、内装解体や建築系工事までこなせる幅の広さです。一方で、特定建設業許可の取得余地はありつつも、現時点では元請けに大きく踏み込むより、一次請け会社から安定的に仕事を受ける二次請けの形が現実的という整理でした。

既存の取引先には、売上10億円前後の一次請け会社があります。今後の成長には、同じように年間を通じて案件を供給してくれる会社を、あと1社、2社と増やす必要があります。

相談者の言葉にも、判断の迷いがにじんでいました。

「毎月の費用を出して、仕事としてどうなのかは頭にありました。面談して、そのうえで判断しようと思っています」

営業に投資するなら、どの方法が自社に合うのか。ここが最初の論点になります。

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  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
  • 6月11日プラント工事会社京都府
  • 6月11日空調設備工事会社神奈川県
  • 6月11日空調設備工事会社茨城県
  • 6月11日総合土木長野県
  • 6月10日総合建築広島県
  • 6月10日総合土木奈良県
  • 6月10日総合建築東京都
  • 6月10日内装工事会社愛知県
  • 6月9日設備保全会社京都府
  • 6月9日総合土木北海道
  • 6月9日設備保全会社山口県
  • 6月8日防水工事会社兵庫県
  • 6月8日電気設備工事会社神奈川県
  • 6月8日内装工事会社大阪府
  • 6月5日リフォーム会社愛知県
  • 6月5日プラント工事会社香川県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード
課題

既存の一次請けに売上が寄り、3〜6月の谷を埋める安定先が足りない状況

この会社の課題は、単に「新規取引先を増やしたい」ではありません。既存取引先への依存を少し下げながら、年間の稼働を平準化できる取引先を増やしたいという課題です。

鉄道・高速道路系の公共性が高い工事は、実績としては強い材料になります。ただ、案件の時期が偏ると、毎年3月から6月あたりに稼働の谷が出やすくなります。

そこで候補になるのが、次の2つの営業ルートです。

  • 中小・中堅の一次請け会社に対して、リストを作って網羅的に接触する営業
  • 大手・準大手のキーマンにつながり、上から協力会社として入っていく紹介営業

どちらも新規開拓です。ただし、得意な相手が違います。

リスト営業は、地域や売上規模、工種で絞った会社に電話や問い合わせフォームで接触し、「協力会社を探していませんか」と入口を作る方法です。今回のようなケースでは、既存取引先に近い売上7億〜20億円ほどの会社を想定し、地元県内で80社前後、隣接県を含めると300社弱、さらに東北全域まで広げると1,500社超が候補になりました。

一方、紹介営業は、大手・準大手ゼネコンやそのグループ、道路系・リニューアル系に強い会社のキーマンへ、人脈を通じて入る方法です。こちらは数を打つ営業ではありません。決裁や現場手配に近い人へ届くことで、通常の電話営業では開きにくい扉を開ける営業です。

問題は、どちらが正しいかではありません。自社が今ほしい成果に対して、どちらを先に動かすべきかです。

背景

中小への網羅接触と大手への上からの接触では、届く相手がまったく違う

紹介営業とリスト営業は、同じ「新規開拓」でも構造が違います。

リスト営業の強みは、接触量です。

たとえば、売上規模、所在地、工種で対象を絞り、県内から隣接県へ順番に当たっていけば、短期間で市場の反応が見えます。「今は協力会社が足りている」「夜間対応できるなら話を聞きたい」「内装解体だけでなく建築系もできるなら一度会いたい」といった温度感が取れます。

リスト営業は、既存取引先に近い規模の一次請け会社を広く探すのに向いています。

ただし、大手・準大手に対しては限界があります。代表電話や問い合わせフォームから入っても、現場の協力会社選定に関わるキーマンまで届かないことが多いからです。会社の規模が大きいほど、受付、部署、担当者、協力会社登録の流れが分かれます。外からの一報だけでは、現場の切実な不足感に接続しにくくなります。

一方、紹介営業の強みは、入口の深さです。

大手・準大手のOBや業界内の人脈を持つ人が間に入り、「この会社は鉄道・高速道路系の経験があり、夜間対応もできる」「過去に近い領域の工事経験がある」と伝えられれば、最初から話の前提が変わります。

実際、この会社でも、ある大手系列の名前が出たときに、相談者からこんな反応がありました。

「昔、震災後の工事でその下に入っていたんです。注文書も交わしているので、調べれば出てくると思います」

また、候補企業の一覧を見たときにも、

「知っている名前もちらほら出ています」

という話がありました。

これは大きな材料です。紹介営業は、過去実績や既存の接点がある会社ほど、話を前に進めやすくなります。

ただし、紹介営業にも弱点があります。接触できる会社数は限られます。特定の大手、特定のグループ、特定のキーマンに寄るため、幅広く市場を探るには向きません。

つまり、整理するとこうなります。

  • リスト営業は、数を回して中小・中堅の一次請けを探す営業
  • 紹介営業は、大手・準大手のキーマンへ深く入る営業
  • リスト営業は広いが浅くなりやすく、紹介営業は深いが狭くなりやすい

この違いを押さえると、どちらから始めるべきかが見えやすくなります。

解決

短期の接触量はリスト営業、大手・準大手の突破は紹介営業で役割を分ける

新規取引先開拓は、どちらか一方に決め切るより、目的ごとに使い分けるほうが現実的です。

今回のように、3月から6月の稼働の谷を埋めたい、既存の一次請けに近い会社を増やしたい、という目的であれば、最初に動かしやすいのはリスト営業です。

県内、隣接県、東北全域という順番で対象を広げ、売上7億〜20億円前後の一次請け会社を中心に当たる。最初から1,500社すべてに広げるのではなく、まずは地元と隣接県の300社弱に絞る。1〜2か月で反応を見て、深掘りするか、エリアを広げるかを判断する。

この進め方なら、営業活動が感覚論になりにくくなります。

見るべき数字は、次のようなものです。

  • 架電・問い合わせ件数
  • 担当者につながった件数
  • 協力会社ニーズがあった件数
  • 面談・現場確認につながった件数
  • 見積依頼や小規模案件につながった件数

ここで大事なのは、アポイントを取ることだけを成果にしないことです。建設業の新規開拓は、初回接触からすぐ受注になるとは限りません。

初回面談後の追客を誰が担うかまで決めておかないと、せっかくの接点が流れてしまいます。

社長がすべて追うのか。営業担当を置くのか。外部に一次対応や定期連絡まで任せるのか。ここは、営業手法を選ぶ前に決めておきたいところです。

一方で、大手・準大手から安定した案件を取りたい場合は、紹介営業を並行して検討する価値があります。

特に、次の条件がある会社は相性がよいです。

  • 鉄道・高速道路・道路・リニューアルなど、大手側の案件領域と実績が近い
  • 過去にそのグループや協力会社の下で施工した履歴がある
  • 夜間対応、短工期対応、安全書類対応など、任せられる理由を説明できる
  • 最初は小さい案件でも、品質で信用を積む前提を持てる

紹介営業では、「誰につながれるか」だけでなく、紹介された後に何を提示できるかが重要です。

たとえば、次のような材料を事前に整理しておくと、話が進みやすくなります。

  • 過去の施工領域
  • 対応可能エリア
  • 夜間・休日対応の可否
  • 管理者を出せる体制
  • 専属外注を含めた動員力
  • 安全・品質面で説明できる実績
  • 既存取引先で評価されている点

この整理がないまま紹介だけ受けても、「で、何をお願いできる会社なのか」が伝わりません。逆に、ここが整理されていれば、紹介者も動きやすくなります。

判断軸はシンプルです。

短期で接触先を増やしたいならリスト営業。大手・準大手のキーマンに届きたいなら紹介営業。年間の柱になる取引先を作りたいなら、両方を役割分担して動かす。

ただし、営業リソースが限られる中小建設会社では、同時に全部やろうとすると中途半端になります。

まずは、次の順番で整理すると進めやすくなります。

  1. 既存の優良取引先に近い会社像を決める

売上規模、工種、エリア、発注頻度、求められる対応力を整理します。

  1. リスト営業で狙う範囲を決める

県内から始めるのか、隣接県まで広げるのか、最初の対象件数を絞ります。

  1. 紹介営業で狙う大手・準大手を決める

過去実績がある会社、工種が合う会社、紹介者が強い会社を優先します。

  1. 初回接触後の追客担当を決める

社長、社内担当、外部支援のどこまでが担うのかを明確にします。

  1. 1〜2か月単位で反応を見て修正する

アポ数だけでなく、案件化の見込み、相手の温度感、次に必要な資料を見直します。

営業は、気合いで数を打つだけでは続きません。人脈に頼るだけでも広がりに限界があります。自社の実績を、どの相手に、どの入口から届けるかを設計することが、新規開拓の出発点です。

まとめ

建設会社の新規取引先開拓では、紹介営業とリスト営業のどちらが優れているかを比べるより、役割の違いを押さえることが大切です。

リスト営業は、中小・中堅の一次請け会社に広く接触し、既存取引先に近い会社を探す方法です。 3月から6月の稼働の谷を埋めたい、年間を通じて案件を出してくれる会社を増やしたい場合に向いています。

紹介営業は、大手・準大手のキーマンへ届き、通常の営業では入りにくい先へ上から入る方法です。 過去実績や施工品質を武器に、長期的な取引基盤を作りたい場合に向いています。

今回のように、既存取引先への依存を下げながら売上倍増を狙う会社では、まずリスト営業で市場の反応を取り、並行して紹介営業で大手・準大手への入口を作る進め方が現実的です。

そのうえで、初回接触後の追客、見積依頼までの対応、社内で誰が判断するかを決めておく。ここまで設計して初めて、新規開拓は受注につながる活動になります。

紹介か、リストか。答えは二択ではなく、自社の狙う取引先に合わせて入口を分けることです。

自社に合う新規開拓の順番を整理したいときは

新規取引先を増やしたいと思っても、「どの会社に当たるべきか」「紹介を使うべきか」「電話や問い合わせ営業から始めるべきか」は、会社ごとに答えが変わります。

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