前提

LINE日報と納品書の手集計が並行する40名弱の専門工事会社という現在地

中国地方に拠点を置く、40名弱の専門工事会社があります。複数の工種に対応し、店舗内装などの案件も手がけています。実際に現場で動く社員職人は十数名ほど。複数の現場を少人数で回しています。

日報やスケジュールの共有にはLINEを使っています。翌日も同じ内容を使う場合は、前日の文章をコピーして書き換えます。現場にとっては慣れた方法ですが、管理側では情報をあらためて整理しなければなりません。

原価管理も同様です。数年前に市販ソフトを購入したものの、自社の管理方法に合わず、十分に使われないままになりました。現在は、納品書や請求書を集め、現場ごとに手作業でまとめています。

担当者から出たのは、次のような言葉でした。

「LINEでも日報は回せます。でも、いちいち打ち込む手間があります。記録としてしっかり残って、連携しやすい形にしたいんです」

「原価管理ソフトも買いましたが、使い勝手が悪くて結局できていません。納品書と請求書を自分で現場ごとにまとめています」

現場ではLINEが動いている一方、管理側では転記や集計が残り、案件別原価を把握するまでに時間がかかっている状態です。

1週間で 17件の相談 がありました

  • 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
  • 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
  • 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
  • 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
  • 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
  • 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
  • 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
  • 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
  • 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
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課題

LINEの手軽さと原価管理ソフトの多機能さが実務につながらない状態

問題は、デジタルツールを導入していないことではありません。すでにLINEや建設業向けアプリ、市販の原価管理ソフトを試しています。

それでも定着しなかったのは、日報、出面、経費、案件別原価が一つの業務の流れとしてつながっていなかったからです。

LINEは現場から報告しやすい反面、案件名、出勤者、作業内容、経費といった情報を一定の形式で蓄積しにくくなります。後から案件別に集計するには、管理側で拾い直す作業が必要です。

一方、市販ソフトは機能がそろっていても、自社の工種、案件の分け方、承認方法に合わなければ入力されなくなります。使わない機能が多く、必要な内訳が足りないこともあります。

既存の建設業向けアプリについても、「ある程度は使えるけれど、もう少し機能がほしい」という状況でした。大幅な変更が難しいと、自社の運用をツールに合わせるか、不足部分を別の手作業で補うことになります。

DXが定着しない主因は、機能の多さではなく、現場の入力から管理者の確認、案件別原価の把握までが分断されていることです。

背景

複数工種と少人数の現場運営が管理項目を複雑にしている事情

この会社では、一つの専門工事だけでなく、複数の施工領域や店舗案件を扱っています。そのため、案件によって必要な管理項目や原価の見方が異なります。

現場ごとの報告は代表者や職長がまとめ、管理側が最終的に確認します。さらに、工具などを現場で急きょ購入すれば、経費として案件にひもづける必要があります。外注費、材料費、経費を分けて見たい案件もあります。

本来、次の情報は連続しています。

  • どの現場に誰が入ったか
  • 日報が提出されているか
  • 現場で何を購入したか
  • 誰が内容を承認したか
  • 案件ごとに材料費、外注費、経費がいくらかかったか
  • 進行中の案件で原価がどのように推移しているか

しかし、日報はLINE、領収書は写真や紙、納品書と請求書は管理側で集計というように入口が分かれると、最後は誰かが情報をまとめることになります。

「重たい業務はどこか」と聞かれても、複数の工種と管理作業が重なっているため、一つに絞りにくい状態でした。ここでいきなり全社システムを作ろうとすると、必要な機能が増え、現場側の入力負担も大きくなります。

複雑な会社ほど、すべてを一度にデジタル化するのではなく、誰が何を入力し、誰が承認し、どの数字に使うのかを先に整理する必要があります。

解決

日報・出面・経費・案件別原価を棚卸しして小さくつなぐ段階導入

最初に行いたいのは、システム選びではなく業務の棚卸しです。日報、出面、経費、案件別原価について、現在の流れを並べます。

整理する項目は、次の程度で十分です。

  • 誰が入力しているか
  • 何を入力しているか
  • どこに記録しているか
  • 誰が確認・承認しているか
  • 管理側で何を再入力しているか
  • 最終的にどの数字を見たいか

たとえば日報なら、現場名、日付、出勤者、作業内容が必要です。経費なら、案件名、購入日、金額、内容、領収書の写真が必要になります。原価管理では、これらを材料費、外注費、経費などの区分で案件にひもづけます。

業務を「入力・承認・集計」に分けると、LINEのままでよい部分と、仕組みを変えるべき部分が見えやすくなります。

優先順位は「負担」と「改善効果」で決める

最初に着手する業務は、次の二つの軸で判断します。

  1. 現場や管理者の負担が大きいか
  2. 改善したときに案件管理へ与える効果が大きいか

毎日発生し、管理側で転記している日報や出面は、優先度が上がりやすい業務です。現場購入の経費も、領収書と案件のひもづけに手間がかかっているなら候補になります。

反対に、使用頻度が低い機能や、現時点では見ていない分析画面は後回しにできます。勤務予定のカレンダーやガントチャートも、必要な会社と不要な会社があります。

最初から多機能にせず、負担と改善効果がともに大きい業務を一つ選ぶことが、定着への近道です。

現場はスマートフォンで入力を完結させる

現場側の操作は、スマートフォンで完結できる形が基本です。日報や出面なら、対象案件と出勤者を入力します。経費なら、案件名、日付、金額、購入内容を入れ、領収書をその場で撮影して申請します。

管理者や職長は、申請内容を確認して承認または差し戻します。承認された情報だけが管理画面に反映されれば、報告済みの現場や案件別の経費を一覧で確認できます。

ここで大切なのは、従来の紙やLINEの項目をすべて移すことではありません。管理に本当に必要な項目に絞ります。入力欄が多すぎると、現場の負担が増え、コピー入力や後回しが起きやすくなります。

現場には必要最小限の入力画面、職長には承認画面、管理側には案件別の集計画面を用意し、役割ごとに操作を分ける設計が有効です。

実物を試してから「要る・要らない」を決める

市販ソフトで失敗した経験がある場合、仕様書だけで導入を決めるのは避けたいところです。実際の業務をもとにデモ画面を作り、現場担当者と管理者が触って確認します。

確認したいのは、次の点です。

  • 現場から迷わず入力できるか
  • 職長や管理者が承認しやすいか
  • 案件名や原価区分が自社の運用に合っているか
  • 欲しい原価の内訳まで確認できるか
  • 使わない画面や機能が含まれていないか

試用すると、「この機能はいらない」「案件一覧はもっと簡単でよい」「材料費の内訳は追加したい」といった判断が具体的になります。

導入前に実物を触り、自社に必要な機能と不要な機能を選別することで、使われないシステムを増やしにくくなります。

第一段階を決め、運用ルールを残す

第一段階では、日報と出面だけ、あるいは経費申請と承認だけという始め方もできます。運用できることを確認してから、案件別原価や利益率の表示へ広げます。

同時に、誰がいつ入力するか、誰が承認するか、修正が必要な場合にどう戻すかを決めておきます。仕組みだけを作っても、この役割が曖昧だと管理側の手作業が残ります。

第一段階の運用が固まったら、第二段階で材料費、外注費、経費の集計や、案件ごとの原価推移へ広げます。必要になった時点で画面や内訳を追加すれば、初期段階の負担を抑えられます。

「全部入り」を目指すのではなく、一つの業務を定着させてから次へ進むことが、建設業DXを社内に残す進め方です。

まとめ

LINE日報や手作業の原価管理は、それぞれ単独で見ると回っているように見えます。ただ、日報、出面、経費、納品書、請求書が別々に管理されていると、最後の集計は一人の担当者に集まりやすくなります。

市販ソフトが定着しなかった場合も、デジタル化そのものが合わないとは限りません。自社の工種、案件区分、承認方法に対して、機能や入力手順が合っていなかった可能性があります。

建設業DXは、日報・出面・経費・案件別原価を棚卸しし、負担と改善効果が大きい業務から、スマートフォン入力と承認フローを小さくつなぐことから始められます。

導入前にデモを試し、「要る・要らない」を現場と管理側で確認することも欠かせません。仕組みと運用ルールを同時に整えれば、担当者が変わっても続けられる管理体制に近づきます。

自社のDXで最初に整理する業務を決めるために

「LINE日報のどこから変えるべきか」「原価管理まで一度につなぐべきか」「既存アプリを活かせるか」といった判断は、会社ごとの工種や現場体制によって変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の業務を整理し、現場の入力方法、管理者の承認、案件別原価の見える化まで、必要な範囲から実行を支援しています。「うちの場合は何から整理すべきか」という段階でも問題ありません。

無理に導入を勧めることはありません。現在の運用を確認しながら、ものづくりに集中できる管理体制を一緒に考えていきます。

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